JHFCに秋田県が参加することはできないか?

先ごろトヨタ・ニッサン・ホンダが水素燃料電池車の普及に向けて量産型の発表や水素ステーションの整備促進について発表したところすぐにアメリカのWSJ等のメディアから批判が相次いでいる。
トヨタが最も意欲的で電気自動車のテスラ社との提携を終了し、一気に水素燃料電池車にシフトを見せたためこのテスラ社のCEOなども『非常に愚か』とボロクソに言っている。水素の製造コスト、ステーションの建設・運用維持コストなどを試算しても馬鹿げているというのがアメリカの意見らしい。The Car Connetionは『ガラパゴスゾウガメやマダガスカルのキツネザルのように、単なる島の好奇心として残るのだろうか? 』とまで書いている。例えが嫌らしい・・・(^^)
もし日本国内で水素燃料電池車が圧倒的になればガソリンや軽油の必要性は大きく減る。そんなことになればジャパン・プレミアムで買わされている原油輸入も少なくなり困るのは石油メジャーか。早速脊髄反射的な批判のアドバルーンを揚げるのは当たり前か。

筆者に言わせれば、携帯通信の世界ではガラパゴス化によって世界市場に出て行けなかったため『悪いガラパゴス化』は身近な教訓だが、この水素燃料電池車が例え日本でしか普及しなくともこれは間違いなく『良いガラパゴス化』である。
原油輸入という日本社会のボトルネックを他国に大きく依存している日本にとってエネルギーの自給というのは悲願中の悲願である。ついでに中東地域へのコミットも重要性が低くなる。サウジやイランを『友人』と持ち上げなくてもよくなる(多少は)。
エネルギー安全保障に大きく寄与することは重要だ。
さらに日本で水素燃料電池車が一般的になり国内メーカーが先発したなら日本市場に車を売りたい海外メーカーをしばらく抑える非関税障壁として働く。
当然この批判が出てくると予想した(だろう)トヨタは燃料電池車の全特許5,680件を無償公開するとしている。特許が使えても作れるものなら作ってみろという日本企業ならではの横綱相撲である。生産設備の特許は出さないとは思うが・・・。

この水素燃料電池車普及に向けて水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)がスタートしていて、国外の企業で参加しているのはメルセデスとGMだけである。
水素燃料電池車そのものの開発は価格も含めて車メーカー任せだが、水素の製造、供給(ステーション)に関しては出光を除いた石油元売大手、電力、ガス会社(イワタニなども入っている)が参加している。
水素の製造法はいくつもあるが、現在は複数のステーションでそれぞれ別の製造法で安全性やフィジビリティスタディが検証されているようだ。

ここに秋田県が協力を申し入れるのはどうだろう。
将来的に風力発電等で電気はふんだんにあるはずだ。効率は悪いが水の電気分解による水素製造もできるだろう。
あるいは現在最も安価でポピュラーな天然ガスと水蒸気を高温下で反応させる水蒸気改質天然ガスを売りたくて仕方が無いロシアから秋田港に輸送してできそうだ。
あるいは安い石炭を輸入してコークスの燃焼による方法も秋田港の潜在的な能力から夢でもなさそうだ。土地がタダ同然だ、ヤードの拡張などハンコ一つだろう。
これに加えて、秋田では一昨年川崎重工と(社)秋田県農業公社が手がけていた潟上市の稲わらから低コストなバイオエタノールを製造する実証プラントが成功している。このエタノールを使うテもある。
送電するのに困るほど電力供給が可能な秋田県海運の拠点港である土崎・能代を抱え、バイオマスの原料に恵まれている秋田県は非常に好立地ではないか。
水素だけではなく、ステーションもいずれはプレファブになるだろう。その設備・機器を製造する企業を作るところまでいけたら大きな雇用を生むに違いない。

筆者の予想ではおそらく水素燃料電池車はまずはタクシーから始まると考えられる。
真っ先にそれらを導入し公用車以外にも観光地のタクシーや個人の自家用車への補助を高め短期間で県内に普及させたらなかなかの未来が見えそうではないか。

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JHFCに秋田県が参加することはできないか? への15件のフィードバック

  1. エネルギー保存則から考えると、割にあわないような気がします。

    1.水から水素を取り出すには水の電気分解が必要ですが、電気分解の段階でも燃料電池の発電でもロスがあるので、燃料電池から発生する電気エネルギーは水の電気分解に使用する電気エネルギーよりも必ず少なくなります。つまり、電気自動車のほうがエネルギー効率は必ず良くなります。

