秋田県のもったいない話

30代で秋田に移住(戻った?)した際に決断した理由の一つに秋田県の持つ自然環境の多様さとアクセスの容易さがあった。当時は若いので仕事しながら案外手軽に趣味の世界も満喫できるだろうという読みがあったのだ。まあ、現実は仕事の面では秋田ではお客さんがほとんどいなく、その後も目論み通りには増えなかったため当然ながら仕事・生活優先で軸足を海外に移したのだが・・・。

東京でサラリーマンなどしているとアウトドアな趣味は非常に困難。相方と2人でやや都心から離れて住んでも週末に車で海なり山なり川なりに行くには時間がかかり帰りは渋滞覚悟がお約束でついつい億劫になるか近場のSCに行くかで潰してしまう。北関東のヤンキー状態(^^)。
都会でコンクリートや人口の照明の中で仕事をしているとやはりどこか精神的におかしくなる。そうでない生粋の都会っ子もいるが、筆者の場合は小2から高卒まで秋田で暮らしたためかやはりOn/Offが必要なことはわかっていたし、社会人になってからのイギリスやドイツでの生活がそういう欲求を強くしたように思える。留学先の大学は中世の古城跡で周囲は川を利用した堀で囲まれていたためボートが盛んで学生達は講義や研究の合間によく遊んでいた。
秋田でずーっと暮らしている人は秋田の自然環境が日本国内でも案外指折りのバリエーションを持っていてリッチなことに気付かないかもしれない。
秋田の自然とはいっても『放りっ放しの原野』みたいなものでもっと手が加わった人工的なものが欲しいという気持ちも十分わかるし、名のある観光地の土産屋や食事をする場所についてもどうしようもなく昭和の香りのするお洒落とは対極にあるものが多く魅力的とは言い難い。
ところが、秋田の場合は様々なフィールドの選択肢が非常に多く(秋田市あたりからの)アクセスも非常に好条件なものが多い。
ついでに言えば、平日でも(筆者の会社では秋田に事務所を置いていたときは昼休みを2時間にしていたので)車でちょいと郊外に昼飯を食いに出かけたり、場合によっては温泉にもいける。車で20分も走ったら誰もいない場所で静かに昼寝もできる。こんな仕事の仕方は東京では絶対に無理で、これは当時東京の仲間たちから相当に羨ましがられたものだ。

もちろん、アウトドアスポーツといっても世界的なレベルのスポットがあるかと言われればそうでもないし、スケールの大きさという点ではプロが満足するようなものは多くはないだろう。
筆者の趣味、(腰を痛める前の)テニスやジェットスキーや釣りや山登り、ダイビング(これは秋田に来てからは止めてしまった)はそれぞれ海外の有名なスポットでも経験があるが、そういう場所はお金溜めてたまに観光を兼ねて行くところだろう。
秋田には個人や仲間内でいくつか趣味として複数やるには十分すぎるフィールドしかも身近に手軽に行ける場所が結構あるのだ。

【海】(砂浜も岩浜もある)
ヨット、ジェットスキー、水上スキー、ダイビング、釣り、波乗りはちょいと難しいかもしれないがウィンドくらいなら。
※ヨットは本気で買おうと思ったが長男が産まれ断念(^^;)
【山】
山歩きならほとんどどこでも。森吉や和賀山地などは年取っても楽しいだろう。森林限界より上の登山やクライミング、ボルダリングのフィールドはやや秋田県では難しいが鳥海山や秋田駒などは登り方によってはなかなか奥深い。
MTBやMX
冬はスキー、ボード
※素人目からは狩猟も何か特別なエリアでやれそうに思うのだが。
【空】
男鹿半島あたりのパラセール、パラグライダー他
熱気球(横手のほうで小規模なイベントを毎年やっていたかな?)
グライダー
【川】(めぼしい大きな川が3本もある)
田沢湖近辺でのカヤック(専門じゃないが玉川でコース作れるんじゃないかな?)、大きな川でのカヌー(カナディアン等も含めて)、釣り
【湖・ダム湖・運河】(これがなかなか他県では無いもの)
ダイビング、ジェットスキー、水上スキー、カヌー、釣り
【平地】
ゴルフ、テニス、ソーラーカー他

