国際連盟脱退以来の注目 ~捕鯨問題~

なんとか復活。
手術とほぼ3週間の入院を経て事務所に戻った。
いやはや、国外で手術、入院というのが如何に面倒で金がかかるものか改めて実感。
オーストリアン・ギャラリーのクリムトが目当てなのか、事務所の窓の下の道はたまに日本からの観光客と思われる年配の連中が歩いているが、然病気や怪我といった場合にこの人たちは大丈夫かなと他人事ながら心配してしまう。(この辺の事情はまたの機会に書いてみたい)

しばらくネットどころかPCにもスマホにも触れない日々が続いたため浦島太郎状態。ついついあれこれニュースを拾い読みして”JAPAN”を探しているのが我ながら少々滑稽だ。

オランダ・ハーグのICJ(国際司法裁判所)での例の南極海での調査捕鯨の問題。オーストラリアから訴えられている日本の最終弁論(日本政府代理人は鶴岡公二外務審議官、他に弁護士)では、日本側弁護士が『オーストラリアに南極海での裁判管轄権は無い』ことなどを主張し訴えそのものが無効と主張したようだ。
もし、今回の裁判で日本側が勝ちオーストラリアが負けると、逆にオーストラリアは国連の南極条約違反で訴えられる可能性もあるため互いに必死だ(日本がすぐに逆提訴するとは思えないが)。

日本の調査捕鯨が科学的調査だと言うが仮説を立てていない以上科学的調査とは言えず商業捕鯨だというオーストラリア側の主張に対して日本は、遺伝学のメンデルも仮説を立てずに科学的な研究を行ってきたといった反論をしていておもしろい。

今回の裁判は日本が80年前に常任理事国であったにも関わらず国際連盟を脱退したことに匹敵するように思える。
日本は国際捕鯨委員会(IWC)に大きな貢献をしているが、今回の裁判で負けたら日本はIWCを脱退するかもしれない。何故なら『法の支配』を訴え、IWCでの取り決め(例えそれがJapan Moneyの成果だとしても)に従って調査捕鯨を行っているわけで、これを認められないのであれば『法の支配』についての主張が崩されることになる。今後、竹島の提訴、あるいは尖閣でもICJの場が現実化する可能性がある以上、『法の支配』が通らない場合にIWC脱退をしないでなぁなぁで済ませることはつじつまが合わなくなる。
国際連盟に大きな貢献をしながらも国のプライドをかけて脱退したのは『筋を通した』ことに他ならない。
裁判に勝ったらオーストラリアを南極条約違反で提訴、負けたらIWCを脱退すべきだ。
日本が口先だけでなくきっちり『法の支配』を通すかどうか世界は見ている。
(特に南朝鮮と支那は日本の『法の支配』主張の一貫性を見ているだろう)

それにしても、この件に関する日本の報道は低レベルだ。
相変わらず、食文化がどうのとか、オーストラリアの思惑(オージー・ビーフを売りたいからだなど)はこうだとかいった論調ばかりでズレている。
『法の支配』という視点で解説している記事が見つからなかった。

唯一、外務省のHPにある
日本政府代理人 鶴岡公二外務審議官による冒頭陳述(2013/7/2)
日本語版英語版(一部フランス語)
は非常に優れた文章で、日本人の誇りを感じさせる名文に思える。
(というか、こういう日本人の主張に誇りを持とうと国民に思わせないとアカンでしょ)

22.商業捕鯨を再開しようとしていることを,日本は恥じるべきでしょうか。
27.法は発展します。ただし,国家間の合意がある場合においてのみです。

きっちりと主張している。
こういう部分を日本のマスコミは日本人に何故伝えないのか。

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国際連盟脱退以来の注目 ~捕鯨問題~ への8件のフィードバック

  1. くじらかやき より:

    お帰りなさいませ。
    以前からこのblogのファンでしたが、最近新しい記事がないなと思っていました。
    ご病気でしたか。ご養生を。

    捕鯨の問題で国際的には日本は筋を通していると思いますが、国内的には例の震災復興予算を流用したり、「儲かる漁業」補助金をもらったり(何か迂回団体経由らしいですが)で、学術的な調査捕鯨とは言い難い状況もあるらしいです。
    現在ではさほど伝統文化を強調せずに(かといって積極的に反対でもない)食べたい人だけ食べりゃいいと思っている日本人が多いような気もしますが、今回の国家間の裁判でどうするのか私も非常に興味を持っています。
    これからTPPでオーストラリアやニュージーランドと「戦争」になるわけですから日本政府も気合は入っていますよね。
    負けたら、お隣の2カ国は一斉に「ざまーっ!」って書き立てるでしょうね。

    • argusakita より:

