日独接近で支那包囲網は一段落か(メルケルは何しに日本へ?)

9日からドイツのメルケル首相が訪日するようだ。2008年の洞爺湖サミット以来7年ぶりの訪日だが、外務省によれば国賓ではなく公式実務訪問賓客としての訪日である。(大統領なら国賓だっただろうが)
第8代連邦首相になって10年目(3期目)のメルケルだが、日本にはほとんど寄り付かない。環境大臣時代に一度訪日(1997年京都議定書)とサミットだけで今回が3回目になる。しかし、支那には首相として確か7回くらい行っている。それだけ支那との経済的関係が密でトップセールスに熱心だということだ。
辞任しない限りメルケルの任期は2017年末までで本人が最後の任期だと言っていることから残り3年弱ということになるが、当分はメルケルドイツが続く。どこかの女性大統領も任期3年弱を残しているにもかかわらず既にレームダックなのとは大違いだ。

一説には日本のトップがコロコロ替わりすぎて話にならない(就任時から小泉、安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田そして安倍)ため理論物理学の博士号を持つ合理的な思考のメルケルは日本との対話が時間の無駄&メルケル自身が日本をあまり好きではないという噂もある。(だから日本嫌いのサルコジとウマが合ったとか)
支那とは自動車や工作機械の輸出相手国、食品の輸入先としての関係が深くドイツの経済界・産業界は支那との関係を良好に保つことが重要という認識だ。そのためもあってかドイツのメディアは2つの公共放送(ZDF、ARD)を含めて支那シンパが非常に多く、アジアからのニュースなどは北京、上海、香港からばかりで東京、大阪などからのニュースなどはほとんど見たことがないことは以前にも書いたとおりだ。 (W杯決勝時の写真のようにメルケルは大のサッカーファン)

merkelG7での安倍首相との約束に従ってメルケルが訪日するのだが、筆者は今回の訪日はドイツがいよいよ日本を無視していられなくなった証拠だろうと感じている。
支那寄りで13億人の大きな市場を手に入れ、ユーロ安のおかげもあり輸出好調だったドイツは欧州でほぼ独り勝ちの状態を続けてきた。それを背景にメルケルもギリシャ問題ではフィンランドとともに相当に強気なことを言っていたが、最近は支那の経済の傾きやギリシャ問題によるユーロ圏崩壊の危機などでドイツの成長を支えていたものに不安定さが出てきたため、ここは少し遠交近攻にするかと判断しても不思議ではない。加えてクリミア問題、ウクライナ危機は仲の良い(はずの)プーチンが言うことを聞かないため欧州の盟主を自認するドイツがイニシアチブを取れないでいる。
国内では脱原発を宣言し再生可能エネルギーを重視したもののFIT制が破綻し行き詰っている。さらにシェールガスによって価格が下がったアメリカの石炭を輸入し石炭火力発電などに切り替わってきていることは環境問題での指摘もあり、さらに隣国から原発による電力買い入れをしている批判もあり舵取りが難しい。
さらに長年の移民政策(主にイスラム教徒)について2010年10月に『多文化社会を推進し、共存共栄しようという政策は失敗した』と公式に発言したため結果的にネオナチ等を勢い付けてしまった。日本では決して報道されないかもしれないが、現在でもドイツはロマなどの不法滞在者を電車に詰め込んでルーマニアあたりに国外強制退去処分を行っている。(日本ならさしずめ在日棄民を船に詰め込んで出港させるようなもの)

好調だった経済に陰りが見え始め、安全保障でも不安定要素が目の前に出現し、エネルギー問題と移民問題で国内のコントロールが難しくなったドイツから見たら、アベノミクスの金融政策で上昇ムード(実態はご存知の通りだが)で、エネルギー問題ではあの大事故にも関わらず原発再稼動が予定され、移民問題は無い日本は羨ましく見えてもおかしくない。逆に、此畜生と思っているくらいかもしれないし、国内の不満分子の目を外に向けさせるためにも話題が欲しいはずだ。
さらに、日本の安倍首相による中東、トルコ、北欧、V4各国での原発営業、アメリカや南米での高速鉄道輸出、徐々に進みつつある武器輸出解禁による豪州の潜水艦受注などドイツとの競合が顕在化しつつある今、日本と距離を置くのは得策ではないと思ったのかもしれない。

待ち受ける安倍首相のほうは『地球儀を俯瞰する外交』によって着々と進めてきた支那包囲網はせっかく北方領土問題を含めた進展を期待したロシア外交がウクライナ危機で保留状態になってしまったが、とりあえずドイツと密接な関係を構築できればほぼ完成に近づくため、今回のメルケル訪日でロシアを除いて一段落だ。できれば安倍首相が訪独し連邦議会で歴史認識を含めた演説を行えたら完成だろう。