これだけのアウトドアスポーツのフィールドが身近に揃っているのは全国でもそうそう無い。嘘だと思ったら調べてみてください(^^)。

それぞれごく少数の地元の愛好者がやっているのは知っているが、案外県外からの人間が多いのも事実。観光資源としてのもったいなさはそこにある。
20年くらい前、雄和から河口まで雄物川を自由気ままな筏下り(競技部門もあったはず)をするイベントがあったのだが、何回かやった後に消えてしまった。(筆者は消えた理由は知らない)
ああいうのがもったいないのだ。この意味では増田のタライ漕ぎイベントは伝統(?)もあり継続しているのが実に立派だ。漫画美術館とタライ漕ぎのどちらがイベントの話題性や地域の活性化に寄与するか誰でもわかりそうなものなのだが・・・。

もっと小・中・高生や大学生にそういうアウトドアスポーツに関する支援をしたらどうなのだろう。(道具に結構お金がかかるものもあるため)
例えば、男鹿海洋高校では今年の夏いわゆる『ダイビング甲子園』が開催され総合優勝している。
大学の水上スキーのインカレ(正式には桂宮杯全日本学生水上スキー選手権大会)が大潟村で今年も行われたが、ここで過去何度も開催されているのを知っている県民は多くないだろう。実は水上スキーの競技は大潟村以外には大分の耶馬溪アクアパーク、茨城のMGマリーン鹿島水上スキーセンターくらいしか開催できない。
せっかくこんな大会が行われているのに地元ではほとんど知られていないし参加者も県外の人間(学生やOB)ばかりで地元の人間は物珍しさだけの見物人に過ぎない。

少子化で中・高生には人気スポーツであるはずの野球、サッカー、バスケ、バレー、柔・剣道などのコンベンショナルなスポーツ(特に団体スポーツ)が難しくなってきている。
人口が多い都会と学校単位で競っても全国大会等に出るたびに負けたでは子供達もかわいそうではないか。『あー、人口が少なくなると選手層が薄くなりこういうことになるんだ』と悲しい現実を身を持って教えるだけである。
そうではなく、秋田の持つリソースを最大限利用し、都会の連中とは違った土俵で勝負させてやったり、地元で楽しむ競技ではないスポーツができることを再認識させることはある意味郷土愛の醸成にもつながるはず。
さらにそういう同好の仲間は国内だけでなく世界に広がる。

エバンジェリスト、指導者がいないならばそういう人材を国内外から公募なりスカウトして移住してもらったらいい。これといった地場産業の無い秋田にただ単に『移住してくれ』とどんなにアピールしても無駄だ。スポーツの指導者ならばそれが即雇用機会にしてあげられるではないか。
競技者あるいは愛好者が増えれば自ずとそのフィールドにショップや飲食店が出来たり、イベントが起きたりするものだ。
アンドキュメントな文化が大半の秋田で地元の人間にもわけのわからない『アートや文化で地域興しを』などと夢物語を追うのもいいかもしれないが、現実的に交流人口増加や地域の小さなビジネス興しにはこういったアウトドアなスポーツを中心とした若者を中心にしたムーブメントが期待される。

競技スポーツとなると体協や中体連、高体連が出てくるわけだが、そういう天下り組織が必要なら新たに地域スポーツ協議会でも作るとかクラブ制度を作るとか行政がきっかけを作ってやることも必要だろう。
貧乏臭い長靴スケートだのホッケーだのターゲットバードゴルフ、グランドゴルフなどの年寄り向けの『のようなもの』をやらなくても秋田には世界に同好・愛好者のいる本物のアウトドアスポーツのできるフィールドが沢山あるのだ。

