日本はフィンテック先進国になるのか後進国になるのか

欧州から日本に戻るときあるいはその逆のときに筆者は財布そのものを取り換える。
欧州ではクレジットカード(とデビットカード)とオーストリアで使える電子マネーカードQuickと現金。普段はユーロとドルだけだが行き先によってはポンドやスイスフランの小額紙幣を輪ゴムで丸く束ねて隠し持つ。
一方、日本ではクレジットカード(とデビットカード)と電子マネーカード(Suica、PASMO、Edy、nanaco、WAON)、現金は円だけとなる。あとはコンビニのカード2枚とPONTAといったポイントカードで、大して金持ちでもないのに財布が膨れる。


正直言ってどちらが現実的に便利かというと欧州の財布
日本の電子決済、電子マネーは使える・使えない店舗がそれぞれゴマンとあり、『支払う』というごく単純な幼児でも可能な行動にもかかわらず財布の中のどれが使えるのかを考えたり、『使えますか?』という無駄な会話をしなければならない。
ポイントが現金同様にモノを買うのに使えるのは便利だが、こんな面倒な電子決済やカードやお財布ケータイを平気で器用に使いこなす日本人特に若い人は実に優秀だと思うが、本当に面倒だと思ったことがないのかどうかが実に不思議。あれこれあることが便利なのかな・・・。オプションの豊富さがありがたいのはこういう場面ではないはずだ。

昔、ユーロが無い頃は常に4か国くらいの紙幣(しかも大きさもバラバラ)を持ち歩いていたが、メジャーな通貨でないときは時計の電卓(昔は老眼じゃなかったしなぁ(^^))も駆使しながらあれこれ通貨を使っていたが、今の日本の電子決済・電子マネーはその当時の面倒くささに通じるものがある。
そんな声は筆者だけではないようで、高市総務大臣が各種ポイントカードと大不評のマイナンバーカードをジョイントさせる施策を総務省に指示したようで、当面はポイントカードなのだろうがいずれはクレジットカードやプリ・ポストペイドカードとのジョイントも見据えているのだろう。

大不評で、少なくとも2018年の金融機関とのジョイントが行われるまではこのマイナンバーカードは塩漬け状態だろう(普及しないだろう)。マイナンバーそのものは公的なものであれこれ要求されるだろうから徐々に使われるだろうが、マイナンバーカードは当面不要だ。
ひょっとして夏ごろには忘れられるかもしれない。(^^)
マイナンバーカード対応のH/W、S/W開発を急がせられた業者から苦情が出てくるだろうし、何とか『お得感』を演出しようとして各種ポイントカードとのジョイントをぶち上げたのだろうが、どうにも気の毒にしか思えない。高市大臣は新進党の頃はキレるなと思っていたが、自民党に飲み込まれ、党の3役や大臣をするようになってダメダメになってしまった。体調のせいもあるだろうか。

日本の電子マネーは銀行以外の企業が主体になって行われているが、これは銀行法で縛りがあり、銀行の傘下に電子マネーの主体になるIT企業を置けないことが原因だ。
もしこれが解禁になれば、ゆうちょ銀行も黙っていないはずで、メガバンクとともに電子マネーの大競争時代(ユーザ側からは大混乱時代)が来るはずだ。
考えてみればイオン銀行を持つイオングループがWAON、セブン銀行を持つセブン&アイHDがnanaco、楽天Edyのように銀行法でグレーな印象のサービスが既に定着している。
これらは従来の銀行とは異なる『新たな形態の銀行』(金融庁用語)のため、認可されたのだろうが、従来の銀行も含めて全部ガラガラポンしてフィンテック(Fintech:金融+IT)の自由競争をさせない限り日本はいつまでたってもこの『面倒くさい状況』が続くだろう。現状ではポイントサービスとリンクした顧客囲い込みのツールだからで、それを各企業が手放す道理が無い。総務省がどういった圧力をかけるか注目だ。

