『富の再分配』を政府に委ねるべきかという根本的な問題

パナマ・ペーパー流出で日本のマスコミは5月に詳細が公開されるのを待っているかのように静かだが、ネットでは節税とはほとんど無縁の源泉徴収組から嫉妬とも怨嗟とも言えるような声が挙がっている。
しかし、現在はパナマ・ペーパーに関しては一般人がアクセスできる方法は無く、噂では日本の法人が20社程度挙がっているらしい(筆者も又聞き)ということぐらいしかわかっていない。
ネットで挙がっているのはパナマ・ペーパー以前の過去のリーク(2013年のオフショア・リークス、2014年のルクセンブルク・リークス、2015年のスイス・リークス)が混同されているのではないかとさえ思える。


個人・法人の脱税、外為法違反は確かに犯罪だろうが、グローバル企業にとっては(規模にもよるが)単一の国家に対する帰属心、忠誠心といったものが希薄なのは当然で『税金はコスト』という視点から見れば、より節税可能なものを探ることは当然の行動で、違法性が無ければ問題は無いはずで、むしろコスト低減によって資本家あるいはモノ・サービスを提供する顧客へのプラス方向に働くことが期待される。
百歩譲って何らかのモラルで非難されるとしたらそういった節税機会を与えたり、徴収漏れの発生する税制、税法を持つその国の政府が非難されるべきだろう。

筆者も海外に拠点を置いていて扱う通貨が複数(¥、$、€)であることやそれらの為替変動に影響を受けるため、リスクを回避したいこともあり、拠点をアイルランドに置くべきかどうか検討したことがあるが、筆者のような規模では大したメリットも無く、むしろ様々なリスクのほうが大きいと判断したため止めた。
現在はこの『ダブル・アイリッシュ』(アイルランドに2つ子会社を持つ手法)の仕組みはアイルランドの優遇税制廃止で無意味になり、『ダッチ・サンドイッチ』(オランダを経由する取引、源泉徴収が無い)もほぼ有効性を失った。
つまり、OECDやG7(20)ではもう何年も前からこの問題が指摘されていて、各国が連携して情報交換し、法的な穴を潰し、それでも潰せない場合は日本の場合は(公務執行妨害のような)オールマイティな法律『外為法』(解釈と裁量の余地が大きく複雑)とでしょっ引くことが普通になってきている。

筆者の印象では、日本の企業・個人のオフショア・タックス・ヘイブン(非居住者向け租税回避地)利用が最も多いのはイギリス領ケイマン諸島だと思っている。
GAF2ずっと以前からだが例えば最近の例でも、今年の1月に発表された『ゴールデンアジアファンドⅡ』は三菱UFJキャピタル株式会社(MUCAP)が1,000万USD、秋田銀行が100万USD出資であり、ケイマンの特例会社を使っている。当然違法ではないが節税を行っていることは明らかだろう。そうでなければ、そんなスキームを組み立てる理由が無い。
また、ネット銀行その他で有名な楽天銀行もイー・バンクというケイマンの子会社を連結にして投資信託などを行っている。
当然、金融庁や国税のOKをもらっての企業活動であって非難される点は無いだろう。
また、これらのファンドは結局は個人や法人から預かるマネーで運用されるため、出資する側(個人・法人)も間接的にケイマンというタックス・ヘイブンを利用していることになる。

今回暴露されたパナマ・ペーパーで問題になるのはおそらく個人(しかも政治家?)だろうが、法人も一緒に非難の対象にされたら大変なことになる。
合法だがモラルの問題だなどという感情的な議論は不毛だし、節税しているのが日本企業ならOKで朝鮮企業とも言えなくもない電通やソフトバンクはダメ・・・では単純に幼稚な話になってしまう。
そもそも、タックス・ヘイブンのメリットやデメリット、その手法や手続きについて知識もない(例えば秋銀のGAF2の資料を文字で見て理解できない)人やファンドにするほど金持ちではない人は、黙ってまじめに源泉徴収等で納税していれば良い人であって、非難等の発言をする資格が無さそうに見える。

確かに筆者も法人としても個人としても企業の内部留保や超富裕層個人の資産等を羨ましいと思うことは当たり前にあるが、ではそれらを税金として吐き出させるべきかというと筆者は必ずしもそうは思わない。(馬鹿共産党・社民党とは決定的に相容れない部分)
税金は確かに『富の再配分』の手段の一つではあるが、身近な税金の使われ方をあれこれ観回してみると、役に立たないばかりか害悪とも言える国会議員のエサ代や、先般の下流老人向けの給付金3万円配布のための事務経費が234億円、鳴り物入りで始まったマイナンバーも未だに全国で2割は受け取っていない&カード発行は全体の1割といった子供でもわかるような無駄遣いがあまりにも多過ぎる。(必要経費だとしても高コストが問題となる)
つまり、税金として徴収してそれを再配分させることを無能で高コストな政府に委ねて良いものかという素朴な疑問にぶち当たるのである。
無能な政府(中央、地方)に委ねるよりも経営が優れ公益性のある企業が利益を獲得し、それを国や地域あるいはボーダーレスに再分配する仕組みのほうが有効活用できるのではないかと思えて仕方がない。

