フィンランドのBIの実験は成功するか?

フィンランド政府が、BI(ベーシック・インカム)のパイロット・プロジェクトを始めるようだ。とりあえずはタンペレ大学、経済研究所のメンバーによるパイロット・プロジェクトの準備を進め2017年までに導入といった予定らしい。
9月の世論調査の結果国民の70%がBIに賛成だったことがプロジェクト推進の後押しをしたのだろうが、BIに関してはナミビアの1,000人以下の村やブラジルの小さな村で導入されたが、フィンランドのような国家的な規模での導入事例は無い。ちなみにフィンランドは人口530万、人口密度16人/km²と秋田で言えば東成瀬村より少し多く、大潟村より少し少ないくらいだが、人口のほとんどがヘルシンキを含む南スオミ州に集中していて、ヘルシンキの人口密度は379.3人/km²と秋田市程度だ。
小さい規模の国だからエイヤでできるのかもしれないが、BI導入は非常に興味深い。

筆者もしばらく前にフィリップ・ヴァン・パレース(初ではないがBIの理論的提唱者。著作『『すべての人にとっての本当の自由:何が(いったい)資本主義を正当化できるのか?』』)を読み可能性を大いに感じ、ちょうど2012年の橋下維新の会の『船中八策』に盛り込まれていたため議論が広まるかと期待したが、その後の橋下氏の説明による内容がどうも違うものだとわかりガッカリした。
その維新の会、党もここ数日の日本のメディアを見る限りでは空中分解というかヘラブナ釣りの練り餌のようにバラバラと崩壊しているようで、BIといった大きな政策などは雲散霧消の様相だ。

ベーシック・インカム(BI)は、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)だとか定額給付だとかCitizen’s Income等いろいろな呼び名があり、中身を少し変えたものにかつての『みんなの党』が主張していたミニマム・インカムがあるが、要は、
国民全部(子どもから年寄りまで)に等しく定額所得給付を行う代わりに年金・社会保障(健康保険を除く)や生活保護を廃止するものである。
一見莫大な財政措置が必要に思えるが、廃止する年金・社会保障(健康保険を除く)や生活保護に関わる機関と人員をバッサリ削減できるため、新自由主義者の好みの『小さな政府』の方向に適う。
一方で、最低限の生活保障によって基本的人権や生存権といった左巻き御用達の『自然権』にも基づくものであり、このBIに賛成する人間には中道右派、新自由主義派や左派の福祉重視派の両方が存在する。
例えば、今はどうか知らないが、日本の政党では新党日本や生活の党が支持していたはずで、個人では田中康夫、堀江貴文、木内孝胤、新浪剛史、茂木健一郎、喜納昌吉各氏等々、左右どちらもいて、経済思想から見ても『大きな政府』『小さな政府』の両方がいるし、自民党にも民主党にも賛成・反対支持者がバラけている。
もし国政選挙の争点になれば、世論を完全に2分する議論になるだろうが、一つのメルクマールとしては、日本の『連合』、日本共産党 、社民党が明確に反対しているため、これはひょっとすると『正しい政策』なのかもしれない(^^)。

今の日本で深刻さを増している子どもの相対的貧困問題や29歳以下の格差問題や『下流老人』問題(1,000万人を超えた80歳以上の年寄りや身寄りのない600万人とも言われる一人暮らし)の緩和には大きな威力を発揮するはずだ。無論、根本的な解決には産業構造や他の施策も必要だが。
団塊の世代が死に絶えれば日本の社会保障問題も相当に緩和されるはずだが、それまでの時限的な制度でもいいし、それを機会に完全に年金廃止と生活保護廃止に持っていければ先進国では画期的な持続可能性を持つ社会となり得る。

無論、BIによって最低所得が保証されれば、働かなくなる人も増えるだろうが、消費はさほど変わらないか増えるはずで、今消費が落ち込んでいるのは将来への不安といった層よりも現実に消費に回すお金が無い層がいることが実態だろうから、そこにヘリコプター・マネーが入り込めば改善の見込みは十分にある。

既に現実に経済格差がある状態でBIを始め、何の条件にもよらず一律給付した場合は、逆に格差の拡大になるという議論もあり、反対派は大体これを持ち出す。
また、地域による特性(物価差や必須コストの中身の違い)を考慮しない場合はやはり格差が生じるといった問題もある。
これらをパイロット・プロジェクトで検証しようとするのが今後のフィンランドのチャレンジのようである。

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