マイナス金利の次はゼロクーポン永久債への転換か?

先週金曜日の日銀の黒田総裁のマイナス金利発表は市場を瞬間的にかき回し、株やFXをやっている人は往復ビンタを食らって退場した兵もいたに違いない。
国会等であれほどマイナス金利に否定的だった黒田総裁が突然の手のひら返しでは、今後黒田総裁の発言は市場からは常に懐疑的に見られざるを得ない。ちょっとズルい禁じ手を使った格好だ。
その点、FRBのイエレンは1年以上『出口に行くよ、金利上げに転じるよ』とほのめかし続け市場との対話を続けてきた。
奇襲攻撃が日本のお家芸だからなと外国人の知人には皮肉たっぷりのジョークを言われたが確かに笑ってはいられない。(真珠湾は卑怯な奇襲じゃねぇってのに!)

マイナス金利は当面は日銀と銀行間の話と受け止められているが、スイスのようにいずれは一般の預金もマイナス金利になる可能性がある。
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日本人は家計の金融資産のうち預貯金の割合が異常に高いことは有名で、図(マネーガイドJPより拝借)のように先進国でも飛びぬけて預貯金が多い。
その状況でマイナス金利が一般預金にも広がれば、銀行に預けておくメリットは無くなる(逆にデメリットになる)わけで、預金の少ない体力の無い地方銀行などは取り付け騒ぎとなりあっという間に潰れるだろう。
一般の人にとって『貯蓄の無効化』を進め、とにかく使うことに目を向けさせることはある程度の効果はあるかもしれない。しかし、マイナス金利と預金引き出しに遭う銀行はどんどん体力が無くなり、法人向け貸し出しなどを渋るようになるだろうから、世の中全体の景気が良くなるかどうかは不明である。むしろ貯蓄のほとんどない人が3割とも4割とも言われる現在の日本では、それこそ富裕層の無駄遣いを期待する小規模のトリクルダウンしか期待できない。

現在の日本に必要なカンフル剤(ちょっと古い単語だが(^^))にはいくつか方法がある(ように思える)。間違いがあれば専門家の指摘をご教授願いたい。

1つは、日銀が全国の世帯(約5,200万世帯、当然日本国籍保有者の世帯のみ)に30万円チャージしたデビットカードをばら撒く、いわゆるヘリコプターマネーだ。総額15兆円になるが、そこにルールを設ける。
つまり、月末残高の3%程度(厳密な根拠は無い)を回収するのだ。つまり使わないと目減りする方式にして、とにかく使わせる。15兆円の財政出動で公共事業を起こしても人出不足で事業遂行が進まない現状ではヘリコプターマネーによる家計への所得移転のほうが手っ取り速い。
自民党の言う臨時給付金のような3万円では、低所得層では新たな消費ではなく未納、延滞のようなものへの支払いで消えてしまう可能性がある。それらを払拭してさらに新たな消費になる金額でドーンと行くことが肝要。
消費によって企業の投資と賃上げを促すことは間違いない。しかも国債発行ではなく紙幣の増刷で済む話である。

そんなことをしたら貨幣価値低下と強烈なインフレになる・・・という向きもあるだろうが、筆者は多少の貨幣価値低下はあるだろうが日本円の信頼はそんなものでは大きく揺らがないと思っている。
ドルやユーロやポンドさらには人民元への信頼と言うのは軍事力に裏付けされたものである。いざとなれば『わかってるな!』と脅せるから信頼があるのだ。
一方、スイスフランや日本円は軍事力の裏付けが無く、純粋に国内外の資産の裏付けに対する信頼である。
これが、マスコミが円高を報道するときに『比較的安全な資産とされる円』という枕詞の意味である。

紙幣増発で賄うマネタイゼーションではないもう1つの方法は、日銀の保有国債をゼロクーポン永久債へと転換することだ。
ゼロクーポン永久債とは、利息はないが利息相当分が額面金額から割り引かれて発行されるもので、償還時には額面金額で受け取れるもの。割引債ともディスカウント債とも言われるが、これを永久債(まあ100年債でもいい)とすると満期を有しない国債となりほぼ永久に償還期限は到来しないことになる。これで政府が債務返済義務から解放され、差し迫った増税の必要性もなくなる。無論、喫緊の大問題である増加する社会保障分は削減や世代間の分配法について議論する必要はある。
実際にはこの方法も紙幣増発なのだが、表には出ないことになり財政の硬直化から解放されれば、思い切った規模のナショナルプロジェクトなども出てきそうに思える。庶民には30万円のデビットカードのほうが絶対にわかりやすい。

2000年に前FRB議長のバーナンキ(今年あたりノーベル賞かな)がヘリコプターマネーについては日本の取り得る手段として提案している。
また、ゼロクーポン永久債についてもイギリス金融サービス機構(FSA)長官を務めたアデール・ターナーが提案している。
やはり、これくらいの大胆なことをやらない限り7兆円とも言われる需給ギャップによるデフレ(安倍政権と違って筆者は日本はまだデフレ状態だと思う)にショックを与えることはできないのではないか。

あるいは、国家の専権事項である通貨発行の例外としてどこか地方で特区を設けて地方通貨を発行できるようにするなら、1930年代のオーストリアのヴェルグルで実験されたように、まだまだ方法はあるはずだ。

まともな左翼、リベラル政党があれば日本でもそんな議論が沸き上がるはずなのだが・・・。腐れ左翼や民主党は政権打倒しか興味が無いらしい。(聞きたいのは打倒した後の経済政策なんだよ!)

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マイナス金利の次はゼロクーポン永久債への転換か? への2件のフィードバック

  1. 通りすがり より:

    今日の国会予算委員会で、29日のマイナス金利発表前に日経Web版でその件が出て市場が乱高下したことについてリークがあったかどうか日銀黒田総裁が調査中と答えていました。
    犯人がわかったら大スキャンダルになりそうですね。
    インサイダーにはならないでしょうけど、命狙われるかも。

  2. 個人投資家 より:

    永久国債で置き換えると、毎年の支出から借換債の償還がなくなるから、財政はかなり改善されるなあ。

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