政治家のカネはデビットカードや電子マネーだけにしたら良い

ダボス会議でドイツ銀行のCEOのJohn Cryanが興味深いことを話していた。
・10年以内に現金は消え、電子マネー化する
・現金は高価過ぎ、非効率である
・現金は取引偽装やローンダリングで犯罪者を助けている
素晴らしいアイデアである・・・。
直感的に『それは無理だ』と思ったのと同時に、甘利大臣の事件を思い出して『まずは政治家のカネだけデビットや電子マネー化したら良い』と閃いた。

現在欧州ではスウェーデン、デンマーク、エストニアで電子決済や電子マネー化が急速に進められていて、例えばコペンハーゲンのカストラップ空港のカウンターでビール1杯飲む際もカードでOKなのはずいぶん以前から当たり前で、もっと小額でもカード払いのほうが歓迎される。ちなみにユーロで払うと釣りは大抵の場合デンマーク・クローネ(重いんだこの硬貨が!)で返ってくる。日本では100円、200円の支払いにクレジットカードを出すと不機嫌な顔をされるだろう。
この電子決済・電子マネー化は政府が進めているもので、数年前から公共交通機関は前払いのチケットか携帯等の電子決済だけになっているし、法令上の『現金支払い義務』のあるものが次々に廃止されているという。1661年に欧州で最初に紙幣を導入したスウェーデンがプライドをかけているような気もするが、とにかくチャレンジャブル(課題が多いという意味)な取り組みであることは間違いない。
現在の秋田市の公共バスのように降りる直前に両替して小銭を作るという半世紀前の習慣はもはや世界遺産クラスである。

一方ではドイツやオーストリアでは現金歓迎がまだまだ多い気がする。無論、カード払いができないもののほうが少ないが、ここ数年で毎年ユーロ紙幣が順序に更新されているように、やはり紙幣は愛されている(偽造者にも)ようにも見える。ただし、偽札も相変わらずで、50EUR以上の紙幣は普通の商店では断られることもある。欧州旅行の際はくれぐれも50、100、200、500EURなどは持たないことをお薦めする(両替えするにも手数料を取られて損をする)
ちなみに、ウィーンに限らず欧州の大都市ではエスコートサービス(日本で言うデリヘル)のようなものもほぼカード払いが可能だ。これができないのはモスクワやサンクトといったロシアの都市くらいではないだろうか・・・。もっとも、ルーブルは既に紙屑同然でドルやユーロ紙幣が歓迎される。

日本では日銀の紙幣が2015年2月末で94兆円、財務省の硬貨が4.6兆円流通しているそうだが、総務省によれば電子マネーの決済額は2014年度で4.1兆円、クレジットカード決済は50兆円程になり、電子マネーに関しては硬貨の流通量にほぼ匹敵する規模になっていると見られる。
まだまだ電子マネーはニッチな世界だが、筆者は日本にいるときはコンビニなどでツタヤのT-pointカードなどを使って細かいもの買ったり(購入ではなく交換?)していて、これらが統計に入ってくるとニッチな世界ももう少し大きいかもしれない。話がそれるが、各種カード類のポイントや航空会社のマイレージなどはある意味で仮想通貨になっていて、ポイントの交換によってモノを購入(交換?)でき、大げさに考えると国家の専権事項である通貨発行権を脅かしているのではないかと少々心配になったりもする。

あらゆる取引を電子決済や電子マネーにすると一部のプリペイドのようなものを除けばそこには現金の持つ匿名性が無く、いつ誰がどこで何をいくらで買った(使った)かが精密に確実にトレースできるようになる。これがいいことかどうかは見方によるだろう。
相当程度の犯罪抑止にはなるだろうし、甘利大臣の事件のようなことが起きにくくなることは間違いない一方で、数十兆円と言われる地下経済(風俗や暴力団や政治家のカネ)を縮小させることが社会にどのような影響を与えるかはプラスマイナスともに未知数だ。

近年流行りの『特殊詐欺』は筆者に言わせれば騙されるほうも4割くらいは責任があると思われるが、財産が誰から誰に移動しても正味は変わらないわけで、海外に流出しない限り国から見たらどうでも良いことである。
警察やメディアが騒ぐのは被害に遭う年寄りがかわいそうだからではなく、その取引によって預貯金の一部が地下に潜ることと、本来発生するはずの消費税、贈与税、相続税等が国庫に入らなくなる可能性が馬鹿にできないからだろうと推察する。

