日本が法治国家を標榜するなら

最近気になっているのは、欧州のメディアで福島原発事故(以降福島)関連のニュースが増えてきているように感じることだ。
特に参議院選挙が終わった直後に待っていたかのように発表された汚染水の海洋への漏出問題やタンクからの漏水作業にあたる作業員の被曝、今後の解体・廃炉に向けた見通しの絶望的な不透明さといった事実に沿えてあの汚染水のタンク群の写真を載せられると困った問題だなではすまない話であり、オーストリアのDerStandard紙のように、
Fukushima: Warum nun doch niemand Schuld hat
(何故誰も罪悪感を持たないのか?)

fukushima-201308-01

といった屈辱的な記事を見ると、日本政府や司法当局のやり方は国際的に非常に拙いのではないかと感じる。オーストリアは原発を建設しておきながら国民投票で稼動停止を決め、一度も稼動させないまま廃炉になった原発があり、自分たちの選択が結果的に正しかったという自負があるため福島には厳しい見方で、TVのお笑いにもやたらFukushima、フクシマと無責任の象徴語のように出てくる。(とは言うものの、隣国の原発で発電された電力を輸入しているのだから筆者に言わせれば偽善者め! という印象だが)

一方で日本はフランスと組んで欧州、トルコでも原発ビジネスを展開している。何しろ商用原発をゼロから作って運用できるのは世界中でフランスのアレバ社と日本の3社(三菱、日立、東芝)しか無いのだからドイツもイタリアもパーツ供給くらいで指をくわえている状態で、コンチクショーと思っていることは間違いない。
筆者は、資源の無い日本が経済的、エネルギー安全保障面で持続可能な社会であるために原発は必要悪でやむをえないという考えのため、積極的な推進はしなくとも既存の原発の安全性を高め(比率を下げながら)稼動すべきだと思っている。
海外に原発営業をするなら、福島の現状の情報公開と取り組みについての多言語によるパブリシティには力を入れて欲しい。
このままでは、海洋汚染を中心に他国からの批判が大きくなるばかりで日本に対する不信感がアンプリファイアされるだけだ。食品輸入禁止もまた増えてきたと聞いている。事故の当事国と原発推進のIAEAが『安全』などと言っても説得力は大きくない。

人の噂は75日というが、これは単に1つの季節が変わるころには噂が消えることを言っているわけで噂の半減期が75日というわけでもないだろう。
事故から2年半近く経ち、日本のメディアではそうそう毎日福島の情報が載っているわけでは無さそうだ。今後は何か爆発的な事象や、作業員の大量の放射線被曝事故でもない限りメディアもあまり取り上げないだろうし、近隣の住民以外の日本人はアベノミクスによる経済や景気の推移のほうに気が行っているだろう。
そんな中でも、福島原発告訴団では責任者達の告訴・告発に向けて行動しているようだ。
昨年8月にルポ研が東京地検に出し受理された告発状がその後どうなったのか聞こえて来ないが、この福島原発告訴団では福島地検に出した告訴状について福島地検が不起訴処分の方向で検討していることに猛反発している。

ただ、この福島原発告訴団は東電幹部や原子力保安院、管轄省庁の役人などを告訴しているが、何故か、
菅直人
枝野幸男
海江田万里
の3名は告訴していない。(ルポ研も)
福島原発告訴団を見ると、そこには左翼や朝鮮人の影が見える。
一方で、高部正樹氏を代表とする『被災地とともに日本の復興を考える会』が同じように東京地検に告発しているが、こちらには上記3人が入っている。
そして、こちらは在特会の影がチラつく・・・。
告訴・告発された側も注目すべきだが、告訴・告発した側もよく見ないとついでに変なものの応援団にされてしまうことがある。

例えば、筆者たちコンピュータ関連の仕事をしている企業が例えばUPS(非常用電源)の鉛バッテリーなどを適当に投棄したりすると責任者は即逮捕・起訴・書類送検は間違いない。
あれだけの(国内外に甚大な影響のある)環境汚染を引き起こし、何万人もの住民の避難を余儀なくし、金額換算できないほどの財産まで奪った大きな事件で2年半近く経つ今でも誰も起訴もされず、書類送検すら無いことは、全く納得がいかない。

責任を問うても大元の原因が自然災害であることや、2,30人収監されたところで福島の根本的な解決には全く関係ないだろうが、亡くなった吉田元所長が大地震以前に津波対策を提案したにも関わらず東電が何も対策を取ってこなかったことは証言で明らかになっていて過失責任は免れない。
刑法には『見せしめ』の効果もあるはずだ。
今後の原発行政、事業者の事業運営に向けての当事者達の緊張感のためにも絶対に福島では『見せしめ』は必要だ。

