フィンランドのBIの実験はデウス・エクス・マキナになるか?

先日、フィンランドについて、
フィンランドのBIの実験は成功するか?
とBIについて書いたが、その1か月後に、
欧州の病人と呼ばれ始めたフィンランド
とも書いた。
『病人』と呼ばれるように落ち込んだ財政の建て直しに真剣に取り組み、機動的にチャレンジするフィンランドは小規模だから可能という条件があるようにも思えるが、それだけではなく世界初の核廃棄物の最終処分場の建設(10万年貯蔵)に着手したことなどと合わせて『大胆で意欲的な国』というイメージが強い。


かつて、自殺者対策を国を挙げて取り組み結果を出したことなども考えるとなかなか真似のできない素晴らしい国のようにも思える。実際にヘルシンキなどを冬にブラブラしても、あの寒さの中での人々の元気の素はなんだろうと時々不思議に思える。

BIについては、ここ数日の記事をあれこれ読むと(間違いがあったらご指摘願いたい)、
・BIを2017年に開始し2年間の実験とする
・全ての国民に1人あたり月額800EUR(106,800:133.5円/EURとして)給付
(フィンランドの人口は約540万人、4人家族なら3,200EURの給付となる)
・実験期間は社会保障(年金や生活保護等)を停止する
ただし、基本的な失業手当、最小病気休暇や出産給付金などは残し、介護やボランティア活動のようなものには若干の報酬(インセンティブとして)を与える。(働かない人を抑制する方策)
・国民の69%がこの実験を支持

2年終わったらどうするのか見ものだが、おそらく金額等の微調整を行ってそのままフルBI定着に持っていくだろうと筆者は睨んでいる。
何故なら、BIの目的の一つは複雑な社会保障(主に年金)システムに関わる仕組みの単純化と維持コスト削減(組織・人員削減等)によって無駄な費用を発生させないことであり、これは後戻りさせられない。
また、現在フィンランドは失業率が15年ぶりの高さ(約10%)となっていて、BIによって基本的な生活が保障されれば例え低賃金でも働く人が増えるはずという読みがあるからだ。
企業も賃金を下げられる可能性が出てくることになる。

凄い実験という一言に尽きるが、停止される社会保障には住宅支援や障害者向け給付も含まれ、BIによって生活基盤が現在よりも低下する人も出てくることが既に指摘されている。
また、実施までに超富裕層にも均等に800EUR給付するのかという問題にはまだ結論が出ていないらしいが、超富裕層の線引きをすることの難しさやその決定プロセスが不透明になるという懸念も指摘されているため、案外完全にフラットにした給付になるのではないだろうか。

『平等』という意味を改めて考えさせる大きな機会になるはずだが、失業率の高さと社会保障による財政圧迫を払拭するデウス・エクス・マキナ(歌舞伎のどんでん返しのようなもの)になるだろうか。
フィンランドの某企業とは付き合いも長く、仕事や生活の場としても魅力的なため、ここ数年はフィンランドには注目だ。

オランダのユトレヒト(オランダで4番目の都市)でも部分的なBIの導入が来月(2016年1月)から実施される。対象者は社会保障受給者のみで月額900EUR給付らしい。
こちらは、単に社会保障の定額化や低減がチラつくが給付の条件がやや複雑らしく、フィンランドのフルBIとは様子が異なりそうだ。

それにしても日本のマスコミは年金問題はよく取りあげるが何故このフィンランドのBIを取り上げないのか非常に不思議である。

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