欧州では各国で日本のプリペイドカード的な電子マネーがあるが、EC(欧州委員会)が電子決済そのものを銀行主体に限定しているため日本とは異なった状況である。
これは、ユーロという共通通貨がようやく定着したのに各地で電子マネーが現れれば貨幣の価値尺度が多数出現する恐れがあるという危惧から消極的な取り組みなのである。その代表的主張はECB(欧州中央銀行)に見られる。
先般のパリ同時テロ後、フランス政府はBitcoin(現在FXもBitcoinで可能)も含めて電子マネーなど非銀行系の匿名決済手段、およびプリペイドマネーを用いた換金手段の取り締まりを強化したが、その後の調査でISはこういった決済手段はあまり使っていないことがわかったらしい。
(当たり前だ、札束を陸路でいくらでも運べるのが大陸なのだから)

昨年暮れに日経に、
仮想通貨技術で異業種連合 三菱UFJなど、企業取引で主導権
という記事が出たが、多国籍・大企業が手を組んでフィンテックに乗り出せば世界のデファクトスタンダードになる可能性もあり、このブロックチェーンで日本企業がどれくらいイニシアチブを取れるかは単にITの技術的な問題だけではなく今後の金融(不動産や有価証券も含めて)そのものを左右する大きな動きとなる。
しかし、中央省庁や法律が全く追いついていないし、それについて法制案を出す議員も政党も無い。
マイナンバーカードにポイントカードを・・・だとか、各種電子マネー・決済が乱立する『面倒くさい』日本の状況は一見進んでいるようで実はエラく後進国のように見えるのは筆者だけだろうか。

1nanaco=1.01WAONだとか1Suica=0.99Edyといった変動相場制の状況になればなかなかおもしろいことになるのだが、通貨発行(紙幣)が日銀の専権事項である以上、これはなかなか実現(少なくとも表の世界では)が難しいかもしれない。
しかし、一部では不動産売買にTポイントが付くそうだから広義の新しい『金融』が始まっていることは間違いない。

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日本はフィンテック先進国になるのか後進国になるのか への2件のフィードバック

  1. うさぎ より:

    いつも楽しく拝見しております。
    確かに、このままだと日本は後進国のままだと思います。
    金融教育のなさや、現金(円)に対する信仰みたいのも感じますし。

    金融商品に、仮想通貨の変動が組まれる事が、今後起きても不思議ではないですし、そもそも、ビットコインが資産として認めらる国もあれば、決済手段として拡大しているなかで、何とか法令なども追いついていければなと思ってます。

    いっそのこと、若年層が貯金を仮想通貨でしだしたら、変わるかもしれませんね。

    • argusakita より:

      そうですね。
      日本人の多くの人が『私は投機や投資などはせず実直に銀行に貯金しています』と胸を張るのですが、その預け先の銀行は投機、投融資で阿漕なサヤ稼ぎをしているわけで、単に思考停止して銀行に委託・代理依頼しているだけなんですよね。
      バブルの前まで銀行員というのは給料も良くて、一流企業ヅラしていましたが、今はすっかりそのイメージも剥げ落ちてネクタイした金貸しというどちらかというと忌み嫌われる対象でしょう。
      ただ、未だに地方ではエスタブリッシュメントのご子息等が地銀に努めるケースが多いので、そこにも思考停止の世界があると・・・。(^^)
      まあ、マイナス金利で間もなく地銀は徐々に阿鼻叫喚になるとは思いますが。
       
      >いっそのこと、若年層が貯金を仮想通貨でしだしたら、変わるかもしれませんね。
      そこなんですよ。
      仮想通貨だろうが現金だろうが『貯金』という観念が既に『今風』ではないのです。
      ポートフォリオを組んで『動かす』ことをしないと増えない。黙っていると目減りする、そんな世知辛い状況なんだと思います。

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