構造改革をしない日本の将来は衰退しかない

ヘルシンキに来ているのは、顧客との仕事の打ち合わせの件もあるのだが実は拠点をウィーン以外にもう一カ所置くことがここしばらくの課題で、その出先としての見極めだ。
しばらく前から様々な情報を入手し、いくつかの都市を候補に挙げて検討している。


現在のフィンランドは、大雑把に言えばリストラクチャリング(本来の意味で)の真っ最中で、企業の大規模な解雇などもある反面、フィンランド航空の好調さやノキアによるフランスのアルカテル・ルーセントの株式80%の買収などに見られるように鼻息の荒いセクタもある。
政府はベンチャーを1,700作る方針を掲げ、単に少数の大企業の稼ぎに依存するスウェーデン型ではないものを目指しているようだ。
さらに来年からのベーシック・インカムの実験導入や核廃棄物の最終処分プロジェクトといった相当にチャレンジャブル(課題の多いという意味で)なことも取り組んでいて、活気を感じている。個人的には現在の世界で最も『挑戦的』な国に思える。
無論、身近な現実的な問題として住宅やオフィスの家賃がベラボウに高額であるという印象はあるが、どうも過渡的なもののような気がする。日本同様にマクドナルドが不人気で50店舗程クロ-ズするそうだ。

産業構造や社会制度について大胆に実験的な変革を進められるのは人口530万という小さな国だからという指摘は多いが、やはり国民全体の意識の高さと優秀さのように見える。
fa3706b9年始から、フィンランドの地方都市では『オーディンの兵士』(動画はここ)と名乗る私的自警団が問題になっていて、移民排斥を訴えて夜間徘徊しているが、これは欧州全体のPEGIDAやドイツ等ののネオナチとも被っているムーブメントで、雇用や賃金の改善に伴って徐々に緩和していくだろうと筆者は見ている。何故なら筆者の経験でも2005年前後には既にヘルシンキあたりでは移民特にアフリカ系が目立っていて、これらに対する排斥運動は特に見られなかった。要するに国民の中に本質的に外国人排斥の意識はさほど強くないのだ。(ロシアやスウェーデンに蹂躙されてきた歴史的要因もあるだろう)
大晦日のドイツの移民・難民らによる集団暴行事件へのカウンターとして『オーディンの兵士』は出てきたとされるが、いきなりユニフォームを着て現れた集団はどこかの極右勢力の資金によるものだろうから、たかが知れていると思われる。

フィンランドのような様々な構造改革は日本では相当に困難だろうと筆者には思える。極端に言えば、団塊の世代が死に絶えるまでは日本に大きな変革は期待できない。問題はその変革が起きる(はずの)時点まで徐々に衰退する日本がもつかどうかである。
どんなに政治屋が国会で議論して、法制や社会制度をチマチマいじくりまわしても根本的に医療や介護といった社会保障分野が経済成長の鍵になるわけがなく、需給ギャップが未だに7兆円もあるのだから、デフレが解消されることは当分無いと見るのが妥当だろう。
経済成長に必要な3要素、つまり人口増加、教育、イノベーション(単に科学技術に限ったものではない)のうち、イノベーションは人間の『欲』がある限り放っておいても企業や研究機関を中心に何らかの形で前進するが、人口増加と教育は国家的な取り組みが必須なものの、安倍政権は憲法改正のための目先の選挙しか見ていないかのように子供、子供を産む世代、教育に効果的な施策を打つどころか真逆の施策(オウンゴール)をバンバン出し続けている。
今のままではこれらと(予定通りの)消費税upが致命的なオウンゴールとなり参院選で自民党は大敗するのではないかと危惧するのだが、日本の世論はどうだろうか。かといって野党に耳を傾けるような施策はほとんど無く『おおさか維新の会』あたりに興味深い施策があるものの、頭数からして彼らに政権担当能力があるとは思えない。
高度成長期の幻想が未だに年寄りたちの頭の中に残滓として存在し、人口増加や教育は自然に何とかなると思っている空気が未だに日本を覆っているように見える。これでは一億総活躍社会どころか良くても一億総停滞社会でせいぜいだ。

