最も効果が期待される特区は『地方自治制度特区』では?

特区申請流行りであるが、大阪橋本市長の大阪都構想は単に府を都にすることがメインではなく地方自治制度のあり方を問うもので独裁やら放言・失言などの側面的な評価ではなくこの施策の案の中身には非常に興味深いものがある。あまりバイアスをかけずにメディアが詳細を解説したら良いのにと思うことも多い。

地方自治のうち議会改革については、議員定数・報酬の件が住民からはわかりやすいが、秋田県や各市町村も含めて一応議会改革と称してあれこれやっていることは確かなものの、例えばここの一覧を見てもわかるように実に些末な事柄が多く遅々として進んでいない。(おそらく、議会だけ改革しても仕方がないという意見が多数なのだろう)
先日の秋田市で行われた県議員との意見交換会もその一環だろうということはわかるが、議会改革に賭ける本気度は失礼ながらあまり伝わってこない。

本来、地方自治で首長と議会(議員)はそれぞれ選挙によって選ばれ両者は共に住民代表であり、国政とは違う二元代表制という制度の両輪である(はずである)。
案外知られていないが憲法には議会設置は必須とされているが首長はそうではなく93条2項で『選挙で選べよ』と書いてあるに過ぎない。
ひょっとして不要?(^^)ではなく首長の設置は地方自治法の139条に『置け』と書いてある。議会は89条に『置け』と書いてある。先に書かれているから議会のほうがエラいのかもしれない。(^^)

つまりこの車の両輪はいわゆる機関対立あるいは機関競争主義の考えでできているはずで、互いにアクセル・ブレーキをかけて同期しながら進まなければ前に進めない仕組みのはずである。
ところが、例えば秋田県のようにくまくま園だのソウル線だの片側だけが回転しておかしな方向に走る状況も生まれる。つまり議会がオール野党で首長と対峙している状態が基本というか健全な状態なのだ。
県政の山のような課題について住民から見ていかにも同じところをグルグル回って停滞しているように見えるのはこの両輪のどちらかが動いていないことが大きいのだろう。
これは何故かといえば、何年も前から地方分権で議論される3つのポイント、自治行政権自治立法権自治財政権が制度的に車輪の片側しか動かないようになっているからだ。そして、この3つが改正されれば、山積の個別の課題にもどんどん結論が出てきて県政全体、我々住民の要望・問題にも光が差してくると思われる。

自治行政権
首長の包括的な事務処理の権限に人事権も含まれ、ややもすると独裁と言われる根拠になる権限だが、議会は監査請求権や100条なんとかといった監視程度の権限しか無い。結局、個々の施策立案に積極的に係るということができない(当然、議会側のマンパワーの問題も大きい)

自治立法権
条例の議決権は議会にあるものの提出権は首長にもあり実際にはほとんどが首長からのものである。最近議会から出たのは(やってはいけないはずの)『乾杯条例』程度だ。
権限があっても使う場面がほとんど無い状態。
(これも議会側のマンパワーの問題が大きいと思われる)

自治財政権
予算の議決権限は議会にあるが予算提出権限は無く、この首長の提出権限に対抗することができないし、増・減額を議会単独で議決することもできない。
結局首長からの提出を追認議決するだけに落ち着く。

つまりどれを取っても議会が車の両輪のように動くのは極めて困難な仕組みができあがっているのだ。結果的に同じところでグルグルの状態を見せてくれることになる。
筆者もついつい『議会は機能不全で首長の追認機関』と揶揄してしまうが仕組み上そうなっているのが実情。『なれあいだ!』と言う場合はその背景をちゃんと理解してから言わねばならない。

では、この本来車の両輪であるように議会を機能させるためにはどうしたらよいか。
今のままでは議会改革を通じて議会に頑張ってもらうしかないのである。(^^)
例えば、会議・委員会のライブ中継・録音・録画提供、会議資料公開、議事への賛否、政務活動費(額・使途)公開、視察報告などの情報公開、請願・陳情者の説明会の実施、議会報告会、意見交換会などの住民参加、さらに議会運営における一問一答形式、自由討議制度などの運営改善が必要で秋田県議会などはそのうちいくつかは既に実施済みだ。
しかし、これらも遅々として進まない印象ではある。

そこで、地方自治法に囚われず済む特区の出番なのである。
例えば首長と議会の両輪を生かす方法で橋本大阪市長が提案しているのが国と同様の『議院内閣制』だ。公選知事の下、知事部局の長を議会から出す方式。
相当な活性化(と混乱)を生み出しそうだが、議会側にも施策立案の人的体制が必要となり、何しろ人材不足の秋田では難しそうだ。
一方では現在はほとんど意味を成さない党派・会派といったものが明確に位置づけられ選挙時の行政の方向を住民からもわかりやすくなるというメリットもありそうだ。

あるいは、アメリカの一部の州で採用されているシティ・マネージャ制度だ。首長は公選ではなく議会がどこかからマネジメントのプロを連れてきて任命する制度。
首長の仕事の成果が住民にもわかりやすくなり、成功・失敗で首にもできることが大きい。ただし報酬は相当に大きくないと人材がいないかもしれない。
しかしそのような行政のマネジメントのプロを迎えることで、コンパクトシティを謳いながら無節操に郊外にあれこれ施設・機能を移転させたどこぞの馬鹿首長などが再び出てくる心配は無くなり、行政の経営コスト的なものが住民にもわかりやすくなるはずだ。

『地方自治制度特区』申請に動くぞという公約を掲げる首長や議員にはぜひ1票入れたいものだ。

 


 
 
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最も効果が期待される特区は『地方自治制度特区』では? への3件のフィードバック

  1. 最上英嗣 より:

    地方自治特区も道州制もですが、財務省の解体と再編を行わなければ進まないと思います。何をやるにも最後は財務省が決める日本。これではらちがあきません・・・・

    • argusakita より:

      全くの個人的な考えですが、日本が持っているスイスのプライベートバンクにある資金(主に戦前から大陸で阿片によって儲けた金)とアメリカのフォートノックスにある(とされる)金塊を明らかに出来て、壬申戸籍もなんのそのという政治家がトップに立って命がけ(物理的に)でやらない限り財務省と厚労省の解体や再編は無理だろうと思います。

      国税庁を手放したくない財務省はとりあえず年金機構だけを歳入庁として編成して、マイナンバー制度に進むのではないでしょうか。

      案外、安倍首相というのはそれができる極々少数の政治家なのかもしれませんね。

  2. 半島嫌い より:

    例えば、日本全体ではパチンコ・パチスロを禁止にして全国何箇所かにパチンコOKの自治体を手上げさせる。事実上のカジノ特区で、関係企業(まあ、アレな人が集まるわけですが)も集まって、ある意味一石二鳥かと思うのですが。

    いや、やっぱりパチンコは禁止だな。(^^;)

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