AIIB参加国の事情 (その1)

創設時の57カ国の事務協議が始まったようだ。図はThe Telegraph紙からだが、57カ国は、

china-watch-map_3281019b<欧州> 17カ国
オーストリア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、イタリア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス

<中東・アフリカ> 13カ国
グルジア、トルコ、アゼルバイジャン、エジプト、イラン、イスラエル、ヨルダン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAE、南アフリカ
<中央アジア> 5カ国
ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン
<南アジア> 8カ国
バングラデシュ、インド、モルジブ、ネパール、パキスタン、スリランカ、モンゴル、支那
<東南・極東アジア> 11カ国
ブルネイ、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、南朝鮮
<オセアニア・南米> 3カ国
オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル
である。

主な国参加理由をニュースなどから拾ってみた。

<イギリス>
最大の理由は来月の総選挙でキャメロン(保守党)の劣勢が伝えられ、ある意味イギリスの(かつての大英帝国)栄光を取り戻すためにはアメリカに対抗する姿勢を見せる必要があることのようだ。第一次世界大戦以降のドル基軸体制を長年疎ましく思っていたのはまさにかつての基軸通貨であったポンドを擁するイギリスであり、EU離脱を含め貿易、決済等でポンドの力を強めたいという思惑がありそうだ。
AIIBは人民元建て融資の予定だそうだが、国際決済通貨はドル、ユーロ、ポンド、円、スイスフランであることを考えれば金融センターであるイギリスは手数料収入も期待できるという見込みなのだろう。
さらに裏話としては、オズボーン財務相と支那の間でイギリスのHinkley Pointの原発に支那が140億ポンドの投資をする約束があるようで、これの見返りにAIIBへのイギリスの参加をいち早く決めたとも言われている。
ただし、総選挙の結果(おそらく連立にならざるを得ないという予想が多い)によってはEU離脱も含めてほとんど白紙に戻る可能性もあり、AIIBからの撤退もイギリスが一番早いかもしれない。
手数料収入狙いは、スイス、ルクセンブルグあたりも似たようなものだろう。

<フランス>
インドシナの旧宗主国であり、最近のアフリカの旧宗主国への積極的な展開(経済、軍事)を見ても再び(現代版)植民地政策を指向しているように見える。
特に北アフリカからの移民が増えている現在、彼らを帰す場所を作る必要を考えているとも言われる。
アジアについては、タヒチにあるフランス領ポリネシア駐屯フランス軍があるため、太平洋の日・米・豪・印のセキュリティダイヤモンドにも積極的に関与している。
インドシナのみならずポリネシアの開発にはWBやADBのような社会・環境への影響評価などが融資の必須条件である『銀行』よりも条件の緩い『商工ローン』的なものが必要と考えているフシがある。

<ドイツ>
ドイツは支那とのお付き合い以上の何物でもない。
車や工作機械の輸出先と加工食料の輸入先としての支那との密着度は高い。
万が一AIIBが失敗することによって支那経済の崩壊、ひいては支那共産党の瓦解などが起きれば大きなマーケットを失うことになる。
その場合、日本も膨大な難民が支那から押し寄せるリスクがあるが、ドイツもそれは避けたいはずだ。メルケルが参加を促したとかしないとかがメディアで出ていたが、東西ドイツ統一時の混乱を経験しているメルケルは『格差のある社会が統合するのは困難ですよ』と安倍首相に耳打ちしたかもしれない。

<ロシア>
クリミア問題を巡って西側と一定の距離を置いている支那はロシアにとっては『友人』だろうが、実は肝心なそのクリミア問題については支那はクリミア独立や併合を公式に認めていないため微妙な関係だ。
しかし、相変わらず産業が育たず資源輸出だけが頼りのロシアにしてみれば、もし西側への輸出が出来ない事態になっても支那の巨大なマーケットは原油・天然ガスのお得意さんである。
グルジア、アゼルバイジャン、中央アジア4カ国を巡っては上海協力機構開発銀行、同発展基金の設立という構想もあり、旧ソ連であるこれらの国々を支那側に引き入れられないようにするためにもAIIBにロシアが参加しておくことは必要なのだろう。

<イスラエル>
中東でのオバマ・アメリカのプレゼンスに完全に失望しているネタニヤフ首相はAIIBへの参加については実際的な利益よりも、アメリカへの鞘当と見る向きが多い。
イスラエルの外務省のHPには、一応はイスラエル企業の海外展開にも寄与することが期待などと書いてはあるが本気とは思えない。

どの国もドル基軸体制や改革の進まないIMFやWBへの不満の表れをアメリカに対する鞘当て的な行動で示しているようにも見えるのは出資金の少なさや地政学的なリスクの少なさ故の気軽な参加という印象がある。
出資金がアジア域外25%、アジア域外75%が本決まりになる場合、支那はロシアをアジアに含めそうだという観測で、そうなるとただでさえ苦しいロシアは設立前に早々に離脱する可能性もある。

 

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AIIB参加国の事情 (その1) への1件のフィードバック

  1. argusakita より:

    人民網から、

    米日に外野からAIIBにあれこれ言う資格はない

    中国が米国最大の債権者を放棄したのはなぜか

    フレディ・マック(連邦住宅金融抵当公庫)やファニー・メイ(連邦住宅抵当公庫)の名前まで出して米国債売却を報じているが、これに近いことを日本の政治家が発言すると、橋本元首相、中川昭一氏などと同じ運命になるだろう。
    江田憲司や山本太郎が同じことをいくら吼えても政権与党の政治家でない限り安心だろう。

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