人口密度向上こそが地方再生の必要条件(十分条件ではないが)

秋田県の人口が103万を割ったそうだ。4月1日時点で1,027,091人。
国立社会保障・人口問題研究所の平成25年3月の推計と比較すると2015年の封鎖(仮定)人口1,043,453人よりは(当然ながら)少ないものの社会動態を加味した推計値1,023,051人より約4,000人多いようだが、2010年以降の推計値と実際を比較すると明らかに減少が加速していて、2年後の2017年中にはいよいよ100万人を割りそうで加速はさらに進むだろう。

秋田県は見事に1極集中で秋田市とその他に明確に分かれているが、その秋田市の規模というのが世界的に見たらどんなものかは意外に知られていないのではないだろうか。
例えば、人口で秋田市(約30万人)と同程度の世界の都市というのはどんなところがあるかというと、
欧州では、スイス・チューリッヒ、フランス・トゥールーズやニース、イギリス・マンチェスター、ドイツ・ボン、エストニア・タリン、アメリカでは、ミネアポリス、ラスベガス、マイアミ、セントルイス、ピッツバーグ、オセアニアでは、ニュージーランドのオークランド、オーストラリアのキャンベラあたり、中東ではUAEのドバイあたりが人口では秋田市並みだ。
これらの都市は海外ニュースなどでも時々見かけるだろうから意外に大きな街という印象(勘違い)もまんざらではない。しかし、人口密度を調べてみると、秋田市が351人/km2に対して、
・スイス、チューリッヒ  4,092人/km2
・フランス、トゥールーズ 4,771人/km2
・イギリス、マンチェスター 3,815人/km2
・ドイツ、ボン 2,204人/km2
・エストニア、タリン 2,614人/km2
といった具合に、6倍~13倍程度と大きな差がある。

秋田県の総面積は11,636.30km2、そのうち可住地面積は3,154.25km2で凡そ27%しかなく、残りの73%はクマやカモシカのためにあるようなものだ。冗談だが、可住地面積とは総面積から林野面積と湖沼面積を引いたものなので、まんざら嘘でもない。
面積でいえば、秋田県とほぼ同等の大きさの国はカタール、コソボ、ジャマイカ、レバノンあたりになる。ルクセンブルクなどは秋田県の1/4くらいだし、香港は1/10、シンガポールはなんと秋田市の8割くらいの面積だ。

akitapref201505-1秋田県の各市町村の人口、人口密度、世帯数、可住地やその密度などは表のとおりである(秋田県のHPより抜粋)。
大潟村は非常に特殊な自治体であるため論外だが、可住地の人口密度や世帯密度などを見る限り、コミュニティの存続が到底無理で医療や福祉、治安維持と言った最低限の行政サービスが自力ではほとんど無理だろうと思われる自治体が半数以上である。こんな市町村が生き長らえているのは国や県による支援があるからだが、おそらく住民の年齢構成などを詳細に調べたら何年か先には自治体職員しかいないに等しい状態になるのが正確に予測できるかもしれない。

