秋田沖が洋上風力発電に選ばれる別の理由

シュピーゲルを眺めていたら北海洋上風力発電での問題を指摘している記事を見つけ、なるほど秋田沖で洋上風力発電に選ばれる理由の一つはこれかもしれないと気づいた。

Offshorewindanlage洋上風力発電の設備は大抵の場合写真のような鋼パイプ構造物を海中に建設しその上に発電用の風車を設置する。
この鋼パイプ構造物が腐食しないようにするためにいろいろな技術(例えばこんな特許情報もある)があるが、最もシンプルで廉価なのは犠牲陽極を用いる方法(ガルバニック作用)のようで、この方法は陸上のRC構造物でも使われている(例えばデンカのガルバーシールド)。
原理は、鉄と亜鉛やアルミのようなもののイオン化傾向の差を利用するもので、例えば海水に鉄板を漬けておくと錆びるが、この鉄板と亜鉛を同じ海水に漬けて両者を空中で銅線等で繋いでおくと亜鉛が溶けて無くなるまで鉄板は錆びない。(犠牲陽極法という)

構造物の腐食防止は塗料などもあるが、大規模しかも海中で長期間となれば上記の犠牲陽極法がメインとなるだろう。
問題は『亜鉛が溶けて無くなるまで』の部分だ。広大な海で亜鉛電極の溶解など問題にならないだろうと思われがちだが大規模な施設で数が多いとなれば問題になる可能性はある。
亜鉛は人間にとって必須ミネラル16種の1つだが必要なのは微量であって(不足すると性欲に影響があるとか(^^)。男性は要注意)、大量に摂取すると有害であるため亜鉛サプリメントは要注意と言われる。
人間にも影響がある亜鉛は当然他の生物にも影響があり、多すぎると底性生物がいなくなることがわかっている。亜鉛の場合は国の港湾底泥調査によって重金属濃度と底生生物の種類数との相関関係(2008年6月)が公開されていてこれによれば亜鉛の場合150mg/kg乾泥を超えると底性生物が激減するのだそうだ。カドミウムの場合は1mg/kg乾泥。
底性生物は食物連鎖の下に位置することからその上の魚介類にも影響があり、濃度も高まっていくのはかつての公害問題と同じ図式だろう。
国の底質の環境基準ではダイオキシンしか規制が無い(ダイオキシン類対策特別措置法)ため亜鉛やカドミウムの汚染は放置状態のようなものだ。(海洋汚染に関する法律では亜鉛は2mg/リットル、カドミウムは0.1mg/リットル)

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図は(独)産業技術総合研究所のHPにある全国の化学図の亜鉛とカドミウムの濃度について示したもので(自分でズームして見られる)、陸上はかつて(亜鉛を含む)黒鉱で栄えた大館、鹿角、北秋田地区や白神山麓での高濃度を示していて、以前から筆者が書いているようにこの赤い色の地区の水をそのままありがたがって飲むのは体には良くないだろうし、この地域で取れたコメなど長年食っちゃいけないことが明白だ。余談だが毎年秋田県が買い取るカドミウム汚染米はこの辺が産地で、汚染がわかっていても作付けを続けるのは米価に関わらず県が確実に買い取ってくれるからだろう。誰も買わなけりゃ作付けしないはずだが・・・。

注目すべきは能代近辺の沿岸部や沖である。
米代川によって運ばれた亜鉛が海に流れ出ていることによって亜鉛の測定値が高いのだろう。しかしカドミウムが少ないのは重金属のせいで流れ出にくいことが理由と推測できる。乾泥かどうか不明だがこの赤い色の地域では150mg/kg乾泥以上で底性生物が極端に少ないことが推測できる。

仮に将来洋上風力発電設備による亜鉛汚染や生物への被害が起きたとしても秋田から能代沖のエリアは元々亜鉛濃度が高く汚染による影響なのかどうか検証が難しい。
意図的かどうかはわからないが、平成24年8月の『洋上風力発電に係る安全規制を中心とした動向調査』には腐食に関する事項や海洋汚染についての記述は無い。
案外、この地域が洋上風力発電に選ばれる理由の一つはこれなのかもしれない。

