地方創生ヘリコプター・マネーは自治体ではなく町内会に

最近、地方創生という言葉だけが独り歩きし石破大臣などもことあるごとに『地域の特性を生かして』というハンコで押したような方針を語るが、さっぱりピンとこない。
『まち・ひと・しごと創生法案』は近年稀に見る漠然とした作文である。『地域再生法の一部を改正する法律』のほうはやや具体的だが新規性は当然無い。地方の知恵が試されると言われるが、『痴呆の知恵』かと。そんなものがあったり首長にセンスがあれば秋田だって現状のようにはなっていないはずだ。とにかく、法律が出来たから出てくるものではない。

日本は国土の可住面積は狭いながら、1億3千万(先進国では米ロに次いで3位)も人がいて平成の大合併でほぼ半減したとはいえ市区町村が1,741もある。
筆者の拠点であるオーストリアは連邦制をとっていることもあり事情が異なるが、州の数は8+ウィーン、市町村は2,360もある。ちなみに総人口は840万人(大阪府とほぼ同じ)と少ない一方、可住面積は山が多いため少なく平均人口密度は日本の1/3程度である。
島国ではなく隣接する国々との往来があるため国民の地域性が実に様々だし、地方の街にもそれぞれ個性が感じられる。

日本は島国で1,000年以上に渡るそれぞれの時代の中央政府による国土、国民の『京都化』『江戸化』『欧米化』といった均質化を目指してやってきたため、教育、道徳、価値観などが真逆といった地方が皆無で言葉や食文化や伝統行事等を除けばほぼ均質になっている。
散々この均質化を目指し、その均質化のメディアンとしての東京でリソースを集中して(搾取して)飛びぬけた付加価値を上げてきたわけで、地方自治体も地方・地域の例外や事情(それこそが地域の特性)を可能な限り潰してそのメディアンに近づけようとしてきた。国民に対しても教育によって均質な価値観(例えば土地神話、持ち家信仰、車所有、学歴偏重といった価値観)を刷り込み、それに付随する産業を内需として育ててきた。
しかし最近は自然災害の多さから土地家屋等の不動産を個人で持つことのリスク、不自由さ不利さの認識が大きくなりつつあり、車を買わない若者が増加してきた等GDPに大きく影響する傾向(住宅市場も自動車もそれぞれGDPの5%弱)も見え始めている。政府もマスコミも新たな成長戦略よりも従来の成長の柱のいくつかが壊れつつあることにあまり目を向けないのはどこか恣意的なものさえ感じる。
そんな長年の均質化の歴史をひっくり返すかのような『地域の特性を生かした・・・』という枕詞は、本気なら非常に画期的なことかもしれないが、今更というか地方からは梯子を外されるかのごとくの印象もあり非常に胡散臭い。

国が何をしてくれるか、予算をいくらつけてくれるかではなく、こういうことがしたいから応援してくれという自治体に支援をするといった主旨の発言を石破大臣などが盛んに言うわけだがこれをまともに取る自治体の首長などいるものだろうか?
あの無為無策とされる殿様知事でさえ『国の本気度を様子見』と言っているようだ。

秋田の地域の特性・・・? ご覧の通りですとばかりマイナス、ネガティブなものが多すぎて、何か一つ、例えば少子化・人口問題を逆手にとって何かをと思っても、出産場所が限定される医療環境の地域差、教育機会や水準格差、雇用・就職機会の希少さと次々に連鎖する負の要因が襲ってきて前進できない。一点突破ということが非常に困難なほど問題が複雑化・関連している。
行政としては従来やってきたものを『止めます』『切り捨てます』というのがご法度のためリソースの重点化や集中ができず、かつ予算総額がジリ貧のためソロバン勘定から事業・施策の現状維持が最低限の目安となり公務員の人件費を除いた新年度予算を見ると目も当てられない。総花的な施策は言わば幕の内弁当で、それがそっくりそのままサイズが徐々に小さくなっていく様を見るようなものである。全体で手をつなぎながら貧困化の坂道を下る図式である。

かつて行われた竹下内閣当時の1億円ばら撒き(ふるさと創生事業)はばら撒きの対象が基礎自治体だったが、今度は自治体にばら撒くのではなく、町内会・自治会にばら撒きをしたらどうだろうか。

日本では戦後GHQにより町内会が禁止されたため全国的には町内会という名称よりも自治会という名称が多いらしい。(東北は何故か逆)
秋田県の場合は、少々古いが2008年の総務省のデータでは、
町内会 2,124
自治会 1,339
町会 7
部落会 862
区、その他が942
で合計5,274ありそのうち認可地縁団体は657となっている。認可地縁団体は地方自治法に基づいて自治体の首長の認可を受けた許可団体である種の不動産の登記なども可能である。(認可を受けない町内会は単なる任意団体)

