ハンガリーが批判にさらされている?

ラトビアのリガのホテルでヒマつぶしにTVニュースを付けっぱなしにして各国のニュースをザッピングしていると、どれを見ても暴徒化する難民を追い返すハンガリーの警察と制止を振り切って逃げていく難民達の映像が何度も繰り返される。催涙ガスも使っているが、もともと銃弾やロケット砲の飛び交う中で生活していた難民たちには効果など無いだろう。
ハンガリーはもっと『人道的』に扱えといった論調もあるが、だんだんと欧州全体の空気が変わって来ているように感じる。
ただ、ローマ法王が日曜日『欧州の全ての教区、共同体、修道院、教会で1家族を受け入れるよう』求めたこともあり、各国も経済的な問題で割り切れない葛藤がありそうだ。
(正教のほうはあまり発言が聞こえてこない。いつものように比較的非政治的)

メルケルのwelcomeメッセージに始まった民族大移動の加速化だが、ハンガリーにしてみれば降って湧いた災難のようで身に覚えのない誹謗中傷を浴びているに等しい。
地図を見ながらニュースを見たらわかるが、トルコ、ブルガリアを通過してきた難民はおそらく自分達並に貧困さが目でわかるルーマニアを敬遠してセルビアに入る。しかしセルビアもかつての内戦以来の貧困が続いていることとブルガリア同様正教がメインの国なので後で宗教的な対立は避けられない。したがってセルビアを通過して国境を接しているシェンゲン協定加盟国であるハンガリーに必然的に向かう。
シェンゲン協定加盟国では、最初に入国した国が責任を持って外国人の入国審査、難民登録を行うルールがあり、通過した外国人は加盟国内を自由に行き来できる(ただし合計の日数の制約などは細かく規定がある)。
ハンガリーはそれを忠実に行おうとしているが難民の数が多すぎて処理が追いつかないようだ。どうせドイツに向かうのだからドイツやオーストリアはハンガリーに入国審査の人員派遣や資材供給等をすべきだという指摘もあるが、ドイツやオーストリアはその気はあまり無さそうだ。
結局、ハンガリーはセルビアとの国境に有刺鉄線のフェンスを敷いたが全く効果が無さそうだ。

ハンガリーからドイツに向かうのはオーストリア経由もあるが同じようにシェンゲン加盟国のスロバキア、チェコを抜けてドイツのドレスデンあたりに行くルートが考えられるが、既にこの2国は『キリスト教徒だけ少数なら受け入れる』と宣言していて、スロバキアなどはハンガリーとの国境で武装警官がガッツリ守っている。さらに、例えチェコに入れたとしてもドイツとチェコは第二次大戦のチェコ併合などで歴史的に仲が良くないことに加え、ロマの強制退去(ドイツはロマを列車にそれこそ非人道的に詰め込みルーマニアあたりに時々送還している)を巡って仲が良くないため、難民がスムーズに通過できるとは限らない。

おそらく日本ではあまりニュースにならないだろうがポーランドやバルト三国はアフリカや中東の難民どころではない。ウクライナ問題が長引き、ウクライナからの経済難民ともいうべき流れがこれらの国を襲っている。さらに経済制裁下のロシアやベラルーシからも移民・難民が押し寄せていて、ロシアと犬猿の仲のバルト三国、特にラトビアはロシアとの国境に有刺鉄線を張り巡らすのに2,000万ユーロ(約26億円)も予算を組んだし、バルト三国は元々騎士団の子孫ともいうべき好戦的な側面もあるためかいつでも戦う姿勢(勝負は度外視的な)でスタンバイしている。
ドイツに入った難民は今はミュンヘンあたりに集中しているが、必然的に旧東独地域に移動するだろう。そうなるとポーランドが国境線で身構えるに違いない。ポーランドとドイツの中の悪さは特筆もので互いに”大人の対応”をするところが南朝鮮などとは違う。

