発電するなら近隣で使う産業を誘致という発想は秋田県には無いか

少々仕事に関係した話題。
ある仕事で現在滞在しているフィンランドのヘルシンキにはなかなか面白いものがある。
やや陰りが見えるもののノキアに代表される技術大国とも言えるフィンランドだが、国教はフィンランド福音ルター派教会(約8割)とフィンランド正教会(1%程度)の二つで国民の教会税で運営されている。このフィンランド正教会の代表的な聖堂にウスペンスキー大聖堂(日本語では生神女就寝大聖堂というそうだ)があり、ヘルシンキ港の傍の丘の上にある。
すぐ目の前にフェリー乗り場や長距離バスのターミナルがあるため船で来る観光客やロシアのサンクトからバスでやってくる観光客がひっきりなしの観光スポット(正教の信者以外にとっては)でもある。
写真は以前、夏に来たときに撮ったものだが内部の荘厳さと緻密さはなかなかのもので、正教の教会独特の空気が感じられる。

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実はこのウスペンスキー大聖堂の地下(約30m)には第二次大戦時に防空壕が掘られ、ずっとただの空間だったが、2009年にその空間を利用してサーバコンピュータを多数置くデータセンターが設置された。ここまではまあまあ普通なのだが、なんとこのサーバコンピュータ群の冷却によって出る排熱を利用して近隣約500世帯の温水暖房に利用しているのだ。2011年に稼動して総合エネルギー効率が発表され、この記録は(筆者の記憶が正しければ)世界でまだ破られていない。一度訪れたときの印象では規模としてはさほど大きいものではない。
内部の写真撮影が厳禁のため、数年前にCNNが取材したときのビデオクリップをリンクしておく。(3:30くらいからこの地下データセンターが出てくる)
サーバコンピュータやネットワーク機器というのは非常に発熱するもので、ノートPCを膝に置いて低温火傷したことがある人は想像がつくだろうが、サーバ設備となると強烈な発熱を伴う。家庭で使う1台2台のハードディスクなら熱くなってもまあ気にしなくとも良いが、100台、1000台となると膨大な発熱を伴う。
Googleの大規模なデータセンターの一つもフィンランドにあるが、ほとんど北極圏に位置する場所に置かれている。
データセンターの排熱利用は家庭の暖房だけではない。
IBMのデータセンターの一つがスイスのチューリッヒ郊外のウィティコンという場所にあるが、ここでは排熱を市民プール(室内温水プール)に利用している。
 
秋田では沿岸部の陸上だけではなく洋上風力発電なども計画されているそうで、将来的には能代火力や秋田火力を考えても電気だけはふんだんに供給能力がありそうだ。
供給能力は膨大なものになりそうだが、問題は売電のための送電設備が無いことで、これが無ければ首都圏などへの供給がおぼつかないため少し前に殿様知事が自民党の谷垣政調会長に直訴したはずだ。現実は東北電力のやる気しだいといった状況だろうか。
送電設備が貧弱なら、電気の需要のあるものを発電エリアに呼んでくるという選択肢もある。
 
水冷にしても空冷にしても秋田の冬期間の冷たい空気はコンピュータの冷却には有利だ。さらに電力消費量を抑えるインテリジェント(スマート)なものにしたハイブリッドなものも考案できそうだ。(この辺はOSを含めて新しい技術と興味深いものがあるが専門的なので割愛)
排熱は温水利用やヒートパイプでも可能だろう。
家庭の暖房(冷房も少々なら可能かも)、プール等の娯楽施設、冬期間のロードヒーティング以外にも魚の養殖植物の栽培などもあるだろう。宮崎のマンゴーは(価格の大部分を占める)石油を燃やして作っているマンゴーだが秋田では排熱も利用できそうだ。
 
20年程前に秋田の某所でデータセンター(当時は雪を夏まで保存し冷却に利用することを考えた)を密かに検討したことがあったが、秋田市でさえ肝心の通信インフラがISDNとADSL(4Mbpsだったか8Mbpsだったか・・・)程度しか無く一部ATMやパケット通信もあったが料金面で全く話にならなかった。コンピュータ自体も現在に比べて何倍かの価格だったため採算など到底無理な時代だった。
データセンターなど無人に近い機械設備だから雇用は生まれないだろうと言う素人がいるがとんでもない。例えば現在のハードディスクは容量こそ大きくなったがMTBFやMTTFが短く壊れやすい設計で例えば200台くらいのハードディスクを使う非常に小さなシステムの場合でさえ毎日のように数台のディスクの不調が発生し交換作業が発生する。これが何千台となればディスク作業要員だけでもそれなりに人数が必要だ。
コンピュータシステムそのものの監視以外にも冷却システム等の監視要員、セキュリティ要員も必要だ。
雇用はそれなりに生まれるのである。
加えて上記の排熱利用産業、施設が併設されればそこでもそれぞれの雇用を生みだすことが可能だ。
 
電気を大量に使う大規模コンピュータ設備をコジェネレーションに組み込んだシステムなどは
・土地がタダ同然(地下などと考える必要が無い)
・冬期間の低温な気候
・売るほど有り余る電力
の秋田にもってこいのプロジェクトなのだが・・・、如何せん現状の秋田は国内の大規模高速通信体系から置いてけぼりのためその面での努力だけは必要だ。
県庁あたりに目利きがいればなぁ・・・。

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カテゴリー: 県政・市政・議会, 社会・経済, 秋田を改造, 科学・テクノロジー, 海外 タグ: , , , , , , , , , , , パーマリンク