地方の中小零細企業は生き残れるか

河北新報によれば、秋田県では事業継続を断念する経営者が増えているらしい。
県中小企業診断協会が昨年5~6月、4,000事業者を対象に事業承継の実態を調べ、回答した約2,900事業者の約27%(約770事業者)が自分の代でやめたいと回答したそうだ。
また帝国データバンクによる昨秋の調査でも県内企業約1,900社のうち1,400を超す企業が後継者不在で、約75%という割合は全国4番目に高いとする調査結果を公表している。


これらの理由は、子供にその意思が無い、事業に将来性が無い、地域の需要や成長が見込めないというものだそうだ。
筆者の場合も3番目の判断を早めにして軸足を東京と海外に移したが、今のところ間違いではなかったと感じている。大雑把に言えば商売は思いや気合だけではなかなか現実には進まないし、ボランティアではないのだから営利企業としては経済合理性で選択するのは当然と考えている。

この地方の中小零細企業の抱える課題にダメ押しというか引導を渡しそうな施策の構想が安倍政権で進んでいる。
最低賃金の引き上げ赤字企業に対する外形標準課税の導入だ。
安倍首相が11月24日の経済財政諮問会議で、毎年3%ずつ引き上げて将来は時給1,000円程度にするよう指示を出した。
現在の非正規雇用者は全体の4割に達し、その4割は大企業の春闘や公務員の給与upとは無関係な世界で働いている。
最低賃金の水準で雇用者に賃金を支払っている企業の割合は、建設、運輸などの分野を中心に、特に物価水準が低い地方都市では、最低賃金で雇用している中小零細企業が目立っている。例えコンビニチェーンのようなところでも秋田市あたりでもほとんど最低賃金で雇用しているのが実情だろうし、地元企業で大企業並みの賃金というのはほとんど聞いたことが無い。
全国では最低賃金+40円以下で働く雇用者は510万人だそうだが、秋田県ではほぼ100%それに含まれるのではないだろうか。
その状態から1,000円という大台に乗せるにはそれこそ労働生産性を上げたところで業種にもよるが企業努力の限界は現実にあるはずで、地域の需要や成長が見込めない以上採算が合わず労基法違反でもしない限り事業の撤退の選択しか残されていない。

外形標準課税については、国税庁によれば赤字会社は法人全体の70%に当たる177万6,000社で、これらから何らかの徴税ができればという財務省の目論見は理解できるが、実際の特に地方の中小零細企業では法人税を払うどころか、消費税の益税分(みなし課税等による)を利益扱いにしてようやく経営が成り立っているところも珍しくないのが実態ではないか?
多少の黒字決算をしている企業の場合は、この外形標準課税と納めるべき法人税を比較してどちらが得か(これとて微々たる節税だろう)という判断が生まれるかもしれない。
金融機関からの借り入れが大きかったりしない限りオーナー企業であれば、決算で微妙な赤字にすることも会計上は可能だろう。
最初から赤字企業であればこの外形標準課税を払えず事業停止ということもあり得る。

最低賃金の引き上げと赤字企業に対する外形標準課税の導入によって引導を渡される企業は地方で続出するのではないかと思うが、日本全体で新自由主義的な観点で見れば競争力の無い企業は生き残ることを許さず強制的に退場させることで新規の企業も出てきて活性化するだろうという考え方もある。
しかし、パイは限られ縮小しつつあることと地方の労働者目線で考えればそういった雇用の流動化が起きたとしても中小零細企業で特段技術やスキルを身に付けられなかった労働者は行き先を失う。

地方の中小零細企業とそこの労働者を考えた場合、最低賃金の引き上げと赤字企業に対する外形標準課税の導入は、事業継承で悩む経営者たちには確実に引導を渡すだろう。
大企業には実効法人税率のdownと政労使会議での賃金up要請をする安倍政権だが、地方の中小零細企業と労働者を一気に敵に回しかねない2つの施策はストレートに自民党の『票』に影響するのではないだろうか。

社会保障という目的のための消費税がいい加減な(欧州型インボイス導入せずに)軽減税率(据え置き税率)を併用することで財源ねん出のために社会保障を削るといった噴飯モノの議論になっている。
正月明け早々(4日)の国会は、どうせ民主党あたりからのパンティ大臣の追及から始まる低レベルなものが予想されているが、そろそろ外交・安全保障で安倍政権を支持している層からも内政、経済施策での拙さを指摘する声が上がり、結局は選挙に響いてくるのではないだろうか。

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地方の中小零細企業は生き残れるか への6件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    今後は労働人口が激減するので、人の奪い合いになります。
    生産性が低い企業・地域はどのみち生き残れないでしょう。

    移民でもしないかぎり、政策でどうにかなるとは思えません。
    日本の財政は火の車で、金融抑圧をやるしかないと思っています。

    • argusakita より:

      秋田の新聞紙サイトを見ていたら、ドチャベンとかいう話題が載っていて殿様ご満悦の様子で、ちょっとなぁと思いました。
      そんなアマチュアの事業計画に付き合ってる時間があったら、既存の地元の法人や農業法人の体質強化でも何でもそういった施策を行うべきなんです。
      ドローン特区も千葉で配送の実証実験をやるということで仙北市は何をやるんでしょうね。

      あの殿様とその取り巻きは一体何を考えているのかと・・・。

      • ブルーベリー より:

        同感です。 
         「千葉市のドローン特区」のニュースを見て、 「仙北市のドローン実証特区」 は何だったのかと・・・

        ドローンは既にゼネコンや林業で使われていて、山での使用は特区にしなくても出来る訳で、
        結局は 「ドローン特区」 で先進的な印象を与える事が目的だったんでしょう。

        ダメな地域は施策を上手く使えず、どんどん差が開いています。
        貴重な時間とカネを無駄にするので、日本にとっては秋田県は癌みたいなモノです。

        • argusakita より:

          >ダメな地域は施策を上手く使えず、どんどん差が開いています。
          >貴重な時間とカネを無駄にするので、日本にとっては秋田県は癌みたいなモノです。

          強いて言えば、癌は県民ではなく首長と県庁の組織でしょう。
          県民はまだ藩政マインドから抜け出していない。

  2. 雪ダルマ より:

    佐竹知事はレプティリアン(爬虫類型人類)という評判がネットで話題。

    舌ペロペロ、唇乾くんでしょうね。

    • argusakita より:

      4年前の脳出血の際の後遺症でしょうね。左半分麻痺でしょう。
      きちんと治療したら良かったのに。

      レプティリアンか・・・。なるほど。

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