TPPの前に少なくともWTOの現状を知ろう

日本のメディアを見ていると、ブルネイでのTPP交渉が非公開で内容が伝わってこず、交渉担当の(カッコイイ実務派の)エリート官僚の動向が伝えられるだけで、相変わらず一部の政府関係者を除けば議員も国民もほとんど2年くらい前の『群盲象を撫でる』状態から変わっていないように見える。国内のTVなどではもっと詳しい現地からの状況を伝えているのだろうか?

現在、欧州とアメリカの間ではTPPの大西洋版とも言えるTTIP(Transatlantic Trade and Investment Partnership:以前の記事)の交渉が始まっていて水面下であれこれと動きがある。筆者の仕事に関係するのはごくごく一部ではあるが、それにともなう非関税障壁的なものにはアンテナを張っているつもりだ。
TPPと違ってTTIPの場合は基本的に投資と知的財産に関するものが大半で、工業製品や農産品などの貿易は互いに国内生産者の過激な動きに直結するためか、あまり触れないようにしているようにも見える。
筆者はTPPにも基本的には賛成のため様子をみるだけであるが、日本の農産品などを含む貿易に関しては利害関係者がもっと騒いでもおかしくないのだが、反対の人間たち(大部分は既得権益団体)もほぼ諦めたのか選挙後は異様に静かに見守る状態のようだ。電事連、医師会、農協の弱体化はきっと国民にとってはメリットがあるはずなのだが。

日本の乳製品は聖域などといってもいずれはニュージーランドの国策独占企業であるフォンテラ社製品に席巻されることはわかっているせいか、そのフォンテラ社の一部製品(粉ミルク)がボツリヌス菌汚染で現在いくつかの国で輸入禁止になっていることは日本では全く報道されていないように見えるのは既に情報管理・統制が行われていることなのかもしれない。
そのように、TTPもTTIPも情報勝負みたいなところがあり、大きな資本主義のおこぼれで暮らしている筆者なども情報収集には気をつけて勉強している(つもり)。
最近特に感じるのだが、こういう時代が来るのがわかっていたら貿易実務や関連する法律の勉強を若い頃からしておけば良かったと思う。(^^;)

専門家はもちろん常識として知っていることだろうが、例えばWTOに関してもう少し多くの人がわかっているとTPPによって何がどうなる可能性があるのか具体的な議論ができるはずだ。それ無しに情緒的な文化論などを前面に出すから日本でのTPP議論はかみ合わずおかしくなっている。
知れば知るほど貿易はある意味『戦争』だという印象が強くなる。戦争なのだから、ある1個大隊(例えばコメ)が負けても別の1個大隊(例えば車)で勝つという戦略、戦術が必要になる。指揮系統を統括する政府なり何なりの司令塔が必要なのである。また、戦争なのだから、何がどうなったら戦争に勝ったことになるのかを明確にする必要もありそうだ。

読者は現状のWTOが効果的に機能していないことは知っているかもしれないが、貿易紛争の法的根拠であることは今も変わらず現在も多くの『紛争』を抱えていることを知っているだろうか?
WTOのHPには、加盟各国間の紛争をビジュアルに見ることができるページがある。
例えば、日本が紛争の原告になっているものが赤、回答側(被告側)を青で示すと下記のようになる。数字は紛争のテーマ件数。

WTO-Japan

そして、TPPで日本が相手しようとしているのは下図のように紛争をいーーっぱい抱えたアメリカなのである。そして、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなども日本と同程度もしくはそれ以上だ。

WTO-USA
日本が急がなければならないのは、TPP対応策(うまく利用すること)ももちろんだが、このように増えてくる貿易紛争を解決していくための交渉担当の実務・法律家の人材養成であるはずで同時に国益を大局的に守れる政府が重要なのだ。

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TPPの前に少なくともWTOの現状を知ろう への3件のフィードバック

  1. ちょっと年寄り より:

    こんばんは。
    WTOとTPPは異なるでしょうが、こうして目で見える形で比較するとアメリカというのは如何に揉め事に対して平気で、それを当然のように進めているのかが想像できますし、それに充てる人材が豊富なのだろうということがわかります。
    TPPは実質日米のFTAと言われますが、揉め事が苦手で回避する指向の強い日本がISD条項などで果たして対等にやっていけるのか根本的なところで不安な感じがします。

    EUを見るとやはり揉め事が多い。
    既存権益を温存したい反対勢力を弱体化することもありますが、TPPの先にあると言われるRCEP体制を作ってEUとアメリカに対抗するブロックを作る必要があるという考えも何となくわかります。

  2. siodgp より:

    TPPで、ケッシュ財団のプラズマリアクターの情報は、このまま握りつぶされるかもしれない。

    ttp://www.onpa.tv/2013/08/11/1893

    ttp://sunshine849.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

    汚染水を食い止め、暴走する原発を収束させる唯一の手段は、これ以外にはないだろう。。。

    • argusakita より:

      siodgpさん、はじめまして

      ケッシュ財団、好きですよ私こういうの(^^)。
      ベルギーでしたっけ?

      楽しいの、ありがとうございました。(^^)

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