地方創生に直接民主制を

switzerland先週14日に隣のスイスで国民投票(レファレンダム)が行われた。国全体で780万ちょっとという小さな国ゆえの機動性の高さとそれを保証している連邦国家としての連邦憲法(最新は1999年制定)には驚きと羨ましささえ感じる。ちなみにスイスが国連に加盟したのは2002年、これも国民投票で決められた。スイスが1815年以来『永世中立国』という教科書的なことしか知らない人は現代史をもう一度勉強する必要があるかもしれない。

今回の国民投票の案件は4つあり投票結果(全体の投票率43.5%)は、
(1)着床前診断 可決(賛成61.9%、反対38.1%)
(2)奨学金 否決(賛成27.5%、反対72.5%)
(3)相続税 否決(賛成29.0%、反対71.0%)
(4)公共放送受信料制度 可決(賛成50.1%、反対49.9%)

(1)の着床前診断を認めることは生殖医療をめぐる問題で道徳・倫理的にも慎重さを要し感情に訴えるテーマだが、明確な差を付けて可決し憲法改正に進む。既に憲法改正を前提とした法律案が連邦議会(国民議会と全州議会)で通っているためこれを公布することになる。

(2)の奨学金については、国民発議(イニシアチブ、スイスの場合は10万人・有権者の約2%の署名で発議可能)によるもので、現在のスイスでは州ごとに大学生の奨学金の給付学が異なり、大学の場所ではなく『親の住む州』で決定され(親がいない場合は保証人らしい)、州による格差が大きい(年間7,500CHF~3,000CHF)。これが教育の機会均等の障害だというスイス学生組合からの発議で国民投票にかけられたが、連邦政府は生活保護や児童手当など他の社会福祉制度と同様に奨学金制度も各家庭の状況によりきめ細かく対応できる州の管轄であるべきだと主張し、全州で反対が過半数となり否決された。

(3)の相続税は、スイスでは日本と逆で相続税・贈与税は国税ではなく州税で、これを州から連邦に管轄を移し、さらに200万CHF(約2億6千万円)以上の高額遺産相続に課税するというものでイニシアチブを出したのは左派である。これも全州で反対多数だった。

(4)の公共放送受信料制度は、今回の国民投票で賛成/反対の議論が激しく最後まで予想が付かなかったものらしいが、日本のNHKが目論む『受信機が無くても受信料を徴収』(PCやスマホが普及したため)を連邦政府が実施しようというものでイニシアチブ発議はこれに反対するスイス商工業連盟(SGV)。理由は法人も徴収対象で、小企業では家庭と企業で二重にはらうことになるというもの。結局僅差で賛成、可決になったが、言語圏による差がはっきりと出て、ドイツ語圏では大体が反対多数、フランス語圏では賛成多数となったようだ。

先進国の抱えるテーマとしては日本にも十分当てはまりそうなものばかりだが、何でもかんでも国民投票で決めていくスイスの場合、国民投票の頻度が高く、前回(2014年11月30日)の金持ち優遇税制廃止案・スイス中銀の金保有拡大案・エコポップ案は3つとも全部否決された。投票率49.9%。以前は6割近い投票率だったと記憶している。
頻度が高いと国民全体が政治に対する意識が否が応でも高まると思ってしまうが、投票率が毎回大体50%弱ということで、少々惰性になっている部分もありそうだ。
また、イニシアチブも常にお堅いものばかりではなく、『国民全員に6週間の休暇を!』(2012年、否決)、『音楽教育の促進』(2012年、否決)、『幼稚園の標準語はスイスドイツ語(標準ドイツ語はスイス人にとっては外国語)』(2011年、否決)などさほど政治性の高いものではないものも含む。

そもそも日本でも一般的な代表民主制の一つである議会制民主制は、ほとんどの国が採用しているが、現代のICTを使えば直接民主制も夢ではない。現にハンガリーのインターネット民主党(IDE、最近は公式HPが無くなった)はICTを活用した直接民主制を掲げて復古主義的と評される。元々は議会民主制を否定した左翼が直接民主制を標榜したが実態はほぼ全て独裁制を敷いたのが左翼の間抜けな歴史である。
現実的には、一々細かな法律まで国民投票にかけられては一般の国民も面倒くさくなりぞんざいになってしまう恐れもあるため、議会はある程度必要で併用がベターかもしれない。