既に実質的に国営会社である東電が大口スポンサーである民放他のメディアは、法学者を集めて東電、政府責任者の『戦犯』を炙りだすような番組は作れないだろうが、起訴もしない司法当局の動きは法治国家である日本の信用を国際的にも毀損することは間違いない。

fukushima-201308-02

それにしても、暑い中こんな格好で頑張っている人たちにはただただ頭が下がる。と同時に、こういう作業員・技術者を今後何十年、あるいは100年超えるスパンで維持していくことが日本は可能だろうかという疑問も感じる。

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日本が法治国家を標榜するなら への4件のフィードバック

  1. 元匿名希望の傍観者 より:

    原発についてはいろいろ言いたいことがあるのですが、一部だけ。

    地面を凍結させて汚染された地下水が漏れないようにしようという案が一時出ましたが、国内で唯一その技術を持っている会社が無理だと断ったらしいです。

    この暑い中作業している人たちが来ている防護服ですが、一説によると不織布らしいです。これではα線しか防護できません。宇宙服か、潜水服が必要かもしれません。

  2. ヘルメット より:

    タイベックⓇはデュポン社の開発したポリエチレンの極細長繊維をランダムに積層し熱と圧力だけで結合させた不織布です。
    着ている人を放射線から防護することが目的ではありません。人間によって放射性物質の付いた埃を他所で拡散させないように着せているだけです。
    報道はされませんが、写真の方たちは『決死隊』に近いことを国民は知っておくべきです。

    (株)精研やゼネコンなどが行った東京湾でのトンネル工事の冷凍工法は凍らせた部分を後から掘削して結局は凍結部分が無くなる工法です。永久凍土のようにする工法ではありませんし、原発周囲をグルりと凍結壁で囲ったらそれこそ莫大な電力が必要です。
    あるいは地中連続壁で囲っても地下水を完全に止めることは不可能です。
    せいぜい、地中連続壁で囲ってその周囲にグラベルドレインを設け、そこで水をくみ上げるのが現実的ですが、これでも海からの海水浸透は防げません。海側にもダム堤体のような『壁』を作って乾いた状態にする必要もあるでしょう。
    中国の三峡ダムのような巨大な土木工事になります。
    国家プロジェクトでやる必要があるでしょう。日本に技術はあります。

    汚染水ばかりに注目が集まっていますが、取り出されていない燃料集合体のプールはボロボロですから、そのうち崩壊して燃料集合体が露出するでしょう。マスコミは無関心ですが、現状維持どころか日々悪化しているのは間違いないです。
    そうなると誰も近寄れなくなり、汚染拡大とともに遠くから見守るしかなくなります。
    少なくとも東北南半分と関東北部は住めなくなるでしょう。

    ある程度年配の人の志願による決死隊(国家による補償付き)を作って早く対処しないと大変なことになります。私は志願してもいいと思っています。

    • 元匿名希望の傍観者 より:

      ヘルメットさん、志願する気があるとは・・・・、立派です。

      私は、個人的に、もう注水はやめて風棺にし、立入禁止区域をしっかり定めて人が近づかないようにして管理するしかないと思ってます。理由は、炉心溶融を起こしたスリーマイル事故は風棺で、かえって被害は福島より小さいです。炉心溶融した核燃料はコンクリの底を溶かしながら落下する途中で冷えて固まりました。福島ではホウ素注入が行われたので核分裂は止めたはず。多分コンクリの底を溶かしながら落下する可能性は少なくなっていることでしょう。
      冷やすために注水するから、(山が汚染されて地下水も汚染されて汚染水が増えている以外に)、更に汚染水が増えるのです。

      決死隊も必要でしょうが、土木工事に長けている技術者たちを短期間に使い捨てすることになります。福島以外の地区の復興に活躍してもらったほうがいいのではないかと個人的には思います。

      • argusakita より:

        こんにちは、あ、こんばんはですね。

        現在、日本では技術的な面でどんな議論が進んでいるのかよくわかりませんが、あのタンク群の数を写真で見ると、もし大きな地震が襲ったら汚染水のスロッシングでタンク群が破壊されないかなと心配ですし、わずか2年であんな数になるのならこの先どうするのだろうと。除染して再使用し循環冷却という目論みはもう破綻しているのでしょうね。
        しかし、日本では事故当初の爆発で放射性物質の大気中への拡散を目で見たトラウマがあるでしょうから、それを再び起こさないようにという意味で注水を続けているのでは?
        冷却よりも精神的な意味合いが大きいかも。あるいは、残っている燃料などの状態が未だに全くわからず、減速、遮蔽を目的に水を使っているのかもしれませんから、すぐに水棺状態の解消は無理じゃないでしょうか。

        いずれTMIでも除染して川に放流したように、福島の汚染水は海に投棄することになると思いますよ。

        先日入院・手術して棺桶に片足突っ込みましたから、私もヘルメットさんと同じく志願してもいいなぁ。

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