そういった各国のバラバラな対応で、当然ながら国連は無能な事務総長のため動かず、EUはそれぞれの国のポピュリズム政治反イスラム感情が助長され欧州連合の理想もへったくれもない状態になりつつある。
スタンドプレーにも見えるドイツのメルケルは『もし欧州が難民問題で失敗したなら、欧州と普遍的人権の固い結びつきは壊れ、もはや我々が夢見た欧州ではなくなるだろう』などと格好良いことを言っているが、他の欧州諸国からは『お前が悪い』とみられているようだ。
フランスのオランドとイギリスのキャメロンも何とか理性的にメルケルと足並みをそろえようとしてはいるものの、国内の風当たりは相当に強い。
フランスは極右のルペンあたりが声高に元気づきそうだが、既に相当数の移民が入っている移民大国であり簡単に排斥はできない。何しろ出生率2.01を支えているのは移民だ。
イギリスはキャメロンが態度を変えて数千人の受け入れを表明したが、EUとの足並みを揃えることに反対の国内勢力が勢いづくことも確かでBREXIT(EU離脱)も現実的になる可能性が高い。
オーストリアのファインマンは『東欧各国が難民受け入れを行わないならEUによるそれらの国への資金援助も再考すべきだ』とまでエスカレートしていて、これも反感を買っている。
スペインカタルーニャの独立問題が国政の大きなポイントになっている現在、さらに移民などの問題は頭を抱えているだろう。
ドイツに難民がほぼすべて定住するなら問題も解決に向かうかもしれないが、ドイツ国内でも反対勢力が盛り上がってきていることもあり、いくら黒字国ドイツでも経済的にも限界があり現実的ではない。いずれはオランダ、北欧にも難民は移動していくだろうが、そうなると『人権』『社会保障』をウリにしている北欧の社会モデルなどは規模が小さいからこそ成り立っている側面があるためあっという間に社会制度も崩壊するだろう。

争いの絶えなかった欧州でウェストファリア条約で国民国家を形成し互いの干渉を抑え、今度はさらにボーダーレス化によって欧州統一を理想にしたが、今そのボーダーを各国が再度固め始めたのは実に皮肉な成り行きだ。
ギリシャ問題のような通貨ユーロ圏の危機以上に『人権』といった道徳的問題で欧州の亀裂は確実に深まっている。

戦禍を逃れた政治難民なのか、あるいは単に荒廃した母国(中東地域の人間は国民国家という概念はほとんど無いだろうが)を見捨て『より良い暮らし』を求める経済難民なのかの線引きは難しいだろうが、これをしないままにメディアの映し出す『いたいけな難民の幼子達』を見て人道、人権といったものを優先する感情論が先行するとドイツはローマ帝国と同じ運命になる。
日本もそれが出来なかったから在日棄民を抱え何十年も苦しんでいる。

既にEUはアメリカに難民引き受けを打診していて、アメリカも3万人程度受け入れるようだが、難民にISが混じっていてもわからない現在、アメリカが受け入れるには相当のハードルを設けるに違いない。
日本は遠い国の出来事と考えているだろうが、少なくとも難民支援のための資金提供はガッツリ要求されそうな予感がする。
まずは、V4(ヴィシェグラード4か国、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー)あたりにテントや医薬品提供でも申し入れたらどうなのだろう。もう欧州は夜は冷える日もあるため、難民達特に子供達には厳しいはずだ。

それにしても、メルケルは調子いいことを言って後で手のひらを反したら、命を狙われそうな気がする。

ブログランキング・にほんブログ村へ 
(blog rankingに参加。ご協力を。Click it!)

広告
カテゴリー: 国際・政治, 海外 タグ: , , , , , , , , パーマリンク

ハンガリーが批判にさらされている? への7件のフィードバック

  1. 政治好きオバチャン より:

    おはようございます。いつも楽しみに拝見させていただいています。

    欧州の難民問題はどう収束するのか全くわかりませんが、日本だってそのうち半島有事や中国崩壊が起きたらボートピープルが押し寄せるのは間違いないでしょうね。どこか他人事とは思えませんし、ニュースで映される幼い子供たちがとてもかわいそうです。ただ、”かわいそう”だけでは問題が解決するわけではありませんが…。

    ある意味自分勝手なドイツの難民への対応には疑問を感じますが、ハンガリーなどに留まっている難民に日本から何か支援ができるでしょうか。
    日本の赤十字のHPでは「中東人道危機救援金」はありますが欧州の難民向けは無いような気がします。
    よろしければ、方法等お教えください。

    • argusakita より:

      おはようございます。

      落書きのご愛読(^^)ありがとうございます。

      同感です。温情だけではどうにもなりません。それで失敗したのが今も続く在日棄民問題ですから、日本はコトが起きた場合には厳しい対応を取ってもらいたいと思います。

      私も大部分の社員さん達もウィーンでは『外国人』なので政策に賛成も反対もできませんが、心情的には歓迎はしません。EU内で比較的経済優等生のオーストリアもドイツ程余裕はありませんし、来年1月1日から付加価値税の軽減税率が3%上がって13%になります(一般のVATは20%)から難民を多数抱える余裕はないという世論は多いと思います。

      しかし、歓迎はしなくとも『失われなくともよい命』を助けることは必要だと思っていますので、社員さん達と相談して皆で出し合い、ウィーン郊外のTraiskirchenの難民キャンプに毛布100枚と手動の携帯充電器(グルグル回すヤツ)100個を寄付することにしました。
      ささやかですが、もうこちらでは夜間10度を下回る気温になることも珍しくないので多少は毛布も役に立つだろうと。

