調査報告書の全文はどこにあるのか ~県議会調査特別委員会~

秋田県議会の『経済活性化・雇用対策調査特別委員会』の調査報告書というものが県議会のHPに掲載されている。
26ページからなるこの報告書、期待を持って読んでみたが、なるほどなるほどそうだよなと読み進むうちに終わってしまった。link先はこのPDFたった一つだ。
これは、きっと調査報告書のabstract(論文の概要)だろう。提言という結論めいたものを書いているのだから、そこに至るプロセスが書かれていなければおかしい・・・と思ったが・・・・。

最後の3ページには、いつどこで何をしたかについては書いているが、産業労働部や日銀、金融機関系シンクタンク等からのヒアリング、県内外の企業やNPO等への現地ヒアリングを行ったことはわかるし、その間にも委員間での議論が行われたことが書かれている。しかし、
・どんな資料でどんな統計数値等が提示されたか
・どんなQ&Aが行われたか
・委員間での議論はどうだったのか
は全くわからない『調査報告書』である。

前文である『報告にあたって』には、
『調査期間の前半は、「工業製品の生産を行っている製造業」に対象を絞り、調査を重ねてきたところであり、今年2月 18 日の本議会において、中間報告を行いました。
調査期間の後半は、今後の本県産業の中でも特に成長が期待される「エネルギー産業」、「食品産業」及び「福祉・介護産業」の3分野を対象に、製造業のときと同様、外部有識者との意見交換や県内外での先進事例調査を行いました』
とあるが、調査ターゲットはわかるが、何をどう調査したのかが不明だ。
中間報告は書類になっていないのだろうか? あるなら、どこにあるのか?
先進事例を調査したのなら、何が先進事例なのか具体的に紹介しないのは何故だ?

『県当局におかれては、本報告の趣旨を十分に踏まえた政策に積極的に取り組まれることを切に希望します。 』
とあるので、この調査報告書は県の役人向けに書かれたものであり、我々一般の県民向けではないのかもしれない(それなら担当者・部署に渡せばいいのであって掲載する必要はないだろう)。
いきなり『提言』ではじまるなら、調査報告書ではなく提言書なのだろうし、調査報告書ならその調査内容(項目)、調査結果、他の資料等からの考察やそれらを基にした各委員の意見、議論内容の記載があって然るべきである。

この報告書で75歳といった年齢の数字を除いて、文章中に数値が出てくるのは本文18ページの中でたった4箇所、
15ページ
『本県の食料品の製造品出荷額等は全国 44 位、東北最下位~』
『現在の世界人口は約 72 億人であるが、国連の予測によると、2050 年には 96 億人、2100 年 には 109億人に達するとされており~』
16ページ
『全国3位の面積を誇る広大な水田は~』
19ページ
『現在は市場規模が 100 兆円を超え、家計消費市場全体に占める割合は 40%以上~』

残りは、漫然とした文学的な記述の連続である。こんな数値は高校生でも教科書で知っているのではないか?
数字でモノを言わず常に『一定の成果』といった文学的な表現しかしない殿様知事と何ら変わりがない。
議員という立場を考えれば、県民がなかなか知りえない統計数値、行政しか知らない集計数値といったものに県民よりは近いはずだろうに。

具体的な提言というなら、例えば年寄り世代・人口がこれだけ(数値)増え、その市場拡大も(年率でどれくらい)見込めるものとして、これだけ(数値)の市場が期待できるといったものが提言の前提の予想ではないのか? (例えそれが誤りであっても議論の土台にはなる)
例えば、年寄り世代が増えることによって入れ歯の市場が拡大されていくが、歯科技工士養成の機関は東北では秋田県(と山形県)には無い。教育体制を整備しようだとか、歯科技工に3Dプリンタの活用を進めるための研究開発、利活用に関する支援制度の創設・・・それらに数字を盛り込んで書くくらいは普通だろう。

ヒアリングや視察をしたならその内容メモや録音、委員会で議論したならその会議録、入手した統計資料の公開に差し支えないものは全部、そういったものを添付・公開し、考察した結果が調査報告書であり、得られた現時点での結論が提言だろう。
まさか、そういったものがゼロだとは思えないが、議事録も取らずに専門家や企業等の現場の人間の話を漫然と聞き、『議員さん御一向様』の各地への国内旅行であるならこの委員会と委員の能力や見識を疑わざるを得ない。
こんなことをしたら民間なら出張旅費清算の書類に上司のハンコはもらえない。
こんなことをやっているから、議会や議員は能力・資質に問題がある、所詮名誉職だと揶揄されるのであり、報酬や活動費は税金の無駄だと言われるのだ。