観光文化スポーツ部とかいうのは国文祭が終わったら解散かな?
首長などに体育会系の自らこういったアウトドアスポーツを楽しむ人物が必要かもしれない。脳梗塞の後遺症で顔が半分麻痺しているような首長はさっさと引退して猫と遊びながら養生してくれたほうがいい。由利本荘市は市長が体育系だが、剣道という屋内競技で『ワイワイ皆で楽しむ』のとは対極の伝統文化のため理解は難しいかもしれない。

プーチンのようにマッチョでワイルドなものをアピールする必要はないが、せめて秋田の自然の中でノンビリとカヌーでも楽しめるような首長が理想かもしれない。
本当にもったいないんですよ、秋田県は。

 

 


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秋田県のもったいない話 への8件のフィードバック

  1. きりたんぽ より:

    秋田県に引っ越してきた当時は今もそうですが、
    海や山などの神秘的なすごさには感動します。

    先日、行われた田沢湖マラソンなど県内各地でこの時期に行われている行事など
    全国からのランナーや観光を含めた参加者が大勢いました。
    まだ私は参加したことはありませんが、参加者の方からお話を聞くことができました。

    ここでしか味わえない自然の空気を吸いながらの
    景観の中を走ることで一体となれるわけですから、健康を目的としたものだけでなく
    ストレスなど脳の疲れも取れますからね。
    そして最近は自転車を乗る人が増えていますね。
    自然の中で走る快適さはたまらないと思います。

    さらに極端な山間に行かなくても、
    郊外などにある湧き水が普通に飲めてしまう環境ですからね
    すごいですよ。

    意外と地元の人には当たり前の光景で気がつかないかもしれませんが、
    自然のない場所で生まれ育った私にとっては
    例えば秋田港で輸入・輸出でコンテナを専用のクレーンで持ち上げて運ぶ姿にも
    魅了されてしまいます。他にも玉川ダムの迫力でしょうか、以前に写真を撮ったこともありました。
    自然の場所でしか存在できない人工的なものにも心が動きますね。

    • argusakita より:

      きりたんぽさんがどちらの生まれなのか存じませんが、秋田の自然の素晴らしさをわかってくれているのは嬉しいです。
      海で普通に海水浴などで遊べるのは秋田がほぼ北限(青森の日本海側南部もちょっと)ですし、森林限界がだいたい1,600mくらいというのは山歩きが好きな人にはもってこいなんです。植生の変化がよくわかりますから。

      少し人工的なものがあれば秋田もずいぶん違うのですが、案外ちょっとの変化で事足りるというのが私の持論です。
      冬場の降雪・積雪の多さを除けば夏冬の季節の違いのメリハリが大きいのも大きなメリットなのですが・・・。
      生活の中で冬場の降雪・積雪さえ克服したらこんないい田舎国内では滅多にありませんよ。秋田市以外の郡部に住んでいる人の不便さや不満もよくわかりますが。

  2. blogファンその1 より:

    自然のバリエーションが多いと言われればそうかもしれませんが、どれを取ってもイマイチ盛り上がらないのは何故でしょう。
    施設や環境を整備したりするお金の問題だろうなとも思いますが秋田の場合はどうもそれだけでも無さそうな気がします。

  3. 若おやじ より:

    はじめまして。
    いつも大変感心して拝読しております。
    今回のは特に、全く同じことを感じていたのでコメントさせていただきました。

    秋田へ移住して10年近くになる関西人ですが、
    今でも秋田の自然環境のすばらしさ(もったいなさ)を感じる毎日です。
    ちゃんとした仕掛けさえそろえば、全国屈指のアウトドア王国になる
    素材だと思うのですが・・・

    なかなか民間主導では採算ベースに乗らないようなので(決意とやり方次第だとは思いますが)、
    私の妄想として
    ①AIU付属高校の設立(ティーンエイジからの英語教育+登山・スキー・カヌーなどの「自然で生き抜くための」体育授業など)
    ②アウトドア大学校の設立(インストラクション・マネジメント教育)
    といった、教育とからめた行政主導の取組などを考えています。

