TPPの頓挫は日本の安全保障にツケが回る

TPPがまとまりそうでなかなかまとまらない。これが頓挫するとどうなるか。
日本ではTPP反対派は農産物の自由化に伴う国内農業の壊滅、医療・金融・公共サービス分野でのゆうちょや国内企業への影響、さらに日本の文化云々を論拠として挙げるが、これらは全て日本の安全保障が現状のままという前提で組み立てられている。
ところがどっこい、アメリカのシンクタンクであるハドソン研究所ピュー・リサーチあたりのレポートやコラムを見るとアメリカはもっと根本的なことを考えているようだ。

TPPは要するにあらゆる分野、経済活動を『アメリカの基準でやれ』と押し付けるもので、内政・外交で失敗が続き雇用問題を解決できないオバマ政権としてはどうしても日本の巨大な多分野のマーケットをアメリカ経済に取り込みたいのだ。
これが頓挫すると、どうなるか。
『アメリカの基準でやらない日本を守る必要など無い』
という結論に達するだろう。
既にアメリカ国内では、海外に駐屯する米軍の費用削減が焦点になっていて、共和党ですら軍事費削減に同意している部分もある。
無人攻撃機などがどんどん開発され、大量の陸上兵力投入などという戦闘が不要あるいは限定的になってきたというのもその理由らしいが、その一環で日本の米軍基地も縮小の方向性が打ち出されているようだ。アラスカ、グァム、シンガポールで沖縄を代用できると踏んでいるそうだ。
アメリカは対支那、対露で戦後日本に米軍駐留を行ってきたが、その存在理由が薄れてきたのだろう。
日本では日米安保でアメリカが日本を守る義務があると信じられているが、アメリカ側に立って考えてみれば、冷戦後既に日本を守る積極的な理由などどこにもなく、唯一日本の経済、市場、技術力くらいのものである。その日本がアメリカの基準で動かないのなら・・・と考えるのは自然だろう。
日米安保(極端に異常な片務条約)を信じるのは憲法9条信者とさほど変わらないように筆者には思える。

昨年6月のオバマとシー・ジンピンの会談以降、人民元がほぼ0.16ドルにペッグされたかのようにほとんど動きがないのはおそらく通貨体制の互いの維持を約束したのだろうという観測があるが、互いに経済崩壊を恐れる米中が通貨でタッグを組めば世界経済の大きな変動が回避されることは約束される。そうなればアメリカは対支那で軍事力行使という選択肢はまずない。アメリカさえ出て来なければ支那はアジアで好き勝手し放題になることは間違いない。
尖閣についてさえアメリカは態度が煮え切らない。尖閣で何かあってもひょっとするとアメリカは様子見で日本を守らない可能性があるではないか。

最近、安倍政権が武器輸出、新戦闘機開発を始め集団的安全保障問題を加速させているのは、やはりどこかアメリカを信用してはいけないという危機感からかもしれないし支那の水面下の動きがギリギリに来ているのかもしれない。
もしアメリカがTPP頓挫後に『日米安保見直し』と臭わせたりすると途端に支那は尖閣に向かってくるかもしれない。
安全保障が無い上で、農産物価格がどうの、生産者がどうのとか、ゆうちょの金がどうのなどは全く無意味だ。
日本は独自の軍事力増強、ひょっとすると核武装にも進まないといけないかもしれず、日米安保条約ではなく日米相互防衛条約に切り替える必要があるかもしれない。
(ここまでいってようやく普通の国だ)

TPPはほぼ日米間の問題で、同様に欧州とアメリカのTTIPも米独間の問題に集約される。TTIPについて米独の世論は、反対派の倍以上賛成派が多い。日本のメディアはもう少しそういった比較なりアナロジーを取り上げて欲しいものだ。

ブログランキング・にほんブログ村へ
(blog rankingに参加。ご協力を。Click it!)


広告
カテゴリー: 社会・経済, 国際・政治, 国政・国会, 海外 タグ: , , , , , , パーマリンク

TPPの頓挫は日本の安全保障にツケが回る への5件のフィードバック

  1. 政治好きオバチャン より:

    オバマ大統領って今回何しに日本に来たんでしょうね。
    お寿司食べにかな?

    国賓だと言っているのに、迎賓館に泊まらない。
    夫人は来ない。
    返礼の午餐会もやらない。
    まるで公式実務協議のような今回の来日。
    非礼すぎませんか?

    • お寿司もそれほど食べなかったみたいですよ。
      http://dot.asahi.com/world/fringe/2014042400021.html

      オバマ氏は非常にビジネスライクな人だともどこかで見た記憶がありますから、迎賓館に泊まらなかったのもわかる気がします。
      それよりも問題なのは、各国大使などが寄付金の多かった人と噂されていることです。政治の素人を外交の人につけているということです。私は多分次の選挙でアメリカの大統領は変わるのではと思います。

      • 予備役 より:

        オバマ大統領は中間選挙で大敗して辞任というセンが強いように思います。
        ダメを押すのはプーチンか習近平か—。

        もうね、日本はアメリカ頼みは適当にして核武装まで行ったほうがいいと思うようになってきました。
        核を持つことでヘタな局地戦なども起こらないような気がします。隣国と陸続きでない日本の特徴を生かすには核武装が最適。

        • argusakita より:

          こんにちは。

          私もオバマ辞任の可能性が高いと思っています。
          歴代2人目(唯一の辞任大統領はニクソン)になるかもしれませんね。
          あるいは議会で罷免というのもアリかも。
          罷免の可能性があったのは、ジャクソン(7代)、ニクソン(37代)、クリントン(42代)だそうです。

          核武装ですか・・・。コストを考えるとレンタルで潜水艦に積んでおくので十分ですね。
          あるか無いか相手が迷うようなイスラエルのような状態が最も効果的。

      • argusakita より:

        ワシントンとの時差を考えると朝起き抜けに寿司食わされたわけでしょう?
        いくら寿司好きでも(体が)朝からでは・・・よく食べたと思いますよ。(^^)

コメントは受け付けていません。