結局、何とかまともな都市あるいは自治体として成り立つにはある程度の人口密度が必要であり、これを上げないことには活気だの賑わいだのをどんなに演出しようとしても自ずと限界があるのだろう。
勿論、交通体系が充実していて道路や公共交通がしっかりしていれば、パラパラと住民が住んでいる状態かつ移動が便利である状態のほうがそれこそ自然を満喫しながら本当に豊かな生活ができるはずだが、残念ながら秋田県の場合は道路や鉄道のインフラ整備は遅れに遅れ、巨額な資金が必要なことを考えるだけでももはや不可能に近い。
それならば、できるだけコンパクトなエリアに少ない予算を投入し、住民がそのエリアに集中居住するように政策誘導するほうが賢い選択である。
これは行政サービスを考慮した自治体運営コストからも明らかだ。
akitapref201505-2秋田県の25市町村の自治体運営コストをいくつかの指標で見ると表のようになる。(秋田県のHPの平成24年度分から抜粋)
財政力指数が3割を切っているなどというのは笑い事では済まない。住民はいかに国や県(他の市町村)におんぶに抱っこであるかを意識すべきだ。もっとも、秋田県自体が3割自治どころか2.5割自治なのだが・・・。
秋田市でさえ経常収支比率は9割近く、将来負担率を見ても立派な市庁舎だの新文化施設などに現を抜かしている場合ではないし、特例公債といういわば借金可能な枠が広がったからといってそれをホイホイ使う多重債務者的発想で将来世代に負担を押し付けてはいけない。将来負担率が空白な自治体についてはそれぞれ理由を見て欲しい。見方によっては総務省配下の独立行政法人といえる自治体として体をなしていない。
人口1人当たりの人件費・物件費をよく見て欲しい。これがいわば住民1人あたりの行政コスト、自治体運営コストのようなもので、大潟村が異常なのは雇用対策事業費による影響で特殊なのだが、全国平均並みと言えるのは秋田市、八郎潟町、鹿角市くらいのもので、あとは総じて金がかかり過ぎ。各自治体の言い訳には『除雪費が巨額になった』といった文言が多いが、除雪の課題は今始まったことではないだろうと・・・。例えば豪雪地帯の特別会計でも作れと。
実質公債費比率などでは大仙市や仙北市などはもう公債発行が簡単にはできない状態に近く、甘い殿様知事の選挙地盤だから許されるのだろう。
人口あたりの職員の数にいたっては、全国平均の7人を大幅に上回る人数の自治体の多さには呆れてしまう。飛びぬけて無能な公務員が多いわけではないだろうが、行政サービスの中身の差が大きいのだろう。
しかし、行政コスト、職員の数にこれほど大きな差があるということは住民が受ける行政サービスにも大きな差があり、不公平感が半端ではない。
他の市町村をもっと互いに見て県という大枠の中で削るものは何かを指差してまともに議論すべきではないのか? 市町村民の問題ではなく県民全体の問題なのだ。
いつまでもペットのように大事にしておく市町村があるのは問題だ。それがもし必要なら、一般的な自治体ではなく特別福祉自治区として扱うべきではないのか。
人口密度を上げれば、身近な話ではゴミ収集、除雪費などの低減化が可能だし、公共交通機関システムや医療・福祉でもサービスの密度の向上が期待できるしそれらの民間ビジネスも成り立つ可能性が高い。教育面でも学校の集約化による充実(勉強や部活も含めて)が図れる。都市に必要な娯楽、飲食店といった業種の成否もプラスに働くはずだ。
生まれ住んだ土地から離れない、離れられないあるいは人里離れた場所に好んで住むアウタルキーには行政サービスに対するある程度の我慢は受け入れてもらわないといけない。
行政は『そんなところに住むな!』ではなく『こっちに住んだほうが便利ですよ!』といった政策誘導をして人口密度を上げるべきだ。何故なら、それが結局は住民全体のためになるからだ。コンパクトシティなどと小難しい概念を持ち出して理想論を語る前に、
あ た り ま え
のことをやるべきではないのか。

ついでに、ラスパイレス指数についての大半の市町村の言い訳。
『東日本大震災に伴う国家公務員の時限的な減額がされている状態との比較のため数値が大きめに出た。類似団体との比較ではほぼ中位である』
といった内容がほとんど。
全国でも最低レベルの経済状態にあって、何故そこの公務員だけが全国並みでいいのか?
まさに噴飯モノである。

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人口密度向上こそが地方再生の必要条件(十分条件ではないが) への2件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    たしかに過疎は良くないけど、でも、引っ越すとなると、
    日本最速で衰退してる秋田県内を選ぶかどうか?

    合理的に考えれば、日本で最悪の地域は選ばないでしょう。
    一人一人が良い人生を送るべきで、ダメな地域の為に犠牲になるのは、良くないと思う。
    特に、若い世代は外の世界を見るべき。

    • argusakita より:

      いやぁ、ちょっと困惑。
      私が東京から秋田に再移住(?)した25年前は、子供時代を過ごしたせいもありますが自然環境(自然災害の少なさ)と子供を育てる環境にいいなと思って再移住したのですが、これは今でも変わりません。
      自然と住民は変わらず(よく言えば)毅然としていると思いますよ。ただし、少子化という課題を突きつけられている時代に即した行政のアクションは全然足りないと思いますが。
       
      問題は、アホな行政&議会とローカルメディアと(銀行を含む)企業経営者の意識がどんどん劣化していること。
      ついでに言えば、飲食店などの『忙しいと憮然とする態度』の不思議さでしょうか。
      アホな行政&議会とローカルメディアと(銀行を含む)企業経営者の意識が上向きにならない限り、
      >ダメな地域の為に犠牲になるのは、良くないと思う。
      は同感です。
       
      若い世代は、どんどん県外、できれば一足飛びに海外に行くべきだと感じます。
      ぜーったい、秋田はいいところだと確信するはずです。

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