今回の訪日に関してZDFやARDはどう伝えるか興味深い。さらに支那のメディアがこれをどう伝えるかはもっと興味深い。
沈黙もしくは表面的な報道なら日独接近は支那にとっては相当に影響があると考えている証拠になるだろう。
日本のメディアはメルケルの日本での動向を表面的に報じるだろうが一つ気になるのが、9日の11時から築地の浜離宮朝日ホールで来日講演会を行う。この講演会の主催は朝日新聞&(財)ベルリン日独センターである。少しでも歴史問題に関連した言及をするかどうかは注目である。(残念ながら招待客限定らしいので『お察し』)
メルケルは非常に頭がいいと思うのは、ドイツを含まない他国同士の問題(例えば日本と支那、日本と南朝鮮)には絶対に言及しないこと、ドイツ国内で他国が別の他国の悪口を言うのを許さないあるいはドイツをそれに利用させないことを徹底していることだ。ここがSPDとは違うところだ。
例外は、一昨年ポツダムを訪問した支那のリー・クーチアン(李克強)が記者会見で突然『尖閣は日本が盗んだ』と発言するのを見逃したことくらいか。
従って歴史認識や2国間問題などへの言及をメルケルから引き出そうとするのは至難だろう。
(朝日や毎日ならやりかねないが、結構表情に出る女性なのですぐに快・不快がわかる)

尚、この講演会は質疑応答もあるそうで、もし一般からの質疑もあるなら(筆者なら)下記を聞いてみたい。
・支那経済の傾きは指標でも示され、世界経済とドイツにどのような影響があると考えているか?
・ユーロ圏の現状維持を堅持するための必要条件は何か?
・2010年10月の発言『多文化社会を推進し、共存共栄しようという政策は失敗した』は今でもそう考えているか? 今後のドイツの移民政策はどう進むのか?
・ギリシャによる戦時賠償要求(約22兆円)をドイツは『解決済み』として拒否したが、ギリシャが再度未解決と主張した場合どう対応するか?
※ドイツが国際司法裁判所まで行き争っているギリシャの『ディストモの虐殺』やイタリアの『マルツァボットの虐殺』に対する賠償問題と日本の戦時売春婦・徴用工への補償要求問題との本質的な違いについてメルケルの考え方を聞けたら興味深い。まあ、アナロジーは無意味とか何とか逃げるだろうが・・・。

<豆>
メルケル首相と日本語では呼ぶが、英語では安倍首相同様にPrime Ministerではなく、Chancellor of the Federal Republic of Germanyと言いChancellorである。
おそらく、ドイツ語のBundeskanzler(ブンデスカンツラー、連邦宰相)のkanzlerの部分に当てはまる英語がChancellorなのだろう。オーストリアも同じ。メルケル宰相のほうが正しい日本語訳である。

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日独接近で支那包囲網は一段落か(メルケルは何しに日本へ?) への4件のフィードバック

  1. blogファンその1 より:

    朝日新聞主催なら、メルケル首相に『ヘイトスピーチはダメよ』を言わせるように仕向けるんでしょうね。
    Ustreamあたりで中継してくれたらいいのに。

  2. argusakita より:

    早起きして、朝日新聞主催の講演会の動画を見た。
    何だこの同時通訳は。まるで前もって準備した原稿を読んでいるような感じだ。
     
    予想通り、質問者(朝日新聞の西村取締役)は日本が抱える支那、南朝鮮との問題で日本側がもっと歴史を認め云々と言わせたいと意図しているかのような質問をぶつけている。
    これに対してメルケルは十分に準備が出来ていたように慎重な言葉で返しているのが印象的。頭いいなぁ・・・。
     
    ドイツが再び国際社会に復帰できた2つの理由についてメルケルは、
    (1)互いの率直な物言い
    (2)隣国の優しさ(寛容さ)
    を挙げている。
    特に(1)については、”Es gab die Bereitschaft, die Dinge beim Namen zu nennen.”(スペードをスペードと言う姿勢・準備) 要するに歯に衣着せぬ率直な物言いが大切だと言っている。(英語ではこのスペードの慣用句は人種問題につながる微妙なニュアンスだが)
    同時通訳ではそれがあたかも日本側だけがもっと自覚が必要といったトーンで訳している。おかしいでしょ。
     
    メルケルに従えば、ストレートな物言い、つまり支那や南朝鮮に対して、
    ・南京で30万人虐殺などという嘘を言うな
    ・売春婦20万人などという嘘を言うな
    とストレートに言わないといけない(いけなかった)ということだ。
     
    きちんと通訳しろよぉ、朝日新聞!!

    メルケルに同行したダイムラー幹部は川崎重工などを訪問しているところを見ると、やはりドイツも支那から日本にシフトしたほうが長期的には得策という空気が出始めているのかもしれない。

    • argusakita より:

      朝日は文字起ししていますが、メルケルが『アドバイスする立場にない』と言いながらドイツが国際社会に復帰できた理由について語ったことをずいぶん恣意的に載せています。他のメディアがこれを元に歪曲した見出しになっている気がします。
      朝日はどこまでもやるつもりなんですねぇ。

      • きりたんぽ より:

        あてにならない朝日新聞主催だったんですね。そういえば数年前に朝日新聞は定期的に特集冊子を付いてくるのですがメルケル特集だったのを思い出しました。生い立ちから現在に至るまでですが、東ドイツ出身の初の首相であり、メルケルは再婚しても旧名を名乗っているとか・・・・・・  朝日新聞がメルケル首相に支那・朝鮮にプラスになることを言わせたいという思惑があることだと感じますね。 今日の南朝鮮の「朝鮮日報」でもメルケルが日本に反省を促す・・・・みたいな(笑) そのものですねやはり。 メルケル首相はすでに朝日新聞がどんなものかも十分に理解しているはずですよねやはり。 

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