スモールビジネスの環境整備を

モスクワで日曜日を潰すのは散歩が一番だが、昨日は少し離れたところまで出かけた。すっかり夏は終わりという感じだが日差しは強烈。メトロを乗り継いでトヴェルスカヤまで出てブラブラしながらエルミタージュ公園まで。トヴェルスカヤ、プーシキンスカヤ、チェホフスカヤのあたりは環状緑地の一部になっていて休日はモスクワでも人の大勢集まる場所である。それだけテロの危険も高いのだが、まあモスクワでそれを気にしているとどこにも行けない。

エルミタージュ公園に初めて行ったのは約30年前の旧ソ連時代で、そのときは公園の中を案内してもらったが一般に公開はしていなかったように記憶している(最近ボケてきたので定かではないが)。今は、公園内部のステージでは夏の間コンサートが頻繁に行われ、オープンカフェなどもありまさに隔世の感。

環状緑地では、珍しくクワスのタンクを止めて売っている婆さんがいたが、モスクワ中心部ではもう珍しいかもしれない。ウクライナのキエフなどでは未だに見かけるが、あまり衛生的とは言えない酸味のある独特の飲み物だが、これこそ東欧・ロシアのソウル・ドリンクかもしれない。(お腹の弱い人には勧められない。飲んだら正露丸を飲んだほうがいい)
クワスの婆さん以外にも、アイスクリーム(ほとんどネスレの製品)売り、似顔絵描き、生きている蛇やワニと記念写真を勧める爺さん、定番のマトリョーシカ売りやKIOSK(商品はすべてガラスの内側にあるタイプ)は多数。
それらを眺めていて、『地方創生はこれかも』と思いついた。

モスクワも今は格差が非常に大きい。特に若者の格差が大きく、まともな仕事が少ない。(日本でも世代内格差が大きいのは29歳以下、特に24歳以下と統計で出ている)
安い飲食店などで働いているのはカザフスタンなどの中央アジアからの出稼ぎの若者だ(しかし、大体が大卒)。
年寄りたちも年金は少ないはず(大体65歳で年間20万円弱)でこれをプーチンは去年さらに減額したため悲惨な状態のはずだ。しかし、ロシア人というのはアウタルキーの気概が国民にもあるせいか、空き地に何気に畑を作ったり、あの汚いモスクワ川で釣りをしていたりする(一度釣り人に聞いたことがあって、ナマズのような魚が釣れてそれが結構”美味い”のだそうだ。信じられないが)
若者もロクな収入が無いはずなのだが、何故か皆スマホを持っている。フリーSIMでプリペイドのため、デバイスはそこら中で中古が手に入るし、スクラッチ式のプリペイドカードも街中で安い割引のモノが売られていて大雑把な感覚では彼らの通信費は日本の通信費の半分ほどではないだろうか。
ソ連崩壊後のギスギスした街の空気ではないが、やはりどこか若者(これまた大体が大学卒)は殺伐としたものを感じさせる一方、人の集まるところに無目的に集まってきて屯している。(夜は蛾のように明るい場所に)
女の子達は安物のアクセサリーとメイクで颯爽と歩いているし(こちらも無目的?)、経済制裁を食らっている国ながら街の中ににぎわいがあるのはやはり民族・文化の違いかと。
それにしても東スラブ系の女の子は奇麗だ。歩いていてすれ違ってこちらが倒れそうなくらいの美人を数えていたら両手では足りない。しかし、年を取ってマトリョーシカのようになる例の変貌はほぼお約束で幼虫とサナギくらい違うと思って間違いない。