    2.水は燃えた後に出来る物質なのでエネルギーを持っていません。ですから電気分解に使う電気エネルギーがたくさん必要です。ですから燃えることができるエタノールやガソリンを使うわけです。しかし、その場合はまだエネルギーを出せる炭素をエネルギーとして使わずに捨てることになります。やっぱりエネルギー効率は悪くなります。

    3.薪よりも炭は総エネルギーが少なくなりますが、炭には煙が出ないとか、薪より高温を出せるとか別の利点があります。でも燃料電池で取り出すのは電気ですから、他の発電方法よりも利点がないと駄目だと思います。その利点が頭の固い私にはわからないんです。

    • argusakita より:

      はい、科学的にはその通りです。そういう指摘もあるだろうなぁと思いながら書きました。
      しかし、エネルギー効率という評価だけで車や交通システムが開発されるわけじゃないですし、このJHFCが動いているわけじゃありません。
      トータルなコストパフォーマンスの可能性と実証をするためでしょう。モノの価格や経済は科学だけでは評価できません。
      日本にとってのエネルギー安全保障とのトレードオフであれば純粋なエネルギー効率は優先順位が最上位ではないでしょう。
      新たな雇用が生まれ、税収も期待できるとなればやらないテは無いでしょう。
      そのためのフィジビリティスタディなんじゃないのでしょうか?

      • 確かに燃費の悪いスポーツカーなんていうジャンルもある自動車産業ですから、一部のマニア向けだったら理解はできます。でもやっぱり水素燃料電池はエネルギーの無駄遣いに思えて納得いきません。流通では、中間の市場をなくしてコストカットに向かっている時代に、エネルギーは逆に手間ひまをかけて無駄遣いしようとしているみたいで私は不思議です。

        例の稲わらや廃材からのバイオエタノールですけど、補助金事業だったので補助が無くなって自然消滅しましたね。成果は出ましたが、実は原料の輸送費が極端に低く設定されていたために輸送代で足が出たとも聞いたことがあります。民間がやると手を挙げなかったのはそこいらへんが原因なのかもとみてます。

        • ブルーベリー より:

          例えば、風力やソーラー発電は、送電線や畜電池などの問題があります。
          でも、電気で水素を作って液化すれば、保管も輸送も出来る訳です。
          ゴミや汚泥などからも水素を作れますし。

          水素で分散小規模発電すれば、エネルギー効率は跳ね上がります。
          水素は全体的な効率を上げる可能性を秘めています。

          青森県は本腰を入れていて、汚泥から水素を取り出す計画が進んでいます。
          http://www.mlit.go.jp/common/001037974.pdf

        • blogファンその1 より:

          エネルギー効率はそうかもしれませんが、経済的に何とかなるなら水素社会は日本ではちょっと夢がありそう。水で困る砂漠の国じゃないですし。
          あちこちで爆発が起きなければいいですが(笑)。

          バイオエタノールですが、あれは実証プラントだったでしょうしスケールメリットがある部分の予想経費設定は普通なんじゃないでしょうか。本来は補助ってそういう部分に当てるのでは?
          小さな実証プラントで輸送費がどうのというのはあまり意味がないかと思いますが。

          私もバイオエタノールは期待していました。燃やすものは一杯ある秋田県ですから。
          話が前に進まないのは何故でしょうね。

        • ジャフメイトにこんなことが書かれていました。
          FCVに着いてのよくある勘違い
          ×燃料の水素は石油のように掘れば出てくる。
           出てこない。人工的に作るしか無い。
          ×水素自動車のクリーン度はEVと同じ。
           走行時はEVと同じ。ただし水素製造時にはCO2を出す。同じ距離を走った場合、CO2の排出量はEVやガソリン車より多いこともある。
          ×FCVは3分間で水素補給ができる。
           3分の連続充填にはGSの重数倍の広さの設備が必要。
          ×水素は安価である。
           製造や重点の費用を含めるとガソリンよりも高価。

          個人的に、ガソリンとほぼ同等か、ガソリンより安くならないと広まらないと思います。そして、原理的に安くなるはずがないと思います。バイオエタノールも結局そうでしたから。でも研究はする意義はあります。派生する部分から新たな展開が起きる場合もあるので。

        • blogファンその1 より:

