消費税の一部を国家的な欧州型インボイス導入事業に

自分のコメントでオーストリアのVAT(付加価値税、ほぼ日本の消費税)の軽減税率が来年1月から一部変更(食品等の10%が13%)になることを書いた後で、日本のニュース記事で消費税が10%になるときにマイナンバーのカードを使った軽減制度についての麻生大臣の会見記事を見つけて少々驚き。
年間4,000円限度? 買い物するたびにカード提示が必要?
これでは税の軽減ではなく、単に『カードを使ってくれてありがとう』の利益供与だろうと・・・。

その後のニュース記事によればこの話は延期になるようで、随分とアッサリ引っ込めたところを見るとこれは財務省&経産省がマイナンバーへの関心を上げるためにアドバルーンを上げただけと理解。
あんな番号は欲しくも無い。国が勝手に背番号振って通知するのだから、マイナンバーではなく、ユア・ナンバーだろう。

それにしても再来年4月に10%にupされる予定の消費税。
社会保障のための消費税ということであれば、高齢化・少子化が加速するため社会保障を下げない限り財源としての消費税はやむを得ないため、筆者は消費税そのものとある程度のupは仕方がないと思う。(無論歳出削減も必要だが、これを国や議員や官僚に期待するのはどうも無駄・不可能らしい)

しかし、このまま安倍政権の強権で進むのかどうかわからないが、何もしないで単に2%上げるといったことで良いのかは大いに疑問である。
日本の消費税の何が問題なのか、筆者が指摘するまでもなく、
(1)欧州型インボイス方式ではないこと(請求書等保存方式=日本型インボイス方式)
(2)事業者(納税義務者)の免税点(課税売上1,000万以下は納税義務免除)
(3)事業者の種別によるみなし仕入率を適用する簡易課税制度
(4)輸出戻し税
これら(2)~(4)は(1)の欧州型インボイス方式にすることで劇的に変わるはずで、いわゆる『益税』が限りなくゼロに近づけば納税義務者ではないものの負担者である国民は納得がいくはずだ。
現在は、益税があるため国民が負担(支払った)した消費税が100%国庫に入らず一部が事業者の利益になっている。これは負担する国民も徴税する国も不幸なことである。

欧州型インボイスと日本の請求書では項目がだいぶ違う。日本の請求書に無く欧州型インボイスにあるものは、
・課税事業者番号(これは法人のマイナンバーが機能するかどうかが鍵)
・発行番号(連続)
・税率ごとの税抜対価(価格)
・適用税率、税額
これによって、生産者から消費者までスッキリとトレースできるし免税事業者か課税事業者かが明確にわかる。つまり税額控除されるか否かも明確になる。
税抜対価、適用税率、税額が明記されることで取引ごとに何に対していくらの税額のやり取りがされたかを事業者間で確認、確定させる機能を持つため、複数税率を持つ場合にもこれが明確にわかる。
これによって、例えば税率変更(upもdownも)や軽減税率の適用も可能になるし、インボイスをかき集めて足し算すれば納税額も明確になり、消費税が事業者の損益から完全に分離される。このことは、税込みでの価格交渉や買いたたきの発生抑止にもなり、よく言われる価格転嫁の泣き寝入りの問題に悩む中小事業者にメリットが大きいはずだ。関西でよくある『面前値引き』といった商習慣は失われるかもしれないが・・・。

何故、このインボイスを日本で導入しなかったか。(最初の3%のときはコスト的に無理だったかもしれないが5%あるいは8%にするときには何とかできたはずだ)
よく言われるように事業者の実務負荷が高まると言われるがそれは嘘に近く、実際には欧州型インボイス方式のほうが経理業務や納税申告業務が簡素化される。
しかも現在は国連の電子データ交換(EDI)規格のUN/EDIFACTにはINVOICメッセージという電子インボイスの規格があり、欧州ではこれを用いてインボイスの電子化を進めている。実はこのUN/EDIFACTは日本のJIS規格にもきちんとあるのだ(JIS X 7011)。
電子化インボイスを使っているのは輸出入における関税と自動車業界のJNX(Japan automotive Network eXchange)であるが他のセクタでは使われていない。
何故か・・・。詳しくは書けないが、輸出入で相手先が表に出ては困る業種や場合があるからだ。
これを隠すため(かどうか知らないが)、中小零細事業者のシステム導入の費用負担が大きくなることがインボイス導入、さらに電子化の主たるハードルとされている。

