欧州の病人と呼ばれ始めたフィンランド

フィンランド経済が大きく崩れつつある。
ウィーンに戻る機内でヘルシンキの顧客の案件であれこれと情報をかき集めた結論がこれだ。
ユーロ圏の7-9月のGNP成長率(季節調整済み)が0.3%増加しているにも関わらずフィンランドが0.6%マイナスとなった。これはマイナス0.5%のエストニアとギリシャよりも悪い数字である。後者の2カ国に比べてフィンランドはユーロ危機の際もドイツとともに南欧に対して厳しい要求を出し優等生とは言えないまでも堅実な印象のある経済状況だった。


フィンランドを代表する大企業NOKIAは支那での売り上げをこの第3四半期だけで16%も伸ばし収益性を改善しICT関連のH/Wセクタは順調に見えたが、ICT全体のうちS/Wセクタの急激な落ち込みが強烈なようだ。
欧州委員会は、フィンランドで発生したS/Wセクタでの失業者1,200人に関連してフィンランドに260万ユーロ(約3億4千万円)拠出することを急遽決定した。

実は、フィンランドは昨年くらいまではS/W特にゲーム分野で急速な拡大を続けていて、ICT分野の成長をけん引していて、その取引先は主にMicrosoftとNOKIAだった。
と書けば、この業界に詳しい人はすぐにピンと来るはずだが、要するにMicrosoftとNOKIAによるWindows Phone(Windows OS搭載のスマホ)にフィンランドのS/W業界全体が『それ行け!』と乗ったものの、Windows Phoneの不振によってMicrosoftとNOKIAが方針転換し『やーめた』となったためその煽りを受けた格好なのだ。
フィンランドの経済はもともと製造業、非製造業もこれといった国際競争力が高いものが無く、2013年から2014年にはそれぞれ前年比で下落し、サービス業は若干のプラスだったものの、このサービス業の成長を担っていたのが上記ゲームを主体としたS/W業界だった。

個別に好調(を装っている?)なのはNOKIAフィンランド航空くらいなもので、小売り大手のStockmann(ストックマン)はデパートの小売りと不動産事業ともに明るい兆しが無く、ヘルシンキ中心部のテナントが集まらないといった苦境に陥っている。原因の一つはネット通販による影響と分析されているが、もしそれが大きな要因なら簡単には好転させられないことは世界共通に見られることだ。
第3四半期好調とされるNOKIAも支那での売り上げそのものは支那経済全体の落ち込みが徐々に顕在化している今、中長期的な期待はできず、フィンランド航空もエアバスA350sへの更新(11機)を発表しているものの他の欧州の航空会社とは違いアジア向け(日本、支那等)路線に力を入れギャンブルに乗り出しているように見える。
余談だが、A350sは欧州の航空会社ではフィンランド航空が最初の納入先で、燃費向上だけではなくブロードバンドサービスや照明なども売りでなかなか快適。日本から格安のチケット(エコノミー、ビジネス)なども出ていて、ヘルシンキまでの同一料金でローマやロンドンやマドリッドなど欧州各都市に飛べる(往復)。ただし、個人的な感想ではフィンランド航空に機内食(例えビジネスクラスでも)を期待してはいけない(^^)。新しいA350sに乗りたい人にはフィンランド航空をお薦め。(ここ以外には今のところカタール航空とベトナム航空しか無い)

もしNOKIAやフィンランド航空の屋台骨が揺らぐようなことがあればフィンランド経済はガタガタになる。
その兆候がS/Wセクタで深刻な状況になってきたため、欧州委員会が上記のような緊急の支援を決定したわけだが、EUとMicrosoftは以前から地位濫用や情報公開を巡って争っていてEUはMicrosoftに対して巨額の制裁金を課したりしている。
ビル・ゲイツに引導を渡したのも言ってみればEUのようなもので、まさかNOKIA+Microsoftがその仕返しにフィンランドをというわけではないだろうが、巨大なグローバル企業が方針を転換しただけで人口500万少々、GDP25兆円程度(埼玉県クラス)の小国はあっという間に経済崩壊の危機に陥ることが明らかになったようなものだ。

欧州はパリでの同時テロによって難民・移民に対する各国の姿勢が変化する潮目を迎えた(ように見える)。
フィンランドは難民流入に関しては最初からほとんど沈黙あるいは反対の立場だったが、難民を受け入れる余裕などはほとんど無いというのが実情である。
もしもユーロ圏で独り勝ちのドイツが難民問題と支那経済のリセッションによって沈み始めると欧州全体はひょっとするとまたまた大戦前同様の不況に陥り、民族主義・国家主義が台頭する時代に逆戻りするかもしれない。
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欧州の病人と呼ばれ始めたフィンランド への1件のフィードバック

  1. ss より:

    以前、Windows Phoneを持っている人がいたので、ちょっと貸してもらったのですが、使いにくかったですね。何故かというと、多くのサイトではWindows PhoneをPCとして認識しており、スマホサイトではなくPCサイトが表示され、4インチでキーボードの無いノートPCを使ってWebサイトを見ている感覚でした。
    あと、いくつかのサイトでは、コンテンツが表示されず真っ白になった記憶があります。ただ、使っていたのは10分くらいなので、たまたまそんなサイトに当たってしまったのかもしれませんが。。。

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