昨今の地方議会あるいは国会などを眺めていると『議論をしない議会』『議会は単なる表決会』『行政の追認機関』の色合いが強くなるばかりか、その構成員である議員の資質が度し難く低下しているのは周知の事実だ。
Fラン大を出て専門知識はおろか社会経験(民間企業での経験等)も少なく単に地盤・看板・鞄を引き継いだり、思想も何も確たる物が無くポピュリズムに乗っただけのため見識が狭く低く、そのくせ議員定数や報酬の問題を先送りし自らの生業を確保し多選を乗り切る事に躍起になっている連中が大多数になっている。不祥事を起こしても自浄能力すら無いのでは議会そのものが形骸化していると言っても過言ではない。有権者が選挙に行かない主な理由の一つだ。

それならばいっそのこと議会は議会で適当な最低限の数で構成しておき、ICTを駆使した直接民主制を取ったらどうだろう。無論、憲法改正が必要ではあるが、まずは地方(県市町村)から住民参加が実現できる。直接民主制が常に良い結果をもたらすとは限らないが、少なくとも無党派層だの浮動票といった曖昧なものは低減出来、地方のシロアリ達の作成する作文・条例に住民がNOを突き付けられるのは大きなことだ。役に立たない議員たちでは頭数さえ不足だ。
仮に一定の住民の署名と発議によるイニシアチブは議会よりも優先され住民投票が行われるとなれば、住民は自治や行政に無関心でいられるはずが無く、それぞれの議論を積極的に出すことにもなる。さらに、住民投票が優先されるとなれば議会自らの存在価値を賭けて議員もそれなりに頑張ることだろう。

地方創生などと笛を吹いても踊れる程交付金がどこかから出てくるわけではなさそうだと皆がだんだんとわかってきた今、地方を再生あるいは活性化するのは案外この(議会も併用しながらの)直接民主制で、住民たちが自分の頭で考えることの大切さを身を持って知ることなのではないだろうか。

今は、安保法制—->9条改正が急務だが、92条~95条あたりと地方自治法を大改正しないと本当の意味の地方創生などあり得ない。

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地方創生に直接民主制を への12件のフィードバック

  1. きりたんぽ より:

    連日、相次いでボロボロと出てくる秋田県の議会議員コンパニオン問題は犯罪ですね。単純に戦後70年で先輩議員から後輩議員に受継がれてきたのでしょうね間違いなく。

    イギリスのBBCも数年に一度、国民投票を行うそうで国民が不要と決断すればなくなるようですね。
    ぜひ日本のNHKそうするべきです。

    • argusakita より:

      公費でコンパニオン・・・の問題はこちらからはあまり情報が取れませんが、秋田では『事件』になっているのでしょうか。
      もう、だいぶ腐っているでしょうからメディアも取り上げないだろうし、各市町村の住民も取り立てて騒がないという感じでしょうか。

      県議会も乾杯条例など廃止して、地元活性化のために『コンパニオン条例』(議員2名以上参加の親睦会等では必ず私費でコンパニオンを呼ぶ)でも制定したらどうでしょうね(^^)。

  2. argusakita より:

    河北のWebサイトを見ていたら、菅官房長官が秋田で地方創生に絡めて、
    『ふるさと納税の企業版』を!
    と講演したそうですが、今でも法人のふるさと納税は全額損金扱い(限度無し)にできる特定寄附金(国、地方公共団体に対する寄附金)なのですが、これと何が違うのでしょうか?
    なんだか、河北の記事を書いた記者も知らなかったのではないかと思いますが、菅官房長官の試案は何が違うのでしょう? 地元では何か別の解説でもあるでしょうか?
    何か変な話だなぁ。

    法人のふるさと納税はおおっぴらに出来る利益誘導の贈収賄のような気がするのですが・・・。
    あるいは、国、地方公共団体の暗黙のプレッシャーに利用されるでしょう。
    (入札要件はふるさと納税いくら以上の実績が必要・・・のような)

  3. きりたんぽ より:

    公費でコンパニオンの次はこれです! さっそく今日付けのニュースです。

    秋田財務事務所の20歳代の職員が勤務中にスマートフォンでオンラインカジノを174回やってました(笑)

    仕事をしていないということで国家公務員法の違反で懲戒処分でしたが、本人は依願退職しました。

    それなりの大学に行き卒業し、十分な教育費をかけた結果がこの結末とは・・・・・・親御さんも悲しむでしょうね。

    さきがけの記事でこちらです
     ↓
    http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20150630n

    • argusakita より:

      カジノはいかんですね、カジノは。
      せめてFXのようなインサイダーの懸念の無いものなら『勉強のため』と言えたでしょうが(^^)。
      174回というのはどこから出てきたんでしょうね。泳がせておいて通信のlogからでも割り出したのかな?
      8ヶ月で174回なら、1日1、2回程度ですよね。公務員だってそれくらいはゴロゴロいそうな気がしますが・・・。