大企業、特に自動車以外の輸出企業のインボイス導入反対が根強いことが政治と官僚に影響を与えているのは間違いない。(まあ、マスコミもスポンサー企業のそこに突っ込むことは到底できないだろう)

もう一つ消費税のupによる弊害は消費の落ち込み以外はあまり言われていないが、実は、

消費税アップ=非正規雇用の増加(正規雇用の減少)

である。
これは、人を雇って事業・商売をしている経営者なら当たり前にわかりやすい図式である。

欧州型インボイスを導入しないままにさらなる消費税アップや軽減税率を実施すると、喜ぶのは『益税』(これも自動的にアップするため)を享受している企業だけである。
益税によって本来国が受け取るべき税金が相変わらず欠損する一方、国民に不透明な税制による不信感と重税感(消費税10%ということは単純に言えば1.2か月分税金だけのために働くことを意味する)だけが蔓延し、低下する社会保障とともに国民の疲弊を生むだけで『活力ある日本』は望めない。

馬鹿野党はTPPだの安保だの他国との関わりのあるものに反対の金切り声を上げるのはもう諦めて、まだ実施まで時間的余裕のある、しかも日本国内で独立した議論の可能な消費税について改正法案でも提出し与党と議論するほうがよほど国民の関心と支持を得られるはずだ。

改正法案(案)の骨子は、
『3~5年間時限的に、消費税の何割かを欧州型インボイス(できれば電子化も合わせて)方式に移行するために必要な中小零細事業者のシステム導入への助成に使う』ことが主眼だ。
その期間で社会保障に不足が出たとしても、欧州型インボイス方式移行後は益税や徴税コストが減少しすぐに穴埋めできるはずだ。
国民にとっては何のメリットも無かったに等しい地デジ化よりも遥かに波及効果があり、雇用も生まれ、場合によってはシステム開発を中心とした高質な移民受け入れの機会にもなる。(無論日本人の雇用優先だが)
さらに、移行後は増税、減税、複数税率変更(軽減等)の運用が楽になり政治の動き代も生まれるではないか。
“悪いこと”をしている奴(企業)以外は反論は考えにくい。

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消費税の一部を国家的な欧州型インボイス導入事業に への5件のフィードバック

  1. きりたんぽ より:

    よく目にするのが日本と海外の比較などで消費税というと主に何%としかメディアでは公表しないので詳しくはわかりませんが、日本だけは製造から仕入れ問屋から小売店から一般客の全てに消費税がかかり、海外では最終的な一般客だけにしか消費税がかかるということでしょうか?

    • argusakita より:

      税率8%一律で簡単に絵にするとこんな感じで原則消費取引全部にかかるのは日本と同じです。

      それぞれが払うべき税金が明朗・明確でしょう?
      ただし、インボイスを無くすと図のB-AやC-Bの部分の税額控除は受けられません。
      また、免税事業者はインボイスを発行できません。そのため取引で免税業者は敬遠されます。これが唯一といってもいい欧州型の欠点でしょうか。
      日本の請求書保存型も似たような流れですが、免税事業者でも請求書に税込みで書いたり、請求できるので『益税』の生まれる土壌がいくらでもあるのです。

      最終の消費者がもらうインボイスも卸や小売りがもらうものと同様で、例えばレストランでレシートをもらいますが、そこには料理は10%、飲み物は20%といった具合に商品とその税額が必ず明記されています。だから、いくらでも複数税率の設定や混合が可能なのです。
      スーパーで買うときのレシートでも生鮮食品、冷凍食品10%(軽減税率)、コーヒー豆やミネラルウォーターやビールは20%と分けて記載されます。
      上記税率はオーストリアの場合ですが、もうちょっと軽減税率が違うものもあります。
      この10%の軽減税率のモノが来年1月から13%になるのです。
      ちなみにEUで標準税率が一番高いのは27%のハンガリー、低いのが15%のルクセンブルクだと記憶しています。

