高校生に関する秋田県の施策の拙さ

秋田の高校を何とかしなきゃいけないということを書いたが、筆者が考えるに変える必要があるのは生徒のほうではなく実は行政側や学校あるいは教師の側なのだ。
教育論はほぼイコールで教師論であることも理由だが、秋田県の施策は迅速な『結果』を出そうとしているせいか少し拙速で偏っているのが気になる。

スポーツの面では体協が窓口になって、県高校強化拠点校という指定を行い現在16競技23校(統合で2校減)が指定され県は今年度2,500万円の予算措置を行っている。指定は5年間継続が基本で、この間に3年連続してIHまたは国体に団体も個人も出られなかった場合は拠点校指定が取り消しになるらしい。まあ、1校100万円/年で『スポーツ王国秋田の復活』が達成できるとは誰も考えていないことだろうが、どの競技も強化拠点校の選手・部員は県外への遠征が当たり前のようになっていて、隣県だけではなく競技種目によっては九州あたりまで遠征に出かけるため交通費や旅費で100万なんぞパーッと無くなってしまう。1校100万円/年では焼け石に水のようなもので、もっと競技数なり学校数なりを絞り込んで集中させなければ効果は低いことは明らかだ。
ちなみに、この100万円/年が各高校でどのように使われているかを調べることはほぼ不可能だ。大抵の高校の指導者は体育の教員であることが多いため部活の監督と兼任で相当に忙しい人が多い。指導者を育てる意味でもそういう人たちにボーナスにしたら良いくらいだ。
こういう小さなバラマキ手法は教育分野だけではない。例えば産業政策で新規事業者への創業支援などの制度を見てもやれ30万だ、50万だといった小口が多い。子供の小遣いじゃあるまいし、全くの無駄遣いである。
選択と集中を詰めていけない行政の限界ましてや教育現場では普通よりも『公平』を声高に叫ぶ人が多いであろうから、少数の高校に現状の何倍もの助成などしてはただでさえ贔屓はよくないと批判の声があるらしいので他校からの批判や不平もさらに増えるだろう。
毎年2月くらいに、秋田市ではいわゆるスポーツ関係の地元の功労者の表彰がホテルで行われる。いかに高齢者の声が大きく反映されているかの証左だが、あんなものは新聞発表と市の広報掲載程度で十分だ。表彰式は市役所ででもやれば良い。ああいう無駄遣いは自粛して現役世代の指導者や子供たちにその金を回そうというような発想がない限りスポーツ王国だのスポーツ都市だののお題目は中身のないものになる。

一方、高校の学力アップ、進学率アップ、有名校への合格については、秋田県は数年前から『高校生未来創造支援事業』と称して1,2年生を対象に年に何回か進学コース別ハイレベル講座というのを県内3箇所で開催している。この事業は一般の生徒やその父母はほとんど知らない学校推薦で学校から『行きなさい』と個別に言われる成績上位者しか知らない情報だからである。今年も今日28日から1ヶ月ほど進学コース別ハイレベル講座がほぼ毎週日曜に120分の講義2時限という方法で実施される。この進学コース別ハイレベル講座は主に東北大と北大を意識した内容設定となっていて、このハイレベル講座の受講者からさらに上位の者はスーパーハイレベル講座(40人程度)という東大、京大志望者向けのものに行けと言われる仕組みになっている。
大館国際情報学院高校、明徳館高校、横手高校が開催場所だが、受講費がテキスト代1,000円ちょっと。何故か傷害保険に加入させられるのが不思議なのだが、さぞかし高度な講義内容で鼻血出して倒れるくらいのものなのだろう(笑)。
参加人数は明らかにされていないが、各開催場所で数十人のようだ。秋田市の場合はほとんど秋高+いくつかの高校から数人ずつというのが実態だ。
講師は代々木ゼミナールからの派遣講師が行うということとテキストは大体が旧帝大あたりの入試の過去問で、それらの解法を解説するという講義スタイルなのだ。愚息に様子を聞いても明らかに予備校の講師のほうが理解しやすいとのことで、受講生やその父母には好評のようだ。

