秋田牛ブランド施策は直球過ぎるのではないか?

少し以前から気になっていたが『県産牛の知名度向上と販売力強化を図るため』県は来月6日に『秋田牛』ブランドを立ち上げるそうだ。
25銘柄ある秋田県の黒毛和牛の全国販売をするには出荷頭数が少ないため統一ブランドにして販売力強化をするのだそうだが、これを聞いてふーんと理解・納得するのはごく一部の人間だろう。
まーた何周も遅れた馬鹿なことをと呆れてニヤニヤするのが正常な感覚ではないか。

ウィーンでもちょっと気合を入れて(高価なので)買えばオーストラリア産のWAGYU(和牛)は買えるし、見たことはないがパリなど大都市では神戸牛も手に入るらしい。
それほど和牛そのものやブランドでは神戸牛あるいは松阪、但馬、飛騨、佐賀、近江などの有名なものがあり、東北では米沢、仙台、前沢とトップ10に入る有名ブランドがあるではないか。
そこに実にシンプルな『秋田牛』というネーミングと販促、試食会開催とお決まりの直球勝負だ。秋田県はやる気があるのかと・・・。
今は単に『(地名)牛』ではなく、『豊壌の地北の大地牛』(北海道)、『玄米育ち岩手めんこい黒牛』(岩手)など尋常じゃない長い戒名のついたブランドまであるというのに。(^^)
ネーミングに限らず、市場規模でブランド牛がどれほどあり、秋田牛とやらが入り込めるニッチな市場がどれほどのものか数字で把握しているのだろうか?
例え仮に統一ブランドにしたほうが生産、販促、流通での補助金や助成金を受けやすいという近視眼的なメリットがあるとしてもネーミングの間抜けさとビジネスとしての見通しの説得力の点で『やり直し!』だ。
これではまるで甲子園のマウンドに小学生が立って高校生バッターに向かって力一杯直球を投げる・・・秋田県はこの小学生を観客席から太鼓叩いて応援するようなものだ。
こういう施策は誰のためのものですか? と聞いてみたくなるではないか。

知っている人は知っているようにもう何十年も前から湯沢の三梨牛の一部は生まれた子牛を松阪や近江に売ってそこで育てられそれぞれのブランド牛になっている。
牛、牛肉なんてその程度のものだ。
しかし、日本人独特の食品に対する『産地フェチ』は牛肉も例外ではなく、上記の長い戒名が出てくるのが現状。
秋田牛などというブランド統一化は、
『この牛肉どこの?』
『秋田のほうから来たらしい』
これではまるで『消防署のほうからきました』という胡散臭い消火器販売業者に等しい。

25銘柄あるのはいろいろな事情やこだわりがあったからこそそうなったのだろうから、例え生育気候や条件がさほど変わらない秋田で味の違いは大差無いとしても『別の牛、別の牛肉』として扱うのが王道だろう。
25銘柄それぞれに生産・出荷・販促・流通などのコンサルが秋田県でできなければ民間のコンサルにでもやらせたらいいのだ。何でも行政がイニシアチブを取らないと気がすまない体質は度し難いし、頼るほうも情けない。
その中で競争が起き、淘汰されたり、躍進したり・・・、筆者は6次産業化みたいな言葉のまやかしはあまりよく理解していないが、そういうスキームで進めるべきものなのではないだろうか。

せっかく『義平福』とかいう名前が彗星のごとく現れたにも関わらず、この義平福の系統の牛肉を地元でふんだんに食べられないのは何故だ?
希少品ならそれなりに高付加価値でもやっていけるだろうが長続きはしないはずだ。ならば、その義平福のネーミングを生かしたらいい。義平福2014だの義平福Ver.3だの。(^^)
あるいは、秋田の牛はブロック肉で販売に特化する。これには食べ方というソフトウェアを付ける必要がある。
例えば秋田市でシュラスコ(ブラジル)、シャシリック(ロシア)のようなものを売りにしているレストランは皆無だ。オープンエアーのレストランを期間限定で開き、屋内での料理ではなかなか難しいような食べ方を見せる・食べさせることをやって消費する側を応援すべきなのだ。たまには塊で買って庭で自分でやってみようかと思う消費者も出てくるだろう。
生産、販売側ばかり応援するから消費者の目の前に出てくる牛肉は細切れ、薄切りのスチロールパック詰めのどこでもあるつまらないものしか店頭に並ばない。
さらに一歩進んで加工品として特産化してしまうのもテだ。
秋田は地場の味噌醸造元が各地にあり個性がある。筆者は社会人なり立ての頃出張で沖縄以外の全都道府県に行かされたこともあり、あちこちで味噌汁を味わってきた。
秋田の味噌は信州味噌と並んで比較的万人受けする味のような気がするので、これを生かして牛肉の味噌漬けや麹漬けなど加工品に特化しても単価は上げられそうだ。できれば秋田杉で小奇麗な箱を作ってもいいのではないか。季節限定のネマガリタケを入れた牛丼レトルトなどもありかもしれない。贈答用の需要はそれなりにあるのが秋田の土地柄なのを知っている人は知っている。
ペット用の高級缶詰は輸出用でもいいかもしれないが、まずは人間の食品に。