      日本から寄付を直接するのはいろいろ方法があるとは思いますが、送金などの手間を考えるとWebからカードを使って募金というのが簡単かと思います。
      そういう日本人が多いと嬉しいですね。
      使途がウィーンの難民向けと限定はできないと思いますが、とりあえず1回という場合は、
      Amnesty Austriaのwebの募金ページ(ここ)からというのはどうでしょう。
      もう少し調べてみます。

      • 政治好きオバチャン より:

        ありがとうございました。とりあえずグーグルの翻訳使って恐る恐る最低金額で試しに募金してみました。

        毛布と携帯充電器、さすがですね。少しでもそういう行動ができる方は尊敬できます。
        あの大震災を経験している日本人はいざという場合に必要なものというのを皆知っている気がします。
        女性の場合はきっと衛生用品が欲しいでしょうね。気になります。

  2. argusakita より:

    EUは全体で16万人受け入れると発表し(ドイツは80万と言ったのに・・・)、オーストラリア(カンガルーがいるほう)もシリア難民を12,000人受け入れるとか。
    国連も事務総長代理が『日本も受け入れろ』と発言しているらしいですが、現在シリアには400万人(人口1,700万人)の難民予備軍がいるそうですから桁が違います。
    一方では南米ウルグアイに送られたシリア移民が、『このまま貧困で終わるのは嫌だ』と再出国を希望していると話題になっています。

    戦争による政治難民ではなく経済難民あるいは移民であると世界の指導者の誰かがそれを言ってくれるのを待っているチキンレース。
    この処理を間違ったら、中東だけでなく中央アジアやアフリカから一斉に先進国めがけて超大移動が始まってもおかしくない。(無論、支那からも地球規模のエクソダス)

    さて、日本はどう対応するでしょう。

    • きりたんぽ より:

      国連が何もしないというよりも力がないということですね。

      国連の事務総長のパン・ギムンは先日の支那のパレードに出席していました。事務総長が国連の立場ではなく南朝鮮の立場としてで笑えますが、次の大統領を狙っているという話も出ています。 
      難民も朝鮮や支那には行きたくはないでしょうね。

      • argusakita より:

        何年か前にNewsWeek(だったかな)に、
        世界で最も危険な韓国人、潘基文
        ・無能ぶりが際立っている
        ・核問題や難民問題にも関心を示さない
        ・世界中で名誉学位を収集して歩いている
        ・見事なまでに何も記憶に残らない声明を発表
        と酷評されましたからね。以来、あちこちの雑誌でボロクソですから菅官房長官ももっと言ってやったらいいんですよ。

        一応、難民問題には国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が対処していますがスーダンやら中央アフリカやらコンゴやらで欧州は欧州でやってくれということらしいです。
        日本人スタッフが少ないとUNHCRの知り合いはボヤいています。

  3. きりたんぽ より:

    フィリピンも一時的な難民の受け入れを表明しましたね。気をつけないといけないのは朝鮮半島の有事があろうとなかろうと紛れて関係のない輩も出入りすることです。
    主に支那人ですが、日本が行った場合は朝鮮人も一緒に混じることでしょう。

    難民・移民のブローカーもいるので全てが正統な政治難民だけではなく、不法なビジネスを目的としたものもあり区別は難しいものですが、日本は自国の人間をろくに救済せずに何をしようとしているのでしょうか。

    メディアでは難民を受け入れることへの印象操作を行っていますが、都合良く在日と重ね合わせることをしています、戦後に合法化して残らせた在日朝鮮人を利用し入党させて膨れ上がった主に日本共産党です。気をつけましょう。

    さらに寄付などはほぼ100%渡ることはないと覚悟をしたほうが良いと思われます。
    震災で頂いた寄付は日本赤十字は本当に活用できているのでしょうか。

    不法侵入も含めて意図的に残り意図的に日本国籍を取得せずに、同胞の政党に協力し自らの居住国を潰そうと反日活動しながら在日特権を得ている在日朝鮮人と、

    帰りたくても帰れない避難せざるを得ない正統な難民とは全くの別物で比較も対象もできませんが、正統な政治難民を受け入れる代わりに在日朝鮮人に帰国させる政策が必要ですね(北朝鮮は正式な国ではありませんが)。

    文科省も日教組もお墨付きであります1962年に上映された原作映画「キューポラのある街」を在日に観てもらい第二次帰国事業をしてもらいたいですね。

コメントを残す(短めにどうぞ)

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中