AIIBの先にあるもの

6月29日に設立協定の調印を行ったAIIBは、フィリピン、デンマーク、クウェート、マレーシア、ポーランド、南アフリカ、タイの7カ国が署名せず50カ国でスタートとなる模様だが、実際に運営開始されるのは早くとも年末頃といわれ、ギリシャやウクライナの状況あるいは支那自体の急激な経済環境の悪化によっては参加国離脱も含めて不透明状態になる可能性も残している。
一方で、今月1日にはBRICS5カ国によるBRICS銀行の設立協定を全人代常務委員会が批准したそうで、このBRICS銀行のほうは当初の資本金500億ドル(約6兆円)を5カ国が均等出資し、任期5年の総裁ポストはインド、ブラジル、ロシア、南ア、支那の順で回すことになっているらしい。

とにかく何とかして外貨(主としてドル)を入れて管理フロート制で固定している人民元を刷り増してデフレを防がないと、必要とされる7%台の成長が見込めないという危機感がAIIBとBRICS銀行さらにシルクロード・ファンドの3つを強引に進めさせているように見える。
支那のAIIBでの戦略や手法はだいぶ見えてきた。
まず、参加国からの資金を募るがこれは帳簿上の資産のためドルのキャッシュである必要はない。額面が重要で各国が不良債権で提供しても構わないということだろう。
投資や融資のスキームはこうだろう。

・投融資案件(融資対象国)の選定(当然議決権の大きい支那主導で決定)
・投融資契約(額面ドル建て)
(ただし、支那の国営企業を使うタイド(ひも付き)案件優先)
(実際にドルのキャッシュを融資国に渡すわけではない。額面の書かれた証書のみ)
・インフラ建設・整備は支那の国営企業がほぼ独占
・建設中や後の返済は『ドル』でAIIBに返済
(建設中の支那の国営企業にはAIIBが人民元で支払い。多少の遅滞や踏み倒しがあっても共産党配下の国営企業のため無問題。いざとなれば人民解放軍)
※FRBの利上げでドルの還流が始まってるため、投融資を受けた国が返済のドルを調達するのはどんどん困難になる。つまり、支那は投融資国の債務不履行によってその国を経済的に支配することができるようになる。(最終的にはこれが支那の”ドリーム”なのだろう)

これならドルを好きなだけかき集められるし供給過剰な国営企業の生産リソースを活かすことが可能だ。集まるドルに見合った人民元の刷り増しで停滞期に入った国内デフレ圧力にも対抗させることができる。

もしAIIBがまともな国際金融機関ならば、融資案件の審査は環境・社会・人権等に対するアセスメントやアンタイド(ひも付き無し)、建設・機器等の国際競争入札が必須のはずだが、これらをすっ飛ばすのがAIIBの運営だろう。
アセスメントは融資国から適当に書類を出させれば良く、アンタイドを装うためにAIIB参加各国からダミーの入札参加をさせれば良い。
融資先も支那の傀儡やシンパの国が優先だろうし、実質的なタイドであればちょうど車のメーカーがローンを組んでくれるメーカー・ローンと同じ仕組みだ。(返済できなければ担保に取るだけ)
日米がドルのキャッシュを持って参加してくれればこのスキームに資金的な余裕と信用が加わり、AIIB発行の債券が出る場合には格付けも上がるだろうがもはや日米の参加(特に日本の参加)はさほど重要でもないかもしれない。

例えこれらのスキームがバレて国際的に非難されたとしても、そもそも世銀やIMFに対抗するために作った集合体なのだから、50カ国の『声』を持って非難をかわせるという読みだろう。支那以外の参加国にとっても世銀やIMFに文句を言える格好のチャンスを持つ事になる。
支那のバンドワゴン効果を期待する参加国特に欧州は上記のスキームを知っているはずで、さすがにインフラ建設の100%を支那が独占するわけにはいかない為ある程度の機器調達などで旨みも考えられ、さらにその支払いは人民元となるだろうから欧州での人民元を含む為替市場の交換手数料をも目論んでいると思われる。

AIIBに関して『一帯一路』といった構想が言われているがおそらく聞こえの良い表面的なもので単なる構想に過ぎないのではないか。
そんな多国間の議論が必要なものに支那は絶対に取り組まない。何故なら南シナ海問題でもあくまでもそれぞれの国との2国間協議に拘る(恫喝がし易いため)のが支那のやり方である。

Geplanter chinesische Zugang zum Indischen Ozean durch Pakistan

Geplanter chinesische Zugang zum Indischen Ozean durch Pakistan

支那がAIIBやBRICS銀行やシルクロード・ファンドを使う最優先のターゲットに置いているのはパキスタンだろう。
図は、4月にDerStandard(オリジナルはWSJ)に載ったパキスタンのインフラ開発に関する計画だが、道路網(鉄道網も追加されるだろう)や火力、水力、ソーラー、風力発電といったインフラが書かれている。
要するに傀儡に近いパキスタンを使って支那はインド洋に進出しようとしているのである。インド洋に自由に出入りできれば、中東やアフリカへの進出も容易だからである。さらにペルシャ湾やホルムズ海峡に睨みを効かせることができる(日本にとっては悪夢だ。だからこそホルムズ海峡の名前を出して安保法制整備を急いでいるはず)

一時、ミャンマー、バングラデシュあたりからインド洋(スリランカを拠点)への出口を探っていた支那だが、ミャンマーが若干の民主化によって欧米資本や日本になびき始めたことやインド領の間(このあたりも国境が複雑)を出て行くのはリスキーだと判断したに違いない。
パキスタンからインド洋に出るには、ウイグル、東トルキスタン、インド・カシミールあたりをうまくまとめる必要がある。
ここが支那の影響下となれば、中東、アフリカまで支那の影響力は一直線になる。

しかし、東トルキスタン、ウイグル、パキスタンはイスラム世界である。支那がすんなりパキスタンを配下に置きインド洋に進出していくことが果たしてできるだろうか。
誰かが予言したように近未来は支那vsイスラム世界の構図が明確になってくるかもしれない。
近未来、逆にアメリカはアフガニスタン、イランと手を組み支那とパキスタンを牽制することになるだろうと予想する。

AIIBの先にあるもの・・・。
日本は安保法制成立を急ぐべきだ。

 

 
 
 
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AIIBの先にあるもの への3件のフィードバック

  1. argusakita より:

    上海株の下落が止まらず、サーキットブレーカー発動。
    個人投資家による売りが殺到しているようだ。アイヤーッ!か?
    まだ崩壊というわjけでもなさそうだが、支那政府の対策も後手後手でジワジワ来そうだ。
    夏の終わり頃には何かが起きそうだな・・・。

    支那の株式の話題は日本のメディアはあまり取り上げていないが、相変わらず報道しない自由か。
    支那に投資している日本企業や爆買い期待の企業は秋口に向けて要注意だ。
    ギリシャ&チャイナショックは間違いないな・・・。

  2. きりたんぽ より:

    支那の証券取引所の前ではいつもの大声で大騒ぎをしていましたね。
    日経平均の下げ幅も今年一番ではないでしょうか。

    支那の国内の大学生の三割は株の取り引きをしているようで、この状態では彼らは学業どころではないですね。ギリシャから支那の材料だけでFXはお祭りになるかもしれません。

    • argusakita より:

      上海総合、若干戻しましたがしばらくは戻り売り圧力が強そうですねぇ。
      支那株、ギリシャユーロ離脱、アメリカ利上げ中止なんてなったら強烈な円高でまた元の木阿弥になりそうですね。
      (確率は低いでしょうが非現実的ではないですし)
      やっぱりCHFだなぁ・・・

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