文化遺産の維持に必要なもの

ウィーンにいるとそれこそ文化遺産だらけというか、街(ウィーン歴史地区)そのものが世界遺産で(筆者のいる事務所兼アパートもバッファ・ゾーンに入る)あまり実感が無いが、文化遺産である建造物などの保存や維持はオーストリアの場合はそれこそ観光資源そのものに直結するため国家的な課題であると同時に予算は相当に頭が痛い問題のようだ。
日本の国宝や重要文化財なども建造物から美術品、工芸品まで文化遺産と考えると膨大な数になるだろうが、ハプスブルク家の遺産で暮らしているといっても大袈裟ではないオーストリアの場合はより深刻だ。世界中の美術品、工芸品が集まっているため維持・保存、修復などの技術が追いつかない事情もあるようだ。絵画、彫刻の優先順位が高いのだそうだが。
実際、ショーンブルン宮殿などを見ても、漆塗りの部分などひび割れや剥離がある部屋もあり日本なら間違いなく修復にかかりそうなものだが放って置かれている。

オーストリアの場合、建造物に関しては19世紀半ばに歴史的建造物の研究・保護に関する帝国中央委員会が皇帝フランツ・ヨーゼフ1世によって設立され、この流れがオーストリア連邦記念物局として今も続いている。(為政者の文化度、意識の問題か)
手当たり次第に記念物を指定し保護しては大変なことになるためか、記念物の定義から始まり、指定の手順、建造物に対する制約、助成などについて相当に厳しく決められているようだが、それでも建造物だけでも12万件ほどになっているようだ。
有名な世紀末建築家オットー・ワーグナー(Otto Wagner:1841-1918)の建築はウィーンだけでも60くらいあるらしいが、全て100年近くあるいはそれ以上の歳月が経過しているため、いつもどこかで修復が行われている状態のようだ。とはいうものの、修復がいつも完璧に行われるかというとそうでもなく、大学通りの集合住宅などは1面だけファサードを塗りなおしてしばらく放っておかれたり、やはり予算の問題は大きそうだ。

歴史的建造物(記念物)に対する制約がどれほど厳しいかというのは例えば、これまた有名なマヨリカハウス(1951年記念物指定)があげられる。
ウィーンに観光に来た人なら知っている人もいるかもしれないが、ここの1Fには『くいしんぼ』という京都生まれの夫婦がやっている和食(家庭料理かな)の店舗がある。
この建物の修復、改修は大変だったらしい。(くいしんぼ以前のカフェ)
・エレベータの修理は許可されたが、新設は却下
・看板設置は許可(今もサンバイザーのようなものを使っている)
・屋階増築却下
のように許可・却下が繰り返され、『くいしんぼ』の入口の幅50cmを80cmに拡げる改修も何度も申請してようやく許可が下りたのだそうだ。
ただ、両隣のオリジナルデザインと比較して明らかに幅が違うため異様でこれが良かったのか悪かったのかは議論があるようだ。
このように制約は厳しいものがあるが、ちょっと斜めから見るとそういった制約に基づく許可は『利権』『袖の下』の温床であることも事実だし、そこに住んだり、仕事場にしている人間から見ると実に面倒な話でもある。

ニュースサイトによれば秋田でも、増田の町並みが重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定される見込みだということだが、実際に住居として使っている人はひょっとして嬉しさ半分ではなかろうか。
昔、遊びに行った会津の山奥の大内宿の民宿の人が指定のおかげでちょっとした改修もできず住みにくいとこぼしていたのが印象的だった。あれと同じような話が増田でも起きるのだろう。観光客にはわからない話だ。

ところで、建造物の修復と言えば南朝鮮で放火によって焼失した崇礼門(南大門:国宝第1号)の復元で騒ぎが起きているらしい。日本製の接着剤や塗料がどうのとまたまた言いがかりをつけているらしいから呆れる。坊主憎けりゃ袈裟までの状態だ。
剥がれた塗料がどうのとか言う前に、これが『復元』というのかどうか・・・全く別のお絵かきではないか。
(いつぞやのスペインの事件を思い出す(^^))

dragon

何でも外見だけ取り繕えばよしとする『整形美女大国』とどこか通じるものがありそうだが、下手に想像の産物の『復元』などをせずに歴史に忠実に写真のように復元しておけばよいと思うのだが、朝鮮人はそういう発想はないようだ。

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そもそも文化財に関しては、
指定するだけなら三流
指定して維持・保護・修復できて二流
指定して維持・保護・修復する技術を継承できて一流
そういうものだろう。
20年に一度式年遷宮を行い独特の木造建築の技術を継承している伊勢神宮。
やはり日本は『一流』の水準にいることは確かな気がする。

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カテゴリー: 社会・経済, 迷惑な隣国, 教育・学校, 海外 タグ: , , , , , , , , , パーマリンク