クラウド・ファンディングについて

6月24日の県議会一般質問で自民党最上英嗣議員から秋田県がもっとクラウド・ファンディングに積極的になるようにといった指摘があり、殿様が何だか要領を得ない回答をしていた。(動画はここ)

筆者も4年ほど前にこのクラウド・ファンディングについて調べたことがあり、結果的には止めた。金額が大きくなるとコストパフォーマンスが悪くリスクも大きそうだったので止めたのだが・・・。
そのころのメモの一部を。

まず、クラウド・ファンディングの定義としては『インターネットのインフラを活用して、不特定多数から広く少額の資金を集める行為のこと』だが、これを実際に行うには税務署と一緒に進めていかないととんでもない話になりそうだ。

クラウド・ファンディングの分類としては、
(1)寄付型:リターンが無い
(2)購入型:金銭以外のリターンがある
(3)出資型:金銭のリターンがある
ここで、プラットフォーム運営者や資金調達側が購入型のクラウド・ファンディングだと思っていても税務署には寄付型だと判断される場合があるのだ。

例えば、寄付型の場合について書くと、
・文字通り寄付による資金集め
・寄付者にニュースレターを送付したり、そのレターに寄付者の名前を掲載したり寄付者向けの感謝の催しを開催する
のが一般的だが、
税務としては寄付をする側と受け取る側がそれぞれ『個人』か『法人』かによって取り扱いが異なる。

(1)受け取った側が個人の場合
寄付をした者が個人か法人かによってかかる税金が異なる。
A.個人からの寄付:贈与税がかかる
B.法人からの寄付:一時所得として所得税がかかる

個人からの寄付の場合の贈与税の計算は、
・その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計
・その合計額から基礎控除額110万円を差し引き
・その残りの金額に税率を乗じて税額を計算する
つまり、
・個人から個人の寄付は年間110万円までは贈与税が発生しない
・その代わりに、必要経費を控除するという考え方が無いので110万円を超えた部分には確実に贈与税が発生する。
・贈与税がかかる場合には寄付された全額を事業などに使用できない
※年間110万円が注意ライン
※プラットフォームを利用した場合に発生する手数料(システム利用料や決済手数料)の取り扱いに注意しないといけない。何故ならそれらを経費を差し引くことができないため。
※手数料を差し引く前の寄付額に贈与税がかかると考えるべき。

法人からの寄付の場合、
一時所得にかかる税金の計算は、
・一時所得の金額
=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
・一時所得を1/2して他の所得と合算して総所得額を求めたのちに、所得税額を計算
※50万円を超えた金額に課税される可能性
※一時所得については必要経費が認められるため、基本的にはプラットフォームの手数料は経費に該当し、手取り額を基に税金を計算できる

(2)受け取った側が法人の場合
※受贈益が計上される
A.公益法人(公益社団法人、公益財団法人、NPO法人、非営利型法人など)
公益法人等は物品販売業などの収益事業を行った場合にのみ法人税がかかるので、公益事業などのために受けた寄附金については税金がかからない。
※公益性の判断が難しい(税務署等の裁量判断?)

B.会社、非営利型法人以外の一般社団法人、非営利型法人以外の一般財団法人など
獲得したすべての収益が法人税の対象となるため、原則として受贈益に対する法人税、住民税、事業税を支払う必要がある。
※法人税は受贈益だけを抜き取って計算するのでなく、売上や受取利息などのすべての収益と売上原価や販売費などの全ての費用を基に計算した課税所得にかかるため、受け取った全額をその期に費用として使った場合や赤字決算となる(課税所得がマイナスとなる)場合には結果的に受贈益に対して法人税はかからない。

(3)寄付型の場合の消費税
※寄付は課税取引とならないため消費税は課されない

どうだろう、寄付型だけでこれだけ複雑である。購入型、出資型まで書いたら本になりそうだ。このクラウド・ファンディングを明瞭に説明してくれる税理士、会計士あるいは協力してくれる金融機関はまだそんなに多くないはずだ。

日本は寄付をしにくい社会制度、税制であることは以前も、
寄付のしにくい日本の制度はいろいろなものの象徴
で書いた通りだ。
税務署に伺いを立てながら事業をやるなどという手間は人手の少ない小さな民間企業には到底無理なのである。コンサルだけが儲かりそうだ。
国レベルでは税制・法制の整備なども検討されているものの日本では基本的に『金はお上が預かりお上の判断でバラ撒く』という原則があるため、『民間が預かり民間が直接民間にバラ撒く』クラウド・ファンディングは今のところ税務署が簡単には許さないのだ。
議会で取り上げるのなら、ぜひ特区申請の一部のようなものとして欲しかった。

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クラウド・ファンディングについて への13件のフィードバック

  1. 最上英嗣 より:

    秋田県議会議員の最上英嗣でうす。
    クラウド・ファンディングを取り上げて頂き、ありがとうございます。
    実は今回この質問をしますと原稿を出した際に、県庁職員は何ですかこれは???と言われました。
    クラウド・ファンディングの問題点は、おっしゃる通りでして、異論ありません。
    私が何故これを提言したかと言うと、人口減に苦しむ町や村の再興に使えると考えたからです。
    企業献金の難しさは知っております。しかし、個人が町興しのお為に寄付する事は問題が無いと思います。
    秋田県のほとんどの町や村が人口減や収入減で苦しんでます。
    補助金、助成金にも限度があります。
    是非、自らの足で立ち上がって欲しいと願っております。

    • argusakita より:

      こんにちは。

      県庁職員の勉強不足はだんだん酷くなってきていますね。
      これほど世の中複雑になり専門性が要求されるのに未だに伝統的な人事のローテーションでいろんな分野を回されて浅く広く(広くも怪しいですが)になってしまい、国の施策のメッセンジャー役しかできなくなっているように感じます。
      行財政改革で異動のあり方を根本から議論されたらいかがでしょうか。

      >人口減に苦しむ町や村の再興に使える

      確かにそんなチャンスもあるかもしれませんが、小規模な利益を生まない(生んではいけない)NPO的なものに不特定の個人がクラウドあるいはマイクロ・ファンディングではおそらく『やる気』が起きないと思います。やはり有名な『葉っぱビジネス』のような『儲かる』というインセンティブが大切なのは最上議員が経営者であれば余計強くおわかりでしょう。
      強いて言えば、自由度の高い(クラウド・ファンディング)プラットフォームの無償提供(ただし期間限定)か利用料先延ばしくらいしか行政がやれることは無いような気がします。そして、そのプラットフォーム利用によって税務署とのやり取りが省ける仕組みが提供できればなかなかおもしろいことができるかもしれませんね。
      まずは、ソーシャル・チッピング(ネット投げ銭)かなぁ・・・。

    • argusakita より:

      ちょっと気になって今年5月の改正金融商品取引法を眺めていましたが、来春から資本金1,000万円以上で金融庁に登録すれば、証券会社以外の業者もネットに限って株式への投資を勧誘できるようになるみたいですね。従来は5,000万円でしたから。
      ただし、未上場会社のリスクを考えて発行総額は1億円未満、出資額は株主1人当たり50万円までに制限されるようです。

      発行総額をもう少し下げた枠を独自に決めて、投資勧誘はあまりせずにプラットフォームを(低料金で)提供できればマイクロ・ビジネスの立上げには案外使える制度かもしれませんね。
      この道具立てを地方自治体が手がけるというのは案外画期的かも。要するに詐欺被害を防止する名板貸しを行政が行う程度ですから。名板貸しは秋住で懲りたかな(^^)。
      知事部局に金融部でも作らないと無理かな(^^)。

      • 炙りたらこ より:

        これは凄いことですね。 
        投資型クラウドファンディングで大きな変化が起こるのは、まず間違いない。
        一部には詐欺や元本割れも出るでしょうが、やる気のある若い企業には朗報です。
        経済が活性化するでしょうね。

        しかし、やる気のある若い企業が極端に少ない秋田には、メリットが小さいと思います。
        秋田の役所、特に佐竹知事が関わって上手く行った試しがないので、関わらせないようにしたほうがいいでしょう。 (さきがけ新聞に載せなければ情報は遮断できるでしょう♪) 

        DIOジャパンだって、被害が発覚し初めてから秋田で契約してますし。
        またぞろシロアリどもが蠢動して、公金を飲み代に変えるのでは・・・

  2. 炙りたらこ より:

    一部で盛り上がってる「ふるさと納税」にも力を入れていないのに、
    クラウド・ファンディングでの成功など到底無理でしょう。
    http://www.furusato-tax.jp/rank.html

    呆れるほど怠惰な役人や知事を見て、応援したい気持ちになりますか?
    また、秋田県の地元愛着度はワーストです。

    それに、いくらカネを投入しても、ナカイチのようになるだけでしょう。
    熊のオリに3.5億円など前代未聞です。
    いつものように朝鮮関連に使われる恐れもある。

    秋田に一番必要なのはカネではないと思います。
    必要なのは、まともなリーダーです。

    • argusakita より:

      ふるさと納税が流行らしいですね。
      一昨年くらいまでかな、実はもっと『お得』だったんですよ。
      国民健康保険料の計算が住民税に基づく計算だった場合、ふるさと納税すると所得税、住民税も安くなって国民健康保険料も安くなるという、知っている人だけ得する状況だったのです。(自治体側は痛し痒し)
      これが、去年から国民健康保険料の計算が所得金額に対して行われるようになったので『お得』感が半減しました。
      自治体は助かったのでしょうか、地域のPRにもなるせいか一生懸命ですね。

      でも、どうなんでしょう。
      全体の徴税コストは逆に上がったんじゃないでしょうか。
      これは納税者にとってプラス? マイナス?

