アメリカのAIIB不参加の理由とアジア・モデル

支那が何故BRICS銀行やAIIB構想を進めているのか。先日3つの目的について書いたが、日本がAIIB参加を当面見送る理由はメディアでも言われているように、
(1)支那単独主導によるガバナンスの不透明さ
(2)融資審査における民主的な手法の欠如(理事会等)
(3)融資審査における環境・社会への影響評価の有無
あたりのようだ。
しかし、同様に現状見送りの姿勢のアメリカは(1)を理由の一つに置いているものの(2)、(3)はさほど重視しているようには見えない。何故なら、IMFやWBのようにアメリカの意思で自由にならないことが最大の理由だからで、他はどうでもよさそうに見えるからだ。
アジア通貨危機のときのアメリカ(特にIMF関連)の動きを見るとそれがわかるように思える。

IMFの課題とされるものは、
・融資までの時間がかかること
→通貨危機のような緊急事態に即応できない
・資金量不足と融資限度制約
→増資はしたが、融資限度が出資額の5倍(2年間にわたる場合は10倍)
・融資条件の厳しさ
→構造改革、緊縮財政の厳しい要求
と言われ、これに加えてアメリカの議会承認で否決されれば実質的な拒否権によってアメリカはIMFの理事会の決定を無効に出来ることが問題とされる。
このアメリカ絶対支配の仕組みに対して、先進国特に欧州では例えば(ダラダラと続いている)ギリシャや南欧諸国救済の問題に関してIMFが求める構造改革や緊縮財政の要求に対する不満が大きく、途上国では融資を受ける際の上記の融資限度制約や融資案件の環境・社会に対する影響評価などの手続きの面倒さ(当然時間・費用の係り増し)が不満なのである。
つまり、先進国ではもっと融資等のスピードを上げて欲しい、途上国では環境・社会への影響よりも経済成長を重視して欲しいという欲求があるのだ。

FOREIGN201503201446000519864463173支那の人民網が興味深いアンケート結果を出している。支那の国家イメージ世界調査最新報で、先進国から日・米・英・豪、途上国から支那、ロシア、ブラジル、インド、南アを取り上げ、支那に対するイメージを回答させたものである。
(まあ、中国外文出版発行事業局というところを信頼できるかどうかは別として(^^))
この中で、支那が将来の発展において直面する試練について、先進国の回答者は第1に国内の腐敗取締りや社会的不公平の問題(35%)、次に国民の生活水準の向上(26%)を挙げている一方、途上国の回答者は人民の生活水準の向上(29%)と国内経済の高度成長の継続(29%)を最大の問題として挙げているのだ。
つまり、これは支那に対するイメージと同時に自国での価値観を表していて、先進国では社会的な格差・不公平を大きな問題と考えるが、途上国では格差・不公平よりも生活水準向上や経済成長のほうが重要と考えているということだ。
この意識差は意外に大きなギャップなのではないだろうか。そしてこの意識差がIMF融資への途上国側からの不満などにそのまま出たり、環境問題でCOPなどを開催しても常に先進国vs途上国の対立で終始する理由なのではないか。
IMFやWBの融資でも環境や社会への影響が多少あってもまずは融資して経済成長させてくれ!というのが途上国側の言い分なのだ。

さらに、アメリカが本当に民主的な国家かどうかは別として、民主主義を標榜するためにアメリカは経済のアジア・モデルを認めたくないという側面もある。
アジア・モデルは支那や華僑の世界で顕著だが、東南アジアを始め中央アジア(あるいは下手をするとロシアまでも)ではクロニー・キャピタリズム(crony:縁故内資本主義)がある意味当たり前でこれはある種アジア特有の経済構造とされる。
このアジア・モデルの特徴は、強権政治による各種資源の効率的配分や官僚による選択的介入とされるが日本は少々当てはまらない。アジア・モデルは朝鮮戦争後のかつての南朝鮮や台湾を考えればよくわかる。
独裁政権でも北朝鮮(金王朝)や支那共産党(集団指導体制)による暴力的な支配でなくとも案外うまく国家運営ができているところもある。
例えばアゼルバイジャンやカザフスタンがそうだ。大統領による強力な独裁政権だが、経済が成長し豊かになり国民の大部分は生活水準が向上することによって平和に暮らしている(ように見える)。実際には少数の民主主義活動組織や(反対の)テロ組織などが活動しているが、独裁政権はそれらを力で押さえつけていて経済成長に集中でき、旧ソ連崩壊後とは桁違いに安定している。

アメリカの民主主義は、経済においてはコンプライアンスを重視しクロニー・キャピタリズムを排除する奇麗事の側面を持つ一方、格付け会社による情報操作でヘッジファンドが蠢く弱肉強食の世界だ。結果、リーマンショックが起きたのもアメリカである。
結局、AIIBは支那のクローニー・キャピタリズムをある程度許容するか、あるいは一切認めないドライな金融工学的なものを支持するかのグループの対立という図式なのかもしれない。
ただ、ユダヤの金融マフィアこそ世界を牛耳る一段格上のクローニー・キャピタリズムだという見方もあり、そう考えた場合は、古参のクローニー・キャピタリズムと新参のそれの衝突と考えられないこともない。