構造改革というのは本来左翼が生み出した単語(マルクス主義では構造改良)で短期間に行う暴力革命に対して長期的な社会の変革を目指すものだが、この構造改革のチャンスを日本は既に2回失っていると筆者は考える。
1度目は1985年のプラザ合意とその後のバブル崩壊。あの頃(1986年にかけて)、欧州便はアラスカのアンカレッジ経由だったが、行きと帰りで1ドルが190円台から160円台になって驚いたことがある。
あの頃、日本は経済の単線的発展段階における(戦後続いてきた)製造業主体から金融主体に切り替えるべきだった。バブルによって土地価格高騰やサラ金地獄など段階の切り替えに必要な犠牲も多数出たが、その犠牲を生かすためにも金融主体に社会を切り替えるべきだったのだが、高度成長期の日本の製造業礼賛という馬鹿正直(?)なものを再度一斉に追い求めたため20年も時間を失う結果になった。(支那や南朝鮮の発展が想定に無かったためだろう)
2度目は21世紀の幕開けとともに朝鮮人ルーツの小泉純一郎が首相になったときである(日本も破壊されて終わりかと筆者は思った)。郵政改革をメインに社会を広義の『金融』主体に変革しようとした。このとき日本は大きく変わると筆者は強く感じたが、いわゆる保守(筆者に言わせればエスタブリッシュメント達の守旧派)という名の世界の流れを無視した郵政改革反対派が日本独善派とも言えるような『日本の伝統的価値観』を訴え、世界の潮流を知らない大衆も心情的に判官贔屓でそれを支持したため変革は中途半端になった。
その結果、デフレが長期間続き、その『保守』を標榜した政治屋達が現在どうなっているかは誰もが知っていることである。

『日本の伝統的価値観』といったものは文化や生活習慣では尊重すべきものだが、資源の無い日本がアウタルキーで生きていけないことや良くも悪くも世界経済の1極になっている現状では日本は構造改革をしない限り生き延びられない。日本の進む道は日本人が決めるものだが、他国との相互作用がある以上、潮流に折り合いをつけることが『持続可能性』のはずである。日本が世界の潮流を作れるなどという不遜な考えは筆者には無い。

安倍政権は、『日本の伝統的価値観』で美しい国を掲げたが、外交・安保については確かに歴史的な成果をあげていると感じるものの、肝心の内政については評価できるものが税金を使って株価を上げたくらいしか見えず、時間がかかりすぎている。その株価も昨夏以来のチャイナショックと原油安で風前の灯である。
憲法改正(まずは現憲法破棄でいいと思うのだが)までは何とか持って行って欲しいとは思うが、改正が成ったときに日本の社会の構造改革が出来ていなければ、角を矯めて牛を殺すことになり、下流老人と貧困若年層だらけの日本になるのは十分予測可能なはずである。
その頃安倍首相は引退で『俺知らない。期待された仕事はした』では国民は途方に暮れる。

少々大げさに書けば、日本人はリアルタイムで世界を見ていない。国内ばかりを見てあれこれこねくり回しているだけに見える。製造業、モノづくりに拘る職人の世界も確かに価値はあるが、もっと世界を見ないと・・・。
1920年代マンハッタンには既に摩天楼が広がっていた。それを日本人皆が当たり前に知っていたらアメリカと戦争というオプションは最初から無かったはずだと筆者には思えて仕方がない。
チマチマと『特区』などやっているヒマはなく、当然痛みも伴うが、大胆な構造改革こそが必要ではないのか?

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構造改革をしない日本の将来は衰退しかない への7件のフィードバック

  1. 日本ではSMAP騒動がテレビを覆ってしまい、なにか大事なニュースが覆い隠されていないかと心配するこの頃。
    もしかして、アベノミクス失敗を報道させないために、政府が裏からジャニーズ事務所に手を回したのではと勘ぐりたくなる。まあ、実態は会社内の権力闘争っぽいんですけど。

    でも、芸能ニュースがトップ記事なんだから、日本は平和だな。ただなんとなくぬるま湯の中にいて、そのお湯の温度が下がりつつあるのかもしれないという不安は感じる。

    • argusakita より:

      はい、AP配信で世界を駆け巡っています(^^)。
      BBCやロイターも結構大きく扱っていてビックリポンです。

      いや、ぬるま湯から知らない間にだんだん茹で上がるのかも。
      ちなみに、ワシントン州ブレマートンから原子力空母ジョン・C・ステニスが日本方面に向かっています。
      横須賀のR・レーガンと2隻体制になりますが北朝鮮か台湾の牽制でしょうか。

  2. ブルーベリー より:

