電力小売り自由化に見る『まやかし』

電力小売りの自由化が日本のメディアに随分と出ているように思うが、消費する側にとってそんなに大きな話題かと少々不思議な気がしている。
確かに首都圏などではオフィスの電力が安くなるならと主に企業での利用では関心が高いとは思うが、一般家庭ではどうだろうか。
筆者のお台場のオフィスでは東京電力から付き合いのある某社に変更予定だが4月1日から切り替えというわけではない。


聞くところによると、4月から切り替えられる売電事業者はごく少数で、今後他社の料金などを様子見しながら徐々にというところが多そうだ。
地方ではさらに関心は低そうで、調べてみると秋田市でも、東北電力以外に、イーレックス・スパーク・マーケティング、サイサン、ミツウロコグリーンエネルギー、KDDI、H.I.S.が選べるようだが、サービス・インは少し先のようだ。
秋田市の人は知っているだろうか? おそらくTVでは東北電力以外CMが無いだろうから知らない人が大半だろう。何に付けてもオプションの無い(少ない)のが地方の悲しいところである。

自由化とは言っても、今回の自由化は小売りの自由化であって、発電や送・配電の自由化は無く相変わらずである。
卸売り市場の整備が行われれば、いわゆる証券化が行われ、先物や現物といった市場が形成され取引が行われるのだろうが、マネーゲームのネタが増えるだけで消費側には価格の変動といったありがたくない現実が出てくる可能性もある。
エコや反原発といった向きは、価格だけではなく環境に優しい電気など、電気の特性からも選べることをメリットと考えるのだろうが、所詮周波数と電圧・電流が安定していれば電力に求めるものなど他に無いため、ドイツ人的な建前理想主義を持ち合わせない筆者などは、今回の電力小売り自由化はまるで携帯料金の料金プランを複雑にし、安いのか高いのかわかりにくくし(結局はトータルで利益向上になるように設定するのだが)、同業者間の比較をしにくくして、大して付加価値も無いものに付加価値を無理矢理つけようとする『まやかし』のように思えて仕方がない。エジソンの時代じゃない、たかが電気ですよ、電気。

欧米でのグリーン電力制度などはその思想(再生可能エネルギー普及に対する助成手法の一つ)とは裏腹に証券化によって取引市場が形成され、相場が変動することで発電事業者にとってのリスクとなり体力の無い事業者は撤退しているし、証券化によってその証券の流通のコストが上乗せされ、再生可能エネルギー普及に対する助成効果が棄損するケースが出ている。
そもそも、そのグリーン電力を販売する業者が必ずしもその企業発電設備を保有し作り出しているわけではない(原発その他のミックスだったりする)といった状況は明らかに権利売買のマネーゲームに近い。

どんなに再生可能エネルギーによる発電をしたとしても売電のためには既存の電力会社の送配電設備や変電設備を利用する必要があり利用する費用は電気料金に上乗せされる。
もし、今回の小売り自由化で既存の電力会社から乗り換えが多数となれば、電力会社は送配電設備や変電設備の維持や更新費用を他の事業者にも請求することになり、結局その分は一般消費者の電気料金に跳ね返ってくるため、値下げ競争よりは値上げに繋がる可能性もある。
先日東京にいたときに見た資料では、東京電力はリクルート・ホールディングスと共通ポイント『Ponta』の運営会社とジョイントしているらしい。
こういったジョイントで、何かで『お得感』を醸し出し競争をするのだそうだが、その業者間の価格差が年間でどれくらいかといった部分については個人の視点でもさほど大げさなものではないように見えるし、大口消費者でもない筆者のようなマイクロ企業では為替変動程影響は無く、大した問題ではなさそうだ。
節電や小電力機器に変えるほうが効果は目に見えて出てくる。
先般の各拠点のPCやOS入れ替えで、CPUがCore2のようなものは省電力タイプのXeonに変えたり(エアコン停止が可能になったサーバー機器の部屋もあった)するほうがやはり大事なようだ。

個人の生活でも仕事でも無いと困るのは電気だが、どんなに付加価値を付けようとしても所詮電力としての電気は周波数と電圧・電流の安定といった安定供給以外の付加価値は不要で廉価なほうが良いのは当然だ。
既存の電力料金を安くするには、あの無駄・無意味に巨大な電力会社を解体・再編して、もっと少人数で運営できる組織・設備に改編することだろうに・・・。
電力問題だけではないが、本末転倒でまやかしがまかり通る変な日本にどんどん変わっていくのが残念だ。製造から金融へという大きな流れであることも事実だが・・・。

ブログランキング・にほんブログ村へ 
(blog rankingに参加。ご協力を。Click it!)