      仕方が無いから、こっそり書き溜めていた『公務員天国』をメニューに非表示から表示にしました(^^)。

      • きりたんぽ より:

        メニューの一覧の一番右にある「公務員天国」すごいですね!
        過去から今までのことの内容驚きました。

        近年はスマートフォン専用のFXに関してのアプリから、いかに取り引きしやすく逃さないようにするかの工夫はすごいものがあります。そのままブログに載せたりと自宅でもパソコンでチャート画面を開きスマートフォンで取り引きする人も多いようです。

        トイレに行ってスマートフォンで画面を確認して取り引きする人も多いようですよ(笑)

  4. きりたんぽ より:

    先日はマスコミなどは議員の資産状況の公開やランキングなど公表していましたが、

    今日のこの記事に目がいきました。

    「維新の党の今井政調会長がFXで5千万稼ぐ!!」 

    先日、国会で質疑もしていましたが、投資のプロでも有名で議員に当選する前のFX攻略本などの「マット今井」時代の書籍なども発行していました。

    多忙な党でもありますから時間の余裕を作るのも難しいものだと勘ぐりますが、面前で議員がスマートフォン片手に取り引きなどできそうもないですし、

    スキャルピングと呼ばれる短期売買ではないと思われるので、あらかじめ長期目線での注文取り引きなどではないかと思いますが、

    株などをやっている議員もたくさんいますがインサイダー情報を十分に仕入れることも可能でしょうね。

    FXで選挙資金でも十分に稼いでしまうわけですから、すごいものがあります。

    こちらの記事です

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150705-00000007-asahi-pol

    • きりたんぽ より:

      これぞ直接的に民主的なお金の稼ぎ方でしょうか。

    • argusakita より:

      へぇー、凄いですね。
      でも株と違ってFXの場合は指標で上に行くか下に行くかはわからないので、インサイダーというのはあり得ないというのが一般的ですが・・・。
      当然低レバでやってるのでしょうから、そのタネの大きさはきっと凄いのでしょうね。羨ましい(^^)。
      ギリシャ次第ですが、今週も荒い値動きになりそうですね。

      世界遺産、結局何だったのでしょう。
      ひょっとして、ジュネーブで行われている水産物輸入禁止問題でWTOの2国間交渉が不調ですから、今のままで行けば20日以降にパネル(紛争処理小委員会)設置に進みますが、これを日本が設置要求しないといったことがバーター条件かも。
      20日以降にわかります。注目しましょう。

      • argusakita より:

        世界遺産登録、徴用工問題はちょっと尾を引きそうな印象。
        パリのJapanEXPO、またまたハングルの溢れる怪しげなEXPOになってるみたいですよ。

        朝鮮人、朝鮮的なものの排除は現代日本に必要な課題。
        このまま侵略を看過していてはいけない。

  5. きりたんぽ より:

    為替でインサイダーがないことを信じたいですが、ただ民主党政権時の無意味な為替介入(数日で元に戻ったり)は前もって漏らしていた可能性が大きいと感じています。

    日銀を含めて総裁だった白川は反日でしたので、あの当時は今さっき介入したこと(日本時間の10時~11時に多く)をニュース速報で流していたのを思い出します。
    在日の連中はかなり大もうけしたのかと勘ぐりますね。

    元・首相の管などは首相に就任してすぐに無意味な単発の為替介入していた記憶もあります。ここまで買い上げるから一緒に買わせてそこで売らせるという通称「いってこい」でダブルの儲けをさせるということをやっていたのでは・・・・・・本人もやってたりするのでしょうか(笑)

    今日のギリシャの国民投票の結果と先売りで来週はまた大きな動きになりそうです。
    さらに上海の株もおかしくなっていますので、二つ同時に合わさっていますので、あらゆる相場には気をつけないといけませんね。

    世界遺産、白紙に戻ったというような時事ニュースがありましたがどうなっているのでしょうか!?
    南朝鮮は百済や高句麗や高麗のはるか大昔の歴史に関して拘っているのにも関わらず、なぜか数十年前のことが記憶喪失になっているのか不思議でなりません(笑)

    • argusakita より:

      >世界遺産、白紙に戻ったというような時事ニュースがありましたがどうなっているのでしょうか!?

      ここでLive流していますよ。

      ギリシャ、調査会社の発表では緊縮受け入れ賛成44%、反対43%、未定12%と開票まで全くわかりませんね。

      支那の市場は株の新規上場は一時停止です。相当な混乱が起きそうです。

      F1イギリスGPとICOMOS、ギリシャ関連とテレビ3台点けっぱなし(^^)。

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