自治体では吸い上げられない町内会や自治会の要望を吸い上げて地方創生のヘリコプター・マネーをばら撒く。1億円事業の時の約70億円(秋田県)と同程度の予算なら、町内会5,274団体に分配したら130万円前後か。金額が倍くらいになっていても不思議ではないため200万は固いだろう(まあ国民の血税だが・・・) 。しかし、過疎地には傾斜配分が望ましいし、認可地縁団体だけとなればもしかしたら1,000万以上は受け取る格好になるはずだ。
こうすることで、本当に細かなその地域の要望が出てくるに違いない。
通学路のため街路灯がいくつか欲しい地域もあるだろうし、山の斜面に出来た先祖の墓地の法面の修復整備に使う地域もあるだろう。保存・引継ぎも不可能になりそうな伝統行事のために使う町内会もあるだろう。実際、土崎港曳山まつりなどは既に町内によっては経済的な事情で曳山が出せない町内もあるではないか。若干の基金を積むことで曳山が出せるようになれば祭り全体もスケールが維持できるのではないか。まあ200万程度では継続的な曳山は厳しいかもしれないが、1,000万なら話は少し違うだろうし別の形で参加する方法もあるだろう。
有形文化財などほとんど無く無形文化財中心の秋田県の場合はこのテのアイデアが多そうな予感がする。

どうせ他から見たら一見無駄に見えるものばかりだろうが、住民登録がベースになっている町内会や自治会を構成する住民達がばら撒かれるヘリコプター・マネーを巡って皆で議論することに意義があるのだ。今まで町内会や自治会がゴミの問題や日赤の献金の集金等の活動だけだという理由で参加を好まなかった若い人たちもこれを機会に自分の居住地域について少しだけ考えることができることが重要なのだ。
市町村はヘリコプター・マネーの事務的窓口と情報交換・紹介窓口に徹して内容には関与せず、ばら撒きの対象(受け皿)を町内会・自治会にすることが重要ではないだろうか。
マンションの住民を町内会に引き入れるにはあれこれ方策がある。

無尽講やあれこれ納税組合だのわけのわからない任意団体が『しがらみ』の象徴のような郡部ではこの案は強烈な反対をされるだろうが任意団体ではなく許可団体となれば多少話は違うだろう。(^^)
秋田県の場合は秋田市に限ったものでもいいか・・・。

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地方創生ヘリコプター・マネーは自治体ではなく町内会に への14件のフィードバック

  1. 違ってたらごめんなさい。私は以前に地方創生は安倍がライバル石破を座敷牢に繋ぐために考えだしたものとここのコメントに書いた覚えがあります。それは多分間違いではないだろうと今も思ってます。
    支えてくれる官僚もほとんどいない特設大臣であるため、途方に暮れた(と思われる)石破氏は、小泉進次郎の提言を丸呑みしたそうですが、(記憶に頼って記入しているので間違いがあったらすみません)それによると、こんなことをやりたいとアイディアを出した自治体に、中央の官僚を送り込む、という案だったような気がします。もしこれが地方創生の中身なのだとしたら、出世の見込みの少ない官僚たちを地方に送り出す仕組みで新たな天下りといえるのではないかと思います。

    秋田県の場合は、確か何人かいる副知事の中にそのような人たちがいたような気が・・・。

    自治体でなく町内会でという案は面白いのですが、東北大地震で、復興しても過疎地である場所の復興があまり進んでない状態を見ると、実現性は少ないのかなという気がしてます。

    • argusakita より:

      こんにちは。
      石破大臣に関してはその通りでしょう。敵は取り込むに限るわけですから。
      総裁選で石破大臣のほうが地方票が多かったわけで、『じゃあ、地方に顔のきく石破さんにやってもらいましょう』(^^)ってなもんでしょう。
      窓際のようにも見えますが、何か『地方創生』でやらないとダメでしょうから結局はヘリコプターマネーだろうと。
      ばら撒くための事務経費考えたら町内会宛というのは非現実的かもしれませんが、竹下内閣のときと同じような自治体へのばら撒きはプライドが許さないでしょう。

  2. ブルーベリー より:

    秋田県は、以前のように、公金で飲み屋などをやりかねない。
    税金を使った事業は、殆ど大失敗してる。
    全国から学生や起業家を集めて、事業プランのコンペをやり、優秀者に億単位のカネを出した方がいい。

    秋田県は情報が入らず、有能な人材が少ない。
    「自前主義」でやっていたら、永遠に他の地域に負け続ける。

    • ブルーベリーさん、こんばんは。
      大館市では、木杯で乾杯条例が決まっているため、飲食店に貸し出す木杯を税金を使って作ることになりました。大館市の地元紙で発表されたので、多分確定路線です。
      これは飲食店から木杯を準備できないと訴えがあったためらしいのですが、税金で作って貸し出さなくても・・・。

