街づくりにおける行政と住民の乖離

羽田に着いて秋田便に乗り換え、空港から県南の親戚に頼まれていた土産があったため届けついでに時差ボケ解消がてらR13をドライブ。12月にしては例年より寒くないように感じる。
今更ながらだが協和あたりから六郷のあたりまでの道路整備による変わりようはR13が秋田市を過ぎると砂利道や簡易舗装だった大昔を知っている者としては隔世の感。道路も立派だが歩行者のほぼ皆無の立派な歩道は法定による硬直化とはいえもう少し何とかならんかなと思うのは筆者だけではないだろう。
それにしても大曲のR13沿いの郊外型ロードサイド店の群れはこれまた隔世の感だが、出店しているチェーン店だけでは一体ここはどこかわからないくらいお馴染みのものばかりで、日本全国の都市郊外がどこも皆似たようなものになっている現在、何とも魅力の無いものである。(均衡ある国土の発展という無意味な左巻き論法には合致しているのだろうが)

ツルハやニトリの看板が見える一画とR13を挟んで池田庭園側にもロードサイド店がバラバラと広がり、その1kmほど南にはイオンモール大曲がドーンと広がる。経緯は知らないが、これほど相次ぐ出店をしたのはここ10年程だろうか。走っているのがワゴン車多数ではなくほとんど軽自動車というのは多少違うが、完全に北関東のマイルドヤンキーのテリトリーと変わらない。(^^)
大仙市の人口は8万5千人、周辺の自治体からの交流人口を考えても商圏人口は横手の商圏とのダブルカウントをしても15万に届くだろうかという数字だと思うが、駐車場に停まる車の数を眺めてもイオンを含めて出店企業の中で黒字の企業が果たして存在するものだろうか?
こういうメジャーなチェーン(企業)によるロードサイド店の集合体は、各企業の出店を根拠にした金融と企業会計のなせるもので、さほど儲からなくても良いが売上があるスレッショルドを切ると間違いなく撤退する。数が多くシナジー効果があるうちはいいが、1つ2つと撤退が始まると集客力が落ち経済合理性で祭りは終わる
チェーン店の場合は仕入なども本部一括で地元業者にビジネスチャンスはほとんどないはずで、雇用も非正規中心の良質なものとは言い難い。ひょっとすると5年か10年後くらいにはほとんど廃墟(安普請の建築物は解体も容易)の駐車場ゾーン(店舗が無ければ無意味)になるのではないかと思われる。案外、せめて資本力にモノ言わせドミナント戦略で出店しているイオンぐらい残ればいいと地元では見られているのかもしれない。まあ、祭りが続いているうちは行けるところまで行こうと。大きな花火が有名な場所なだけにやけっぱちの冒険主義が地元には受け入れられているのかもしれない。
今からでも広大な駐車場跡地や敷地の利用法を考えておくべきだろう。
大曲は明治以降の町村制施行後の農村を統合してできた地域で、もし未だに雄物川の水運などが行われていれば川湊の角間川あたりが中心地だったかもしれないが、奥羽線整備で出来たJR駅周辺に徐々に人が集まったできた100年程度の歴史しかない人工的な都市部エリアであるため、現在のようにロードサイド店が集まる形態とそれが無くなれば都市部も消滅するかもしれないといった当然の帰結も住民たちが案外納得しているのかもしれない。秋田新幹線もスイッチバックで時間ロスであり大曲駅の存在価値はさほど高くはない。

大仙市というのは平成22年度に国の中心市街地活性化基本計画(終了は平成28年3月)に認定(秋田市は平成20年度に認定され平成26年6月に終了)され『中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(略称:中心市街地活性化法)』(略称ですら長い(^^))に基づいて大曲駅中心地域の市街地活性化が行われているはずなのだが、JR駅前と厚生連大曲厚生医療センター(旧仙北組合病院)周辺の若干の道路こそ小奇麗になったものの、街の中はさほど大きく変わったようには見えない。高速のICとR13を結ぶ西道路(イオンの目の前に直結)は便利になったのだろうが市街地とはあまり関係が無さそうだ。