      そうですか、事実関係は知りませんが復興予算や補助金は拙いですね(^^)。
      でもそれは国内問題であって支那風に言えば内政問題ですし、シーシェパード対策などと言えば何とでもなるかな。
      国家間の裁判ですから体外的にはIWCの決まりごとの下でやっているという『法治主義』をどこまで貫けるかが焦点でしょう。

      >お隣の2カ国は一斉に「ざまーっ!」って書き立てるでしょうね。

      ですよねぇ(^^)。

      PS. くじらかやきって今頃の料理でしたっけ。ちょっと、懐かしいなぁ。

  2. あじさい より:

    回復なさってホッとしました。大変でしたね。
    また、ブログを覗く楽しみができてうれしいです。

    さて、鶴岡公二外務審議官による冒頭陳述の日本語版を読ませていただきました。
    私の知識の中にまったく無かった捕鯨問題。
    目が覚める思いで読ませていただきました。
    他人事のように傍観していたことが恥ずかしくなりると同時に
    素晴らしい日本人がいることを知り、
    久々に日本の将来に光を見た気がします。

    28、の最後の文章~人々が平和に共存するための唯一の方法は,我々の違いを尊重し,ある人々の特定の観念を他者に押しつけないことです。~

    すべての争いに通じることばで、このことを忘れていて、時々、胸を痛めることが起きてしまいます。
    この冒頭陳述を読ませていただいて、日々の暮らしの中の軋轢にも通じる哲学を感じました。
    ありがとうございました。
    私自身も変われる気がします。

    これからも、お体に気を付けて、情報と知識を与えてください。

    • argusakita より:

      あじさいさん、こんにちは。

      どうもありがとうございます。
      実はまだ左手の指数本が元気じゃないのですが(^^)、リハビリ兼ねてキーボードに向かうようにしています。

      冒頭陳述の日本語版、格調高いですよね。
      無論、くじらかやきさんが指摘されたような国内問題はあるでしょうし、大人の世界の利権やらドロドロした腹芸めいたものは必ずあるでしょう。(それが当たり前と思うのが普通の感覚だろうと思います)
      でもやっぱり、そういうものを抱えながらも対外的にきちんと主張すべきは主張するということが今日本が置かれた立場では必要でしょうし、そういうことを日本の若い人たちにも注目して欲しいものです。
      決して大本営発表というだけではないですから。

      私はフランス語は全然ダメですが、日本語よりも厳密性の高いフランス語で書かれた部分はやはり力強く格調高い文章だそうです。

  3. argusakita より:

    ハーグで冒頭陳述をしたこの鶴岡公二外務審議官、今度はTPPの首席交渉官として交渉団約100人のトップとしてマレーシアに登場。
    やっぱりスーパーなお役人ってのはいるもんだなぁ。日本は凄いな。
    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130722/fnc13072221330010-n1.htm
    一人ひとりは超優秀でも組織になるとどこか別の生き物になってしまうのだろうか。

    日本では環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)はあまり話題になっていないようだな。

  4. KJ より:

    はじめましてこんにちは。初めて、ブログを訪問しましたが、とても興味深く、いろいろと掘って読ませていただきます。私は豪州、インドネジア、東ティモール、日本の関係に興味を持っていて、捕鯨問題をNZと豪州がICJに提訴したことの政治的背景にも興味があります。もしご存知でしたら教えていただきたいことがあります。東ティモールの石油利権において豪州はICJでの争いを避けるために、ICJ管轄を脱退したという文を読んだ事がありますが、捕鯨問題で提訴しているなら、復帰したのでしょうか?それとも脱退という文が間違いなのでしょうか、時間的流れも把握できずにいます。
    お手が空いていればで結構です。自分でも、もっと調べては見ます。
    突然失礼しました。

    • argusakita より:

      こんにちは。

      ICJのHPに経緯やプレスリリースがあります。まとめて読むなら、(ほとんどPDFですが)
      ここでしょうか。

      昨年12月、東ティモールがオーストラリアを提訴したようですが、石油資源の問題を争っているようですね。ICJ管轄から抜けるというのは国連に加盟している以上不可分なので脱退ということはまずあり得ないとは思います。

      ただ、この問題でどちらが勝っても海上の境界の問題は別らしく改めて争う必要がありそうです。
      英ガーディアン紙によれば、この争いの背景に例のウィキリークスやエドワード・スノーデンによって暴露された情報が影響しているようでなかなか興味深いです。

      日本もさっさと竹島問題で単独提訴したらいいのですが・・・。

  5. argusakita より:

    いよいよICJの判決が出ます。
    日本時間の17時頃からの予定。
    ライブ映像が下記で見られます。
    http://www.icj-cij.org/presscom/live_english.php?p1=6

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