デフレ不況は需給ギャップ(日銀によれば約8兆円)であり、世界中の金融緩和でジャブジャブに増えたマネーが存在する反面、必要なところに必要なマネーが行き渡らないことがその需給ギャップを生んでいるとも言える。(ヘリコプター・マネーが絶対必要!!)
税金を平気で無駄なものに遣う政府よりも、例えば、Googleが節税してその分の利益をGoogle MapやGoogle Earthという誰もがタダで使えるものを開発することに振り向けてくれるなら筆者は後者を応援したいと考えるし、一握りの天才たちが節税したマネーでとてつもない発明をし、それをPublic Domainにしてくれるならそれを称賛したい。
無論、納税が各国国民の義務であることや、再配分的な役割を持つ企業が非常に高い企業モラルを持つことも前提として考える必要はあるのだが・・・。

 

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『富の再分配』を政府に委ねるべきかという根本的な問題 への11件のフィードバック

  1. 普通のおばさん より:

    ご無沙汰しています。
    確かに何でもかんでも税金で集めていい加減に使われることには大いに疑問を感じます。
    嫌になっちゃいます。

    ところで、トップページの奇麗な花は何の花でしょうか?

    • argusakita より:

      >ところで、トップページの奇麗な花は何の花でしょうか?

      アーモンドの花です。
      スペインの友人からメールで写真をもらいました。
      日本でも瀬戸内海あたりで栽培しているそうですが、東日本でも日当たりのよい室内なら鉢植えでもいけるんじゃないかと思い、東京の事務所でチャレンジしています。実がなるのは期待していませんが・・・。(^^)

  2. 普通のおばさん より:

    そうなんですか! アーモンド、知りませんでした。
    どこかで桃の仲間と聞いたことがありましたが、種を食べているんですものね。
    勉強になりました。ありがとうございます。

    • argusakita より:

      ついでですが、私ロースト・ソルトのブルーダイヤ・アーモンドが大好物で、10年くらい前まではルフトハンザでビール頼むとつまみに必ずこれの小袋が付いてきたのですが、いつの間にかプレッツェルになってがっかり。
      日本でもブルーダイヤ・アーモンドは他にも蜂蜜味、醤油&ワサビ味、ハバネロ味などバリエーションがあります。(明治屋だったかな輸入元は)
      ブルーダイヤモンドはカリフォルニアのアーモンドですが。

      アーモンドの花は、スペインやポルトガルでは春を告げる花の一つで、沢山咲いている景色は日本の桜のように非常に奇麗ですよ。

  3. http://golden-tamatama.com/blog-entry-2326.html

    に、赤旗に載った日本のタックスヘイブン44位までが載っていました。

    くさっても東芝、23位です。シャープは44位までに入っていませんから、乗り切るために内部留保を切り崩し、それでも自力再建はできなかったというところでしょうか。

    経済には詳しくないので、馬脚を出さないうちに、このコメントを閉じましょう。

    • argusakita より:

      なんだかいかにも大企業が目の敵の共産党のミスリードを誘う確信犯的な資料ですよね。
      私は共産党とは別の観点で大企業に批判的ですが、少し大企業の言い分も書いてみましょう。

      毎月発表される国際経常収支は円ベースでの統計ですが、その大きな割合は現在は貿易ではなく資本移転収支や所得収支や金融収支で多少の例外があるものの日本はずーっと黒字です。
      全てがタックスヘイブンではありませんが、その仕組みを利用することで大企業は為替変動などに備えている側面もあります。外貨準備に関しても国と大企業は手を組んでいるといってもおかしくないでしょう。
      もし、タックスヘイブンの子会社などの仕組みを全否定すると、大企業も不安定になり、国内でしょっちゅう解雇・整理の嵐になると思います。
      雇用の不安定化は国が最も恐れるものの一つですから、そのバーターとしてタックス・ヘイブンを認めている部分もありそうで、これは各国同様でしょう。
      共産党はそういった国際収支との関連や結果生じる雇用への影響をわざと無視してミスリードを狙っていますよね。

      大企業の多国籍企業、外資企業というのは実は経産省や金融庁でも明確な定義が無く、曖昧ですが、グローバリズムというイデオロギーが席巻している現在はグローバル化によるボーダーレスになっていて、極端な話、ケイマンにあるペーパーカンパニー同然の小さな会社がホールディングカンパニーで、日本の大企業もその子会社の一つという形態だって十分可能性があります。
      大企業に対する日本のマスコミや国民の捉え方は20年遅れていると思います。
      もう、『日本企業』といった見方は中小以下の零細企業でしか通用しなくなると思います。
      『日本系企業』くらいが適当でしょうか。