      個人的には、ふるさと納税のお礼の品に組み込み、飲食店からふるさと納税を収めて貰う形がいいと私は思うんですけどね。ふるさと納税した飲食店には、納税のときに還付金という利益があるわけですからね。それでいいと思います。

      木杯が求められないのは、ガラスや陶器と違って綺麗に保つのが難しいというのが一番の問題だと思うのですが、コストの問題も大きいと思います。ならば、値段を下げるような施策を考えるべきで、伐採期の植林杉を値段が安くても切り出すべきと思うんですが、やっぱり無理でしょうね。
      新聞での原木市場は毎回98%くらい売れているみたいです。たぶん売れる分だけ出しているのでしょうね。投げ売りしてくれれば木杯も安く作れるんでしょうけど、・・・無理でしょうね。色んな意味で。

      • ブルーベリー より:

        情報ありがとうございます・・・木杯で地酒の乾杯条例とは!
        酒ばかり飲んでる秋田人が、さらに酒を飲む政策を取ってどうするんですかね?

        観光客が増える訳でもないし、地酒を県外に売るため政策でもない。 
        しかも、木杯を税金で作って貸し出すとは・・・・

        大酒を飲みながら、これまでどうり衰退していくのでしょうね。

      • argusakita より:

        1個いくらくらいで何個作るんでしょうか?

        • すみません。1月26日のおおだて新報で見たのですが、もう捨ててしまったのでわかりません。
          曲げわっぱ協組が1000個、桶樽職人会が200個の計画なのは確かなようですが。

          http://kaneya3647.blog.fc2.com/blog-entry-137.html
          恥ずかしながら拙ブログです。

        • 北鹿新聞のホームページに記事がありました。いずれネット上から消えると思います。先月のニュースですから。

          http://www.hokuroku.co.jp/lastmonth/20150122.html

          県と市が補助金、大館食品調製業者協議会が負担金をそれぞれ60万円ずつ支出する。大館曲げわっぱ協同組合と大館地区秋田杉桶樽伝統技術職人会が基金を創設し、加盟する工房からぐいのみを購入。食品調製業者協の希望業者などに貸し出し、管理・使用してもらう。29年度まで3カ年計画で、2年目以降は希望に応じて製造量を決めるという。

          とのこと。

          1個2000円。やっぱり高すぎだなー。飲食店から要望が出るのもわかるけど、何かが違う気がするのは私だけ?

        • 県外人 より:

          こんばんわ。

          リンク先の秋田杉のグイ飲みの写真見ました。
          なかなかオサレじゃないですか。もっと県外の飲み屋などに宣伝したらいいのに。
          でもせっかくの日本酒のいい香りを杉の香が邪魔するので私なら一輪挿しにしちゃいますが。

          価格やしょぼい製造量が問題ではなく、公金の使い方という点で問題と見る元匿名希望の傍観者の疑問はよくわかります。

        • 一輪挿し、いいですね。

          昔はマスの四隅に塩を乗せて冷酒を飲んでいる、志ん生のような人がいましたが、今はそんなことは勧められませんからね。やっぱり杯としては無理があるかもしれませんね。

        • argusakita より:

          2,000円ですか、工芸品ですね。
          自宅で使うならまだしも飲み屋で誰が使ったかわからない木杯は敬遠されませんかねぇ・・・。

          元匿名希望の傍観者さんのblog拝見しました。
          自作スピーカー、私も学生時代ちょいと短い期間手がけたことがありました。
          でも、結局重要なのはスピーカーではなく部屋だなと諦めダイヤトーンのDS-28Bで落ち着いた記憶があります。
          木材を生かすためにも秋田のBOSE目指してください。

        • 木材を生かすためにも秋田のBOSE目指してください。
          プア(貧乏)オーディオを標榜している私なので、頭の毛が全部なくなる頃になっても無理かも。最もそうなれば別の意味でボーズですが。

          能代市に頑張っているスピーカーメーカーがあります。

          http://www9.plala.or.jp/k2audio/

          でも使っている材は青森ヒバです。秋田杉は建築材にばかり秋田県は目が行っているみたいで、集成材は柱を想定しているみたいで、スピーカーとか日曜大工には使いづらいような気がします。無垢材はいつふしが抜けるか不安な板が多いし、その割に高いし、・・・・。

          外材しか私は買えませんね。

        • argusakita より:

          うーん、羨ましいですねぇ。良心的な値段のような気がしますが趣味と実益はどうなんでしょう。
          どんな部屋でどんな音楽を聴いているんでしょう。
          ひょっとしてJAZZかな?

  3. ブルーベリー より:

    少子化を食い止めた「奇跡の村」
    http://news.livedoor.com/article/detail/8867409/

    「職員は32人で、平均の半分以下の水準」
    生産性を倍にして行政のスリム化を達成、
    道路も住民が作業し、浮かした予算で少子化対策を行った。
     
    無駄な公共事業に予算を割き、行政のスリム化には手を付けない、
    どこかの地域とはあまりに対照的ですね。

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