億万長者の金が戦争の危機を作り出す

仕事上ウクライナ情勢の成り行きは気にしないではいられないため、何故こうなった?、今後どうなる?と関心は尽きない。
いろいろなメディアを見る限り、今回の騒動は、
『ヤヌコヴィッチを排除しようとしたら、米露戦争の危機直前まで行ったでござる』
というのが真相のようだ。従って、本来的にウクライナを巡って米・EUとロシアが緊張して対峙する大きな理由は無く現状維持で良いはずなため大きな戦闘などは起こらないのではないかと筆者は考える。
ナショナリズムを煽られて自分たちの街を黒焦げにしたウクライナの住民が気の毒である。

一連の顛末の最初について、USATODAYpandodailyが詳しく報じている。ロシアの声などもこれを引用した形でアメリカがテロ組織に支援したと騒いでいるようだ。
そもそも、クーデターによってヤヌコヴィッチ大統領が排除される動きになったのは反政府側にヒト・モノ・カネが2011年頃から流れ、クーデターが五輪期間中という絶妙なタイミングで起こされたようだ。
そのカネの流れは、出所が米国国際開発庁(USAID)とそのスポンサーとも言うべきebayの創設者Pierre Omidyarとそれに協力したルネサンス財団率いるジョージ・ソロス(やっぱりまたソロスだったか!)による250万ドルが最初のようだ。
それらの資金総額を裏付ける文書がpandodailyにすっぱ抜かれている。
確かに、2004年頃はウクライナの携帯や通信事情は悪くインフラは2世代くらい前だった。ロシアのMTSなどがだんだん牛耳るようになったのはユーシェンコが失脚して親露政権になってからである。この分野でビジネスをしたくても許認可で面倒だった。さらに食品や飲料なども許認可が酷い状態だった。実際、オデッサあたりでもキリンの一番搾りが飲めたが、ラベルを見るとニューヨークの商社経由となっていた記憶がある。
そういった許認可の頂点に君臨していたのがヤヌコヴィッチである。
アメリカの億万長者達はどうしてもヤヌコヴィッチやロシアの傀儡政権を排除したかったはずだ。

キエフを思い出すとオレンジ革命のときは、主に若者が車に箱乗りして『Tak!』(ウクライナ語でYesの意味)の幟を振っていたりテントに寝泊りしていたが、今回はもっと年配の連中が火炎瓶を投げ、組織的な暴動を起こしていた印象だ。火炎瓶だけではなく火薬も使っているのは明らかだったし、地元キエフの連中が『あいつらはどこか別から来た連中さ』と言っていた。
イデオロギーとは無縁な北アフリカや中東の傭兵達が普通の民間人のような格好をして騒ぎを大きくしていたのだろう。
クーデター後にすぐにヤヌコヴィッチの私邸や高級車の倉庫などがメディアに公表され悪人ヤヌコヴィッチの図式が完成した。
ところが、収監先から開放されたティモシェンコ女史がオレンジ革命をもう一度とばかり大統領選に出馬するだのと煽ったため、元々ティモシェンコに反発、ヤヌコヴィッチ支持のウクライナ東部が激おこになってしまった。きれいごとを言うのが上手いティモシェンコは素性がよくわからないが、ロシアからのガスパイプラインからガスをネコババして財を成したしたたかな女性で、その事実を知っている東部の住民は彼女を絶対に認めない。ロシアは当然訴追し出入り禁止である。

