TPP対策の日本の『時間稼ぎ』はうまくいっているのか?

最近、日本のニュースサイトを見ていてもTPPの文字をあまり見かけない。
先日の甘利大臣(この人はそろそろ交代でいいだろうに。英語が全然ダメで交渉にならない)に対する海外メディアは手厳しい。
1月のダボス会議で、2月の閣僚会議で一定の成果が出るだろう・出さないといけない的名発言をしておきながら、2月のシンガポール閣僚会議で何の成果も出ず今後継続のような会見をした。日米物別れで事務方がオバマ来日まで水面下でという状況のようだ。この時点で大臣交代は当然のはずだが。(パチンコのSANKYOから多額の献金を受けている一人で、マスコミは叩けない政治家の一人でもある)

日米を除く参加国全体が『日本の頑固さ』がまとまらない主要因と報道していることがあまり日本では報道されていないようだ。
聖域5項目コメ、麦、甘味資源作物(砂糖など)、牛肉・豚肉、乳製品の関税率が表向きの頑固さということになっているが、筆者にはそうは見えない。
何故なら単に関税率の歩み寄りならば関税を撤廃したところで、国内的には時限立法でもなんでもよいからある限定期間ならば生産者に補填する法律と制度とで乗り切れることは容易に想像できるからだ。

TPPのアメリカが目指す本丸はあくまでも金融(主として<ゆうちょ>)と医療と言われるが、これらは金融庁、財務省、厚労省がそれなりに頑張るか(あるいは前者はユダヤ資本に加担するか)の戦いであって聖域と呼ばれる農業部門で農水省が矢面に立つことなどあり得ない。
と、考えると日米以外の参加国の批判をものともせず、ダラダラ、のらりくらりでやっている甘利のようないかにも決断力と肝力の無さそうな元KOボーイは案外適任なのかもしれない。
農業分野の聖域を死守せよと叫ぶ農協(JAだが法律上は未だに農協)に適当に集会やデモを起こさせるのは、商社化した農協自体が既に時代の産物で日本の農政・農業にとってほとんど悪性腫瘍であるためこれを解体させたいが時間稼ぎには有用。TPP反対=農協組織の維持という自己目的化しているため当然農協中央組織も死に物狂いだが、これを裏で支援しているのは票田として抱える個々の議員と**委員会だの**団体、そして日本政府だろうと筆者には思える。
何故か。それはTPP開始までの時間稼ぎが必要と多くの人間が考えているからだろう。

日本は外圧がかかったとき、必ず時間稼ぎを上手にやる。否、やってきた。
今回も聖域と言われる牛肉だが、かつての牛肉・オレンジの貿易摩擦のときを覚えているだろうか。
1990年頃だったが、
・オレンジ自由化によって店頭の柑橘類はサンキストなどのカリフォルニア産で席巻される。
・テキサスの足の裏のような大きな硬い牛肉ばかりになる
などとまことしやかに言われたがどうだろう。
確かにあの頃まではネーブル・オレンジやバレンシア・オレンジは珍しく、あの甘さは日本のみかんには無い新鮮なものだったが、たまに食べるから美味かったのだろう。
牛肉はテキサスよりもむしろ豪州のものがかつてのダイエーやジャスコで大々的に安く売られたが、エサの関係か臭いが敬遠された。

結局、輸入オレンジで大きくダメージを受けたのは愛媛のポンジュースくらいだったのではないかと筆者は感じている。輸入オレンジはジュース類、輸入牛肉は加工食品といった具合に住み分けができてしまった。
さらに牛肉に関してはその後狂牛病(日本では死者も出ないのに大騒ぎしたアレ)の問題で輸入全面禁止。あれこそ税金の無駄遣いとアメリカに言わせれば『風評被害』である。

※正確には日本では1人いたが、イギリスに渡航歴があり、その際に感染した疑いが強いということで認定。実は筆者も日赤の基準の指定期間にイギリス在住だったため今でも献血が出来ない。

そして和牛ブランドの百家争鳴状態。さらに今は神戸牛のブランドはニューヨークでもバカ高い値段で食べられる現実。とにかくマスコミも和牛、ワギューと宣伝したのは農水省の肝いりだったのかもしれない。
和牛は美味いと消費者をマインドコントロールしたといっても過言ではない。
豚はそうでもないが、黒豚始め各地のいくつかの豚もブランドがあったような気がする。秋田でも虹の豚だの電子豚だの・・・。

オレンジはどうだろうか。今は日本に帰るたびに新しい**みかんの類にお目にかかるような気がする(いただきものが多いが(^^))。いわゆるタンゴール(柑橘類のみかんとオレンジの交雑種)の類で清美オレンジだのはるか、はるみ、せとか、デコポン(しらぬい)などなど・・・。マンダリンやオレンジの食べやすさや甘さをすっかり取り入れてしまった。

要するに時間を稼いでその間に関税に代わる非関税障壁を消費者側に作る。生産者も美味いものをさらに美味なものにして尚且つブランドを確立していく。このために時間稼ぎがどうしても必要なのだ。

考えてみれば、日本という国は外国からのモノ、食品に限らず文化、社会習慣などを非常にうまく『輸入』してきた。
例えば、遣隋使を送り続けた時代も『科挙』はそのまま輸入しなかった。平安時代に少し行われたようだが支那のように1600年も続くことはなかった。ただ、東大-国家公務員Ⅰ種がそれと言う指摘もあるが。ちなみにベトナムは支那よりも後で廃止、朝鮮は両班の選抜に一部用いたらしい。
また、『纏足』も日本は輸入しなかった。美人の基準が違ったのだろうが一説によれば日本は周囲が海で大陸のように歩いて逃げられる心配が無かったということらしい。
科挙と纏足が日本で定着していたら現在の日本や2000年のは無かったかもしれない。

食品や文化の輸入における取捨選択において日本は相当に賢い実績がある。
『聖域』セイイキと呪文のように声をあげて時間稼ぎをして消費者側と生産者側がそれぞれ勉強、工夫したら良いだけなのである。
ただし、農協(と農水省)はTPP開始と同時に解散、解体あるいは再編がベターだ。

ちなみに、欧米間のTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)はちょうど1年前に開始宣言されたものの、一言で言えばぜーんぜん前進していない。そんなもんだよなぁ・・・。

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TPP対策の日本の『時間稼ぎ』はうまくいっているのか? への1件のフィードバック

  1. ちんあなご より:

    日本が危機を回避するのに残された財政再建の猶予はどれくらいか- 「3、4年」が最多
    http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N2LW996K50XV01.html

    ドイツ銀行大手が警告! 日本国債の国内消化が早ければ2018年に限界に
    http://newskenm.blog.fc2.com/blog-entry-3741.html

    3~4年後に円が「紙くず」になって一気に輸入が止まる可能性があります。 
    食料自給率はたった39%・・・さらにTPPに加入で13%まで下がるという試算。

    現在の最優先事項はTPPを先延ばしにして、破綻時に「餓死者」を出さないことです。
    TPPは破綻の後にやればいいのです。

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