個別的自衛権では到底対処できない現実

ロシアの一部の公的機関(検察関連)がMicrosoftのWindows10の導入を禁止した。経済制裁の対抗措置の意味もあるだろうがそれだけではない。
Windows10にupdateした人はわかるはずだが、installしたままのdefault状態ではそのPCにある個人情報、個人データはMicrosoftに筒抜け・ダダ漏れ状態になる。installする場合はまずこのセキュリティの設定を細心の注意を持ってじっくり行わないといけない。
Windows10のライセンスではinstallする際にそのPCにある個人情報、個人データがMicrosoftに送られるがそれを了承しないと使えないことになっているし、installしたら了解したことになっている。さらに収集した情報は目的外の使用はされない旨が謳われているが、そんな契約条項に目を向けるユーザがどれだけいるだろうか・・・。(目的って何よ? 目的外って何よ? という素朴な疑問)

情報通信のエンドユーザには見えない部分の仕事に関わっていると時々『(日本も含めて)世界中の先進国を1週間程度で破壊することは可能』という確信めいたものを感じる時がある。武力など一切用いずに国家や社会システムを破壊することは意外に簡単で、薄氷を踏むような脆弱な世界に自分たちが暮らしていることは実は間違いない現実なのである。
何をSFみたいなことをと思う人は技術的な知識の欠如と現代の社会システムの個人の生活への影響に対する洞察・想像力の不足の自覚が必要だ。
銃器で殺されたり、ミサイルで街を攻撃されなくとも大勢が徐々に死に追い込まれたり、混乱を引き起こし、社会の破壊、ひいては国家の存立を危うくすることは十分現実味のあることなのだ。(まさに存立危機事態)
風が吹けば桶屋が儲かるといった『こじつけ理論』のように見えることが情報通信の世界ではドミノ効果の確率や有効性、人間という不特定・不定性要因が絡むことによるバタフライ効果として結構まじめに研究されていて、これらの研究成果は諸刃の剣であることは常識的に知られている。

最近の日本での年金情報流出などをどれくらい深刻に受け止めた人がいるか知らないが、筆者は非常に大きな脅威だろうと感じている。
流出だけで済めば良いが、それらが悪用された場合どうなるか。年金記録が無くなる、年金が個人に行き渡らない、年金の財源が失われる等悪い可能性はいくらでも考えられる。その結果、年金に頼って生活する年寄りや障害者などまずは社会的弱者から現実の生活が困難になり、生命の危険に陥る。しかも事件とは言えないようなゆっくりしたペースで。
現在は個人の健康保険は紙あるいはカードの保険証があれば医療機関の窓口で受け付けてもらい診療を受けられるが、これが厚労省の進めているリアルタイム・オンラインになった場合に、その健康保険証が『該当者無し』『無効』となれば受診できない事態も起きる。
マイナンバー制度が始まれば、『あなたのマイナンバーは無効』『存在しない番号』といったエラーで何が起きるかは影響を及ぼす項目があまりにも広範囲(行政、税務、金融機関)で書ききれない。
5件や10件のエラーなら人的な手作業によるフォローも可能だろうが、100万件、1000万件単位でこんなことが起きたら手作業での対処は不可能だし、リセットもままならないことは『消えた年金問題』で日本国民は経験済みのはずだ。

個人の生活に直結する年金や保険だけではなく、エネルギーインフラや流通も今やネット無しでは機能しない。電気やガスや水道が来ない、食料や生活必需品が手元に来ない事態は先進国の文明社会では簡単に大混乱を引き起こす。
気象情報が全く無ければ日本のような『自然災害のデパート』のような国家は物的・人的に甚大な被害を受けるし、交通情報が無ければ流通以外にも様々なビジネスも機能しなくなる。

今世紀初めにアメリカ国防省(インターネットはそもそもここが出自)は『世界を3日で破壊する方法』について研究を開始し、その成果の一部であるStuxnetというマルウェア(コンピュータウィルスのようなもの)によって2009年~2010年にイランの核施設を制御不能にした。使用しているコンピュータがSiemens(ドイツ)だったこともありターゲットの情報が豊富だから出来たこともあるが、ブッシュからオバマ政権に変わっても続けられたこの『Olympic Games』プロジェクトはまだ進化している。何故ならイランからこのStuxnetが流出し他国も入手してしまったからである。

インフラを直接攻撃し制御不能にしたり破壊することも可能だが、社会を混乱させ国家を破壊するのはさらに別の方法もある。SNSを使った情報操作・攪乱による人間集団のコントロールである。
筆者は2004~2005年のウクライナのオレンジ革命でこれを見せつけられた。黒幕の一人ジョージ・ソロスがキエフの人間達に与えたのは『銃』ではなく『携帯』と『情報・噂』だった。
アラブの春も同様だった。『携帯』と『噂』さえあればバタフライ効果からドミノ効果が起き、あとは人間の集団が物理的な集団行動を引き起こしてくれる・・・。
集団ヒステリーを起こすのは簡単である。適当なデモの犠牲者を写真や友人・家族と合わせてでっち上げれば感情論で動く大衆はいくらでもいる。

情報化社会の恐ろしさとスピードの速さを既に人類は様々なインシデントで見ているはずだが、それらがシステマティックに同時に行われた場合について想像力が追いついていない。個々のインシデントは他愛の無いあるいは人命や財産に直接関係無さそうに見えるため思考がそこで停止している人が多いが、その先にあるものは武力衝突などによるものよりも遥かに大きな破壊力を持つことは十分な認識が必要だ。
また、それらが不正アクセス防止法のような緩くザルな法律ではどうしようもないことは知っておくべきだ。

日本の情報システム、とりわけ経済や国防に関するものは海底ケーブル、人工衛星(GPSなども含めて)といったインフラ依存が現実であり、残念ながらこれらはアメリカに依存していて日本単独では成立し得ない。同様に日本や周辺ではアメリカも日本の一部のシステムを利用せざるを得ないのも現実。
安保法制では『武力』ばかりがクローズアップされ、情報通信は『兵站』の一部として法案の文言に少し埋め込まれている程度だが、サイバー空間、宇宙空間では単独で個別的自衛権などあり得ず集団的自衛権あるいは集団安全保障が必須なのだと気づいている人は与党にも野党にもあまりいないのではないか?

政治家も国民も70年以上前の国家総動員法に基づく物資の拠出や学徒出陣、悲惨な地上戦や爆撃といった太平洋戦争お茶の間ドラマの疑似体験状態から抜け出ていない。

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個別的自衛権では到底対処できない現実 への1件のフィードバック

  1. 通りすがり より:

    たまたま今日の参議院特別委員会を見ていましたが、共産党の小池や民主党の蓮舫、生活の山本太郎など大声出して気迫だけ空回りしている印象。
    煩すぎませんか、あの3人。
    ああいう言動がマイナスだといつになったら気付くのでしょうね。

    ただ、安倍首相はまあ定常運転としても中谷防衛相の答弁がいかにも稚拙で落ち着きが無く、突っ込みどころをわざと提供しているようでもあり、どっちもどっちだと。

    重箱の隅を突く法律論・解釈と政策論・判断の応酬ではいくら時間をかけても無意味に近い。どうせ60日ルールで成立は間違いないのだから、首相も大臣ももっとゆったり構えて対応すべきですね。

    FNNの世論調査でも安保法案の必要性は58%と上がってきましたし、半島で本格的にドンパチ始まったら野党も腰砕けになるのは間違いないです。

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