いざという時に役立つかは不明でも”毎日必要なもの” ~集団的自衛権~

中立国かつNATO非加盟国のオーストリアでは、トルコ軍によるロシア機撃墜の話題はニュースに出るものの、今日から有効になった(交換可能になった)新20ユーロ紙幣(発行は2月)の非常に凝った偽札対策や特徴の話題のほうが大きな印象である。
欧州では偽札がだいぶ多くなってきたそうで、一昨年は5ユーロ、去年は10ユーロと更新されてきて今年は20ユーロ札。一番偽札が多かったのが20ユーロ、次が100ユーロ、50ユーロだそうで、クリスマス商戦(アメリカのようにブラックフライデーはないが)が盛り上がるこれからの時期、旧札・新札が混在するショップなどは頭が痛いだろうなと想像。
余談だが、欧州全般で言えることかもしれないが、観光旅行で欧州に来た場合は100ユーロ札はほとんど使えない(断られる)と考えておいたほうが不愉快な思いをしないで済むはず。クレジットカードのほうが歓迎されるが、現金の場合はせいぜい10、20ユーロ札で済ませたほうが良い。硬貨は日本のものとは違って分厚く重いため数が多くなると厄介だ。

日本のように海に囲まれて緩衝地帯がある国と違って大陸の国は国境線=領空境界であるため、ほんの少しの短い時間領空侵犯をした程度で撃墜するほうも、無神経に領空侵犯(今回はロシアは確信犯だろうが)するほうも事態の重みは十分わかっているはずなのだが、何故こんな事故(事件)が起きるのか・・・。状況が詳しくはわからない。
パラシュートで脱出したパイロットの1名が降下中に射殺され、救出に向かったロシア海兵隊のヘリも対戦車砲で破壊され1名死亡とのことだが、これをやったのは撃墜したトルコ軍ではなく国境付近にいるトルクメニスタンからの部隊(反アサド)で、事態をより複雑にしているようだ。

そもそもロシアとトルコは16世紀頃から両手で足りないくらい何度も戦争を繰り返していて、露土戦争と名前の付くものだけではない。いわば互いに積年の恨みがある者同士の間でこのような事件が起きては非常に拙く緊迫感が尋常ではない。
トルコはNATO加盟国で、NATOは集団的自衛権で加盟国が攻撃された場合はほぼ自動的に対抗措置を取るのが建前のため、もしロシアがトルコに報復攻撃をした場合、あっという間にロシア(イランも加わるかな?)vs NATO加盟国の世界大戦規模の戦争になる。
B61-Project-05_small現在アメリカの核兵器B61はドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーで新型(Mod12)に更新が行われているがトルコ(ニュークリア・シェアリングは建前は2005年で終了したことになっているが・・・)はまだのはずなもののこれが配備されているため核保有国に準じた格好で、このトルコが核保有国ロシアと対峙するのは非常に危険だと見られている。
強権、強面のプーチンに劣らないともいえるエルドアン大統領も『アラブ人が最も尊敬する非アラブ人指導者』『新たなオスマン帝国を築けると考えたとしても許される』というくらい人気があるものの、TwitterやFaceBookを遮断したりクルド人やアルメニア人を弾圧したり、NATOの一員でありながら支那の地対空ミサイルシステムHQ-9の導入をするなど『俺様状態』の国家元首である。
日本の安倍首相はそういうエルドアンと仲が良いらしいし、日本人もトルコは親日と信じている人が多い。(実態がどうかはイスタンブール以外の街にいけばわかる)
一方のプーチンは相変わらずの『マッチョ』な強面で国民の支持も高く強権を維持しているが先般のエジプトでの旅客機撃墜でもISに対して巡航ミサイルを使用したり、ISの資金源の石油輸送路や輸送トラックへの攻撃などで報復してはいるものの、イマイチ成果が見えにくく、ウクライナ問題で経済制裁を受ける現在、国内でも1発1億円とかいう巡航ミサイル等でシリア・アサド擁護に戦費を使うことにだいぶ異論も出ているようだ。
そんな状況のトルコとロシア、エルドアンとプーチンの衝突は極めて危険な状態で、互いに国内向けには一歩も引けない状況だ。