      • きりたんぽ より:

        この図式はとてもわかりやすいものですね。日本に比べて欧州は消費税を活用できているわけですから、うらやましいものです社会保障費や教育・医療・福祉などを見れば一目瞭然です。

        日本は消費税を意図的に活用していない愚かな財務省が諸悪の根源であるなかで、よく出る名前は「木下康司」などですね。

        日本の場合はあくまでも集めるための税収名の肩書きだけで使うものはメチャクチャだったのが明らかになったのは久しいものです、健康保険や国保や年金を不要な道路などに使い年金が足りないとか値上げになったり本当に素晴らしい先進国だなと感じています(笑)

        消費税を上げたら上げる前より税収が下がるのは当たり前ですが、確実に自由に上納するような金を税収として集めるには、税収枠の肩書きの名前が必要なのでしょうね、財務省の後ろ盾にはアメリカがいるようです。 安倍政権も消費税は上げたくなかったのですが負けてしまいました。 

        ちなみに消費税が上がると消費が下がるものですが、一番の原因は年金のようだと感じますね。

        確実に年金が減り、受給年齢が上がるということがわかっているので逆算して貯蓄に走るのは当然です。

        割合の高い秋田県の公務員でも退職しても全員が再就職できるわけではないので、ずいぶん計画している公務員も多いと思われます。

        消費税10%になればさらに家計の中身を選択し絞ることでしょう。

        ネット通販で生活必需品でもまとめ買いが安く仕上がればそちらを選ぶことでしょうし、税(消費税だけではありませんが)が上がれば上がるほど秋田県の外に通貨が流れていくわけです。
        当然のごとく雇用の悪化は防げません。
        背筋が凍りますが人口減少と通貨の減少は加速すると思います。

  2. 社長兼雑用係 より:

    はじめまして

    私も小さな会社をやっていますが、消費税を欧州型インボイスを導入しないままに上げるのは大反対です。
    大手から仕事を受注しても消費税アップ分は下請けが持つのが当然のようになっていて、Gメンがどうのとかやっていますが実態は旧態依然です。
    免税事業者となるのは大体が自営業などでしょうが、いくら小さくても経理や税務はあるはずですから、例え金額がわずかでもきちんと課税ができるようにすべきです。
    インボイスのシステムを使えないなら思い切って猶予を区切って廃業させたらいいのです。

    年金税などもそうですが、きちんと徴収すべきものをしないで増税というのは絶対におかしい。
    不公平感というのは税金に関しては非常に重要なので国ももっと真剣に考えるべきです。
    Argusさんが時々書かれているように日本の税制は所得税をはじめとしてもっと整理してシンプルにすべきです。
    民主、維新、生活の3党は今月6日に「歳入庁」の設置法案を出していますが、これは是非国政選挙の争点にしてもらいたいと思います。(野党を支持しているわけではありませんがこの設置法案だけは評価します)

    • argusakita より:

      おはようございます

      日本全国の中小零細企業はほとんど同じことを考えていると思いますし、消費者も増税の数字だけではなくその仕組みの問題点に目を向けるべきなのですが、地方の商工会議所や消費者団体が声をあげてもその受け皿になる政党が無いのが頭痛のタネ。
      メディアもスポンサーが大企業だったり輸出中心の企業のためそちらに阿って消費税について掘り下げた解説などしない。さらにそれらの企業は献金等で政治力を使う。

      欧州型インボイスと電子化をするだけで、システム開発、機器、使えない年寄り達のためにインストラクタとすそ野の広い公共事業になるはずなのですが・・・。
      消費税そのものには反対しないが仕組みに反対というまともな政党が出てきたら大勝利間違いない(ただし財務省と刺し違える覚悟の政党)。

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