大英帝国のしたたかさを感じさせたシー・ジンピン訪英

支那のシー・ジンピン訪英は毎日なかなか興味深いものを見せてくれた。
既に5月の総選挙で第一党を守った保守党のキャメロンは2017年までにEUからの離脱を巡って国民投票を行うことにしているが、2期目の現在以降は首相を続けないことを明言している。EUからの離脱は貿易・投資・通商面でイギリスにとっては決してプラスにならないことは明らかで、もし離脱を目指す場合にはEUに代わるマーケットを獲得しないとイギリスはまた英国病の時代に逆戻りする。
そんな背景もあり親支那のオズボーン経済相とチャイナ・マネーを何とか引き出すためにあれこれ仕掛けてきて、AIIB参加をいち早く表明したのはその一つだ。

世界経済の不安定要素はいくつかあるものの、14億の市場である支那の趨勢は日米欧すべてに影響があることは明らかで、自国内の需要に限界が出始めた先進国各国(日本も含めて)は如何にこの巨大な市場を取り込むかに躍起である。(ところがその支那では供給が過剰で需要が飽和しているというのが実態)
日本の場合は支那が70年前の旧日本軍の亡霊相手に歴史戦、情報戦、心理戦をしかけてくるためなかなか経済優先とはいかず、支那共産党が壊滅してくれればこの歴史問題の部分は無くなるだろうが、14億を何とか抑えつけている共産党が無くなれば沿岸部の富裕層中心の国といくつかの貧困国に分裂は必至で14億のマーケットの意味が希薄になる。
そのため、領土問題、歴史問題(阿片戦争などは忘却)を抱えていないイギリス他の先進国は支那共産党を生かさず殺さずが最も良い選択肢と考えているようだ。

支那は支那で、アジアには日本というあらゆる部分で突出・独走している唯一の先進国があり、どうしてもそこには追い付けていない。唯一、人口の多さによる結果であるGDPだけが日本を上回っているものの(それすら人口比程違うわけではない)、その他は社会制度も何もかも未だに発展途上国のままだ。
多民族である14億の全体の教育水準は未だに低く、国内をまとめるためには唯一の共通概念の『力』が必要で警察組織の予算が軍事費を上回る状態。さらに不満分子のガス抜きに対外姿勢を強めた結果、アメリカはじめ周辺国との軋轢を生み出し孤立化を招いている。
同様の手法で国内をまとめるロシアはある意味仲間であるが、ロシアも支那に飲み込まれないように牽制をしているようにも見え、唯一のポチの南朝鮮は事大主義であるためパートナーとは言えない。

結局、EUや伝統的なアメリカとの距離を置き孤立化の空気があるイギリスと、やはり孤立化の支那がマネーで連携しようとするのは有り得る選択肢なのだろう。
もっと深読みすれば、投資・金融で長けているかつての大英帝国のイギリスが阿片戦争同様に支那をうまく利用しようとしていると見えなくもない。豚は太らせてから・・・。

イギリスのメディア(一番はThe Gurdianか)は『マネーのための壮大な儀式を演出』と揶揄していて、キャメロン&オズボーン路線を批判しているが、結果的に総額7兆円あまりの各種の契約や投資の約束を支那から引き出したことは決して非難はされないことだろう。
しかし、2007年にフランスのサルコジがポーランドでダライラマと会談したことに怒り、エアバス社に発注の100億ユーロ分をキャンセルした実績があるため、欧州の多くの人間がこの支那のバラ撒きを到底信用していない。
また、支那の人権問題を問題にする向きもあるが、筆者も経験したイギリスの人種差別やアイルランド問題での人権問題は未だに根強いものがあり、支那のチベット、ウイグル弾圧問題などは批判をするとブーメランになりかねない。
それでも『マネーのための壮大な儀式を演出』しなければならないイギリスの苦しい事情と大英帝国のプライドが見えるのが、これらの動画だ。

シー・ジンピンが議会演説を行ったが(05:00あたりから11分間)、演説中拍手は1度も無く、終了後もおざなりの拍手が続くもののステンディング・オベーションも一切無い。
シーの『イギリスは最も古い議会制国家だが、支那は2,000年前から法治を施行した』の発言は『そこ、笑うところですか?』と聞きたくなるほど歯の浮くようなレトリック満載。

キャメロンが行った『マネーのための壮大な儀式』を皮肉る意味もあったのか晩餐会でのエリザベス女王のスピーチ『香港返還の際の1国2制度と自治を守り続けて欲しい』は、さすがの大英帝国女王だと感じさせた。
通常はボウタイが原則のドレスコードを無視し、支那流の服装で臨んだ支那ご一行に対して和やかな雰囲気が映像からは全く感じられない。

人民網日本語版では早速訪英の成果の自画自賛報道が始まっている。

さて、週末はパリ、ロンドン、モスクワを駆け足で行って来いだ。

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大英帝国のしたたかさを感じさせたシー・ジンピン訪英 への3件のフィードバック

  1. argusakita より:

    訪英の疑問

    ・新幹線計画についての契約が無かった
    ・マンチェスター大学(イギリスで支那人留学生が最多)へのファーウェイの通信機器大量寄贈が話題にならなかった(寄贈を拒否された?)
    ・シーはキャメロンに最後に『イギリスのEU残留を希望』と捨て台詞
    ・マンチェスターのパブでキャメロンが阿片戦争を想起させるケシの花をわざわざ胸に。

  2. argusakita より:

    キャメロンがケシの花を胸につけている件について質問をメールで受けたが、ケシの花は第一次世界大戦の停戦1918年11月11日を記念するPoppy Day。
    そのため11月11日が近づくとイギリスやカナダなどではケシの花を胸に着ける習わしがある。
    キャメロンのもそれだろうが、ちょっと時期的に早いので、おそらくシーを相手に阿片戦争を想起させる意地の悪いことをいたずらしたのだろうと思う。

    11月11日はアメリカや欧州の多くの国ではこの停戦記念日にちなむ追悼記念日や退役軍人の記念日。
    ポッキー&プリッツの日だの、きりたんぽの日だの麻雀の日だのと能天気な記念日にしているのは日本だけで、国際的には少々恥ずかしい。
    何故なら、1918年11月は戦争終結後にも関わらず日本も大軍をシベリアにどんどん出兵していた時期。
    日本の領土的野心が疑われ始めた重要な時期だ。

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