軽減税率に関わる予算規模が議論の焦点なのか?

日本の新聞紙サイトを見る限り、消費税10%とともに軽減税率が導入される件で自民党と公明党の議論が続いているようで、まるで4,000億円を巡る金額規模の攻防のようにも見える。
そもそも自民・公明・民主の3党合意(2012年6月)で導入が決められていたという軽減税率だが正確には『軽減税率の実施を選択肢として盛り込む。8%段階では簡素な給付措置と軽減税率、10%段階では給付つき税額控除と軽減税率について、それぞれ検討する』なのであって、検討の結果導入しないという決定もあって然るべきのはずだが、公明党が創価会員への公約に拘り無理矢理導入させようとしている。


来年の参院選での組織票のためには創価800万と言われる票が重要な自民党としても無碍には出来ないのだろうが、4,000億円では足りないと主張する公明党にどこまで譲歩するかは多少注目すべきものの、本来的には現時点では軽減税率など導入すべきではないと筆者は思う。やるなら、欧州型インボイスの導入後だ。インボイス導入後なら税率変更(増減どちらも)が可能で複数税率をいくらでも導入できるからだ。

4,000億円という数字は生鮮食品に関わる税収で、公明党が主張する加工食品まで軽減税率を適用するとほぼ倍の8,000億円の税収が失われるそうだ。
食品に関わるものとしてはこれら以外に飲料800億円、菓子類1,200億円、酒600億円、外食2,800億円が税収として見込まれているようだが、酒は酒税もあり税金の二重取りでこれはこれで不愉快なものだが、この大雑把な分類でさえ本当に軽減税率対象とそうでないものを分類・区分けできるのか甚だ疑問である。
パイナップル1個は生鮮食品だろうが、カットして小奇麗な容器に入れたカットパインは加工食品ではないのか? その場でカットして販売したらどっちに分類されるのか?
軽減税率は欧州各国でも導入してはいるものの、分類・区分けはどこでも問題になっているし、数によって標準税率か軽減税率かに分かれるものもある。
こういった曖昧なもの、基準が後からいくらでも変更できるものを始めると必ずそこに官僚や天下りの恣意的なものが入り込み利権めいたものが生まれる。そんなものを新たに作る必要は無い。

そもそも軽減税率はエンゲル係数の高い貧困層(約16%、950万世帯とされる)の重税感の軽減が目的とされるが、重税感は消費税だけではなく、また貧困層に限ったことではない。
消費税は全ての国民から広く薄く(国から見たら)確実に徴収できる(納税義務は事業者だが)という思想でできているもので、これを一部の国民を対象に緩和するのであれば『平等』からは遠くなる。
貧困層の世帯数が未来永劫に固定されているのであるならまだしも、現実にはジワジワ増えているのではないか? そうなれば、軽減税率によって失われる税収は増加することになる。それでは消費税の本来の思想が乖離してくるではないか。
貧困層対策は、税率ではなく給付で実施すべきである。4,000億円を貧困層950万世帯に給付したら良いではないか。1世帯当たり4万円強。この4,000億円には当然キャップが必要である。
何を根拠に8%だの10%だのという数字に決めたのか知らないが、消費税の予定税収が軽減税率でおかしなことになってきては、どんどん消費税を上げていかなくてはならなくなる。
そもそも軽減税率で税収が減ってもOKならば、8や10といった数字の根拠がいい加減なものだと白状するようなものではないか。
あのIMFでさえ各国に対して『貧困者対策は貧困層に対象を絞った補助金で対処されるべき』と言っていることや、実際に納税を行う事業者サイドでも軽減税率導入に賛成している団体はほとんど無い(皆無ではないか?)のが現実だ。

公明党が創価会員に向けた公約で貧困者対策をしたいならば自前の学会の潤沢な予算で会員に給付でもしたら良いではないか。
あるいは、パチンコ税でも導入(2%の課税で約3,000億~4,000億円の税収と言われる)して、それを財源に貧困層対策給付を実施したらどうなのだ?

欧州型インボイスの導入前に軽減税率の施行は絶対反対である。少なくとも参院選の大きな争点にしてもらいたいものだ。

 

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軽減税率に関わる予算規模が議論の焦点なのか? への13件のフィードバック

  1. あじさい より:

    軽減税率反対です。ややこしいだらけの日本になってきて、訳が分からなくなっているうえにマイナンバー制度。?がいっぱいあって、質問するにもややこしいのに、軽減税率の線引きで、これ以上暮らしをややこしくしないで欲しい。
    貧しくても消費税が10になったらなったで、消費をきりつめて家計を守りますから、どうにもならなくなった時に国から助けてもらえるよう、福祉を増税分で充実させてほしい。
    税金の使途が明瞭で納得いくものであれば、8が10になっても、8が15になっても、文句は言いません。気に入らないのは、議員報酬が世間の常識を超えていること。掴んだら離せないので、志より票集めに傾くのでしょうね。増税するなら、彼らもまた、身を切る覚悟で臨んでほしいものです。軽減税率は、消費者だけでなく、製造者、販売者にもややこしくなります。どうしても、するのなら、食品ではなく、光熱費(ガス、電気、水道など)にしてほしい。でも、その前にインボイスの導入ですね。賛成です。(小さな自営業ですが、納税しています。不公平をいつも感じています。)

  2. 夜間徘徊者 より:

    私も軽減税率導入反対でーす。
    必要ならblog主さん同様に給付で対処してほしい。
    そもそも消費税10%にするのも反対ですし。再来年春からきっとまたデフレ再燃ですよね。

    だいたいあの自民党税調の宮澤洋一の何を考えているのかわからない表情に虫唾が走る。
    新聞社も何年も前から『新聞だけは軽減税率を』とキャンペーンをしていたものの、食品だけみたいな話になってからは消費税をまともに議論しようという空気すら無くなって、いかに政局に持ち込ませるかみたいなトーンになっている。

    公明党の山口が「他に財源を」と言っているんだからぜひパチンコ税や公営ギャンブルに課税を。

  3. ブルーベリー より:

    昨年の増税延期時よりも実質賃金がダダ下がりなので、増税なんて出来ないのでは?

    4年も実質賃金が下落基調で、貯蓄ゼロの世帯は31%まで増えています。
    貯蓄率はマイナスで、貯金を取り崩している状態なので、消費が大きく伸びる事はありません。

    自律的な賃金上昇は起こらなかったし、今後も見込めない。
    これで増税したら安倍政権は終わるかも。

    • argusakita より:

      軽減税率を簡易方式で行う・・・アホですか?
      どんなに簡易でも卸、小売りでは商品別の税率が明確にならないと帳票記載できない。
      年間売り上げ5,000万円以下の零細企業は例によって『みなし課税』も認めるのでは、またまた骨抜きになる。
      2020年を目途としたインボイスまでのつなぎ措置・・・冗談じゃない。そこまで日本経済がもつかどうかも危うい。

      自公の税調は何が何でも消費税10%にupすることが優先らしいが、現状よりも税収が減ったら笑えなくなる。
      内政、経済では安倍内閣は退陣要求が出てもおかしくなくなってきた。
      安保、外交だけなら飾り程度の稲田でも事足りる。
      ひょっとして金融緩和した際の経済ブレーンが周囲からいなくなったのではないだろうか。

      >昨年の増税延期時よりも実質賃金がダダ下がりなので、増税なんて出来ないのでは?

      強行したら、暴力的な運動が起きると思います。

  4. 一納税者 より:

    安倍政権は海外でばら撒き過ぎるとは思いますが実際はODAと同じで商社やゼネコンにばら撒くわけでしょうからまあいいでしょうし、安保も一段落して今後具体的に南シナ海なのか中東なのかはわかりませんが、そんなに積極的に派兵するとは思えませんから、そろそろ内政特に経済と税・社会保障に本腰を入れて欲しいものです。

    新3本の矢も以前管理人さんが書いていたように矢ではなく『的』ばっかりでピンときません。
    GDP600兆円・・・計算方式変えていくそうですからなんとも。
    最低時給1,000円・・・中小零細企業は潰れるんじゃないでしょうか。

    無理筋の的ばっかりじゃなく、『矢』を示してくれと思います。

    • argusakita より:

      最低時給1,000円はちょっと難しいでしょうね。
      新聞紙サイト見てると、公務員給与upに法人税down、消費税upに社会保障down・・・
      安倍政権は内政でどんな日本を目指しているのか、よくわかりませんね。
      来年の参院選、自民党大負けするでしょう、今のままなら。

      国民の目をどこか外敵に向けるのも日本の場合は限界がありますからね。

  5. argusakita より:

    軽減税率とはダブルスピークの最たるもので、現在の8%のJCTが10%になるときに8%のまま据え置きにするものをどうするかという議論だ。軽減なら8を5にするとかゼロにするものだろう。
    予想通り不透明な『据え置き税率』の議論と言える。
    食品を生鮮と加工に分ける欧州でもずーっと以前から続いている議論は次々に例外が出てきて終わりが無いことは間違いない。
    それでも、オーストリアはもちろん各国で時々この見直し・改定が行われ、ワインよりも水のほうがVATが高かったりする。
    そういった変更に耐えるのは欧州型インボイスがあるからだが、日本ではその導入の前にあいまいなまま見切り発車するらしい。

