統計学のすすめ

ここのところ毎日のようにウィーンから1,2時間で飛べる欧州の都市に行ったりきたりで忙しく、今週から欧州は冬時間になったことをうっかりして一度だけ時刻を間違ったりして失敗。この時期たまにうっかりするのだが、早く欧州全体もロシアのように冬時間廃止でやって欲しいものだ。(冬時間・夏時間変更の合理的理由は無いと思うのだが)
飛行機の移動は少々面倒だが、こちらではLCCが当たり前で主要都市間が5,000円前後で乗れたりするので長距離バス感覚。確かにこんな状態じゃCIQもおざなりになってエボラみたいなのが貧困層に広まったら中世のペストなど問題にならないくらい急速、大規模なパンデミックが起きるだろう。(だいたい、欧米人はアフリカ人と同様に手洗いの習慣が少ない)

そんなわけで、飛行機の中ではもっぱら本を読んでいる。日本から持ってきたり送らせたりしたものが事務所にだいぶ溜まってきて、何故か本を棄てられない性分のため事務所の一角を徐々に占拠しつつある。
一昨日から読んだ本で『統計学が最強の学問である』(西村啓)は最近読んだ科学系(?)の本でも5本の指に入るくらいおもしろい。
科学系とはいっても統計学の数式などは挿絵以外にはほとんど無く、理系の人間でなくとも、むしろ文系の人には絶対お奨めだ。
筆者の以前からの自論だが、理系や文系に分かれる前につまり小中高生の時代に統計学の基礎や応用を一つの教科として数学的な知識の段階に合わせて勉強させるべきだと思っている。微分・積分などの19世紀の数学よりも遥かに有益だ。
社会人になってメディアや行政が発表する統計やその数値に対する理解が可能であれば世の中の仕組みがわかったり、逆にあらゆる仕事で数値を持って話をすることは説得力があるからである。
どこかの田舎の首長は理科系の高等教育を受けているはずだが数値を持って県民に話すことはほとんどせず、常に感覚的・情緒的な曖昧な話ばかりだ。たまに公約で『最初の2年間に5,000人の雇用創出』(2期目の公約)などと思いつきで数値を出すとその残りの期間(あと5ヶ月)で到底達成不可能が見えてきて自分の首を絞める結果になっている。
(どうするんだ? 殿様。お詫びではすまないぞ・・・と)

ただし、何でもかんでも数値を使ってあるいは統計数値に頼ればいいかというとそうではない。(これが大事)
統計数値特に割合、%で表されているものはその事実の解釈がなかなか難しいことも多いし、分母や分子が何なのかをよく見極めなければ全く違う解釈すら可能だ。全数調査なのかサンプリング調査なのかや、いつの統計なのかなどは神経を使わないといけないこともある。
アンケートなどもそうだが、結論ありきでそれに説得力を持たせるために数値を作り出すことも統計学の手法によって可能で、このあたりは理系というよりも文系の人間のほうが上手そうだ。

例えば、アベノミクスがだいぶ批判に晒されてきたが、肝心の第3の矢がなかなか形にならずフラフラしてきたため、アベノクス=単なる財テク(ちょっと懐かしい単語)と見る向きも多くなってきた。この財テクというのを可能なのは日本人全体の中でごく一部である。
財務省の統計からは、年収1,000万円以上の日本人は全体の約5%(ただし公務員や企業経営者を含まず)、ところが日本全体の個人からの税収の約49%がこの5%の人間たちが負担している。アベノミクスの本質はその辺にターゲットを置いているのだろう。
残りの95%の日本人の税収を上げる、即ち稼げるように・消費するように政策を行うことよりも5%の人間がそうなるようにしたほうが徴税の効率が良いことは子供でもわかることだ。
そんな現実の数字を見せられたら日本人として個々がどうしたら良いのか自分なりに考えることもできるはずだ。

ちなみにこの『統計学が最強の学問である』にはこんな一節がある。
<次の食べ物を禁止すべきかどうか考えてみましょう>
・心筋梗塞で死亡した日本人の95%以上が生前ずっとこの食べ物を食べていた。
・強盗や雑人などの凶悪犯の70%以上が犯行前24時間以内にこの食べ物を口にしている。・日本人に摂取を禁止すると、精神的なストレス状態が見られることがある。
・江戸時代以降日本で起こった暴動のほとんどは、この食べ物が原因である。

正解は『コメ(米)』である。こんな統計を持ち出してもコメを禁止にはできない。

統計学のおもしろさと統計数値の解釈の危なさと対策(?)を教えてくれる秀逸な本である。

※同じ著者が最近この『実践編』も出版した。

 


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統計学のすすめ への3件のフィードバック

  1. きりたんぽ より:

    先日、カジノ関係の新刊読みましたら、カジノ施設は世界に140ヶ国に渡り
    全部で4325施設ありまして、年間の世界の合計売り上げが10兆円を超えるそうですが、
    日本のパチンコのみの年間売り上げが軽く倍の20兆円ですから、おそろしいものですね。
    90年代後半はパチンコは30兆円超えてた最盛期もありました。

    沖縄県知事選挙、翁長氏に当選しました・・・・・ 終りましたね沖縄県。
    さらに那覇市長選挙、城間氏に当選・・・・・・・ これまた終りましたね。
    支那の一部に確定しました。
    いまや沖縄は支那よりも言論の自由がなく、琉球新報や沖縄タイムスが
    人民日報など新華社通信になっています。
    この琉球新報や沖縄タイムスはかなりの負債額がありますが、
    支那マネーが支えている状態です。
    沖縄県の若者ではなく高齢者がこの選択をしている事実を知らないといけませんね。

    • argusakita より:

      沖縄の知事選の最終投票率64.13%(前回60.88%)というのが民意を反映しているのかどうかは微妙で、反映しているともしていないとも見かたがありそうですね。
      少し時間が経てば年代別の投票率なども出てくるでしょうが、沖縄県民のホンネはよくわかりませんね。
      辺野古移設反対の動きが大きくなってくれば、かつての成田闘争の再現かもしれませんね。

      そういえば京大で中核派を巡っていざこざがあったようですね。
      半世紀前のデジャブを感じます。
      と、見ているのが我々年寄ですが実は公安なども時代の繰り返しを相当に危惧しているかも。
      半世紀前と違うものが確実にあるのです・・・インターネットです。

      • きりたんぽ より:

        沖縄の選挙結果も衆院選挙にも影響しますね。
        選挙の材料が多く感じますね今度の衆院選は・・・・・・・

        最初は何が京大で起こったのかわかりませんでした、
        公務執行妨害のようですね。
        インターネットで垣根がなくなり、同じ地域に住んでいながら情報格差が
        ものすごいです。

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