国に支援を受けて市が推進する中心市街地活性化経済合理性だけを基本とした郊外型SCやモールのほとんど無節操な開発・出店(まあ、農地だったところを売却した成金は増えたことだろうが)のこういった目に見える(ゼロサム)対立や乖離は明らかに行政と住民の意識や方向性が異なっていることを物語っているように映る。何故そうなるかは明らかで、
(『大仙市中心市街地活性化基本計画』より)JR駅や医療機関を核に、
○医療や福祉、健康機能が充実したまち
○人が集まり様々な活動が行える楽しいまち
○買い物が楽しめるまち
○高齢者をはじめ多くの人にやさしいまち
○安全・安心なまち ○ 交通が便利なまち
○来訪しやすいまち ○ 歩いて楽しいまち
といった社会主義風なスローガンを掲げても、もともと歴史的背景の無い人工的な都市部でありジリ貧の人口減少を跳ね返す経済力も無いため、上記のような一般的な総花的目標を掲げるほど求心力や財政の裏付けが無い。しかし、自治体としては財政が充実しているかのように理想を掲げざるを得ない。
一方、住人達の現実の生活の優先順位としてはやはり買い物が便利(車で)な場所、買い物をしなくてもブラブラ時間を潰せる場所、しかもそこにきちんとした地元の雇用機会があることが上位で重要なものであり、資本主義的な欲求が当たり前に強い。行政サービスの裏方ともいうべきインフラ維持や除排雪や医療・福祉などの都市運営コストがわかりにくい住民にとっては日々の生活に直結する優先順位の高いものにしか目がいかない。
それらの行政サイドと住民サイドのギャップはなかなか埋めることはできない。(大抵の場合は行政が財政面での観点の事業優先順位を率直に語らないことが原因)

大曲よりももっと先に残念な寂しい結果が出そうなのが潟上市のメルシティ潟上だろうと思われる。
R7沿いの五城目に向かうR285との交差点の北に位置する場所(やはり農地転用だろうと思われる)の潟上メルシティ。ユニクロやアルペンなど名の知れたお手頃安物チェーン店が数軒出店しているが、最も集客が多いはずの週末の午後でも駐車場の車はまばらで気の毒なくらいだ。
今は通販で大抵のものが購入できる時代のため、それぞれの小規模で品ぞろえの少ない店舗では到底客が満足できるレベルではないだろうと思われ、各店の撤退は時間の問題のようにも見える。無論チェーン店の場合は店舗単独決算ではないため赤字でも営業継続の場合もあるが最後は程度問題である。
車で5分も走れば隣の五城目町のイオン(敷地は広大で平屋のスーパーセンター)があるのだが、自治体同士の鞘当てなのか住民の要望なのか知らないが、相乗効果はあまり無さそうでどちらも長持ちしそうにない。3年以内にメルシティ潟上は消滅か全店舗入れ替えといったところだろうか。

企業規模の拡大を金融の後押しによって進め、地方の農地転用を促し、儲け度外視で出店・営業をするビジネスモデルもアベノミクスの金融緩和が終了し利上げになれば突如終了だろうと思うが、未だにそれがくすぶっているのが秋田市の外旭川イオン問題のようだ。
先般、八橋油田地域で油田採掘を再開するという記事を見たが、出店予定エリアが被っているように思え、これで外旭川イオンは無いなと思っていたが、わざわざ秋田市が市としての意見をまとめて発表している。『「秋田北/農/工/商共存型まちづくり構想」の検証について』という資料、一見すると妥当なことを書いているようにも思えるものの、あちこちに『当該構想では、出店者、出店数など具体的内容が不明なことから、経済波及効果の算出は困難である』とdisclaimerが書かれていて、市議会に提出された陳情にとりあえず答えておこうとするもののようで定量的な議論の材料にはあまりならない。
秋田市では中心市街地活性化法で定められているTMOが機能しているのかどうかも不明でそのTMOがそもそも純粋に民間ではないこと(法定)やそのTMO不在といった現状では市街地活性化は何をやってもうまくいきそうにない。しかも秋田市は既にエリアなかいちでの(事前に予想されていた)失敗があまりにも酷く、街づくりにおける奇麗ごとの社会主義的理想論を掲げるには説得力がもはや全く無いといってよい。
終了した秋田市中心市街地活性化基本計画に関して『認定中心市街地活性化基本計画の最終フォローアップに関する報告』(とそれ以前の報告書)を読む限り、予定されていた40程度の事業も半分しか実施できず、自画自賛しようにも非常に苦しい様子がうかがえる。
当初の全体のコンセプトとして掲げたものが『千秋公園(久保田城跡)と連携した城下町ルネッサンス(中心市街地再生)』だったことを知っている秋田市民がどれだけいるだろうか?