    減少する財源をどうするか、あるいは減少した分を何かで削減(まっ先に社会保障等)することが議論になるのだが、そこで公務員給与削減だの人員削減といった案などが出てこないあたりが政治屋達のどうしようもないところである。
    さらに議論の核心が自公連立の破綻か否かみたいなところに行っているのが茶番というか国民不在のドタバタ劇である。

    欧州型インボイスを可能な限り早く導入しろと主張する政治屋がいないのが日本の現実。

    • 茹で蛙 より:

      確かに国民不在の感じが凄いですね。
      財政規律がどうのとか全然別の話になっていますしね。

      結局、今回の軽減税率問題は、
      ・自民が公明の要求を呑む
      ・公明が来年の参院選(下手すると衆参同時)で選挙協力を約束
      ・参院選で自公大勝(2/3以上)

      ------> 悲願の憲法改正発議

      というヨミなんだろうと思いますが、ひょっとすると同時選挙なら自民大敗&政権交代の可能性も無いわけではなさそう。

      • argusakita より:

        外食まで『据え置き』ですか。笑っちゃいますね。結局社会保障を削るでしょうから本末転倒も酷いものです。
        このままいけば、自公は来年大敗しそうです。

        話が逸れますが、据え置きしないで10%に上げてもいいものにペットボトル入りのミネラルウォーターはどうでしょう。
        オーストリアではワインより税率が上です。
        水資源を考える良い機会だし、日本のトップレベルの上水道技術を見直し、ブラッシュアップさせるいい機会だと思うのです。

        • 外食は軽減しなくてもと私も思います。フライドチキンのように店内でも食べられて持ち帰りもできる場合であっても反対はそれほど起きないと思います。店内は暖かいうちに食べることができますが、持ち帰りは少し冷めてしまうわけですから。
          大館あたりでは、飲食店で余った場合オリなどに入れて持ち帰りできる店もありますが、それは店内で一部食べているわけですから、外食となるのも当然でしょうし。

          自民党は公明党をできれば切りたいと考えていると思っていたのですが、軽減税率のおかげで選挙に勝てたと大きい顔をされる状態を受け入れることにしたみたいですね。

          水は日本では理解されるかな? たぶん無理では? 安全はそろそろただでは無理と考えられるかもしれないけど、まだまだ水はタダ(あるいは低価格)というムードだと思いますよ。容器を買うとスーパーで水道水より綺麗な水をタダで入手できますから。

        • argusakita より:

          さっきTVで見たら、外食は含まれないことで決着したようです。
          かつての勢いのないワタミの渡邉美樹参院議員あたりに一言言わせたいですね(^^)

          >自民党は公明党をできれば切りたいと考えていると思っていたのですが、軽減税率のおかげで選挙に勝てたと大きい顔をされる状態を受け入れることにしたみたいですね。

          だから早く公明を切るべきと以前から書いていたのですが、もう農協や医師会といった組織票をアテにできない自民党は創価の800万票が死活問題になっているのでしょう。残るのはゼネコン他建設業セクタですから、これから公共事業増えますよ、きっと。
          先般の安保法成立時に創価も一枚岩でないところを露見してしまいましたから、来年の選挙はちょっと見えなくなってきましたね。
          せっかく憲法改正のチャンスを安倍政権は自ら手放しそうで、もったいない。
           
          水の問題、課税は大きな反発があるとは思いますが、意識改革には最高の効果があると思いますし、水資源をもっている地方にとってはチャンスだと思います。日本だけではなく、輸出も考えられるからです。

  6. 茹で蛙 より:

    全く根拠のない個人的な予想ですが、安倍政権は来年の選挙前まで徹底的に国民をいじめ不満を高める政策(通常ならやりにくい政策)を次々に決めて、野党の烏合の衆にそれらや消費税の財源問題を追及させ、土壇場で『10%上げ』を再度延期することを決めると思います。
    前回の延期のときに経済状況とは無関係に必ず上げるとは言ったものの、日銀も2016年までのデフレ脱却は諦めたかのように見えますし、この『再延期』の公約破りなら国民の大方の支持は得られるでしょう。
    『やっぱりアベちゃん!』という支持派が応援すると思います。
    問題は、国際的にその財政規律を破ることによる国債暴落(するかしないかわかりませんが)等のマーケットの混乱ですが、今それをあれこれ検討中ではないかと思います。

    全て選挙対策でこの国は動きますね(笑)。

    • argusakita より:

      支持と票を得るためにそこまでトリッキーなことをやるかなぁと思いますが、消費税upについてはあの竹中平蔵氏が上げないほうがいいといった発言をしたようで、ちょっとおもしろくなってきました。
      据え置き税率どころか、消費税upは延期かもしれませんね。

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