だが、筆者はちょいと疑問を感じている。公費でやることかと?
県全体の高校生1学年は約1万人であるから、その0.5%強をレベルの高い勉強をさせて東大・京大合格者を短期間に増やそうという県の目論見はわかるが、こういう上位0,5%は黙っていても自分で勉強するものだ強いて言えば参考書や問題集を買う手間が省けるように膨大な過去問をくれてやる程度でよい。県全体のレベルアップをハナから考えず単にマスコミ等が注目する合格者数の統計数値を目標にするならばこういう手法もあるかもしれないが、長期的な視点で全体的な学力の底上げをするにはこの手法は拙い。何故なら過去の秋田県がそうであったようにこの0.5%の連中は難関校に合格して卒業しても秋田には戻ってこないからだ。
また、予備校の講師を県費で呼ぶということは、つまり、地元の高校の先生たちは成績上位者にとってはお呼びでないということだ。
有名校合格率や合格者人数は今後微増することは間違いないだろうが、代ゼミに外注したままでは、レベルの高い生徒を育てる高校も教える教師も育たず、合格・卒業した人材は秋田に戻ってこない一体秋田の地元に何が残るのだろう?

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高校生に関する秋田県の施策の拙さ への3件のフィードバック

  1. norinori より:

    上位層のほとんどが秋田に戻ってこないということは秋田には現状維持が精いっぱいの残滓がどんどん蓄積され乗数的に社会の劣化が進んでしまうことになります。それだけ秋田に魅力がないということでしょう。象徴的なのが「食糧費」事件、あれだけ税金を自分たちの飲み食いに流用して逮捕者が一人もでないのですから。また県紙と県が癒着してゴルフ場の工事を県の工事に偽装した事件もありました。大地震発生時に県の幹部が公用車の運転手を待たせパチンコに熱中していたとか枚挙にいとまがありません。秋田県のレベルを下げているのは公務員、マスコミ、教師等所謂エリートと言われる人たちでしょう。まあ、エリートというより寄生虫でしょうか。他県には志の高い財界人がいて私財を投じて私学を創設し優秀な人材を送り出す事例も多いのですが秋田の財界人は私腹を肥やすのには熱心です。県民も役人や教師を信用せず、酒ばかり飲んでいないでしっかり自覚しましょう!!

  2. Argus より:

    秋田に魅力が無いとか、これからどうやって魅力を作っていくかみたいな議論は頭数(人口)から考えて時既に遅しなんですね。
     
    何かドラスティックなそれこそ革命的な変革が社会に起きるにはある地域の人口のうち15歳から29歳の人口が全体の30%を超えないと無理と言われています(ユース・バルジ理論)。
    例えば、県内で最も社会的インフラが整備され人口も多い1極都市の秋田市をみても、総人口324,377人に占める15歳から29歳の人口は48,223人でわずかに14.9%です。しかも人口動態をアニメーションで見るまでも無く毎年総人口もこの割合も減ってきています。これでは大きな変革など望むべくもない。
    無理やり15歳から44歳までみると111,794人となり34.5%と、ようやく30%を超えるのですが、30歳から44歳などという世代はすっかり会社なり勤務先や社会に取り込まれているので変革を目指す冒険などあり得ないという人間が大半になるわけで、若者のように根拠や知識、経験の無い意味不明な自信をエネルギー源として社会の変革に取り組もうという人材はまず出てくるわけがない。
     
    今直ちに生めよ増やせよで、それこそ行政が夜の夫婦生活など子作りの指導まで行い、人口増加を最優先で取り組んでも結果が出てくるのは15年~20年後なわけで、逆に言えば最低でもここ15年~20年は現状あるいはそれ以下の衰退しか無いと予想されるわけです。
    しかも本来リーダー層となるべき人材の上位1%程度は確実に秋田を離れるわけですから残りカスにとってはますます変革のハードルが高くなると・・・。
     
    食糧費問題、魁のゴルフ場問題、ちょっと懐かしい話題ですね。[E:happy01]

  3. デキの悪い子の親 より:

    Argusさんの書かれたハイレベル、スーパーハイレベル講座というのは県のHPなどに情報があるのかと思いましたが、ググッてみてやっとその日程くらいを見つけました。
    http://www.akita-h.akita-c.ed.jp/news/pdf/4e534a3742009.pdf
    要するにレベルの高い(成績の良い)子供とその親にしか伝える必要の無い情報なのですね。
    [E:sleepy]

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