筆者の個人的な予想だが、そろそろ秋田でも昔の街なかの肉屋さんが復活するのではないかと思っている。対面で客の要望に合わせた肉の部位、大きさで販売し、牛豚鳥(これもそれぞれ産地特定のもの)以外に藤里のラム・ホゲット・マトン、三種の馬肉やその他のジビエも扱うような肉屋さんだ。近所に出来ないかと期待しているのだが・・・。

と、好き勝手なことを書いたが、食肉に関して秋田ではJAも喧嘩のできないWという企業グループ、M(それぞれイニシャルではない)という個人が仕切っている内情があり、これを打破するために一石を投じる動きが今回の統一ブランドの話なのだろうと理解してはいる。マスコミを使って内情暴露キャンペーンをしたら良いのだが、利権だの広告主だのいつものブレーキで進められないのだろう。
それにしても『秋田牛』は無いな・・・。

 


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秋田牛ブランド施策は直球過ぎるのではないか? への5件のフィードバック

  1. 曼谷太郎 より:

    義平福という名前は初めて知りました。読みがわからずグーグルで検索、「よしひらふく」なのですね。畜産関係の人をのぞけば、秋田県以外ではほとんど知られていないと思われます。 ぼくは岩手出身ですが岩手の「前沢牛」はそこそこ有名だし、宮城は「仙台牛」、山形なら「米沢牛」があります。どれもA5クラスの最高品質和牛のカテゴリー。『玄米育ち岩手めんこい黒牛』というのも初耳でしたが交雑牛のブランドなのですね。お米の「あきたこまち」は食味・ネーミングに加えパッケージングも人気の一つでした。フランスワインが産地と格付けにこだわりブランド化に成功したことを思うと「秋田牛」など和牛なのか交雑牛なのかもわからないどうしようもないネーミング。色白美人の里の角館も仙北市になってしまいました。地方文化がどんどん平板になっていくようです。

    • argusakita より:

      そうですよね。
      秋田の行政はこういう厳しい県外の意見に耳を傾けるべきなんですよ。
      教科書的なアプローチで何か突破できると思っているのはナイーブ過ぎるのです。

      地方文化がどんどん平板になっていくようです。

      非常によくわかる気がします。

  2. argusakita より:

    受刑者が飼育「網走監獄和牛」、最高ランクも

    これくらいインパクト無いとなぁ・・・
    屠殺のとき『死んでもらいます・・・』とか?
    秋田牛ってのは売れてるのかな?

  3. ブルーベリー より:

    監獄和牛とは・・・マイナスイメージを逆手に取ってインパクトに変えた素晴らしいアイディアですね!

    ネット通販などを検索しても、「秋田牛」の名前は見当たらない・・・使われていない。
    県内で25ブランドも乱立しているのに、さらに「秋田牛」を追加して混乱に拍車が掛けてしまった。

    「秋田牛」はエサにコメを混ぜて育て、肉質は3等級以上に限定とか、
    殿様知事があれこれ言っても、それぞれ拘りがあるので上手く行きません。
    大事に育てた牛を「秋田牛」として売りたい生産者はいないと思います。

    「幻の三梨牛」など、希少価値が人気を呼んでいます。
    「幻の秋田羽後牛」 「幻の秋田錦牛」 「幻の秋田由利牛」など
    今までのブランドをそのまま活かせる、「後付け戦略」が有効だと思います。

    希少価値=あまり売れていない事を、逆手に取る訳です。
    日本人の殆どは秋田産の和牛を、一生に一度も口にしてないですから。

    • argusakita より:

      凄いですよねぇ。
      PB(Prison Beef)の話を朝食のときに話したらロシア人、ドイツ人に目茶ウケでした。

      三梨牛は子牛を松阪や但馬に売っているそうですから、それらの一部は秋田産といえば秋田産かも。
      後付け戦略をするために秋田牛と名づけたのなら1本取られた感じがしますが、それは無いですかね(^^)。
      秋田なら逆手にとって何て名前つけたらいいでしょうね。

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