貧困・格差に理屈や理性は通じない

昨日は、観光が最盛期であるウィーン中心部のリンクのある場所でエジプト関連の抗議デモが行われて少々騒がしかった。
たまたま通りかかったのだが、うーん、ウィーンにもこんなにムスリムがいるのかと改めて認識。オーストリアも移民政策の修正をしないと大変だ。

vienna20130818

デモといってもどこかの精神異常の国のように国旗を引き裂いたり踏みつけたりという激しいものではなく大人や子供が参加する平和的なデモで、解任されたムルシ氏支持のムスリム同胞団寄りの集まりだ。エジプトのカイロや他の地域では相当に悲惨な状態になっているらしく、TVではしょっちゅう現地映像が流れるが、オーストリアも一員であるEUがムルシ氏支持(選挙で選ばれたため)を打ち出して暫定政府を非難しているためこういう穏やかなデモがウィーンでも行われる。便乗してシリア問題やパレスチナ問題に関するプラカードも出ていたが、EU自体が原則的にアラブ、中東に干渉しない姿勢を保っていることやオーストリアが一応は中立国であることもデモしやすい環境であることなのかもしれない。さすがに南朝鮮がウィーンで戦時売春婦のデモや碑を建てることはないとは思うが。

現在のエジプトの騒乱でどっちが正義でどっちが悪かと強いて言えば、

正義 ムルシ氏(正規の大統領選で当選)、支持団体のムスリム同胞団
(しかし、実際にはこっちがテロ行為に近いことをしている)
悪  クーデターを起こした民衆とシシ国防相配下の軍

なのである。少なくとも法治国家で民主主義ならば。
日本のマスコミの記事を見てもどっちが悪いのかがパッとわかる書き方はしていないようだ。

アラブの春でムバラク独裁政権を倒し大統領選を行い民主主義的に選ばれたムルシ大統領を民衆と軍部が協力してすぐにクーデターで引き摺り下ろした。
ムルシ氏が選挙時の公約には程遠い実績だったのは外国からの投資を呼び込むことの失敗というよりは、元々極端な外貨不足で燃料輸入ができず、アラブの春で観光が落ち込みさらに外貨が不足し、この燃料高騰によるコスト・プッシュ・インフレが国民を直撃したことでわずか1年で引き摺り下ろされた。
これはイスラムの宗教的な対立などではなく、単に国民の貧困・窮乏による一揆のようなものだ。
原油輸入は国際的には原則的にドル決済でありドルが無ければ原油は買えない。
燃料不足が原因であれば、原油あるいは石油製品の現物あるいはドルが必要なわけで、エジプトを助けられるのはアラブの産油国かアメリカしかない。ムバラクはアメリカとうまくやれたのがそこに要因がある。
ところが今回クーデターを起こしたのは世俗派でイスラム諸国(原理主義やイスラム弾圧国家群)としては応援しにくい。アメリカも最近は国内問題に集中したいオバマ大統領が国外の問題に関与することに消極的ときている。

ドルを沢山持っている日本あたりがスワップで助けてやればよいようなものだが、はっきり言えばエジプトは産油国でもないので日本の国益には合致しない。支那にとってもかつてのようにアフリカ諸国に影響力・発言力のあったエジプトではない今は興味がないはずだ。
さて、エジプトの救世主はどこの国になるだろうか・・・現物供給ができるロシアだろうか?
同様の図式(貧困・格差から起きる政権打倒)がトルコでも起きつつある。こちらは民主政権が次第にイスラム原理主義カラーに近づいてきたためすっかり西欧の生活がなじんでしまった世俗派の民衆が声を上げつつある。
以前、猪瀬東京都知事が『イスラムは喧嘩ばかりして・・・』と発言して陳謝したことがあったが、実は的を射ている発言で、もっと正確に言えばイスラムの問題は貧困・格差が原因の争いが多いのだ。
個人的な推測だが、トルコはオリンピック招致に失敗すると騒乱状態になるだろう。

貧困・格差の問題は先進国でも同様で、日本もそうだろう。
知人に聞いたところでは、日本では富裕層への課税強化の方向のため海外に移住する人が急増しているという。法人税も一向に下がらないため、企業の海外移転は行き先を支那からASEANに移行しているが減る方向にはないという。経営者になればわかるが、電力問題が不安だとか人件費がどうのとかは後付の聞こえの良い言い訳で、実は『税金を払うのが嫌』というのが企業の本音だ。こればかりはどうやっても資本主義下では変わらない。企業、営利活動はボランティアではないからだ。
企業や富裕層がいなくなれば資源の無い日本は間違いなく貧乏な国家になってしまう。

医療や福祉で雇用を作り消費を喚起するという聞こえの良い話(筆者に言わせれば『騙し』だ)を聞いたときは必ずそれとセットになっている負担増の問題を考えるべきで、福祉の充実=社会保障負担の増加を意識しないといけない。どちらか一方という選択肢はあり得ない。で、日本の場合は福祉の充実ではなく単に対象者の頭数が増えるという最悪の福祉の拡大なのだ。
トリクルダウン理論は福祉については当てはまらない。身近に福祉ビジネス成金みたいな人がいるだろうか? そういう人がせっせと無駄遣いして消費を喚起しているなどとは聞いたことがない。

21世紀になって、政権を取る集団がヒトラーやスターリンを生むとは誰も考えない。これが暗黙の前提だから、イデオロギー的には適当な政権でいい。ただし、貧困や格差は解消しろ。これが程度の差こそあれ、イスラムの人たちも日本の国民も同じ要求ポイントなのだろう。
衆議院、参議院の選挙は外交問題で支那や南朝鮮との問題があるため引き算的に自民党が支持されたのだろうが、この対外的な問題がもしスッキリ解決したら(するわけないが(^^))、国内の貧困・格差の問題が解消される方向に向かわなければ政権はまた引き摺り下ろされるだろうと思う。

アベノミクスは大いに期待するのだが、失敗すると非常に大変なことになると心配も同時に感じる。日本のように貧困や格差についてメディアが安全サイドから他人事のように評価するようなニュースや記事が流れているうちはまだ良いが、日本もいずれはアラブの春のような混乱が待っているように感じる。
年金暮らしの年寄りたちが真っ先に血祭りに上げられるのだから、身の危険を感じる年寄りはさっさと国外に居場所を作ったほうが懸命かもしれない。特に土地などの不動産持ちは危ないだろう。

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