    西日本の方からすれば「秋田」は東北の代名詞的存在で、
    自然環境や伝統文化という点でとても優れたブランドイメージがあります。
    これを生かさない手はない!と思います。

    • argusakita より:

      若おやじさん、はじめまして

      長距離移動が入って、replyが遅くなりました。
      感心して読む ×
      呆れて読み飛ばす ○

      関西からですか。Youは何しに秋田へ? (^^) と聞いてみたいですが、カルチャーショックはきっと10年くらいでは解消されないでしょうね(^^)。
      ウチの相方(西日本産)なんかは、結婚するまでは北陸トンネルの向こう側(北東)は新潟も山形も秋田も青森も正確に言い当てられないくらい無関心でした。
      秘境秋田(^^)のどこが関西の人には有名・人気でしょうか?

      >全国屈指のアウトドア王国になる素材だと思うのですが・・・

      そうなんですよ。
      ただ、遊ばない(遊べない)親達の子供はやっぱり遊ばない(遊べない)、この繰り返しのために地元ではアウトドアライフ、スポーツはごくごく一部の人に限られています。
      他所を知らないというのも大きいし、地元メディアもそういう発掘はしませんからね。

      学校絡みは少子化が加速している今はちょっと無理っぽいかもしれませんね。
      塾というか街なかのクラブ程度でしょうか。
      取っ掛かりは行政に資金出させたいですが、その後の管理などは完全に民間にしないと単なる天下り組織になりますし、秋田のマリーナのように指定管理者制度で芽を潰されているものや八橋のスポーツ科学センターのクライミングウォール(岩城の青少年村にも小さいのがありますが)のようにほとんど使わせない残念なものもあります。

  4. 屋内スポーツ愛好者 より:

    おはようございます。初めてコメントします。
    地元民なので正直言って秋田の自然がそれほど価値があるかどうかに関心を持ったことすらありませんが、言われてみれば東北6県で考えても確かにバリエーションはありますね。
    国文祭という全国的な学芸会をやっていますが、あれくらいのマイナーなものでいいくらいなら秋田で夏と冬1ヶ月くらいずつアウトドアライフやアウトドアスポーツのお祭りでもやったらいいと思います。

    いろいろなものをまずは体験できることが必要なんだろうと思います。
    できれば子供の頃からがいいのですが、道具や移動手段でお金がかかるものは秋田の所得水準を考えるとなかなか。
    この辺を最初ちょっとだけ行政が後押ししてくれたらどうなんでしょうね。
    アウトドアを目玉にしてくれる町村なんかがあったらおもしろいと思います。

  5. ばんそうこう より:

    着眼点が素晴らしいと思います。確かに「言われてみれば」まったくその通りです。私は県南の内陸部に住んでいますが、子どもが小学生のころは年に20回は堤防釣りをしに、にかほの平沢漁港やセリオン下などに出かけていました。山登りも子どもがまだ小さい頃おぶったりだっこしたりしながら秋田駒に登ったことがあります。渓流釣りや狩猟をやっている人にとっても、素晴らしい場所だと思います。ヨットに関しては、実は干拓前の八郎潟が最高だったと思います。今でも可能でしょうが、大潟村が艇庫の整備をして村民のレジャーとして育成したらおもしろいと思います。震災前の松島湾ではジュニア・ヨットクラブが非常に活発に活動していました。他のレジャーもそうですが、機材・器具が高いので、レンタル部門を充実させないことには話になりません。その点、確かに不親切だと感じます。男鹿半島のシュノーケリングや豪雪地帯の大区画水田を利用したスノーモービルなどもおもしろいと思います。

    • argusakita より:

      馬鹿まじめに『金儲け』『お仕事だけ』は都会に任せて、地方はもっと自由に『遊び』『遊び心』を持たないと。それが強みなんだし、都会には絶対に真似のできないものなんですがねぇ・・・。
      巨大な儲けが生まれるわけじゃありませんが、『遊び』や『遊び心』から生まれる実経済(金が回るという意味で)ってのもあるのです。そのうち付加価値もついて来ますから。

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