          エネルギーの大部分を輸入に頼っている日本の特殊性を考えれば多少価格の問題はあっても安定した持続可能性の点で支持されると思います。
          少なくともオイルショックを経験してきている世代は納得すると思います。

  2. ブルーベリー より:

    川崎市は随分前から動いていますね。
    http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0520150121bcao.html

    水素はトルエンを使うと、常温で液体になって、貯蔵・輸送が簡単になる。
    水素は、天然ガス、メタノール、バイオマス、廃棄物などから取り出せ、
    水の電気分解からも生産ができるため、無尽蔵と言える。 これはスゴイ。

    発電のエネルギーの利用効率は、30%から40%。
    しかし、水素を使った小規模分散型発電なら利用効率が80%まで高まる。

    水素には大きな可能性を感じます。
    まあ、20年で自治体が崩壊する秋田県にはモッタイナイですが。

    • argusakita より:

      そうなんです。千代化や日揮、TECなどのプラント業種やIHI、KHIなどもあれこれやっています。それぞれ同級生がいたりして以前から話を聞いていました。一般的な改質だけではなくまだまだ触媒等の技術があるようです。
      何故かMHI(三菱)はあまり乗り気ではなさそうで宇宙、MRJ、軍需の飯の種が増えているせいかもしれません。
      秋田は伝統的に三菱系が動かないと進まないんですよね。
      エネルギー効率なんてそこそこでいいのです、ソーラー発電のように価格設定で事業スキームを決められますから。
      それこそ水から取れるのが主流になればエネルギー問題の解消は凄い国益のはずです。

      秋田の自治体なんて無くなってもいいですが、秋田の土地と秋田の人が死に絶え、消えるるわけでもないでしょうから。

  3. blogファンその1 より:

    韓国は相当に気になっているようで、新聞もこんな記事を載せています。
    <韓国vs日本水素車市場>成敗は水素ステーションの拡充に…日本3000カ所vs韓国23カ所(1)
    http://japanese.joins.com/article/933/196933.html?servcode=800&sectcode=860

    ※(2)の記事もあります。

    • argusakita より:

      記事読んでみたら南朝鮮は危機感がありそうですね。
      ・標準化が重要(ビデオ、DVD、ISDN、携帯その他で日本は標準化で負け続けていますから。ビデオは国内競争でしたが)
      ・官民一体の数値目標(2030年までに水素ステーション3,000箇所、販売台数を700万台)
       
      日本の企業というのは海外の企業と比較しても女性っぽい(こう言うと弊害がありますが(^^))ところがあって、具体的な目標値が示されると馬車馬のようにそっちに向かいますから数値目標が出されたことは非常に大きいと感じます。

      水素製造に関する触媒技術は今後いろいろ出てくると思います。原発動かしゃいいんですが・・・。
      若い機械屋さん達だけでなく物理化学や化学物理の研究者達の活躍の場も増えそうな気がしています。

  4. blogファンその1 より:

    水素の前に石炭火力のようですね。

    関電、丸紅が火力発電の建設検討 秋田湾産業新拠点に
    http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20150312d
    ・2015年度にも環境影響評価(アセスメント)を開始し、19年度以降に着工、20年代半ばまでの稼働開始
    ・合計出力130万キロワットは、東北電力能代火力発電所(能代市)の現在の出力(120万キロワット)とほぼ同規模
    ・発電所運営に伴う雇用は200人以上を見込む
    ・発電した電力は首都圏へ供給するとみられる

    秋田は発電量は潜在的に非常に大きいにも関わらず、地元で消費する産業が無い。
    何なんでしょう、この植民地のような状況。

    • argusakita より:

      そうなんですか。
      原発事故直後に東北電力は飯島の火力で増設しましたがアセスメントは無しでやりましたから、今回も適当でしょうね。
      自治体は雇用200人に飛びつくでしょう。

  5. ブルーベリー より:

    川崎重工業が石油メジャーと組んでオーストラリアで石炭で水素を製造、液化して輸入
    http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ04IJI_T10C16A3MM8000/

    石油メジャーも動きました。
    日本には低品質の石炭でもクリーンに燃やせる技術があります。
    あとはコストをどこまで落とせるのかが問題ですね。

    • argusakita より:

      マイナス250℃以下の液体を大量に海上輸送ですか・・・すごいなぁ。
      トルエンに溶かすとか何かに吸着させてならわかりますが、液体のままですか。
      ロイヤルダッチシェルの知り合いに聞いてみます。

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