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アメリカのAIIB不参加の理由とアジア・モデル への4件のフィードバック

  1. きりたんぽ より:

    日本の経済の足を引っ張りたがる、紫色のおばさん(浜矩子)を何とかしなくてはいけません(笑)

    地上波では意外と情報が少ない中で、ユーチューブなどでは専門家などの情報がけっこう盛りだくさんな状態で、日本は参加すべきではないという声もあったり、どうなるのでしょうか。 

    富裕層や財主など財の権力者は永続的には続かずに、時代ごとに金儲けが上手な者が現れて
    財権者が交代していくものである中で、AIIBも富の分配を支那の都合の良いように変えてしまいたいのでしょうか、参加国も同じ考えだと思いますが世界でも巨大なゼロサムゲームのようにも思えますね。

    さらに最近ですとハンバーガーショップの財権が移行していくのが目の当たりになっているように感じますね。

    ニュースでも報道してますが、日本でも新たな黒舟のバーガーショップが日本にも進出してきている状況で、意図的にマクドナルドと入れ替えさせられた部分もあるようにも見えてしまいます。

    近年の支那での製造過程の不衛生さを、同盟国のアメリカにいる財権者の思惑で露出させたようにも思えますし、
    意図的にマクドナルド離れを引き起こして、今までマクドナルドが持っていた需要の配分を移行させているように思えてなりません。
    単に売り上げ競争や為替などによる原料の価格変動だけでもないと思います。

    やはりこの後ろ盾が巨大すぎます。
    世界最大といってもいいくらいであります精肉から穀物から加工品から飲料に入る原料・化学調味料のようなもの全てを握っているアメリカの「カーギル」が世界中に卸していますので、
    小売側が入れ替わっても仕入れる者が同じだから損失はない・・・・・そんな声も聞こえてくるように思えます。彼らから見たら単なる衣替えにしかならないように感じるのでしょうか。

    ちなみにこの「カーギル」は非上場だったはずですし、買収させない情報も外に出さない、問題になっているトランス脂肪酸は「カーギル」の特権ですから、肥満を作らせているのも「カーギル」であるとそんなこともあるようです。

    ちなみに先日、チャンネル桜ではドイツからクライン孝子氏がテレビ電話で話していた、現時点で世界一なのでしょうかヘッジファンドの巨人「ブラックロック」のことを話していました。ドイツの年間予算の4倍を稼いでしまうとか話していました。この巨人が動き出したようでAIIBを間違いなく狙っているかと感じます。
    「カーギル」 から「ブラックロック」から日本にも支店があったのですね。
    ユーチューブ動画はこちらです。
        ↓

    • argusakita より:

      日本でもバーガー戦争ですか。どこが日本上陸でしょうか?
      シェイク・シャックかな?
      シェイク・シャックならそれほどマクドナルドと変わらないような気がするので差別化できるかなぁ・・・。
      どうせなら、東海岸のFive Guys(塩茹でピーナツ食べ放題。値段はちょっと高め)でも日本に上陸したらいいのに。
       
      ブラックロック、ドイツの国家予算の4倍というのは稼いでいる金額ではないと思いますよ。
      しかし、3月末の運用資産残高573兆円。日本の国家予算(一般+特別会計)の2倍以上、支那のそれの3倍以上、南朝鮮のそれの25倍以上。巨額すぎてちょっと想像がつきませんね。狙われたら助かる国家は無いでしょうね。凄い世界です。
      このブラックロックはメリルリンチと経営統合(吸収)していますから、ゆうちょとかんぽの投資顧問もしているはずです。
      大株主はバンカメ、みずほ銀行も2%の株主のようです。
      金融の世界では日本はアメリカには勝てない、これが現実なんでしょう。

  2. きりたんぽ より:

    そうですね、現時点では今年の2月の情報では「シェイク・シャック」が来年に第一号店を東京に出す予定だそうです、
    さらに再来する「カールス・ジュニア」が今秋に出店するそうで10年間で国内で150店舗を目指すようですね。少なからずモスバーガーも影響を受けそうな気もします。

    バーガーショップで塩茹でのピーナッツ食べ放題があるとはすごいです、ぜひ味わってみたいものです。
    ボリュームもあって大きさもすごそうですね。

    ブラックロックは日本のゆうちょやかんぽまで関わっていたのですか、すでに手中に収めていたり・・・・・・・・今年の秋の上場する郵政ですが、どれくらい市場に変化が表れるのか期待している人も多いかと思いますね。

    • argusakita より:

      ゆうちょとかんぽはメリルリンチが関わっていましたから、それをブラックロックが経営統合で手に入れた格好ですね。
      秋からはマイナンバーなども始まりますし、もう日本人のマネーは全部握られていると思ったほうがいいかもしれません。
      持たないのが一番!(^^)

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