ちなみに、イギリスの政府系特殊法人THE CROWN ESTATE が洋上風力発電への理解を促進するために、2010年に発行したAn Guide to an Offshore Wind Farm(洋上風力発電ガイド、翻訳はここ)には底性生物調査も項目として挙げられ概算費用も書かれている。
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秋田沖が洋上風力発電に選ばれる別の理由 への3件のフィードバック

  1.  亜鉛(Zn)説、興味深い考察です。
    船舶や大型自動車などで、電子防錆装置があるのは聞いた事があります。そもそも亜鉛メッキは同じ理屈ですよね。
     気になったので少し調べてみました。
    確かにAISTによると能代沖の亜鉛濃度は高いようですが、NEDOによる今回の候補は、秋田市沖のようです。候補理由は風況マップで、その他の候補である福岡沖、千葉沖と合致しており、何れも亜鉛濃度は正常?です。決定には環境への影響以上に漁業権の交渉が鍵のようですが、もし、最終候補が秋田沖に絞られ、しかも能代沖に微修正されたなら、御説大いに疑う価値ありです。
     余談ですが、カキの産地で有名な広島と松島沖の亜鉛濃度が予想通り高いです。能代沖もカキ養殖の敵地となるかもしれません。カドミウムですが、汚染米は買い取り処分、高濃度汚染は産地除染が基本政策です。
     それより、アジアインフラ投資銀行に参加する方針を発表し、日立製作所製新型車両Class800を採用し、弱体化する米国とユーロを尻目に、アジアで影響力を伸ばそうとしている国、それが洋上風力発電トップの英国です。

    • argusakita より:

      おそらく秋田沖というのは秋田市沖ではなく能代沖だろうと思いますよ。沿岸部の海流は秋田から能代への北上向でしょうから、やや秋田市沖寄りでもまあ同じだと。(ちょっと無理があるかな(^^))
      白神アワビというのがあります。あのアワビの稚貝はほとんど南朝鮮から買ってるはずですが、稚貝は一応八峰町の海岸寄りで採取ということになっています。
      もし、八峰町の海岸寄りで採取された稚貝ならばこれまた亜鉛の問題と無縁では無いと思っています。

      AIIBへのイギリス参加はやはり香港絡みでしょうね。
      経済的に(ドイツに遅れてしまった)イギリスは支那と接近していますし、G7では大いに他の国からド突かれるでしょう(^^)。

      日立の車両ですが、日本ではあれが新幹線と言われているのでしょうか?
      インターシティ(ブリストル、ニューキャッスル、エディンバラなどの都市とロンドン間)ですから日本で言えば特急クラスですかね。
      イギリスで新幹線に相当するものはジャベリン(ケント、ロンドン間)があります。
      それにしても、かつて新橋・横浜間で走った日本で最初の車両がイギリスからの輸入だったことを考えれば日本の特急がイギリスで走るのはなかなか素敵なことです。

      • ですね。香港絡みでしょう。
        英国はシナに対し何らかの歴史的賠償をしたのでしょうか。
        シナは英国に対し何らかの歴史的賠償を求めたのでしょうか。
        (シナの変換が出来ないのは英語圏の気遣い?)
        基本WASPは日本を含めイエローを同質の人間とは思ってません。
        そもそも旧同盟国である、独、伊も親日ではないですし、同盟国であったこ
        とすら知りません。
        彼らの願いは、イエローが作る高品質の物を安く手に入れ、白人全体の生活
        レベルを上げること。
        彼らが移民を躊躇無く受け入れるのは、まさに奴隷文化の延長だからです。
        彼らの恐怖は、アジアの共闘、カラードの結束。
        白人は、カラードと同和出来るのか。

        少し言い過ぎました。

        石原慎太郎が言ってました。「俺は反米じゃなく嫌米だ」と。
        日本がもし被爆や民間空襲の道義的被害を訴え、アジア植民地賠償の先鋒に
        立ったなら、シナや南北朝鮮は日本を見直すかもしれません。
        しかし白人は、カラードと同和するのを諦めるでしょう。

        内容が大いにズレ込みました。すいません。

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