      SHARPの鴻海によるM&Aは『始まり』なのですが、鴻海自体さほど安泰ではないので再度別の企業が買って『身軽に処理』した上で日本系企業(または政府系企業)が買い戻すと私は予想しています。日産に見るように日本人の解雇・整理は外国人にやらせるのが上策なんだろうと思います。
      SHARPは『金融』を甘く見たのかどうか知りませんが経営者が無策で出遅れたのでしょう。

  4. きりたんぽ より:

    ご無沙汰しております。本当に久しぶりにこちらを見ましたら過去の書き込みなどは入力できなくなったようですね。さらにだいぶ日誌が減らされたようで驚きました。

    ついに全体主義の国民党の党企業の鴻海がシャープを買収しましたね。馬と習が先生と呼び合いながら密談をたしかシンガポールでやったりと 後ろ盾はシナ共ですから。シナ共の買収ですから完全に政治です。残念ながら買い戻せることはないでしょうね。相手は真人間ではないので理屈は通じません。今後の動向を見ていけばわかると思います。お面を被ったシナ共などはTPPなども含めて同じ手口でやってきてますので気をつけましょうね。

    日本はここ約23年間 世界で一番多く海外にお金を貸している債権国なのはご存知だと思います。ざっと300兆円を超えるようです。 

    世界で有事・経済難が起きれば、即座に日本は資産を守るためにも避難するためにも相手国の債権など売り払い自国の通貨である「円」に買い戻しますから嫌でも円高になってしまいますよね。金持ちならではの皮肉な構造です。

    よくいわれるのは貸しているお金が返ってこなくなったら?などとは不問でしょうね、多少のこげつきはあっても自身で円に買い戻すわけですから。放置するおバカさんはいませんよね。
    もし世界一の金持ち国家である債権国の資産が多少減って日本が滅ぶのであれば、世界一の下の二位以下ははすでに滅んでいるはずですからね。日本以外の世界各国を先に心配するべきでしょうね。
    お金を借りている国が、貸してもらっている国を心配することなどありませんよね。

    常に何かあれば外資は世界で一番金持ち国家の「円」に逃げ込むので円高になってしまいます。こんなことがしょっちゅうあるので、要するに日本は何もしなければ自然と円高にになってしまう構造になっていますので金持ちならではの悩みの種でしょうか。

    元・財務省の官僚の高橋洋一氏などは書籍などでも大蔵省の当時に現場で行っていた者として説明しています。固定相場の時代にはひたすら介入して固定相場を維持していたことなど(シャドー介入と呼んでいました) 30年以上前のプラザ合意で介入できなくなったということで円高に進んだんですね。日銀の介入(外国為替平衡操作)などは財務省などがHPで実績を公表してますのでご覧ください。民主党政権時にはよくやっていましたよね。こちらです→ http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/feio/

    世界で一番多く外国にお金を貸している日本が、貸している相手国に財政再建を約束するなんて笑ってしまいますよね(笑) こちらをどうぞ→http://blogos.com/article/94954/
    さらにこちらもわかりやすいです →http://www.best-investor.com/invest/invest_word6.html

    • きりたんぽ より:

      世界何十ヶ国を取材し現地で居住したり冷戦下のシナで留学し居住していたこともある専門家の河添恵子氏が詳しく説明しています シナ共など国民党の中身はこちらをどうぞ→

  5. ブルーベリー より:

    大韓航空が、秋田空港ターミナルビルと事務所の賃貸借契約の解除に向けて
    交渉していることが15日、分かった。早ければ秋口にも解約が成立する。
    http://www.sakigake.jp/news/article/20160416AK0002/

    やはり、完全撤退です。
    巨額の税金を浪費し、子供を強引にソウルに行かせて路線を維持していた責任を佐竹は取るべきです。

    • argusakita より:

      撤退までの経緯を詳しく知りませんが、朝鮮系企業はそういうことを平気でやります。
      しかし、撤退すると見せかけて金なり有利な条件を引き出したら何事も無かったようにまた『友好的に仕事をしましょう』と言ってきます。北朝鮮の瀬戸際外交そのものです。

      だいぶ以前ですが、仕事で似たようなことを2度経験して非常に参ったことがあります。
      継続と信義則を重んじる日本企業では到底考えられない行動ですが、朝鮮人はそういうロジックを持つんだと理解して付き合うべきでしょう。
      私は苦い経験以降は二度と朝鮮系企業とは付き合わないようにしています。
      連中と付き合う場合には、ゲーム理論でいう『やられたら確実にやり返す』という相互主義で臨まないといけませんし、連中は決して学習しません。

      凡そ国も国民も戦時売春婦問題を見ればわかるようにそういう連中で、敵性国家、敵性国民と捉えるしかありませんね。

      しかし、外交やビジネスでは言葉や習慣や道徳が通じない場合は『金と力』が”共通言語”であることも日本以外ではほぼ常識で、逆に日本が例外中の例外であることも確かです。

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