藤田嗣治の戦争画展、今なら数万人などすぐだろうに

少々古いニュースだが秋田の地元の新聞紙によれば、
入館者30万人突破 県立美術館、冨上さんに記念品(2015/9/15) (<—-リンクはすぐ切れるはず)
だそうで、開館後2年でようやくかと。
常設展示にデカい(失礼)『秋田の行事』以外にめぼしいものもなく(本当は平野コレクションは結構なものがあるはずなのだが・・・)、展示スペースが手狭で大きな展覧会が開催しにくいのがリピータを生み出せず入館者が少ない原因だろう。無論、こうなることは誰もが予想していたことで、今更ながらあの中途半端な箱モノと屋外スペースを計画し作ってしまった秋田県や秋田市の施策は理解し難い。


aam-hp予算等の問題はやむを得ない部分も当然あるだろうが、開館後の美術館の運営についても『やる気の無さ』が明確に表れていて、美術館のHPの作品紹介一覧のページを見ると、
『登録されたデータはありません』
これはちょっと酷い。実はURL変更によるリンク切れで、こっちにちゃんとページがあるのだが、リンクされていない。(県の責任というよりも指定管理者である公益財団法人平野政吉美術財団が人手不足かサボっているに違いない。今どきHPに神経を使わない、力を入れない美術館・博物館はあり得ない)

fujita03それにしても、日本であれほど安保法制審議が盛り上がっていた(いる?)にもかかわらず、秋田で藤田嗣治の『戦争画』が話題になっていないのは少々不思議なことだ。単に知らない人が多いだけだろうか? 藤田の作品は『秋田の行事』のような例外でもわかるように一般的に有名なエコール・ド・パリだけではなく、年代を追っていろいろな作風があり、その変遷が藤田の魅力という人も多いはずだ。県立美術館でも小さな藤田の企画展をいくつか開催しているが戦争画だけは意識的に避けているように思える。
藤田嗣治はフランスで名声を得た後1933年に帰国し、1935年に5度目の結婚をした後1937年にパトロンである平野政吉の要請に応えて『秋田の行事』を製作した。
その後1年間支那に行き、戻って一旦はパリに渡るがナチスによるパリ占領直前に帰国した。
fujita01日本では陸軍美術協会理事長に就任し、戦争画(100号、200号という大作ばかり)を多数描いた。そのうち14点は東京・竹橋近くの国立近代美術館所蔵(listはこれ)で、2015/9/19~12/13の期間『MOMAT コレクション』として現在展示中である。筆者はこのうち数点しか実際に見たことはないが、今回MOMAT所蔵14点一挙展示は初めてだそうである。

藤田の『戦争画』は、一見して誰もが感じるだろうが非常に恐ろしげな描写で写実性が高い。(画像のように日本刀を敵の胸に突き刺しているものなど)
そのためか、陸軍美術協会理事長という立場で戦争を正当化し国民の鼓舞に協力したという批判もある一方、自身の手記で『国のために戦う一兵卒と同じ心境で描いたのになぜ非難されなければならないのか』と手記の中でも嘆いているそうで、軍によってやむを得ず描かされたのだと擁護する論評もある。
どちらが真実なのかは藤田本人にしかわからないだろうが、総動員法による統制経済下で画家という創作活動をする職業が生き抜くための生業(なりわい)として描いたかもしれないし、残虐さを写実的に描くことによって藤田なりの『反戦』を意思表示したのかもしれない。
どちらにしても、単なる美術作品としての絵画以上に見る者に多くのことを考えさせる絵画であることは間違いない。

描写があまりにも写実的で幼い子供達には刺激的すぎるかもしれないが、伝聞の昔話を聞くよりも間違いなく『反戦』は学ぶことが可能なはずである。現代戦はこんな銃剣を持っての地上戦はほぼあり得ないためリアリティは無いが戦争の本質は感じ取れるかもしれない。
同時に『祖国を守る』ことや『愛国心』も学べば左も右も納得するだろう。絵画は下手な解説を付けさせずに鑑賞することが大切。
もし可能なら国立近代美術館の展示会が終了した後、『戦争画』を何点かを貸出してもらってはどうなのだろう。タイムリーなはずだ。

fujita02筆者は個人的には藤田の作品に好きなものはほとんど無いのだが、商売的に考えれば、今国立近代美術館で開催されているのだから、入口に『秋田の行事を見に来てけれ!』と県立美術館の無料チケット(カフェのワンドリンクくらいプラスして)を置いてもらうとか、同じように藤田の作品のあるブリヂストン美術館(現在休館中)、国立西洋美術館(常設ではない)、箱根のポーラ美術館(常設は無いがコレクションは多い)とジョイントして4美術館共通チケット(1年間有効『これも、これも、これもフジタだ!』チケット)を作り合計の入館料を半額程度にするだとかスタンプラリー風にするとか・・・、あれこれ話題性のあるアイデアは出せるだろうに。もっとも、亡き藤田自身は右にも左にも利用されたくはないだろうが・・・。
単独で小規模な企画展を開催したり、『おっきぃ絵が1枚だけあるから見にけ!』といった殿様商売風ではこれから2年経ってもリピータは増えず、30万の倍の60万には到底達しないのではないか?

※掲載した画像は、国立近代美術館、ブリヂストン美術館、ポーラ美術館の各HPから拝借。

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カテゴリー: 県政・市政・議会, 秋田を改造 タグ: , , , , , , , , , , , パーマリンク