TPPとTTIPに対する取組の違い ~関税よりも食品の安全性~

日本ではTPPが『大筋合意』ということで、マスコミや識者が今後についての論評を盛んに出しているが、こちらに戻ってからはTTIPについての情報を集めている。
筆者の場合は仕事に関するものとして『情報通信分野』についてが主たるテーマだが、何しろTTPもTTIPも非公開が原則のため具体的な項目やその推移が見えにくい。しかしながら、この分野で日米欧共通に意識していることは支那製の情報通信機器、インフラ設備関連をいかにして『排除』するかである。具体的には以前も書いたように日本はこの分野ではH/W、S/Wもすっかり三流国扱い(技術水準ではなくビジネス分野でという意味)になってしまったため、ほとんど影響力が無い。


しかし、支那のHuawei Technologies(華為技術)ZTE(中興通訊)はダンピングとも言える手法で今や欧州、北アメリカを席巻していて大きな問題となっている。自動車などのようにスタンドアローンで動作する工業製品と違って、情報通信機器やそのインフラ設備の重要性は国家レベルでも民生品レベルでも大変な脅威となり得るため、将来敵対する可能性のある支那がそれらを牛耳ることは死活問題だという危機感がある。
このため以前から、支那製の情報通信機器(PCなども含む)の持つスパイ機能があちこちで話題になり排除すべきという空気の醸成に欧米は躍起である。
残念ながら日本ではそういった支那製の情報通信機器排除の動きは全く無く、逆にSoftbankの小型携帯ルータや基地局、各社の廉価スマホなどの支那製機器・設備の導入が盛んである。
関わってる商社や経営者を見たら多少の先入観くらいあっても良さそうなものだが・・・。
安けりゃ良いという思考は必ず後で痛い目に合う。
ボーダーレス社会、グローバリズムに侵された社会では得は一部で、損は社会全体で受けることになる。

内容が非公開のため全体を俯瞰することはできないが、TPPを取り上げる日本の国内の動きやマスコミの取り上げ方とTTIPを取り上げる欧州のそれらにはだいぶ視点の優先順位の違いがあるように思える。マスコミを賑わす項目は、
TPP —- 農産物の関税、影響を受ける対象としての農家や農協
TTIP —- 食品の安全性、影響を受ける対象としての消費者
とにかく日本では農産物の関税しか話題にならないといってもいいくらいで、発効までまだ数年、その後8年だの10年だのかけて関税をゼロにするといった気の長い予定があたかもすぐにあるいは来年にでも開始されるかのように浮足立った報道・論評が多く、筆者から見ると誰かが意識的にそういった情報・世論誘導しているかのようにも見える。
10年先としても、後継者のいない現在平均年齢66歳の日本の農家などはTPPとは無関係にほとんど廃業か耕作放棄状態になり保護など全く無意味で、やる気のある若手の農業従事者が生産性を向上させ、黙っていても日本の農業は改革されていくとしか思えない。
自民党の言う『万全の対策』というのは実は『何もしない』『放って、見守る』だけなのではないかとさえ思える。小規模や兼業農家にいなくなってもらうのはそれが最も安くて速い施策だ。
一方、TTIPに関しては『食品や動物の安全性』が盛んに言われ、消費者や環境保護団体が多くの懸念の声を上げている。もちろん、農産物の関税の問題も取り上げられるが、それはあくまでも農業関係の人や団体の問題であり、全員が消費者であるという前提から考えて『食品や動物の安全性』が最優先であることは明快で合理的な視点である。
日本のTPP交渉21分野(24と言われたり31と言われたりもするが政府が21分野としているのでそれに従う)のうち『食品や動物の安全性』に関するものは4番目のSPS(衛生植物検疫)だけである。
その中身は、『食品の安全を確保したり、動物や植物が病気にかからないようにするための措置(SPS措置)の実施に関するルールについて定める』とだけしか書かれていないが、TTIPで漏れ聞こえてくるものは、
・遺伝子組み換え作物を含む新規食品(GMO/GMC)
・クローン動物
・飼料に含まれる抗生剤
・ナノ材料
などの具体的な扱いである。
日本の場合『日本は世界一安全な食べ物を食べている』と勘違いしている人が多いが、安全性でチェックや基準が明確なのは農薬、重金属汚染、病原菌といった伝統的なものだけで、遺伝子組み換え作物を含む食品については日本が世界最大の消費国であるし、飼料に含まれる抗生剤やナノ材料について消費者目線で問題になったことなどほとんど無いのではないか?
だいぶ以前にPETボトルを始めとしたプラスティック製品による環境ホルモンが話題になったが、いつの間にか立ち消えになっている印象だ。(草食系男子が増えたのは環境ホルモンのせいという説もある)
ナノ材料は、既にいろいろな食品の食感改善や香り、成型技術などでも利用されているし、化粧品(富士フィルムなど)でも応用されている。日本ではまだ売っていないはずだが、アメリカではプラスティックのビール瓶もあり、容器への利用も進んでいる。
しかし、人体の細胞に入り込める大きさのナノ材料が長期的にどのような影響を与えるかといった課題はまだ未知の世界のように見える。
放射能のように長期的な人体への影響の評価をしにくいものであり、非科学的に怖がっても仕方がないものだが、少なくとも世の中に登場してさほど時間のたっていないものについては科学的な長期に渡る実験による検証は必要なはずで、消費者は恐る恐る近づくべきではないのか? 筆者のような年寄りは何食ってももはや関係ないが、子供や母体は可能な限り安全な食品で暮らすべきだ。

関税など単にお金の問題だ。お金では解決しない将来世代に影響を与える可能性のある『食品の安全性』についてTPPでどこまで堀下げていくのか、基準やチェック体制をどうするのかは政府の問題としても消費者は何をウォッチし続けるべきかについての勉強をしないといけない。
(まーた、左巻きにゴネる材料を与えることになるのはある意味やむを得ない)

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カテゴリー: 社会・経済, 国際・政治, 国政・国会, 海外 タグ: , , , , , , , , , , , , , パーマリンク