NATOは北のバルト三国やポーランドのロシア国境付近に相当数の規模の兵力を移動し、ロシアも地中海シリア沖に巡洋艦を配置し、シリア領内に地対空ミサイルを配備したようだ。黒海艦隊もトルコ寄りに移動しているという未確認情報もある。
地中海にはフランスの空母シャルル・ドゴールが配置され、アメリカの空母トルーマンも地中海入口ジブラルタルまで来ているほかに、南米から空母ジョージ・ワシントンが大西洋を北上している。
ウクライナのクリミアでもここ数日停電が続き、しょっちゅう警報が鳴り響く状況になっているようで、中東から黒海沿岸はまさに戦争前夜の状態のようだ。

そんな状況ではあるが、トルコがNATOを緊急招集しNATOにロシアに対して警告を出させた。エルドアンは外交の天才か・・・。
NATOやアメリカは一応はトルコを支持しながらも双方に自制を求めているし、仮にロシアがトルコに対して報復措置を取ってもNATOやアメリカが即座にロシアに対して対抗措置を取るかどうかは不明だ。
しかしながら、もしNATOの集団安全保障体制が無かったなら、今頃はロシアはトルコに報復を開始しているだろう。トルコ自体の保有軍事力も決して弱小ではない。トルコの背後にNATOとアメリカがいるから緊張状態で止まっているのだ。

核兵器だけではない、集団的自衛権集団安全保障体制は実際に行使されるかどうかはわからなくてもこういった突発的な事件に備えて“毎日”必要なものなのだ。
日本の安保法案に反対した連中は、ロシアやトルコの動向や事態の推移をよーく見て欲しいものだ。明日は我が身かもしれないではないか。
グレーゾーンがどうのとかが如何に不毛な神学論争のようなものだったか・・・。

明日から、(社員さんに行かせるのも考えもののため)キエフ、サンクト、ワルシャワと駆け足出張。社長さんは大変だ(^^)。

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いざという時に役立つかは不明でも”毎日必要なもの” ~集団的自衛権~ への3件のフィードバック

  1. phary より:

    <集団的自衛権、集団安全保障体制は実際に行使されるかどうかはわからなくてもこういった突発的な事件に備えて“毎日”必要なものなのだ>
    まさにこれですね。
    今回一時帰国した時に、友人がお念仏のように「戦争はしちゃいけない。」「今回の法案可決で日本は戦争への道を、、、」「第九条があるから日本はずっと平和だったのだ。」と強調していましたが、誰だって戦争はしたくないのです。戦争を回避するためにも集団的自衛権、集団安全保障体制が必要だということがまるでわかっておらず、話は堂々巡りになってしまいました。日本国内にいるとあまりに平和過ぎて危機感が鈍くなってしまうものなのでしょうか?難民問題にしても対岸の火事です。しかも遠い遠い対岸。

  2. 歴史好き より:

    >毎日必要なもの

    わかりやすくて、確かに最近の出来事を見ているとそう思います。自民党の政治家も国会でそう言えば良かったのに….。

    相変わらずの韓国の馬鹿さ加減や中国の子供じみた我儘などを見ると、日本の近所に日本並みの近現代国家が一つでもあれば日本やアジアの今はだいぶ違っていたでしょうし、アメリカに頼らなくともアジアでの集団安全保障も構築できただろうなと思います。
    歴史の妙というか何というか….。

  3. blogファンその弐 より:

    うまいこと言いますね、blog主さんは。

    アメリカでは来年2月26日までWorldwide Travel Alertが継続するようです。
    http://travel.state.gov/content/passports/en/alertswarnings/worldwide-travel-alert.html
    世界のどこ行っても危険はあります的な意味でしょうが、そんな中でもウクライナ、ロシア、ポーランドと動けるblog主さんはさすがというかなんというか。
    とても真似などできませんが、そういう日本人がもっと増えないと日本の貢献や存在感発揮なんてできないんでしょうね。

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