    フィンランドの学力は世界トップクラスで、読書量も世界一ですね。

    日本は文系偏重なうえに、最近の日本人の読書量は減少しています。
    ユトリ世代だけでなく、日本人全体のレベルが年々劣化しているのが現状です。

    仮に優れた改革案が提示されても、国民の殆どは理解できず、強い拒否反応が起こると思います。

    • argusakita より:

      フィンランド・メソッドというのがあるくらいで、小さいころから『主体的に考える』ことを重視しているようです。付き合いのある知人たちも冬が長いという北国のせいもあるとは思いますが、思慮深い人が多い印象です。
      一方では、銃の所有率はアメリカよりも上ですから、フィンランド人(スオミ)を怒らせるとトナカイやヘラジカと同じ運命かもしれません。(^^)
       
      >ユトリ世代だけでなく、日本人全体のレベルが年々劣化しているのが現状です。
       
      国会の委員会などを見ていても、創価の女性議員がやたら『見える化』(可視化)などという壊れた日本語を使いますし、何かがおかしくなっていますね。
       
      息子が小学生のとき(20年以上前)小学校で見聞きした『学習の目当て』『読み聞かせ』などの言葉に強い違和感を持ったのは私が古い教育を受けたからでしょうか。
       
      確かに言語は時代とともに変わっていくとは思いますが、せっかく明治の頃から先人たちが苦労して訳語を発明し、あらゆる高等学問を母語で賄える日本は世界でも稀有な国(他には英独仏露語くらいでしょう)と言語を持っているのですから、おかしな劣化させたものを使わないで欲しいと密かに思っています。
       
      そういえば、六法も刑法や商法など徐々に口語化されていますから日本語全般の劣化でもないのでしょうけれど・・・。
       
      構造改革は、昔の(田中角栄が最も恐れたという)江田三郎(五月の親父、朝鮮人でしょう)の江田ビジョン、
      ・アメリカの平均した生活水準の高さ
      ・ソ連の徹底した生活保障
      ・イギリスの議会制民主主義
      ・日本国憲法の平和主義
      のような『わかりやすい』(わかったつもりになれる)ものがいいのでしょうね。

  3. argusakita より:

    構造改革どころか、チャイナショックと原油安で世界同時株安でアベノミクスの昨年1年間の成果が吹き飛んでしまった。まあ、仕方がないな世界同時だし。
    まあ、野党はアベノミクスのせいだと騒ぐだろうが・・・。
    東芝問題とFRBの利上げ後、日本の株を全部手放していて正解だったかな。

    日経先物 16,000円割れ
    ダウ先物 -500ドル超
    原油先物 28ドル割れ
    金だけ鼻息荒く 1,100ドル超え

    明日はセリクラでブラックサーズデイになるか・・・。
    日本経済に残された時間は少ないと再認識。

  4. 茹で蛙 より:

    構造改革の必要性、全く同感です。
    しかし、構造改革よりもまず政治屋の入れ替えでもして欲しいですね。
    甘利氏の一件は、金額や経緯はどうでもよく「また政治とカネの話か」とウンザリ感が先に立ちます。
    若い人が政治に関心を無くす理由の一つがこのウンザリ感。

    さっさと更迭して、このスキャンダルは通常の委員会ではなく政倫審ででもやったらいいと思いませんか?

    • argusakita より:

      なんだか甘利大臣大変ですねぇ。国会は大騒ぎかな?
      確かTPPの加盟国署名が来月初旬だったと思いますし、昨年末チラッと聞いた話では日欧EPA早期妥結のためにも甘利大臣がダボス会議でTPPの妥結などをドヤ顔して披露するとか聞いていましたが、結局参加しないことになったようで、案外そのスキャンダルは事前に察知していて首洗って待っていたのではないでしょうか。
      タイミングに何か・どこかの『意思』を感じますね。複数回だそうですから、ハメられたということは無さそうですが。
       
      まあ、KOボーイとはいえ新自由クラブから自民党に入ったせいか資金団体はパチンコ、サラ金と筋の良くないのが多かったですから、さもありなんという感じです。祖先とされる武田家臣の甘利虎奏も泣いているでしょう。
      だいたい、TPPの成果なんていったって英語も全然ダメな甘利大臣が何をやったのかさっぱりわかりません。時間稼ぎだけでしょう。
      さっさと更迭しないと安倍政権危ないでしょう。
      ホッとしているのはパンティ大臣かな・・・。(^^;)

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