イザベラ・バードの見た秋田

イザベラ・バード(Isabella Lucy BirdまたはIsabella Bird Bishop)は19世紀から20世紀にかけて世界を旅行し紀行文を残したイギリスの女性で、朝鮮嫌いの人にはKorea and Her Neighbours(朝鮮紀行)という日本統治(開始1910年)以前の李氏朝鮮(1894~1896年に4回訪問)の悲惨な状況の記録で有名な人物だ。
この『朝鮮紀行』については、原著と南朝鮮の出版社が恣意的に南朝鮮の当時のボロクソな状態を削除したものがあり、同時にこれらの日本語翻訳版も何種類もあることはよく知られたことである。もっとも100年以上前の著作物であることや4回の訪問によって実際の紀行文原著は複数あったのではないかと筆者は推測している。まあ、ソウルの汚さや人々の描写は悪臭が臭ってきそうなくらいにボロクソに書かれていることは確かだ。

このイザベラ・バードがそれ以前1878年に訪日し、日光、新潟、山形、秋田、青森、北海道と人力車と馬で旅した紀行文Unbeaten Tracks in Japan(邦題は訳本によって日本奥地紀行、日本紀行など数種類ある)があることはあまり知られていないことかもしれない。(特に秋田県の人には)
朝鮮紀行に恣意的な出版があるように、日本語翻訳本も翻訳に使った原本(当然出版社も違う)の違いによって章建てが違うなどどこか問題を感じさせる。
例えば、Project Gutenbergで読める電子本講談社学術文庫『日本紀行』(上・下)(時岡敬子訳)では章建てが(後者が細かく)全く違う。全体的な内容としては大差無いのだろうが、原本に忠実なのが翻訳本としてのあり方と思う筆者としてはあまりアレンジして欲しくないとは思う。この件について講談社に問い合わせの手紙を出して(何とe-mailでの問い合わせなどは出来ないという頑固な出版社である)いるが、一向に返事など来ない。翻訳本はやはりできるだけ原著にも触ってみる必要がある。
イザベラ・バードが秋田県を通過したのは1878年7月21日(雄勝峠)から8月2日(矢立峠)の13日間のようで、その間に出てくる地名やトピックは順に
■院内・・・脚気患者の多さ
7ヶ月で住民1,500人のうち100人が死亡、当時は原因と治療法がわかっていなかったようだ。
■湯沢・・・人口7,000、到着数時間前に大火があり70戸焼失
■横手・・・人口10,000、野次馬が素っ裸で集まってきた
近くの神社の鳥居の描写や神道についての記述
■六郷・・・人口10,000、神社や寺院は立派だが家々は極端にみすぼらしい
警察の好意で裕福な商人の葬式に参列。大きな壷(甕?)に遺体を入れて埋葬するなどの葬式や服喪などの風習の描写
■神宮寺・・・ここから雄物川を船で新屋まで下る。支流(おそらく旭川)に入って久保田(秋田市)
■久保田(秋田市)・・・人口3万6,000。この紀行文では日光以外にほとんど見られない褒め言葉。(21日から4日間滞在)
ビフテキ、カレー、きゅうり、外国産の塩・マスタードが入手でき、住宅街も整備され、豊かで快適に見え魅力的な街。大きな病院(100人程の学校でもある)の見学の様子や700人の学生のいる師範学校の様子の記述。絹織物工場や通り町の商店街、警察署、裁判所、宿の主の姪の結婚式に出席しその様子や当時の結婚の慣習の記述。
■土崎(土崎とは書いていないが)
曳山など港祭りの様子が書かれているが少し現在の祭りとは違うので別の港かもしれないが他に考えにくい。見物人が2万2,000人と教えられたとあるが事実かどうか。

この後は虻川(飯田川町)、豊岡、檜山、切石、(米代川を舟で)、大館、白沢、矢立峠、碇ヶ関と続く。
何しろ久保田以外の土地の宿屋や住民、食べ物の記述は悲惨でいかに久保田以外は極貧の農村民とごく一部の裕福な商人(地主だろう)だったかがわかる。また衛生面では久保田以外は悲惨で、四六時中蚤やダニに悩まされた旅だったことがしつこいまでに記述されている。
また、例え田舎であっても日本人の均一性には驚いた様子が書かれていて、外国人に対するもの珍しさによる野次馬は多いものの、他人との間の礼儀正しさ、丁重さ、作法については賞賛の言葉が書かれている。

外国人から見た昔の日本について知りたい向きにはなかなか興味深い紀行文だろう。

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イザベラ・バードの見た秋田 への1件のフィードバック

  1. 呆人 より:

    県のHPにイザベラ・バードを紹介するページがあったと思います。西洋の視点での秋田市への褒め言葉、喜ぶべきか否かです。ちょっとばかり複雑でした。

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