功罪併せ持つジョージ・ソロス

日本に帰ってきてから時間があると先般のダボス会議での各種のビデオを見ている。世界のリーダーとはやはり大したものだし言葉の重みも違うが、何しろその視野の広さが素晴らしい。しかし、そういったリーダー(政治家、学者、企業トップ)が一つの国をうまく運営していけるかどうかとなるとそれは全く別の話だろう。
最も興味深かったのはBloombergのジョージ・ソロスへのインタビューで、約50分の間にEU、支那、アメリカ大統領選(特にトランプについて)などを語っているもので、アメリカンじゃない英語(ソロスは生まれはハンガリーのユダヤ系アメリカ人)なのと高齢(85歳)のせいで日本人には聞きやすいゆっくりした英語のため高校生くらいでも話の内容は理解できるだろう。

このインタビューで、『支那のハードランディングは避けられない』と言い切っているのが印象的(支那政府が政策を変えるなら回避出来ないこともないとも言っているが)で、氏は昨年春頃から講演等で、『支那の経済は輸出依存型経済から内需主導型経済への移行が失敗した場合、支那共産党は国を束ね権力を維持するために外部との紛争を作り出す可能性があり、我々は第三次世界大戦の瀬戸際にある』と言い、『それを避けるためにIMFやアメリカは人民元のSDRバスケット追加という譲歩をすべきだ』とも発言している。
結局SDR入りは今年の10月開始ということで昨年末IMFは決定したが、支那の崩壊は順調に(?)進んでいるだろう。

ソロスは古くはチェコスロバキアの民主化運動、ポーランドの『連帯』、最近ではウクライナの『オレンジ革命』とクリミア危機の引き金になったクーデターをファンドで支援したとされ、それ以外にもポンド危機でイングランド銀行をねじ伏せ、アジア通貨危機を起こしタイや南朝鮮他のアジア各国を追い詰めたことは有名である。
無論、ソロスのヘッジファンド単独でこれらを行ったのではなく、沢山の有能な部下が世界中にいて、これらのヘッジファンドの集合体が『ソロス』と考えたほうが良さそうだ。
ポンド危機の際にポンド下落に対してこれを支えようとしたイングランド銀行の資金が尽きるまでソロスが売り、結局それが原因でイギリスはユーロ導入を断念せざるを得なかった。しかし、現在はそのユーロを導入しなかった結果が再評価され、当時ブラック・ウェンズデーと呼ばれたポンド危機も現在はホワイト・ウェンズデーと言われている。

余談だが、『ソロス』的な多くのヘッジファンドが唯一敗北あるいは撤退したのは2004年の日本くらいである。攻防は2003年末から2004年3月頃まで継続、当時拠点開設で欧州にいた筆者は『何か日本で凄いことが起きているらしい』と聞きニュースに注目していた記憶がある。
当時の谷垣財務大臣が為替介入限度額を40兆円から一気に135兆円に引き上げ『日本を絶対に守る!』と宣戦布告し、1分ごとに10億円、1日1兆円、連続35日継続し円を売りドルを買い支えた(円高を阻止)。さらにその後100兆円を準備した。その結果、2,000社とも言われたハゲタカファンドはほとんど撤退(ほとんど倒産らしい)した。
いわゆる伝説の日銀砲だが、現在はこんな金額では日本を守れないし為替介入自体効果があまり無いとされている。この日銀砲についてはググればいろいろなエピソードが出てくる。動画は谷垣氏本人のエピソード披露。

結局、ソロスの発言は、近未来を予測(誘導?)し、その流れが起きた場合に為替・債権・株で、莫大な儲けを出すことが目的とも言えないこともないが、それだけ世界に影響力があることは事実だろう。
昨年夏のチャイナショックの株暴落時には直前に支那の株は全て売却していたそうだ。
ソロスを金融を武器にした『金融戦争仕掛け屋』と見る向きは多いが、このソロスは決して金の亡者とも言えない側面もある。
莫大な財産を教育機関や慈善団体に寄付(当然税金対策もあるだろう)し、有名なWikipediaのウィキメディア財団の大口寄付者の一人でもある。
オープンな市民社会を善しとしているらしいが、そこには金に根差した格差社会も当然のものとしている側面もあり、いい意味でも悪い意味でも新自由主義者の一人だろう。本音で言えば非常に魅力的に思えるのは筆者だけではないだろう。

そのソロスが支那の経済のハードランディングは避けられないと明言したということは、『これから支那をターゲットにしますよ』『ハードランディングさせるよ』と言っているのと同義だろう。
株式市場のサーキットブレーカを発動したり、それを廃止したり、突然人民元切り下げを行い、1回だけと言いながら何度も切り下げたり、現在はキャピタルフライトを防止するために日本で言う外為法強化に乗り出しているようなマーケットビギナーとも言える支那はソロスに勝てるだろうか。

支那共産党vsジョージ・ソロスは今年最大の世界的な見世物になるかもしれない。もっとも、ハードランディングは当然日本経済や世界経済に大打撃を与えるが、第三次世界大戦よりは良いかという見方もあるかもしれない。

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カテゴリー: 社会・経済, 迷惑な隣国, 国際・政治, 海外 タグ: , , , , , , , , , パーマリンク