活性化だのにぎわい創出だのといったソフトウェア(イベント等)に関わるものには元々そういった能力もノウハウも無い行政できるだけ関与すべきではないというのが筆者の持論だが、何故か秋田市(や秋田県)は首を突っ込みたがる。結果、死屍累々を何度繰り返せば気が済むのか・・・。そんなしゃれた能力やノウハウを持っているTVドラマのような公務員がいるとは到底考えられない。
ソフトウェアは民間に任せたら良いのだ。行政はハードウェア中心の整備・維持に注力しその財政的背景を語るだけで十分である。
秋田市に関していえば借金漬け&税収減の中長期財政の数字を睨みながら市民に対して都市計画について率直に提示したら良いのだ。例えば、『イオン出店は秋田市の発展に寄与しない』などと上目線で言わずに、
『イオンが私企業としての責任で出店することについて拒否する理由は無いが、都市運営コストの観点から新規のインフラ整備やその長期的維持に協力する財政的余裕は無く、現状の中心市街地の既存のインフラ整備、維持が優先される』『集客に関して道路の渋滞や除排雪等についてはそれを考慮した整備・準備をイオン側の責任で開発当初から行ってもらう』
つまり積極的に反対もしないが、支援をする財政的余裕は無いときっちり言えば良いだけだ。
『コンパクトシティ構想』などと大そうなことを言わなくても振る袖が無いのは市民も知っていることで、コンパクトにしないと行政サービスの密度を維持できないことを訴えるべきだろう。もっとも立派な庁舎建設や職員給与削減や人員削減を自ら言えないからそれを訴えられないのだが・・・。
イオン出店賛成派はこの秋田市の借金漬けの中長期財政計画を無視した議論をしているように見えるのだが、何かを削ってそっちに回せという議論があるならまだしも、ただ単に非正規雇用の創出だの経済効果(秋田市商圏ではその雇用も経済効果も逆にどこかで消えるゼロサムである)だけではあまり説得力が無さそうだ。

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街づくりにおける行政と住民の乖離 への2件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    米国のクリスマス商戦は、ネット通販のシェアが47%になり、来年は逆転する見込み。
    日本でも、ネット通販がスーパーの売上げをいずれ超えると予測されています。

    駅前商店街 > 郊外店 > ネット通販 という流れです。
    だからこそ、イオン外旭川では人を呼べる農業体験施設や温泉施設を計画していた。
    少なくとも、企業は先を読んで行動している訳です。

    秋田の役人には、地域の発展を考える能力も意欲もありません。
    本来は政治家の仕事ですが、穂積市長はゴルフのことで頭がいっぱいです・・・
    ゴルフが仕事と主張しているので、市長など辞めてプロゴルファーになればいいのに。

    • ここの公務員天国のところに

      >4月2日の定例記者会見では「ゴルフって遊びだと思ってるの?」。秋田市の穂積志市長が2日の定例会見で、地域振興イベントに課長を代理出席させて自身は後援会主催のゴルフ大会に参加していた問題を問われ、気色ばむ場面があった。

      との文がありました。つまり接待ゴルフをしていると言いたいのでは? ただ、誰に対して穂積市長が接待しているのかはものすごく謎ですが。

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