秋田市の行灯市長などもたまに『にぎわいを取り戻したい』などと言うが、活気や賑わいといったものはやはりモスクワのこういったある意味必要悪的な猥雑な怪しげなものがないとダメなのではないかと筆者は感じる。
かつての秋田市、例えば昭和40年代前半頃は、朝鮮人マーケットのような金座街は別としても現在のアトリオン脇の駐車場のあたりにはいつも『大学イモ』や『大判焼』の屋台が出ていた。筆者の住んでいたあたりでは紙芝居屋も回ってきたし、金魚屋もたまに来ていた。物干し竿や箒の行商も多かったし、リヤカーで鮮魚を売っていた婆さんもいた。時間帯にもよるが市場の近くでは歩道までせり出すような形で野菜やあれこれを売っていた。
あのテの昭和の香りを残しているものは今や『ババヘラ』(登録商標)くらいだろうか。
しかし、ババヘラは一見ほのぼのとした商売のように見えるが実はなかなかの企業で、県内のイベントしかも大きなイベントはもとより県内に何百とある小中高の運動会や文化祭の類までの細かなスケジュールのデータと気象情報を把握し配置を素早く出すといった秋田で最もICTをビジネスに活用している企業だと筆者は理解している。

紙芝居も現代風にしたらプロジェクション・マッピングであり、大学イモは飲み物やハンバーガーとともにファストフード店のフライド・ポテトになった。
金魚屋も秋田市内にあった数件の熱帯魚店は無くなったが、ワゴン車に積んで商売はできるかもしれない。小さめの熱帯魚などはインテリアとして案外需要はあるものだし、ワゴン車の中の水槽にディスカスがいたら、マイクロ水族館的な要素も兼ねられる。
物干し竿や箒は需要は少ないかもしれないが、自家用車には積みにくいものもありDIY店があれば良いというものではない。今後増加すると言われている年寄りを中心とした『買い物難民』を考えるとデリバリーの種類は増えていってもおかしくはない。
こういったスモールビジネスが実は街の中や住宅街を活気づかせたりするのではないか。人出があるということは監視カメラよりも防犯効果は大きい。

筆者は何年か前にある食べ物の移動販売を計画してあれこれ調べた。結論的にはあまりに関係各方面への手続きの多さ(しかも順序がある)に辟易して断念したが、そのうち移動ではない小さな店で趣味の商売をやろうと目論んでいる。(老後の楽しみ)
いかに面倒か・・・、まず移動の場合に扱える食品が限定されていること、食品営業許可申請、各種検査、食品衛生責任者、道路運送車両法による車の改造手続き・検査、道路交通法・道路法による道路許可申請、公園の場合は都市公園法に基づく申請・・・。しかも管轄がそれぞれ違うため大変なテマがかかり些細な変更も楽ではない。
これでは、新しく始めてみようと思う人も大抵は断念する。断念させるために複雑、面倒にしているのではないかと思うくらいだ。

雇用が無ければ自ら小さな商売を始めてチャレンジしようと考えるのは自然であるし、売り上げ1,000万円以下の小規模なものなら消費税とも無縁だし、頑張れば自分と家族ぐらいは何とかなるだろう。モスクワの婆さんのように。
ある商売がうまくいかなかったらさっさと違うネタでチャレンジできるフットワークの良さはそれこそ自営業の醍醐味かもしれない。
やってみてうまくいくようなら、そこではじめて法人成りして株式会社化したら良いのだ。

都会の整った市街地インフラや交通状況の水準にないにも関わらず、田舎でも前記のシチ面倒くさい全国一律の法律で雁字搦めにしたら地方の活力が削がれるのは当たり前である。
行政から見たら法人、株式会社といったものがドンドン出てくるほうが許認可や徴税事務で楽だろうからwelcomeだろうが、起業するほうから見たら定款を作成して公証人のサインをもらい、実印を登録し、登録免許税を払って、社会保険の仕組みに組み込まれ、最低賃金で縛られるような雇用を回して行くためには初めからある程度のビジネススケールが要求される。最初からそんなにうまくいくネタはそうそう転がってはいないのが世の中だ。
これではチャレンジ精神と(大抵の場合は若者の特権である根拠のない)自信を具現化してやるにはハードルが高すぎるだろう。

