車販売不振や住宅着工戸数低迷は消費税の影響だけではない

夕方歩いているとこちら(ウィーン)は結構寒い。そろそろ日中最高気温も10度をなかなか超えない日々になる。秋田も似たような天気らしいが、そろそろ雪だろうか。

今日発表されたGDPのデータに影響が小さくない自動車や住宅着工戸数はマイナスが大きいがこれが消費税の影響だけではないと筆者は感じる。
マクロ経済ではこの2つは関連産業、企業数が多く波及効果が大きいため経済対策でも減税やエコポイントなど都度都度あれこれ措置を講じているが、この伝統的なターゲットが実は既にピントが外れているのではないかと筆者は考えている。

野村総研のレポート国交省の発表資料などを見ても、例えば住宅着工戸数の『前年比伸び率』といった%で語られている資料が多く、伸び率での改善が見られ明るいように見えるが実はよく見ると絶対数ではさほど増えてはいないことが明らかで、新設住宅着工戸数などは1990年代には150万戸に近い数字だったが、リーマンショック前の100万戸に未だに届いていない。数字上は大震災の影響は大きくはない。

大きな理由は考えれば誰でもわかることだが、
・人口減少
・雇用の非正規化による資金不足(貯金できない。長期ローンが組めない)
が大きな理由だろうが、ここに消費税の駆け込み需要の反動などが重なるため数字が悲観的になる。
しかし、消費税が仮に8%が続くあるいは5%に戻る(あり得ないだろうが)ことがあっても上記2つの大きな要因がある以上住宅着工戸数(特に戸建住宅)が劇的に改善していくとは思えない。

3年前のあの大震災で津波に流されていく多くの戸建住宅を日本中がライブで見ていた。
残った建物はRCやSRC造の建物ばかり、ただしそれらも再度利用できるかどうかも不明で、自然災害のデパートとも言える日本列島で木や紙でできた日本的戸建住宅がいかに無力か、住人を守ってくれないかをしっかり見たはずだ。軽量鉄骨やプレファブでもあの震災クラスでなくとも少々大きな地震や豪雨災害でもほとんど無力なことを多くの日本人が再認識したはずだ。
さらに最近では広島の土砂災害で危険性が指摘されていたエリアに無理矢理宅造した場所の住民が犠牲になったが、あれは本当に気の毒で人災とも言えそうな印象だ。

欧州の人間たちと話していると住宅に関する概念や価値観が全く異なることに気付く。彼らは石やレンガ造り等の100年、200年大丈夫なような建物で内部の人間を守ることを主眼においているように思うが、日本の場合はそうではなく定住地の『場所・空間の権利』を重視し、災害にはあまり耐えられないいわばキャンプのテントの延長程度の建物を善しとする。せいぜい50年もつかもたないかの住宅が一般的だろう。
よく木造住宅で『日本の高湿度の気候にあった日本の伝統的住宅』などというウリを聞くが、既にエアコンなどが一般的で外気温や湿度など気にしない生活は可能だし、むしろ密閉性が高く開口部の少ない住宅(北海道仕様のような)のほうが暖冷房のエネルギー効率から言っても経済的だ。構造材が木材のみなどというのは既に時代遅れだ。
本当に100年、200年持つ日本の伝統建築(例えば白川郷のような)もあることはあるが、一般の人間が出せる金額では到底無理だろう。

子供が小さいうちは走り回るためマンション等の集合住宅では何かとトラブルも大きく、それを考えて戸建を建てる人も多い。実際筆者も子供とペットは大きな理由だった。
いつか一国一城の主という刷り込みが日本の戸建住宅着工戸数に反映されているとは思うが、それが災害の多さによって少しずつパラダイムシフトが起きているのではないだろうか。この刷り込みは団塊の世代の遺産だろう。
個人で不動産資産を持つことの意味をそろそろ多くの日本人、特に若い人が考え始めたらこのパラダイムシフトは加速する。
ロクな給与も無い中で何十年にも亘るローンを組み、生活を楽しむことを我慢して、挙句の果ては担保価値も全く無いような土地と壊すのにも相当の金額がかかる建物が残る。ましてやその途中で自然災害によって破壊されたら人生滅茶苦茶だ。
無論、金が唸るほどある人はポンとキャッシュで買って建てたらいいが、そうではない人が借金してまで土地を買って戸建を建てると言うのは実にリスキーなことである。

秋田市の住宅用土地価格で最高戸額なのが広面の西谷地だそうで苦笑した人は多いはずだ。あの辺や泉のあたりは大きな地震が来ると液状化が予想されているエリアである。泉や外旭川あたりは1mも掘ったら水がジワーッと出てくるそうだ。液状化を考えたら恐ろしいことだ。木造や軽量鉄骨の住宅が液状化によってどうなるかは千葉の幕張にでもいけば沢山見られる。
コンパクトシティなどと大きな構想を持たずとも、高齢化や災害を考慮したら都市部だけでなく農村部でもRC、SRC造の集合住宅に住宅を集約していくことが合理的なはずだ。

車についても人口減少や賃金の問題もあるだろうが、筆者は日本ではもう『カッコイイ車』が滅多にないことが別の理由だろうと思っている。
好みもあるのだろうが、筆者の場合は幼稚園児がダンボールで作ったような四角いワンボックス(しかも軽自動車)が欲しいとは絶対に思わない。(^^)

一戸建てに住み、マイカーを持ち・・・といった団塊の世代が作り上げた中流意識や価値観に基づいた消費行動が徐々に変化してきていることを国は知っているはずだが、その仕組みにできるだけ多くの国民を組み込むことがマクロ経済の好循環をもたらすはずという図式はどうしても捨てられないようだ。
秋田杉の木造住宅を推す秋田県などはそんなことを考えているだろうか・・・。

 


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車販売不振や住宅着工戸数低迷は消費税の影響だけではない への2件のフィードバック

  1. blogファンその1 より:

    原野みたいな土地価格の秋田で戸建を借金して建てるのは本当に無駄だと最近思います。
    しかし、車や住宅のような大きな買い物を個人がしなくなったらGDPの内需は一体何が取って代わるでしょうか。
    確かにどこか価値観というかフツーの人生設計が刷り込まれている感じがしますよね。

    • argusakita より:

      いよいよ日本ではトヨタが燃料電池車の市販開始らしいですが価格が700万程度とか。
      こんなのが大衆車になるのは当分先のことでしょうし、むしろ軽自動車より排気量の小さなULVみたいなのが大衆車にならないとだんだん若い人も車が買えなくなるでしょう。
      (確か来年から軽自動車優遇税制無くなりますよね)

      住宅も購入ではなく賃貸が当たり前になってくるでしょうから、日本人の人生で大きな買い物みたいなのが何になるかが案外日本経済復活のカギかもしれませんね。

      私などは、マンション暮らしで郊外にいざというときに自分の食料を少しでも作れる畑を持つのが理想だと思っています。
      案外、農地購入が大きな買い物になるかも。同じようなことを考えている人も農地の証券化などが進むかもと言っていました。
      無論、農地法などの古臭い農業関連法規がどんどん改正されていく必要があるわけですが。

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