安倍首相のV4会談・訪問は吉と出るか凶と出るか

来月、安倍首相がヴィシェグラード・グループ(こちらではV4と呼ぶことが多い)、つまりポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの4カ国の首脳と会談するためにポーランドを訪問するそうで日本のメディアは原発に関するトップセールスばかり書いているが、あまり露骨な原発営業を前面に出して欲しくないなと個人的には思っている。

確かにこのV4でユーロ危機による経済状態のあまり良くないハンガリーを除けば3カ国では比較的国の借金も少なく、EUの中の小EUと言われるくらい安定(低め安定だが)しているとされている。しかもEU全体は環境問題への取り組みが厳しいのとエネルギー安全保障の面でロシアからの影響力排除のため原発推進が各国の基本的な政府方針だ。
そして、それぞれの国で原発を巡ってフランス、ロシア、南朝鮮との営業合戦をしているのが現状だ。(南朝鮮は100%自前で作れないにも関わらず”営業”している)
トルコで(フランスとのJVで)排他的交渉権を得て勢いに乗って安倍首相がやってくるわけだが、コトはそう簡単ではないのではないだろうか。
フランス(アレヴァ社)は日本とJVを組んだりして関わってくるだろうが、南朝鮮は完全に商売敵だし、ロシアは自国の目と鼻の先で営業されることで快く思うわけが無い。ロシアと組んでいるのはドイツ、イタリアの企業などだ。
そこに福島の問題が未だに解決していない、将来の核廃棄物処理の目処も無い日本がトップセールスで乗り込んでくることは間違いなく波風を立てる。

【ポーランド】
まだ国内初の原発立地場所の選定が終わっていないようだが、バルト海に面した都市になりそうな様子。いくつかの候補地では住民投票で反対派が半分をやや上回っているなどの新聞報道もあり難しそうだ。ドイツ寄りではドイツの都市から反対意見が沸きあがるだろうし、カリーニングラード(ロシアの飛び地)側ではやはりロシアの横槍が入るだろうし、その向こうには国民投票で原発計画が頓挫(日立が受注予定だった)したリトアニアがある。
EDF(仏:アレヴァ社系)、GEH(日立GE)、東芝WH、南朝鮮KEPCOの競争

【チェコ】
Temelin原発の3・4号機の増設が計画されているのだが、既存の1・2号機がロシア型PWRの改良型のためチェコとしては心情的に日本かフランスに任せたいはずだ。
東芝WH、仏:アレヴァ社(EDFに変更?)、露:Atomstroyexportがチェコの企業とJVで応札

【スロバキア】
現在2基建設中(露、独、伊と地元企業のJV)だが、新規の1基を巡って仏:アレヴァ社、東芝WH、露:ASE、ATMEA(アレヴァ社と三菱重工の合弁企業)が鎬を削っている。
スロバキアは人口が約540万で東京都の半分以下だ。にも関わらず原発は3基が既に停止、4基が稼働中、2基建設中と原発大国と言ってもよいくらいだ。

原発が必要な事情は各国それぞれだが、ポーランドとチェコは外資導入などで工業国として発展しつつあり、さらにチェコはコールセンターなどの他国の企業を誘致しているため、電力事情の安定化と低価格は経済の生命線だ。スロバキアは基本的には農業国だが最近はフランスのプジョーや南朝鮮の起亜自動車の誘致で工業化を図り近隣国への電力輸出そのものも大きな産業のためこれも安定化と低価格であることの重要性が高い。
EU全体は日本が既に破棄したも同然の京都議定書などに従ってCO2削減に一生懸命で、これを金科玉条に西欧先進国(ドイツ、フランス、北欧等)が二番手グループ(ポーランド、チェコ等の中東欧国)を牽制している。
しかし、欧州はモザイク状の民族問題等過去の歴史の複雑さもあって現在はかろうじて国境が決まっていると言っても良いくらいで隣国との関係を無視しながら進むことは難しい。
例えば、チェコの原発に対しては筆者のいるオーストリア(国民投票で国内の原発は禁止)は猛反対で、反原発グループがチェコとの国境で高速道路を封鎖するなど結構過激だ。
また、チェルノブイリ事故のときの放射能ブルームで大きな影響を受けたのがフランス、ドイツ、スイス、オーストリア、イタリアだった経験を元に風向を考慮すると中東欧で原発が増えることに不安を持つ人々は多い。

ユーロ危機で一人勝ち状態のドイツ(とオランダ、フィンランド)は自前の原発はやめて他国(フランス等)から電力を買っているが、隣国の原発建設には反対する。しかし、元々教育水準が高くポテンシャルの高い中東欧特にV4は独自に発展しEUでの発言力を増したいと望んでいる。
とにかく欧州は複雑で一括りにはできない。
このV4各国、特にポーランドは世界でも有数の親日国だし、チェコも最近日本人があわよくば大統領になりかけたくらいだ。
国民感情は親日であっても原発には半分くらいが反対だ。さらに近隣国は原発に反対する国も多く、日本が金と技術で原発営業にやってくることに反感を持つ国も多い。
安倍政権がV4とどう付き合うのかは非常に興味深いが、少なくともV4それぞれの国民感情や隣国の国民感情を逆なですることがないように願う。

筆者が思うにもっと日本人が中東欧に観光に来てくれればずいぶん違うのではないだろうか。
ウィーン、ブラチスラヴァ、ブダペストなどをドナウ川クルーズで移動(車で移動してもすぐだが)するような観光に日本人が大勢来てくれれば原発営業も結構好意的に見てもらえるようになるかもしれない。パリやローマのような巨大なものは無いものの、映画のような中世が残っている中東欧はなかなか魅力的ですよ。
20年くらい前に秋田県もハンガリーと交流が始まりチャーター便が飛んだりもしたが最近は特亜大好きな知事のせいで中東欧に関心は無さそうだ。ったく、国際感覚がどこかズレている爺さんなんだよなぁ・・・。
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カテゴリー: 県政・市政・議会, 迷惑な隣国, 国際・政治, 海外 タグ: , , , , , , , , , , , , , , , パーマリンク