県や市町村が企業の誘致・立地に一生懸命(?)だが、残念ながらいくら優遇税制だの一時的な助成金をつけても秋田は企業にとって魅力的なところではない。
自治体が『強み』だと思って勘違いしていることと企業が立地を考える場合の条件が根本的にズレている。これは帝国データバンクあたりのレポートで明確に出ているのだが何十年も変わらず同じような誘致・立地手法しか無い秋田県や市町村は学習効果が全くないか知恵も工夫も欠落している。

10億の売り上げの企業を10社呼ぶ、あるいは作るとしても、DIOジャパンのように詐欺まがいの企業もあり、交通アクセス、周辺の居住環境、労働力確保の容易さ、産業集積度、マーケット規模のどれをとっても秋田は魅力的ではなく他の地域との競争力に欠けているため、短期間で撤退する危機感を常に抱えることになる。秋田県はTDKや御所野のNECなどと絶対に喧嘩ができない状態でいるのはある意味滑稽である。(雇用を人質に取られているようなもの)
それよりも、売上1,000万の自営業を1,000立ち上げさせるほうが地域の活性化には資するはずで、ひょっとするとその中から法人化し大きくなる企業も出てくるかもしれない。
そのために自営業の開業や商売上のハードルを下げてあげる役割を行政は担うべきだろう。そのほうが遥かに行政側のコストは低いはずだ。

経済成長の無い秋田のような地方で商売と地域活性化を同時に目指し『発展』をするには、スモールビジネス、自営業の育成こそ鍵ではないか。

さて、明日は早起きでラトビアのリガに飛ぶ。

ブログランキング・にほんブログ村へ 
(blog rankingに参加。ご協力を。Click it!)

広告
カテゴリー: 県政・市政・議会, 社会・経済, 秋田を改造, 海外 タグ: , , , , , , , , , , , , , , , パーマリンク

スモールビジネスの環境整備を への2件のフィードバック

  1. blogファンその1 より:

    「経済成長の無い秋田で”発展”を」
    なかなか含蓄のある、しかし難しいテーマですよね。
    自営業のススメと読みましたが、確かにそういう原始的なものから始めないとダメな感じもします。
    私は子供たちも皆県外に行ったので部屋に空きがあり民宿でもやってみたいのですが、旅館業法の壁が高くて歯が立ちませんでした。
    隠れてコソコソ商売するつもりはないものの、いきなり本格的な商売なんてできません。マイクロサイズで商売することが許されない状況はいろいろな業種でありそうです。

    秋田県は、どうしても企業誘致がしたいらしく、

    県内への本社機能移転経費を助成 県、制度創設へ(魁 2015/9/8)
    http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20150908i
    (抜粋)
    新制度は、県内に拠点がある県外企業を想定。本社機能や登記を県内に移し、本社機能に携わる従業員を2人以上増やす場合、新社屋の取得や従業員の転居、移転登記に掛かる経費の4割を上限に4千万円まで助成する。移転に合わせて設備投資する場合、既存の助成制度の要件を緩和するなどして支援する。

    だそうです。
    これって企業側からみて魅力的なんでしょうかね?

    • argusakita より:

      『経費の4割、4,000万上限』と発表するということはおそらく移転経費1億規模の案件が具体的にあるのでしょう。(数字の根拠が不明ですから(^^))
      4,000万くらいかかるという企業側の要望に合わせたものかもしれませんね。

      そんな規模の本社機能が秋田に・・・。ちょっとあり得ない経営判断。
      一時的な助成など”魅力”にはならないのです。

      一定期間の確約+撤退時の条件(一定期間以下の場合は違約金等)なりを覚書などで決めないと、またDIOジャパンのときのように血税が持っていかれます。

      相変わらず学習効果が無いか、出来レースでしょうね。

コメントは受け付けていません。