政治家のカネに纏わる話は政党と政治家とその事務所に現金を扱わさせないことで大方解決できそうに思える。
政治家は桁違いの公金である歳費(地方議員の場合は議員報酬)や政務活動費をもらっているわけで、公人としてそれらの収支をいつトレースされてもいいような使い方をする義務があるはずだ。
したがって、歳費や政務活動費等は全てデビットカードで渡し(月末締めで使いきれなかったら国庫没収)、極端な話、一切現金と無縁にさせることが効果的なはずだ。
さらに歳費の使用状況を公表したら、その仕事具合と照らし合わせて議員もきちんと評価されることになる。
政治資金収支報告書や政党交付金使途等報告書も透明性が上がり、これで『政治とカネ』の問題は大部分解決するだろう。内閣官房機密費(内閣官房報償費)くらいは現金を扱っても良いかもしれないが・・・。

電子決済や電子マネーが普及すると心配なのが暗号技術他の技術的な心配・・・と、言われるが世界中で暗号が破られて電子的な搾取が行われたケースはほとんどなく、ヒューマンファクター(phishingによるパスワード等の流出)によるものがほとんどであり、決済の電子化や電子マネーの仕組みそのものが本質的な問題ではない。
よくある反対論者のこの論点のすり替えには注意が必要だ。

しかし、例えば(詳しい話は割愛するが)公開鍵による暗号化技術はRSA暗号の解読が『P≠NP予想』(証明に100万ドルの懸賞金がかかっている)に基づいて『困難』という理由で使用されているが、予想はあくまでも予想で、未だ数学的に証明はされていないわけで、決して『不可能』だから使用されているのではないことはちょっと記憶に留めて置いても良いことかもしれない。

PS. 甘利大臣、ダボスに飛んできたのだな・・・。あの事件がもし嵌められたのなら気の毒だが、いわば執行猶予の前の最後の羽伸ばしか。

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政治家のカネはデビットカードや電子マネーだけにしたら良い への6件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    首都圏では、電車やバスはスイカ・パスモが使えて、非常に便利です。

    ゆうちょのキャッシュカードにはスイカ機能が付いていますし、
    秋田県のバス・JRも、スイカ対応は可能ですが、
    実質的に赤字経営なので、設備投資するカネがないのでしょう。

    秋田内陸縦貫鉄道もいい加減に廃線にして、バス化すべきだと思います。

    • 秋田内陸線に反応してしまいました。

      民間人社長は目標内に赤字を収めても首になったのに、JTBからきた社長は目標内に赤字を収めることが出来なくても継続できるのは本当に訳がわからない。

      内陸線存続のためにこんなことが始まるみたいですね。
      http://www.akita-kenshin.jp/pdf/20160120nairikusenouenteiki.pdf

      これは一般からも預金を集め、それから補助をするということでしょうか? 税金で補助した他にこういう補助を考えるのは、どこか納得がいかないな。

      信用金庫とか信用組合とか私自身わからなかったのでネットで調べてみたら、内陸線補助預金を行う信用組合の方は、こんな制限があるみたいですから、一般人から無制限に預金を集めることは出来なさそうですから、余り問題にしなくてもいいかもしれませんけど。

      預金は原則として組合員を対象とするが、総預金額の20%まで員外預金が認められる

      でもこのような規制があっても、知らないふりをして一般人から預金を集めようとするのかもしれないと、ちょっと心配かも。

      そういえば農協も預金通帳を作れば会員だったな。やっぱり一般人から預金を集める作戦と考えるのが妥当か。

  2. argusakita より:

    甘利大臣辞任か。
    TPP他『国益』を考えればもったいない気もするが、当然といえば当然。

    後任は、(困ったときの)林芳正あたりかな・・・。

  3. ヒマな通りすがり より:

    >現在の秋田市の公共バスのように降りる直前に両替して小銭を作るという半世紀前の習慣はもはや世界遺産クラスである。

    いよいよ秋田の中央交通もICカード採用らしいですよ。
    秋田市内路線バスにIC乗車券 中央交通、18年度にも
    http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20160129h

    予感: どことも互換性の無い地域独自カードになりそう。

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