委員会議事録、使用した資料、視察概要等の掲載も含めて、

やり直し!だ。

少し待っても掲載しないようなら、欧州出張から戻ってから情報公開請求(行政文書かな?)でもしてみよう。
経済活性化や雇用対策は安全サイドの役人や議員ではなく全県民にとって喫緊・深刻・切実な問題のはずだ。税金で働いている連中はもっとまじめにやって欲しいものだ。

2ページ目にこの委員会の11人の議員の名前がある。
選挙のときまでに忘れないように名前をよく覚えておきましょう。


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調査報告書の全文はどこにあるのか ~県議会調査特別委員会~ への5件のフィードバック

  1. うーん。提言の一つ目から疑問だらけ。
    提言1の 独自のものづくり技術で差別化を図る は『あるべき姿 『産・学・官・金』のそれぞれのセクターが総力を出し合い、オール秋田でものづくり技術を磨く』となっているけど、もはや秋田の中だけでものづくりをやろうとしていることがそもそもの間違いと思うのは私だけ?

    大館市には、北鹿という造り酒屋が有りますが、元々は地元の人もまずいと言っていた酒造です。それがコンテストで金賞を取れるようになったのは、南部杜氏を入れて酒造りをするようになってからです。
    秋田のものづくりは、他からの技術を取り入れるところから始めるべきではないかと思ったりします。

    大館市ではこの提言でものづくりを探すと曲げわっぱになると思うけど、天然杉が使えないのでもはや先細りが見えてます。植林杉から作ろうと頑張ってますが、使用できるのは植林杉の1/10とか以前のテレビニュースでいっていたような気がします。つまり、もうほとんど絶滅危惧種です。でもこの提言を素直に読むと、大館市のものづくりは曲げわっぱになりそうです。でもほんとにそれでいいのかな。

    • argusakita より:

      曲げわっぱですが、一昨年大館のある工芸の会社の方と話していて、曲げわっぱは弁当みたいな小さな工芸品ですがもっと大きなもの、例えばオフィスのパーティションなどを作れませんか? と聞いたことがあります。(弁当は既に欧州ではいろんなのが手に入ります)
      緩いカーブを持ったローパーティションを杉の柾目で作ったら美しいし、香り(好みもあるでしょうが)良く、曲げわっぱのスピリッツは生かせるし、植林杉の割れ易さも回避できるのでは? アルミのフレームなどを組み合わせたりスリット状にするとか・・・。

      絵を描いて見せたりして非常に興味を持ってくれましたが、大型の曲げわっぱを作るための設備などに資金が必要ということで話は立ち消えになりました。
      ちょっとおもしろいと思いませんか?
      トライアンドエラーを許容する財団でもあったらどんどん提案するのですが、しょっぱいですもんね現実は(^^)。

      • 曲げわっぱは、家内制手工業ですから、パーテーションみたいな大きなものは難しそうですね。でも直径1mくらいの朱塗り盆を飾っているお店もあるから頑張れば作れそうな気もしますね。

  2. 【提言の3】ものづくり人材を育成する の 『あるべき姿 ものづくり教育で人材を育成するとともに、企業と協働でものづくり人材を育成する』とありましたが、本気で進めることができると思っているんでしょうか?

    小・中学校でのものづくり教育は、教育課程の中ではかなり困難です。例えば中学校技術科では木工・金工併せてものづくりをする教育課程になっていたはずです。ですから、木工の基礎も金工の基礎も中途半端になってしまいます。基礎を疎かにしてものづくり人材を育成できるはずがない。後は発明工夫の活動くらいです。でも、土日の子供を預かる活動でしかないのが実態では?

    はっきりいって、企業ごとに必要な技能は異なるのだから、人材教育は企業が行うべきだと思います。学校は企業が求めるものよりも低い、他業種でも必要となりそうなものしか対応できないと思います。2年とか3年とかその企業が人材育成するための金銭的な補助とかがあるといいかもしれないけど、無理だろうな。

  3. あきたないん より:

    皆さん御存知とは思いますが、この報告書は県職員が書いたものですから、いかにも有りそうなフィクションです・・

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