日本の特殊性はTPPに対抗できるか?

海外に時々出かける人はすぐわかるはずだが、世界中ほとんどの国で見かける菓子の一つにKitKatがある。ここオーストリアでも、ほとんどドイツと同じようなラインナップのKitKatが売られている。チョコというよりコンフェクショナリ(confectionery)と言われるもので、疲れたときなど何気にちょっと食べたりすると妙に美味かったりする。
ホテルのベッドメイク後に枕の上に置いていかれたりするところもあるが、まあ先進国ではこの菓子が手に入らないところは無いだろう。

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(オーストリア、ドイツのラインナップ)

KitKatはもともとイギリスのロントリー・マッキントッシュ社の製品で日本ではここと提携した不二家から販売されていたが、前者がスイスのネスレ社に吸収されてからはネスレ社と不二家の合弁会社ネスレマッキントッシュ(現:ネスレコンフェクショナリー社)から発売されている。
余談だが、ネスレ社をネッスルと呼ぶ人は『違いの判る男のゴールドブレンド』のネスカフェの時代の人でちょっと年配のはずである。読み方はネッスルでも間違いではないのだが、1994年からはネスレでCMなども統一された。ドイツ語で nestle は『小さな鳥の巣』を意味するがイギリスでは20世紀の間 Nestle’s を Nessels として宣伝していたためネッスルという読みが当初使われた。

このネスレ社、スイスのレマン湖に臨むVevey(ヴヴェ)という人口2万人にも満たない小さな街(綺麗な街です)にあり、世界最大の食品・飲料会社である。ちなみに世界の食品・飲料会社の売上順位は、
1位 ネスレ
2位 ユニリーバ(リプトン、ブルックボンド紅茶以外にLUX、Dove、ジフクレンザーやドメストなど石鹸、洗剤、トイレタリで有名)
3位 ペプシコ
4位 クラフトフーズ
5位 キリン+サントリー
6位 コカ・コーラ
で、ネスレは2位のユニリーバの倍近い売上げの超巨大企業である。

乳製品が主力で、発展途上国で粉ミルクの販売に関して結構エゲツない商売をやってあちこちでボイコットされたりしたこともあるせいか、日本では粉ミルクなどは見かけない。
ネスレはヨーロッパでは、乳製品特に粉ミルクやアイスクリーム(世界シェアNo.1)の会社というイメージが強く、KitKatなどは主要な製品ではない。
それでも、国ごとにKiKatのラインナップを多少変えて商売をしている。
最近は(日本では売っていないと思うが)KitKat Singlesというちょっと長めの1本入り(10本入りパックもある)が人気のような気がする。

元祖イギリスでもさほどラインナップは多くなく、ミント味やオレンジ味などがバリエーションで、フランスなどはチョコボールタイプ(これも日本では見かけない)。本社のあるスイスでもほとんど珍しいバリエーションなどは無い。

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(イギリスのKitKat)
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(フランスのKitKat)

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(スイスのKitKat)
ところが、日本では世界共通の製品以外に滅茶苦茶バリエーションがあり、ご当地KitKatなどは何十種類あるのかわからないくらいだ。東北では、山形のさくらんぼがあったように記憶しているし、名古屋のほうでは味噌味もあったと思う。紅芋だの抹茶だの・・・。

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(日本のKitKat)

おそらくKitKatはほとんど世界制覇はしたものの、一筋縄ではいかなかったのが日本なのだろう。5種類くらいのバリエーションでは日本人の多様な好みとそのマーケットには力不足だったのだろうと思われる。さぞかし、ネスレ本社でも日本のマーケティングは難しいと認識していることだろう。日本人の味覚の多様さ、好奇心からくる需要の多様さは単純な工業製品的なバリエーションの少ない菓子では対応できないのだ。

おそらく数年のうちにTPPによって乳製品の分野(生乳を除く)はアメリカではなくニュージーランドの企業に席捲されるだろうと筆者は予想している。
ニュージーランドではフォンテラ社という1社が独占していて、ここは1万以上の酪農家を束ねて国際競争力強化のために今世紀初めに国家的な政策で作られた企業で、乳製品だけに限れば世界トップシェアで140カ国以上に乳製品を輸出している。

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主要な5つのブランドは、
Anchor(牛乳、チーズ、バター)
Anlene(牛乳、ヨーグルト)
Anmum(粉ミルク)
Mainland(チーズ)
Tip Top(アイスクリーム)

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(そのうち、これらのロゴが一般的になるはず)

さて、これらの企業が日本人の多様な好み、需要に合わせた商品を提供できるだろうか。日本の特殊性、非関税障壁と言われればそれまでだが、日本人、日本の食品消費のマーケットの難し
さは日本がそう容易くTPPで破壊されないと思わせる何かがあり、これが他の農産物でもヒント
になるのではないだろうか。多品種少量生産は難しいが、それだけ付加価値は大きくなる。

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