さてアメリカである。自分たちが仕掛けておいて、プーチンが覆面露軍を動かした途端に帝国主義、侵略と声高に叫び、レームダックのオバマまでG8から排除だの経済制裁だのと言い始めた。日本のメディアは帝国主義再来などと書いているが筆者はぜーんぜん的外れな感じがしている。ウクライナの東西対立の象徴がクリミア半島になったわけだが、確かに1994年のブダペスト覚書や他の国際法を無視して派兵し明らかに内政干渉をしたプーチンは法の支配という観点からは間違っていると言えるが、不凍港セバストポリに黒海艦隊を置いている以上現状は死活問題。失ってから話し合いなどできるわけがない。日本の9条信者はそこをよーく理解して欲しい。
ロシア語を話す住民の保護が目的で派兵したなどという論理が通るなら、沖縄の親支那派住民保護に支那が沖縄に派兵したり、新大久保に南朝鮮が派兵するようなものだ。
とはいうものの、実は黒海艦隊の基地はソチから北西に200km程のノヴォロシースク(純粋にロシアの領土内)に現在建設中で、プーチンとしてはそこが完成するまで時間が欲しいのが本音だろう。
対外債務が莫大で経済的に破綻状態のウクライナは現在のロシアにとってはさほど魅力的ではないはず。東部の工業地帯ハリコフ、ドネツクなどの重工業地帯も時代物の生産設備でロシアの他の都市に新規に整備したほうが遥かに良い。気になるのは商売のタネである西欧向けのガスパイプラインだけだろう。
しかし、クリミアは歴史的にも要衝であり、デカいくせに領土問題に妙にこだわるロシア国民の反発を食わないためにも派兵して守るポーズを取らないといけない。
クリミア自治共和国で公正に住民投票を行えば、ロシア帰属が圧倒的支持になるのはわかりきっていて、国民全体の投票(この結果は予想できない)さえ阻止できればロシアとしては万々歳のはずである。
広大な国土を持ちほぼ自給自足が可能なロシアは経済制裁など屁の河童である。反対に米国債(日本の1/10くらい保有)を売るぞと脅すくらいである(買う国があるだろうか? ATMの日本か?(^^))

G7の財務相が破綻状態のウクライナを金融支援するなどと約束し、アメリカは既に10億ドルの供与を発表したが、ロシアへの経済制裁については足並みが揃っていない。ドイツのメルケルやイギリスのキャメロンは消極的らしい。
破綻状態の国を引き受ける余裕など無いEUは、表向きアメリカ追従だが、本音では『ウクライナなんて要らないよぉ』である。プーチンも似たようなもの。
ウクライナは両方から疎まれる存在になりつつあるが、最初に仕掛けたアメリカがどう後始末をするのかが見ものである。

余裕のプーチン、焦って足元が覚束ないオバマ、勢いで追従したが足並みの揃わないEUやG7。勝負は決まっているような印象だ。
ukrainian-navy愛国心でウクライナでは志願兵が続々増えているという。
しかし、こんな海軍でまともに戦えるわけが無い。写真はウクライナ海軍の対潜水艦用艦船(らしい)。

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億万長者の金が戦争の危機を作り出す への3件のフィードバック

  1. ちんあなご より:

    沖縄もそうですよね?
    今も侵食を受けてるのに、これで米軍が居なくなれば、いずれは中国の琉球自治区にされるでしょう。
    日本人は、パワーバランスを崩すことがいかに恐ろしいか考えるべきです。

    今回のウクライナは、後任にロシアの容認を取り付けた人物を用意すべきでした。

    • argusakita より:

      ちんあなごさん、お久しぶりです。

      今日はイスラエルがガザに武器を運ぼうとしていたイランの輸送船を拿捕したニュースが飛び込んできて中東もキナ臭くなってきました。
      イスラエルが暴走してもオバマがレームダックではエジプト、シリア、ウクライナに続き止められないのではとちょっと心配。
      世界の警察をやめたと公言してはもうアカンでしょう。あの強大な軍事力はせめて世界のSECOMになってもらわないと。

      全人代が行われている間は人民解放軍が尖閣に来ることはないでしょうが、案外日本も水面下では『今そこにある危機』状態だろうなと想像します。
      TPPが怪しい雲行きで消費税upと景気の腰折れが日本のメディアの話題の中心のようですが、大丈夫かなぁ・・・。

      >今回のウクライナは、後任にロシアの容認を取り付けた人物を用意すべきでした。
      ウクライナ西部の住民はそれすら許容しないでしょうから無駄だろうと思いますよ。
      オーストリアは停戦(?)監視にOSCEとして軍事顧問を2人送ったようです。しばらくは規模の大きな戦闘は無いでしょうが、しばらくは情報戦、心理戦が続くでしょうね。
      プーチンの寝技にオバマが立ち技で対抗しても果たして・・・。

  2. ちんあなご より:

    最も楽観的なシナリオでも6月末にデフォルトになるという見方があります。 そうなると、困るのはロシア。
    ソチ五輪の直前に、プーチンは150億ドルの融資を約束。  但し条件が入っていて、「ユーラシア連合」を目指した枠組みに入ることを約束させています。  この「ユーラシア連合」入りというのは、反政府運動の激化を招きました。
    http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2014/03/post-632_1.php

    タイミングから見ても「ウクライナのデフォルト危機」を巡る騒動のように思えます。
    デフォルト危機は日本も他人事じゃないですね・・・・

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