広告
カテゴリー: 社会・経済 タグ: , , , , , パーマリンク

電力小売り自由化に見る『まやかし』 への8件のフィードバック

  1. 地元民 より:

    ご無沙汰しています。新年度、エイプリルフールでニヤニヤしていました。

    >秋田市でも、東北電力以外に、イーレックス・スパーク・マーケティング、サイサン、ミツウロコグリーンエネルギー、KDDI、H.I.S.が選べるようだが、

    へぇー、知りませんでした。
    調べてみようっと。ウチは熱帯魚を飼っているので電気代はちょっと気になっています。

    >既存の電力料金を安くするには、あの無駄・無意味に巨大な電力会社を解体・再編して、もっと少人数で運営できる組織・設備に改編することだろうに・・・。

    全く同感です。
    電力会社がスポンサーの施設などもありますが、あんなものの維持経費も電気代から出ているだとか、東北電力の社員の給与はいいなぁと指加えている当方としてはいっそのこと電力会社は国営でいいじゃないかとさえ思います。国営で競争原理が働くようなうまい方法は無いものでしょうか。

  2. ブルーベリー より:

    みやまスマートエネルギーは初年度から営業利益を上げる見通しで、
    その収益を農林業や観光業などの地域産業に投資する方針だ。
    市民向けにはHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)による情報サービスを拡充していく。
    http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1601/13/news019.html

    「電力自由化」 を町おこしに利用している自治体が、幾つかあります。
    市民に安く電気を供給出来ますし、安い電気で企業誘致を図るそうです。
    行政コストも安くなり、収益を地域産業へ投資すれば良い循環が生まれます。

    雇用を産み、人材+資源+資金を地域内で循環させて、活性化するそうです。
    どうなるかは解りませんが、是非成功させて欲しいです!

    • argusakita より:

      鳥取市のその話、知人たちとちょっと前から話題になっていました。
      行政も知恵とやる気があればそういうことができる絶好の機会で、民業圧迫とは言われない珍しいタイミングにもかかわらず、秋田県や秋田市は宝の持ち腐れ。
      よほど東北電力と仲が良いのでしょう(^^)。

      地域では余剰になるかもしれない電力に加えて秋冬春の寒冷な気候や雪とタダ同然の土地。
      私が知事だったら、それらを有効に利用して秋田市に取り合えずサーバー1万台くらいの設備を準備して、全市町村の事務コンピュータ処理や県内バス会社3社の運行管理や観光地情報集約などを提供するクラウドサービス(のインフラ)の計画でも作ります(^^)。
       
      公設民営化あるいはソーシャルインパクト(SIB)で国内外から投資を集め、民間へのサービスも可能なように進めたいですね。太平洋岸の市町村や企業(国内外)のデータバックアップなどもあるでしょうし。数百人~千人規模の雇用なんて案外短時間で作れそうに思います。
      こんな条件が揃っている秋田なのにもったいない・・・。

      エイプリルフールの落書きの本質をわかってくれた人はいるかなぁ・・・。

  3. 地元民 より:

    さっそく比較サイトであたりを付けて、試しにアルファベット3文字のところに申し込みました。(工作員とか言われると嫌なので名前は伏せます)

    目途として東北電力より年間5,000円弱安くなりそうですが、実際はどうなるか使ってみないことにはわかりませんね。
    申し込みが殺到しているようで、マイページというところにログインが出来ないとお詫びページ。
    何だか頼りないですが、最初はこんなものでしょう。電気が止まらなけりゃいいですが(笑)。

    • argusakita より:

      参考になります。秋田にいる相方に教えてやります。ありがとうございました。
      その会社、エアーのチケットの割引でもサービスしてくれるなら大人気になりそうですね(^^)。

  4. hoco より:

    お世話になっております、すみません。しばらく見てませんでした。
    公務員は、( 比 較 的 )年度末、年度始めは忙しいです。
    窓口にいらっしゃるお客様は多いですし、異動後は、組織が上手く回らず、全然仕事が進みません。

    さて、久しぶりに見た最初の記事が、エイプリルフールネタでして、読んでる途中まで本気にしてしまいました(笑)
    虚構新聞を思い出しました↓
    【米粒に「円周率」器用さ競う 秋田】
     http://kyoko-np.net/2016040801.html

    話ずれました。電力自由化ですね。
    電気代が安くなるかもしれないし、通信機能がついたメーターが付くというので、
    さっそく、私も検討しましたが、結果、乗り換えるには至りませんでした。

    私の携帯電話のキャリアがauなので、「auでんき」にしようと考えていたのですが、
    我が家は、オール電化用の特殊な契約(深夜料金が安くなるプラン)になっていて、
    それに対応するプランが「auでんき」にはなく、かえって割高になるようでした。
    (この結論に至るまで、「auでんき」の担当者と何度か電話のやりとりしました。)

    秋田で選べる業者が少ないのも問題ですが、プランも少ないし、業者の方もわからないことだらけで、手探り状態な印象を受けました。

    • argusakita より:

      >さて、久しぶりに見た最初の記事が、エイプリルフールネタでして、読んでる途中まで本気にしてしまいました(笑)

      済 と書いたじゃないですかぁ・・・(^^)

      エイプリルフールといえば、殿様も昼行燈も来年の選挙への出馬は白紙だそうで、出る可能性がゼロじゃないよと公言したようで、出馬が白紙なんじゃなくて、頭の中が白紙だろうと・・・。遅いエイプリルフールかと思っています。
      電力小売りはショボい打ち上げ花火だったかな。

  5. 地元民 より:

    電力会社切り換えの件ですが、なかなか連絡が来なくて心配していましたが、先日連絡があって、
    5月6日 メーター交換(10分ほど停電とか)
    5/19日 料金切り替え

    だそうです。(申し込みが予想より大幅に多かったそうです)
    支払いはクレカかコンビニ払いですが、コンビニだと手数料が200円かかるらしいのでクレカにしました。

    さて、期待したほど安くならないかどうか…また数か月したら報告します。

コメントを残す(短めにどうぞ)

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中