      • 炙りたらこ より:

        こんなに素晴らしい成功例も・・・
        http://diamond.jp/articles/-/39036

        今ある制度でも、地域活性化は十分可能ですし、
        新しく有利な制度ができたとしても、秋田県は活用出来ずに差が開く一方です。

        • argusakita より:

          >新しく有利な制度ができたとしても、秋田県は活用出来ずに差が開く一方です。

          その危惧は十分にあるのですが、そこをなんとか!(^^)

  3. 炙りたらこ より:

    ふるさと納税 「確定申告が不要、控除の上限2倍 へ」 来年度から実施する方針
    http://www.nikkei.com/article/DGXLZO75593870T10C14A8EA2000/

    クラウド・ファンディングの一種である「ふるさと納税」がさらに拡大する。
    地域活性化の目玉であり、すでに全国の自治体で競い合っているが、そこに秋田県は絡んでいない。
    地道な努力も出来ない、世の中の流れも知らない。
    教えてあげても 「はァ?」 という感じだし・・・また差が開きますね。 

    世の中が進むほど、秋田にとってはどんどん不利になる、それが真実です。

    • argusakita より:

      こんばんは。

      ふるさと納税がクラウドファンディングの一種というのは異論がありそうですね。
      それにしてもクレジットカード決済ができるのは大館市だけというのは何ともやる気の無さをあらわしていますね。
      25市町村のうち特典を選べるのは

      秋田市の特典 『お礼状』
      横手市 『市報よこて』1年間無料送付(ただし5,000円以上の場合)
      大館市 きりたんぽ他、いろいろ。(頑張っている!)
      大仙市 広報だいせん日和1年間(希望者)
      にかほ市 お礼状、広報にかほ、優待券のどれか選択
      仙北市 ウェルカムサービスパスポートと『ふるさと情報』の送付
      小坂町 桃豚ハムや地元産の蜂蜜、ワイン(頑張っている!)
      三種町 三種町の特産品詰め合わせ1回
      五城目町 ふるさと便(中身不明)
      美郷町 ニテコサイダー他
      の10市町村のみ。

      中には大館市や小坂町のように頑張っているところもありますが、他は『寄付もらってあげてもいいよ』『どうせ誰も寄付なんか寄越さないよな』という諦めか、あるいは役人達が仕事が増えて忙しくなるのは嫌という意志表示なのでしょう。

      『お礼状』ですよ、『お礼状』(^^)

      • 炙りたらこ より:

        25市町村もあってクレカ対応がたった1箇所とは・・・さすが秋田県ですね。

        産業振興も出来きず、農業の発展も出来きず、まともな知事を据えることも出来ない。
        得意な事と言えば、ソウル便やクマのオリに、盛大に無駄金を使うことくらいです。
        何をやっても、殆どワーストに近い結果なるのです。

        大潟村を除く24市町村が人口半減で行政機能停止になる予想が出ていますが、危機感を持ってる人は殆どいない。
        20年後には実質的に廃県になっているのではないでしょうか。

  4. 佐藤久恵 より:

    はじめまして。
    9/10(木)に当日クラウドファンディングセミナーを秋田市で開催する者です。
    私は、秋田県出身です。
    よろしければ、最新のクラファン事情を仕入れにこられませんか?

    当日のメイン講師「板越ジョージ」氏は、
    「クラウドファンディングで夢をかなえる本」の著者で
    クラウドファンディングの第一人者です。
    また、元ジャニーズJr.という異色の経歴をもたれており、
    今回、はるばるニューヨークからお越し頂きます。
    (板越さん yahooのインタビュー記事)
    http://bylines.news.yahoo.co.jp/satoutom…/20150828-00048572/   

    この貴重な機会に、
    「東北の一人でも多くの方の夢を応援したい!
     地元で頑張る志の高い仲間と繋がりたい!」
    という一心で、失礼ながらご連絡させていただきました。

    ご興味がおありでしたら、以下より詳細をご確認の上、
    ぜひお越しいただければ幸いです。

    お忙しい所、最後までお読みいただきありがとうございました。

    「クラウドファンディング×良い自己中で夢をかなえる!
     著者コラボセミナー」
    9/10(木)In 秋田の詳細・お申し込みはコチラ▼
    http://kokucheese.com/s/event/index/325220/#about
    事前支払希望or当日参加不可でも応援してくださる方はコチラ▼
    http://peatix.com/event/114114

    • argusakita より:

      お誘いというかPRご苦労様です。
      日本にいたら参加してみたいですが、モスクワからまたウィーンに戻りますのでしばらく日本には・・・。
      クラウドファンディングの手法や成功例よりも皆さんが知りたいのは今の日本の税制で『税務署とどう折り合いをつけるか』の1点に尽きると思います。

      ご盛況を祈念します。

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